キターッ!これがウワサの婚約破棄ですわねっ!

夏乃みのり

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あれから、数年の月日が流れた。

かつて辺境と呼ばれたあの村は、今や「クライネルト辺境伯領」として、王国でも有数の豊かな土地へと発展していた。そして、その領地を治めているのは、私の夫となったアラン・フォン・クライネルト辺境伯だ。

そして、私は…。

「あなた!また畑にいたのですか!安静に、とあれほど言ったでしょう!」

畑の真ん中で土の感触を確かめていた私のもとに、アランが血相を変えて走ってくる。今の私は、お腹に新しい命を宿している身だ。

「あらアラン。何をそんなに慌てているのですか」

私は大きくなったお腹を愛おしそうに撫でながら、平然と答える。

「この子には、生まれる前から土の匂いと、クワの素晴らしさを教え込んでおかなければなりませんのよ!これぞ、クライネルト流の英才教育ですわ!」

「それは少し、いや、かなり早いと思います…!」

頭を抱えるアラン。このやり取りも、すっかり日常になった。

「心配しすぎですわ。この子は、わたくしの子。きっと、鋼のようにたくましい子に育ちますから」

「それは、頼もしいですが…!」

アランは私の隣に跪くと、私のお腹にそっと耳を当てた。

「聞こえるか?君のお母様は、少し、いや、かなり変わった方だが、世界一素敵な人なんだぞ」

その言葉に、私は思わず噴き出してしまった。

「あら、聞こえていますわよ、アラン」

「あっ…!」

顔を真っ赤にする夫のことが、私はたまらなく愛おしかった。

悪役令嬢に転生し、婚約破棄され、辺境に追放された。けれど、今の私は、世界で一番の幸せ者だ。

青く澄み渡った空の下、豊かに実った黄金色の麦畑が、風に揺れている。それはまるで、私たちの未来を祝福してくれているかのようだった。

私の、そして私たちの物語は、これからもこの大地と共に続いていく。

「さぁ、アラン!この子に、わが領で一番立派なじゃがいもを見せてあげましょう!」

「だから、あなたは安静に!」

辺境伯夫妻の、賑やかで幸せな笑い声が、いつまでも青空に響き渡っていた。
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みんなの感想(1件)

lilyan
2025.08.10 lilyan

超前向き悪役令嬢、最高です

解除

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