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38話
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夜の森は、昼間とは全く違う顔を見せていた。
獣の鳴き声、風が木々を揺らす音、全てが追手の足音のように聞こえ、グルメアの心を苛む。
「はぁ……はぁ……」
慣れない逃避行に、グルメアの体力は、すぐに限界に達した。
「マスカル……もう、わたくしは……」
「馬鹿野郎、弱音吐くな」
マスカルは、そんなグルメアの腕を強く引き、時にはその体を背負って、先へ、先へと進んだ。
数日後、二人は森の奥深くにある、小さな洞窟に身を潜めていた。
追手の気配は、今のところない。
乏しい食料である、干し肉と固いパンを、二人で分け合って食べる。
グルメアは、生まれて初めて食べるそんな粗末な食事ですら、マスカルと一緒だというだけで、不思議と美味しく感じられた。
夜になり、洞窟に冷たい空気が流れ込んでくると、マスカルはグルメアを、自分の腕の中に抱き寄せた。
「……冷えるだろ」
「……ええ」
彼の胸に顔をうずめると、彼の心臓の音が、力強く、そして穏やかに聞こえてきた。
その音を聞いているだけで、不思議と恐怖が和らいでいく。
「……申し訳、ありませんわ」
グルメアが、ぽつりと呟いた。
「わたくしのせいで……あなたまで、こんな目に」
「謝るな」
マスカルは、グルメアの髪を、優しく撫でた。
「俺が、好きでやってることだ。それに、俺が弱いばかりに、お前や村のみんなを危険な目に遭わせた。謝るのは、俺の方だ」
その言葉に、グルメアは首を横に振った。
「いいえ。あなたは、弱くなどありませんわ。あなたは、わたくしの……わたくしの、誇りです」
グルメアは、そっと顔を上げると、マスカルの唇に、自分の唇を重ねた。
それは、初めての、彼女からのキスだった。
「何があっても、わたくしは、あなたと一緒ですわ」
「……ああ」
マスカルも、強く彼女を抱きしめ返した。
「絶対に、守り抜く。そして、必ず、あの村に帰ろう。みんなが待ってる、俺たちの場所に」
洞窟に差し込む、月明かりの下で、二人は固く、未来を誓った。
この逃避行は、ただ逃げるだけのものではない。
愛する故郷を取り戻し、二人で幸せになるための、戦いの始まりなのだ。
絆を、そして覚悟を新たにした二人の瞳には、もはや逃亡者の怯えではなく、未来を切り開こうとする、強い光が宿っていた。
獣の鳴き声、風が木々を揺らす音、全てが追手の足音のように聞こえ、グルメアの心を苛む。
「はぁ……はぁ……」
慣れない逃避行に、グルメアの体力は、すぐに限界に達した。
「マスカル……もう、わたくしは……」
「馬鹿野郎、弱音吐くな」
マスカルは、そんなグルメアの腕を強く引き、時にはその体を背負って、先へ、先へと進んだ。
数日後、二人は森の奥深くにある、小さな洞窟に身を潜めていた。
追手の気配は、今のところない。
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夜になり、洞窟に冷たい空気が流れ込んでくると、マスカルはグルメアを、自分の腕の中に抱き寄せた。
「……冷えるだろ」
「……ええ」
彼の胸に顔をうずめると、彼の心臓の音が、力強く、そして穏やかに聞こえてきた。
その音を聞いているだけで、不思議と恐怖が和らいでいく。
「……申し訳、ありませんわ」
グルメアが、ぽつりと呟いた。
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「謝るな」
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「俺が、好きでやってることだ。それに、俺が弱いばかりに、お前や村のみんなを危険な目に遭わせた。謝るのは、俺の方だ」
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それは、初めての、彼女からのキスだった。
「何があっても、わたくしは、あなたと一緒ですわ」
「……ああ」
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「絶対に、守り抜く。そして、必ず、あの村に帰ろう。みんなが待ってる、俺たちの場所に」
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