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40話
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一人の王子の失脚は、まるでドミノ倒しのように、それに連なる者たちの運命をも、次々と変えていった。
オルト王子の最大の支持者であり、彼の威光を笠に着て、私兵を動かすという許されざる越権行為を犯したカーネル侯爵。
彼への風当たりは、もはや嵐となっていた。
「カーネル卿は、王子の暴走を止めもせず、あまつさえ自らも私兵を率いて騒乱を拡大させた! これは、断じて許されることではない!」
「そうだ! そもそも、カーネル家の財政には、黒い噂が絶えなかったではないか!」
今まで、オルト王子の権力を恐れて黙っていた政敵たちが、これを好機と、一斉にカーネル侯爵への非難を開始した。
それは、まさしく「壁に倒れた巨象に、蟻が群がる」ような光景だった。
侯爵が過去に行ってきた、数々の不正や汚職が、次々と白日の下に晒されていく。
領民からの違法な搾取。
政敵への脅迫。
そして、王家への献上金と偽った、巨額の横領。
もはや、打つ手はなかった。
カーネル侯爵は、貴族議会において満場一致で弾劾され、国王の最終的な裁可が下った。
爵位の剥奪。
全財産の没収。
そして、一家全員の、王都からの永久追放。
かつて、栄華を誇ったカーネル家は、あまりにもあっけなく、その歴史に幕を下ろした。
グルメアの父親は、全てを失い、たった一人、絶望の中で王都を追われたという。
その報せは、逃避行を続けるグルメアとマスカルの元へも、リコッタが手配した協力者を通じて、届けられた。
森の中の焚火を囲みながら、手紙を読み終えたグルメアは、それを静かに、炎の中へと投げ入れた。
「……」
「グルメア……」
マスカルが、心配そうに彼女の顔を覗き込む。
実の父親であり、自分の家が没落したのだ。彼女が心を痛めているのではないかと、そう思ったのだ。
しかし、グルメアは、燃え上がる手紙を、ただ冷たい目で見つめながら、静かに、そしてはっきりと呟いた。
「……ざまあ、ですわね」
その言葉に、恨みや悲しみはなかった。
ただ、当然の報いを受けた者たちへの、冷徹な事実確認があるだけだった。
「自らの行いが、自らを滅ぼした。それだけのことですわ」
グルメアは、ふっと息を吐くと、マスカルに向かって、穏やかに微笑んだ。
「さあ、マスカル。最大の障害は、勝手に消えてくれましたわ。これで、わたくしたちが村へ帰るのを、邪魔する者はいなくなりました」
「あとは、わたくしたちが、帰るだけですわね」
二人の最大の敵は、自滅によって消え去った。
夜明けは、もうすぐそこまで来ていた。
オルト王子の最大の支持者であり、彼の威光を笠に着て、私兵を動かすという許されざる越権行為を犯したカーネル侯爵。
彼への風当たりは、もはや嵐となっていた。
「カーネル卿は、王子の暴走を止めもせず、あまつさえ自らも私兵を率いて騒乱を拡大させた! これは、断じて許されることではない!」
「そうだ! そもそも、カーネル家の財政には、黒い噂が絶えなかったではないか!」
今まで、オルト王子の権力を恐れて黙っていた政敵たちが、これを好機と、一斉にカーネル侯爵への非難を開始した。
それは、まさしく「壁に倒れた巨象に、蟻が群がる」ような光景だった。
侯爵が過去に行ってきた、数々の不正や汚職が、次々と白日の下に晒されていく。
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もはや、打つ手はなかった。
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森の中の焚火を囲みながら、手紙を読み終えたグルメアは、それを静かに、炎の中へと投げ入れた。
「……」
「グルメア……」
マスカルが、心配そうに彼女の顔を覗き込む。
実の父親であり、自分の家が没落したのだ。彼女が心を痛めているのではないかと、そう思ったのだ。
しかし、グルメアは、燃え上がる手紙を、ただ冷たい目で見つめながら、静かに、そしてはっきりと呟いた。
「……ざまあ、ですわね」
その言葉に、恨みや悲しみはなかった。
ただ、当然の報いを受けた者たちへの、冷徹な事実確認があるだけだった。
「自らの行いが、自らを滅ぼした。それだけのことですわ」
グルメアは、ふっと息を吐くと、マスカルに向かって、穏やかに微笑んだ。
「さあ、マスカル。最大の障害は、勝手に消えてくれましたわ。これで、わたくしたちが村へ帰るのを、邪魔する者はいなくなりました」
「あとは、わたくしたちが、帰るだけですわね」
二人の最大の敵は、自滅によって消え去った。
夜明けは、もうすぐそこまで来ていた。
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