15 / 28
15
しおりを挟む
ブルドーザー公爵邸、ヘンドリックの寝室。
天蓋付きの巨大なベッド(特注の強化フレーム製)に、ヘンドリックが横たわっている。
その顔はリンゴのように赤く、荒い息を吐いていた。
「はぁ……はぁ……エリオット様……」
枕元には、見舞いに駆けつけた(呼び出された)エリオット王太子と、付き添いのリリィ、そして青ざめた表情の主治医がいた。
「おい、医者。容態はどうなんだ?」
エリオットが尋ねる。
主治医は震える手で、半分に折れた体温計を差し出した。
「殿下……計測不能です」
「は?」
「体温計を脇に挟んだ瞬間、お嬢様の熱量と筋収縮に耐えきれず、粉砕されました。手で触れた感触では、おそらく四十度は超えているかと」
「四十度!? 人間なら死んでいるぞ!」
「ええ。ですが、お嬢様の細胞は『死滅』するよりも『戦闘』を選んでいるようです。体内で免疫細胞がウイルスとプロレスをしている音が聞こえます」
「どんな聴診器だ!」
エリオットは頭を抱えた。
昨日、ヘンドリックは「冷水摩擦こそが花嫁修業の基本」と言って、真冬の滝に打たれに行っていたらしい。
さすがの鋼鉄令嬢も、自然の猛威(寒波)には勝てなかったようだ。
「ゴホッ! ゴホッ!」
ヘンドリックが激しく咳き込んだ。
**ドォン! ドォン!**
咳をするたびに、部屋の窓ガラスがビリビリと震え、衝撃波がカーテンを揺らす。
「ひぃっ! 咳が重い!」
リリィがエリオットの後ろに隠れる。
「リリィちゃん……エリオット様……」
ヘンドリックが潤んだ瞳で二人を見る。
普段の覇気がない分、その表情は儚げで、不覚にも可愛らしく見えた。
「ごめんなさい……私としたことが、ウイルスごときに隙を見せるなんて……」
「いいから寝てろ。喋ると体力を消耗する」
エリオットがおずおずと声をかけると、ヘンドリックはふにゃりと笑った。
「嬉しい……。エリオット様が看病してくださるなんて……。これが『恋の病』というやつですね?」
「違います。インフルエンザです」
「寒気がします……。エリオット様、温めてください……」
ヘンドリックが布団から手を伸ばす。
その手は高熱を発している。
「わ、わかった。毛布を追加しよう。セバスチャン!」
「はい」
執事のセバスチャンが、山のような毛布を運んでくる。
「最高級の羊毛布団を十枚ご用意しました」
「よし、全部かけろ!」
ドサッ。ドサッ。ドサッ。
ヘンドリックの上に、布団の塔が築かれる。
総重量はかなりのものだが、彼女は満足そうに埋もれた。
「……暖かいですわ。まるでエリオット様の愛の重み……」
「物理的な重みだ。大人しく寝てろよ」
エリオットが安堵したのも束の間。
「……お腹が、空きました」
「そうか。病人食ならリリィが作ってくれたぞ」
リリィがトレイを持って進み出る。
「はい、ヘンドリック様。特製のお粥です。消化に良いように、クタクタに煮込んであります」
「まぁ、リリィちゃんの手料理……!」
ヘンドリックは布団から上半身を起こした(布団十枚を跳ね除けて)。
「いただきます……あ、手が震えて……」
彼女はスプーンを持とうとするが、高熱による震えが止まらない。
カチャカチャカチャカチャ!
スプーンが食器に当たる音が、マシンガンのように響く。
「すごいバイブレーションだ……」
「エリオット様……」
ヘンドリックが上目遣いで訴える。
「手が言うことを聞きません。……あーん、してくださいますか?」
「断る!」
「殿下、やってあげてください。このままだと、震動でお粥が遠心分離されてしまいます!」
リリィに促され、エリオットは渋々スプーンを手に取った。
「……今回だけだぞ。ほら、口を開けろ」
「あーん」
ヘンドリックが桃色の唇を開く。
エリオットはお粥をすくい、彼女の口へと運んだ。
その瞬間。
パクッ。
ヘンドリックが口を閉じた。
ガリッ。
嫌な音がした。
「……ん?」
エリオットがスプーンを引き抜こうとするが、抜けない。
「おい、ヘンドリック。口を開けてくれ」
「んぐ、んぐ……(美味しいです)」
「噛むな! スプーンごと噛むな!」
ヘンドリックは恍惚の表情で咀嚼し、ゴクリと飲み込んだ。
そして、口から出てきたのは――グニャグニャに曲がり、歯型がついたスプーンの柄だけだった。
「スプーンが……! ステンレス製のスプーンが!」
「鉄分補給完了ですわ」
「お前はヤギか!」
「エリオット様が食べさせてくださったので、スプーンまで甘かったです」
ヘンドリックは熱に浮かされた目で、うっとりとエリオットを見つめる。
その視線が、だんだんと据わってきた。
「……エリオット様」
「な、なんだ」
「私、夢を見ていましたの」
「夢?」
「貴方様が、巨大な氷枕になって私を冷やしてくれる夢を……」
ヘンドリックの手が、ゆらりと伸びる。
「冷たくて、気持ちよさそう……」
「ひっ! 待て! 私は人間だ! 体温は三十六度ある!」
「いいえ、今の私にとっては極寒の地です……抱っこさせて……」
「逃げろリリィ! 捕まったら体温を吸い尽くされる!」
エリオットが背を向けて逃げようとした時だ。
ガシッ。
足首を掴まれた。
「行かないで……」
「うわあああああ!」
エリオットがベッドに引きずり込まれる。
「離せ! 熱い! お前、全身が燃えてるぞ!」
「エリオット様ぁ……んちゅ……」
ヘンドリックはエリオットを抱き枕のように抱きしめ、その胸に顔を埋めた。
ジュウウウウウ……。
「熱い熱い熱い! 服が焦げてる! 低温火傷する!」
「落ち着いてください、ヘンドリック様! 殿下がウェルダンになってしまいます!」
リリィが必死に止めようとするが、病人の馬鹿力(火事場のなんとやら)は凄まじい。
「私の体内のウイルスが……貴方様の愛で浄化されていきます……」
「移してるだけだろ! 感染(パンデミック)だ!」
エリオットの意識が遠のきかけた、その時。
ヘンドリックの体が、カッと赤く発光した。
「……!? なんだ!?」
「あ、熱が……限界突破します!」
ボシュウウウウウウウウッ!!
まるで蒸気機関車が蒸気を吹くように、ヘンドリックの全身から大量の汗と蒸気が噴き出した。
部屋中が真っ白な蒸気に包まれる。
「見えない! 何も見えない!」
「サウナだ! 湿度100%だ!」
視界ゼロの中、エリオットは必死にベッドから這い出した。
数分後。
蒸気が晴れると、そこには。
「おはようございます、皆様!」
肌がツヤツヤになり、完全にリフレッシュしたヘンドリックが、ベッドの上で仁王立ちしていた。
「……へ?」
「熱が下がりましたわ! 悪いものが全部出た気分です!」
彼女は両腕でガッツポーズをする。
「見てください、この溢れ出るパワー! 風邪をひく前より強くなった気がします!」
「……一瞬で治った……」
主治医が眼鏡をずり落とす。
「超高熱でウイルスを焼き尽くし、代謝を一気に高めて即時回復……。生物として進化しています……」
「ご心配をおかけしました、エリオット様!」
ヘンドリックはベッドから飛び降りる(着地で床が抜けた)。
そして、床にへたり込んでいるエリオットを軽々と抱き上げた。
「看病のお礼に、今度は私がエリオット様を温めて差し上げますわ!」
「やめろ……もういい……」
エリオットの顔は土気色だった。
高熱のヘンドリックに抱きしめられたせいで脱水症状を起こし、さらに精神的疲労で限界を迎えていたのだ。
「あら? エリオット様、お顔色が……」
エリオットがガクッと首を垂れる。
「殿下ーッ! 殿下が気絶しました!」
リリィが叫ぶ。
「まぁ大変! エリオット様に私の風邪が移ってしまったのかしら?」
ヘンドリックは心配そうに、しかしどこか嬉しそうに言った。
「でも、安心してください。私がつきっきりで看病しますから」
彼女の背後に、不吉なオーラ(やる気)が立ち上る。
「ネギを首に巻いて、生姜を丸かじりさせて、乾布摩擦で皮膚を鍛え直しますわ!」
「やめてあげて! 殿下が死んじゃう!」
リリィの悲鳴は届かない。
こうして、エリオット王太子は「風邪」よりも恐ろしい「ヘンドリック式治療」の実験台となることが決定した。
翌日、王城から「王太子、体調不良により公務を数日休む」という発表がなされたが、その病因が「公爵令嬢による物理的介護疲れ」であることを知る者は少ない。
天蓋付きの巨大なベッド(特注の強化フレーム製)に、ヘンドリックが横たわっている。
その顔はリンゴのように赤く、荒い息を吐いていた。
「はぁ……はぁ……エリオット様……」
枕元には、見舞いに駆けつけた(呼び出された)エリオット王太子と、付き添いのリリィ、そして青ざめた表情の主治医がいた。
「おい、医者。容態はどうなんだ?」
エリオットが尋ねる。
主治医は震える手で、半分に折れた体温計を差し出した。
「殿下……計測不能です」
「は?」
「体温計を脇に挟んだ瞬間、お嬢様の熱量と筋収縮に耐えきれず、粉砕されました。手で触れた感触では、おそらく四十度は超えているかと」
「四十度!? 人間なら死んでいるぞ!」
「ええ。ですが、お嬢様の細胞は『死滅』するよりも『戦闘』を選んでいるようです。体内で免疫細胞がウイルスとプロレスをしている音が聞こえます」
「どんな聴診器だ!」
エリオットは頭を抱えた。
昨日、ヘンドリックは「冷水摩擦こそが花嫁修業の基本」と言って、真冬の滝に打たれに行っていたらしい。
さすがの鋼鉄令嬢も、自然の猛威(寒波)には勝てなかったようだ。
「ゴホッ! ゴホッ!」
ヘンドリックが激しく咳き込んだ。
**ドォン! ドォン!**
咳をするたびに、部屋の窓ガラスがビリビリと震え、衝撃波がカーテンを揺らす。
「ひぃっ! 咳が重い!」
リリィがエリオットの後ろに隠れる。
「リリィちゃん……エリオット様……」
ヘンドリックが潤んだ瞳で二人を見る。
普段の覇気がない分、その表情は儚げで、不覚にも可愛らしく見えた。
「ごめんなさい……私としたことが、ウイルスごときに隙を見せるなんて……」
「いいから寝てろ。喋ると体力を消耗する」
エリオットがおずおずと声をかけると、ヘンドリックはふにゃりと笑った。
「嬉しい……。エリオット様が看病してくださるなんて……。これが『恋の病』というやつですね?」
「違います。インフルエンザです」
「寒気がします……。エリオット様、温めてください……」
ヘンドリックが布団から手を伸ばす。
その手は高熱を発している。
「わ、わかった。毛布を追加しよう。セバスチャン!」
「はい」
執事のセバスチャンが、山のような毛布を運んでくる。
「最高級の羊毛布団を十枚ご用意しました」
「よし、全部かけろ!」
ドサッ。ドサッ。ドサッ。
ヘンドリックの上に、布団の塔が築かれる。
総重量はかなりのものだが、彼女は満足そうに埋もれた。
「……暖かいですわ。まるでエリオット様の愛の重み……」
「物理的な重みだ。大人しく寝てろよ」
エリオットが安堵したのも束の間。
「……お腹が、空きました」
「そうか。病人食ならリリィが作ってくれたぞ」
リリィがトレイを持って進み出る。
「はい、ヘンドリック様。特製のお粥です。消化に良いように、クタクタに煮込んであります」
「まぁ、リリィちゃんの手料理……!」
ヘンドリックは布団から上半身を起こした(布団十枚を跳ね除けて)。
「いただきます……あ、手が震えて……」
彼女はスプーンを持とうとするが、高熱による震えが止まらない。
カチャカチャカチャカチャ!
スプーンが食器に当たる音が、マシンガンのように響く。
「すごいバイブレーションだ……」
「エリオット様……」
ヘンドリックが上目遣いで訴える。
「手が言うことを聞きません。……あーん、してくださいますか?」
「断る!」
「殿下、やってあげてください。このままだと、震動でお粥が遠心分離されてしまいます!」
リリィに促され、エリオットは渋々スプーンを手に取った。
「……今回だけだぞ。ほら、口を開けろ」
「あーん」
ヘンドリックが桃色の唇を開く。
エリオットはお粥をすくい、彼女の口へと運んだ。
その瞬間。
パクッ。
ヘンドリックが口を閉じた。
ガリッ。
嫌な音がした。
「……ん?」
エリオットがスプーンを引き抜こうとするが、抜けない。
「おい、ヘンドリック。口を開けてくれ」
「んぐ、んぐ……(美味しいです)」
「噛むな! スプーンごと噛むな!」
ヘンドリックは恍惚の表情で咀嚼し、ゴクリと飲み込んだ。
そして、口から出てきたのは――グニャグニャに曲がり、歯型がついたスプーンの柄だけだった。
「スプーンが……! ステンレス製のスプーンが!」
「鉄分補給完了ですわ」
「お前はヤギか!」
「エリオット様が食べさせてくださったので、スプーンまで甘かったです」
ヘンドリックは熱に浮かされた目で、うっとりとエリオットを見つめる。
その視線が、だんだんと据わってきた。
「……エリオット様」
「な、なんだ」
「私、夢を見ていましたの」
「夢?」
「貴方様が、巨大な氷枕になって私を冷やしてくれる夢を……」
ヘンドリックの手が、ゆらりと伸びる。
「冷たくて、気持ちよさそう……」
「ひっ! 待て! 私は人間だ! 体温は三十六度ある!」
「いいえ、今の私にとっては極寒の地です……抱っこさせて……」
「逃げろリリィ! 捕まったら体温を吸い尽くされる!」
エリオットが背を向けて逃げようとした時だ。
ガシッ。
足首を掴まれた。
「行かないで……」
「うわあああああ!」
エリオットがベッドに引きずり込まれる。
「離せ! 熱い! お前、全身が燃えてるぞ!」
「エリオット様ぁ……んちゅ……」
ヘンドリックはエリオットを抱き枕のように抱きしめ、その胸に顔を埋めた。
ジュウウウウウ……。
「熱い熱い熱い! 服が焦げてる! 低温火傷する!」
「落ち着いてください、ヘンドリック様! 殿下がウェルダンになってしまいます!」
リリィが必死に止めようとするが、病人の馬鹿力(火事場のなんとやら)は凄まじい。
「私の体内のウイルスが……貴方様の愛で浄化されていきます……」
「移してるだけだろ! 感染(パンデミック)だ!」
エリオットの意識が遠のきかけた、その時。
ヘンドリックの体が、カッと赤く発光した。
「……!? なんだ!?」
「あ、熱が……限界突破します!」
ボシュウウウウウウウウッ!!
まるで蒸気機関車が蒸気を吹くように、ヘンドリックの全身から大量の汗と蒸気が噴き出した。
部屋中が真っ白な蒸気に包まれる。
「見えない! 何も見えない!」
「サウナだ! 湿度100%だ!」
視界ゼロの中、エリオットは必死にベッドから這い出した。
数分後。
蒸気が晴れると、そこには。
「おはようございます、皆様!」
肌がツヤツヤになり、完全にリフレッシュしたヘンドリックが、ベッドの上で仁王立ちしていた。
「……へ?」
「熱が下がりましたわ! 悪いものが全部出た気分です!」
彼女は両腕でガッツポーズをする。
「見てください、この溢れ出るパワー! 風邪をひく前より強くなった気がします!」
「……一瞬で治った……」
主治医が眼鏡をずり落とす。
「超高熱でウイルスを焼き尽くし、代謝を一気に高めて即時回復……。生物として進化しています……」
「ご心配をおかけしました、エリオット様!」
ヘンドリックはベッドから飛び降りる(着地で床が抜けた)。
そして、床にへたり込んでいるエリオットを軽々と抱き上げた。
「看病のお礼に、今度は私がエリオット様を温めて差し上げますわ!」
「やめろ……もういい……」
エリオットの顔は土気色だった。
高熱のヘンドリックに抱きしめられたせいで脱水症状を起こし、さらに精神的疲労で限界を迎えていたのだ。
「あら? エリオット様、お顔色が……」
エリオットがガクッと首を垂れる。
「殿下ーッ! 殿下が気絶しました!」
リリィが叫ぶ。
「まぁ大変! エリオット様に私の風邪が移ってしまったのかしら?」
ヘンドリックは心配そうに、しかしどこか嬉しそうに言った。
「でも、安心してください。私がつきっきりで看病しますから」
彼女の背後に、不吉なオーラ(やる気)が立ち上る。
「ネギを首に巻いて、生姜を丸かじりさせて、乾布摩擦で皮膚を鍛え直しますわ!」
「やめてあげて! 殿下が死んじゃう!」
リリィの悲鳴は届かない。
こうして、エリオット王太子は「風邪」よりも恐ろしい「ヘンドリック式治療」の実験台となることが決定した。
翌日、王城から「王太子、体調不良により公務を数日休む」という発表がなされたが、その病因が「公爵令嬢による物理的介護疲れ」であることを知る者は少ない。
0
あなたにおすすめの小説
五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
婚約破棄寸前だった令嬢が殺されかけて眠り姫となり意識を取り戻したら世界が変わっていた話
ひよこ麺
恋愛
シルビア・ベアトリス侯爵令嬢は何もかも完璧なご令嬢だった。婚約者であるリベリオンとの関係を除いては。
リベリオンは公爵家の嫡男で完璧だけれどとても冷たい人だった。それでも彼の幼馴染みで病弱な男爵令嬢のリリアにはとても優しくしていた。
婚約者のシルビアには笑顔ひとつ向けてくれないのに。
どんなに尽くしても努力しても完璧な立ち振る舞いをしても振り返らないリベリオンに疲れてしまったシルビア。その日も舞踏会でエスコートだけしてリリアと居なくなってしまったリベリオンを見ているのが悲しくなりテラスでひとり夜風に当たっていたところ、いきなり何者かに後ろから押されて転落してしまう。
死は免れたが、テラスから転落した際に頭を強く打ったシルビアはそのまま意識を失い、昏睡状態となってしまう。それから3年の月日が流れ、目覚めたシルビアを取り巻く世界は変っていて……
※正常な人があまりいない話です。
公爵令嬢の辿る道
ヤマナ
恋愛
公爵令嬢エリーナ・ラナ・ユースクリフは、迎えた5度目の生に絶望した。
家族にも、付き合いのあるお友達にも、慕っていた使用人にも、思い人にも、誰からも愛されなかったエリーナは罪を犯して投獄されて凍死した。
それから生を繰り返して、その度に自業自得で凄惨な末路を迎え続けたエリーナは、やがて自分を取り巻いていたもの全てからの愛を諦めた。
これは、愛されず、しかし愛を求めて果てた少女の、その先の話。
※暇な時にちょこちょこ書いている程度なので、内容はともかく出来についてはご了承ください。
追記
六十五話以降、タイトルの頭に『※』が付いているお話は、流血表現やグロ表現がございますので、閲覧の際はお気を付けください。
私の願いは貴方の幸せです
mahiro
恋愛
「君、すごくいいね」
滅多に私のことを褒めることがないその人が初めて会った女の子を褒めている姿に、彼の興味が私から彼女に移ったのだと感じた。
私は2人の邪魔にならないよう出来るだけ早く去ることにしたのだが。
出て行けと言われた私が、本当に出ていくなんて思ってもいなかったでしょう??
睡蓮
恋愛
グローとエミリアは婚約関係にあったものの、グローはエミリアに対して最初から冷遇的な態度をとり続けていた。ある日の事、グローは自身の機嫌を損ねたからか、エミリアに対していなくなっても困らないといった言葉を発する。…それをきっかけにしてエミリアはグローの前から失踪してしまうこととなるのだが、グローはその事をあまり気にしてはいなかった。しかし後に貴族会はエミリアの味方をすると表明、じわじわとグローの立場は苦しいものとなっていくこととなり…。
『すり替えられた婚約、薔薇園の告白
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢シャーロットは幼馴染の公爵カルロスを想いながら、伯爵令嬢マリナの策で“騎士クリスとの婚約”へとすり替えられる。真面目なクリスは彼女の心が別にあると知りつつ、護るために名乗りを上げる。
社交界に流される噂、贈り物の入れ替え、夜会の罠――名誉と誇りの狭間で、言葉にできない愛は揺れる。薔薇園の告白が間に合えば、指輪は正しい指へ。間に合わなければ、永遠に
王城の噂が運命をすり替える。幼馴染の公爵、誇り高い騎士、そして策を巡らす伯爵令嬢。薔薇園で交わされる一言が、花嫁の未来を決める――誇りと愛が試される、切なくも凛とした宮廷ラブロマンス。
王子は婚約破棄を泣いて詫びる
tartan321
恋愛
最愛の妹を失った王子は婚約者のキャシーに復讐を企てた。非力な王子ではあったが、仲間の協力を取り付けて、キャシーを王宮から追い出すことに成功する。
目的を達成し安堵した王子の前に突然死んだ妹の霊が現れた。
「お兄さま。キャシー様を3日以内に連れ戻して!」
存亡をかけた戦いの前に王子はただただ無力だった。
王子は妹の言葉を信じ、遥か遠くの村にいるキャシーを訪ねることにした……。
私が嫌いなら婚約破棄したらどうなんですか?
きららののん
恋愛
優しきおっとりでマイペースな令嬢は、太陽のように熱い王太子の側にいることを幸せに思っていた。
しかし、悪役令嬢に刃のような言葉を浴びせられ、自信の無くした令嬢は……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる