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②魔王と会議
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魔王城では毎朝、魔王と幹部たちで一緒に朝食をとる。
本日の朝食は、焼きたてのパンにオムレツ、サラダに紅茶。
どれも文句なしに美味しい。
朝食を食べ終え、二杯目の紅茶を飲みながら、そのまま会議へと移行する。
「セバス。勇者の件は通達済だな。」
後ろに控えたセバスに問いかける。
「はい。幹部の皆様には昨晩の内に。それ以下の者たちにはこの会議の決定事項とともに通達予定でございます。」
「よろしい。それでは本日の会議を始める。」
・・・・・・・・・
普段通り、会議はつつがなく進み、終わりに差し掛かったところで、本日のメインを言うべき議題を口にした。
「では、最後の議題だ。皆も知っての通り人族の勇者が誕生した。加えて勇者の仲間として信託を受けたものがいるようだ。」
「聞くところによると勇者もその仲間もまだ若いようですな。脅威になる前に排除してしまうのがよろしいかと。」
軍部を任せているミノタウロスのアステリオスが発言した。
確かにアステリオスの言うことは至極当然だ。
しかし・・・
「残念ながら却下だ。昨晩、女神から私に信託があった。勇者達の指南役を頼みたい、と。」
この発言に幹部たちをはじめ、普段感情を表に出さない執事のセバスまでが驚きを隠せないでいた。
「?!」
「一体女神は何を考えているんだ!」
「我々の脅威になりかねん勇者を魔王様に育てろだと?!」
皆、女神の考えが理解できないと口々に言う。
私は冷めた紅茶を一口飲み、口を開いた。
「女神の信託なら従うしかない。魔族にとっても、あやつは神であることに違いはないからな。」
「しかし魔王様!」
「よいではないか。私の願いは皆も知っているだろう。その願いに少しでも近づくならば、勇者の指南役、受けようではないか。」
「魔王様・・・。」
「私は早速、この会議が終わり次第、人族の国の勇者のもとへ向かう。異論はないな。」
皆、納得はしていないようだが、反論はない。
彼らは意見があればはっきりと進言してくれる。
それがないということは、すなわち私の意思を尊重してくれるということだ。
「私が留守の間は、『魔鏡』にて遠隔で会議を行う。それでは本日の会議はこれで終了とする。」
私の号令を受け、各々が自分の持ち場へと帰っていく。
残ったのはセバスとお付きのメイド数人。
「セバス。宝物庫に『封魔の指輪』があったな。それと『魔鏡』に『夜の杖』も持ってきてくれ。」
「畏まりました。人族に紛れるような衣類もまとめて持ってまいります。」
「ああ、頼んだ。メイドも連れていけ。」
「ありがとうございます。では少々お待ちを。」
セバスとメイド達は仰々しく頭を下げると、宝物庫へと向かっていった。
私は冷めた紅茶を飲み干し、自身も準備のため自室へと向かった。
本日の朝食は、焼きたてのパンにオムレツ、サラダに紅茶。
どれも文句なしに美味しい。
朝食を食べ終え、二杯目の紅茶を飲みながら、そのまま会議へと移行する。
「セバス。勇者の件は通達済だな。」
後ろに控えたセバスに問いかける。
「はい。幹部の皆様には昨晩の内に。それ以下の者たちにはこの会議の決定事項とともに通達予定でございます。」
「よろしい。それでは本日の会議を始める。」
・・・・・・・・・
普段通り、会議はつつがなく進み、終わりに差し掛かったところで、本日のメインを言うべき議題を口にした。
「では、最後の議題だ。皆も知っての通り人族の勇者が誕生した。加えて勇者の仲間として信託を受けたものがいるようだ。」
「聞くところによると勇者もその仲間もまだ若いようですな。脅威になる前に排除してしまうのがよろしいかと。」
軍部を任せているミノタウロスのアステリオスが発言した。
確かにアステリオスの言うことは至極当然だ。
しかし・・・
「残念ながら却下だ。昨晩、女神から私に信託があった。勇者達の指南役を頼みたい、と。」
この発言に幹部たちをはじめ、普段感情を表に出さない執事のセバスまでが驚きを隠せないでいた。
「?!」
「一体女神は何を考えているんだ!」
「我々の脅威になりかねん勇者を魔王様に育てろだと?!」
皆、女神の考えが理解できないと口々に言う。
私は冷めた紅茶を一口飲み、口を開いた。
「女神の信託なら従うしかない。魔族にとっても、あやつは神であることに違いはないからな。」
「しかし魔王様!」
「よいではないか。私の願いは皆も知っているだろう。その願いに少しでも近づくならば、勇者の指南役、受けようではないか。」
「魔王様・・・。」
「私は早速、この会議が終わり次第、人族の国の勇者のもとへ向かう。異論はないな。」
皆、納得はしていないようだが、反論はない。
彼らは意見があればはっきりと進言してくれる。
それがないということは、すなわち私の意思を尊重してくれるということだ。
「私が留守の間は、『魔鏡』にて遠隔で会議を行う。それでは本日の会議はこれで終了とする。」
私の号令を受け、各々が自分の持ち場へと帰っていく。
残ったのはセバスとお付きのメイド数人。
「セバス。宝物庫に『封魔の指輪』があったな。それと『魔鏡』に『夜の杖』も持ってきてくれ。」
「畏まりました。人族に紛れるような衣類もまとめて持ってまいります。」
「ああ、頼んだ。メイドも連れていけ。」
「ありがとうございます。では少々お待ちを。」
セバスとメイド達は仰々しく頭を下げると、宝物庫へと向かっていった。
私は冷めた紅茶を飲み干し、自身も準備のため自室へと向かった。
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