【完結】これをもちまして、終了とさせていただきます

楽歩

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お礼&マルセル

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 最後までお読みくださりありがとうございます(,,>᎑<,,)

 途中何度も、つじつまが合わなくなり、やめちゃおうかなと諦めかけましたが、何とか書き上げました。( っ゚、。)っ つめの甘さの残る部分は是非見逃していただければ……。

 完結させてから、手直ししつつの投稿です。今までで一番時間がかかりました。次は、気楽な話にします。


 お気に入りや♡、エール等に救われました。感謝です。



 これは恋愛カテゴリーだった……と、最近よく忘れることが多く、途中思い出したかのように、恋愛色を詰め込むといった無理矢理感。話も全体的に暗めだったかな、地の文が硬いの何のと、反省。

 最後バタバタと恋愛で締めくくりました。と言うわけで、お礼のマルセル話も恋愛色です。アンヌsideと迷いましたが、マルセルsideで正解だったと思うほど、書き始めたら楽しくなり、もはや小話ではなく、一話レベル。


「37.小さなざわめき 」における、マルセルsideです。よかったらお読みください。ありがとうございました。(*・ω・*)ゞ




 *****



 side マルセル



 アンヌがエミリア様の娘に。

 なんて感動的なんだと、浸っているところにルシアーナ様が衝撃の一言を発した。




「よかったわね、アンヌ。これで、想い人との身分差はなくなったわね」


 ……え、アンヌに想い人?


 思わず部屋を見渡す。いや、いやいや、この部屋にいるはずは――まさかユリウス様? 

 慌てるな、それは、絶対にない。

 じゃあ、王宮にいた頃の誰かか? 
 っ! やはり、私も侍従か何かでそばにいるべきだったのかもしれない。

 遠くに離ればなれになっているアンヌの想い人なんて……、王宮から帰ってきたアンヌからそんな雰囲気は微塵も感じられなかった。





「では進めましょうか、マルセル」

「え? は、はい! そうですね、進めましょう。まずは陛下から、それぞれの役職についてお話しいただきます」


 動揺を隠しつつ、なんとか声を震えさせずに進行を続ける。




 次はユリウス様だ。

 皆が期待の目で見る。部屋中の視線が集まる。

 昨日、大公様が皆を集め、ルシアーナ様が王配にユリウス様を望んでいることを、内々に伝えた。

 やっぱりな、という顔をした皆に対して「知っておったのか!」と驚いた大公様。孫娘に関しては勘が鈍いというか何というか。


 お互い隠してはいるが、想い合っていることは、分かる。

 ルシアーナ様は、宰相にするつもりで、優秀なユリウス様を連れてきたと思っていた。でも、違和感があった。

 ユリウスにも宰相になりたいのか、カマをかけたが、特に野心も感じられなかった。

 
 やはり、二人とも、ただ、一緒にいたいだけなのだ、そう気づいた。

 本人たちだけが分かっていなそうなのが不思議でならない。

 まあ、ルシアーナ様は小さい頃から、恋だの愛だのに無頓着だったから仕方がないだろう。


 だからこそ期待してしまう。


 あのルシアーナ様が頬を染めながら、「王配に」と言う姿を拝むことができるのか。

 ユリウス様がどんな形でお受けするのか。ひざまずき、歓喜をあらわにし、逆に求婚するか。






「この国の宰相か、王配か。どちらかを選んでほしいの」

「宰相か、王配……」



 ん? なぜユリウス様は、私を見るのだ?




「ルシアーナ様、いえ、王よ。あなたは、どちらを望まれますか?」

「王配よ」

「わかりました。では、王配を承ります」

「ありがとう。では、次はマルセルの役職だけど……」




 え? ええ……? これで終了?

 なんだこの事務的な感じは。ガレス様も思わず慌てる。動揺が部屋中を駆け巡る。


 皆の訴えるような目を見て、大公様が提案する。



「ああ、そうだな……一度休憩することにするのはどうだろう、ルシアーナ」


 


 次はマルセルのことを言うのにいいの? と言った目でルシアーナ様が私を見るがどうでもいい。

 ラザフォード様とユリウス様が断った今、宰相は私なのでしょう。目が自然と細くなる。
 この歳で、宰相など。ああ、嫌だ。気が重い。私も休憩したい。




「そうですね、いったん休憩しましょう」

「おお、そうだ、ユリウス。休憩がてら、王と一緒に散歩に行くといいぞ」


 ガレス様が提案した。ああ、それがいい。二人があんなに事務的なのは、私たちが見ているせいで、照れているのだと願いたい。

 二人が部屋を出ると、残された皆はそれぞれため息をつきながら椅子に腰を下ろす。



「ええと、紅茶でもお入れしましょうか?」

 アンヌが控えめに声をかける。



「いいえ、いいわ。それより、マルセル。あなたもアンヌと一緒に散歩してきなさい。中庭はきっと予約済みだから、違う場所がいいわ」


 ――え? なぜ急に?



「なぜです? 私もここで二人を待ちます」

「いいから、早く行く!」

「は、はい!」



 こうして、私たちも部屋を出された。残った者で秘密の談合でもするつもりなのだろうか。

 まあいいか。



「そうだな、アンヌ。外の空気でも吸いに行こう」

「ええ、バルコニーがいいですね」



 廊下を歩きながら、私はそっと尋ねる。



「言いたくなければ無理に答えなくていいのだが、アンヌの想い人とは、誰だろう。皆、知っているようだったけど、私の知っている人かな」


 相談もされなかったことが少し寂しい。顔がみるみる赤くなるアンヌを見て、胸が痛む。



「え! それは、その、ええと……」

「ああ、いいのだ。無理に聞くつもりはない」

「……はい」



 ああ、やっぱり誰かいるのか。涙が出そうになる。玉砕覚悟で私の想いをいってみようか。

 いや、今後のことを考えたら気まずい。


 でも、兄のようには慕ってくれているはず。親愛の意味でなら、伝えても許されるか。


 庭園が見えるバルコニーへと出る。



「アンヌ。わたしは、きっと宰相になるだろうな」

「そうですね」


 アンヌが、気の毒そうに笑う。



「きっと忙しくなる。今以上に、アンヌに会う時間も減ってしまうだろうな。残念だ」

「ふふ、ルシアーナ様の侍女ですから。ルシアーナ様に会う機会が減らなければ、毎日でも会えますよ」


 ああ、この流れは完璧に脈がない。


 光が、庭園の緑を柔らかく染めている。バルコニーの手すりに肘をつき、遠くの噴水や整えられた花壇を眺めながら、私は静かに息をついた。



「はぁ、アンヌの入れた紅茶を飲むのだけを楽しみに、生きるとするか……」

「大袈裟ですよ」


 アンヌは、にこりと微笑みながらも少し照れている。

 その横顔を見ながら、静かな時間がゆっくりと流れるのを感じる。

 ふと、アンヌが意を決したようにこちらを見る。



「マルセル様。宰相となったら、やはり、その、国の利益になるような方と婚姻するのでしょうか」

「あー、想う相手と結ばれないのであれば、誰でもいい。国の利益か、それでもいいかな」


 ぽつりとこぼれた言葉に、胸がわずかに締め付けられる。



「想う方がおられるのですか!?」


 アンヌが青ざめた顔で、尋ねる。



「そんな……想う方……あの、マルセル様! 私、伯爵家の娘となることになりました」

「あ、ああ、エミリア様は伯爵家だからな」

「公表はしませんが、女神の使徒です」

「知っているが、急にどうした?」

「私は、国の利益にならないでしょうか?」



 ――利益に?



「私は――っ」

「あー、待て待て、そ、そうだな、一回お互い深呼吸しよう」

 

 二人で深呼吸する。

 意味が分からず首をかしげるアンヌも、なんだか可愛らしい。

 自分で提案しておいてなんだが、深呼吸する二人の姿。端から見たらさぞ変に映るだろう。

 だが、頭が少し整理されてきた。

 ああ、そうか。そうだったのか。……何をやっているんだ、私は。

 


「アンヌ、私の想い人は、いつもお菓子を美味しそうに食べるんだ」

「わ、私も、美味しそうにお菓子を食べるわね、とよくルシアーナ様に言われます」

 アンヌの声が少し震えて、今にも泣き出しそうだ。

 

「努力家でね、何でもできるんだ。女性なのに剣も使える」

「私も使えます! エミリア様に、あなたは努力家ね、と褒めていただいたこともあります。だからーー」

 必死な姿を見て、胸が痛み、思わずアンヌの頭をなでる。

 

「紅茶も、とても上手に入れられるんだ。その子の入れた紅茶を飲むのだけが、何より楽しみでね」

「私だって、紅茶を入れるのは得意です。さっき、マルセル様だって……え? そんな、もしかして私、ですか?」

 びっくりした顔で見上げる姿もまた、可愛らしい。

 

「ああ、そうだ。アンヌだ。アンヌをずっと想っている」

「っ! 本当に……?」

 

 これは、ルシアーナ様とユリウス様のことを言えないな。

 きっと皆には、もうばれていたのだろう。だから、エミリア様が散歩をすすめたのか。

 

「アンヌが、苦くて濃い紅茶を入れていた頃から、ずっとだ」

「ううっ、昔のことは言わないでください」



 アンヌの頬がほんのり赤く染まる。

 

「ルシアーナ様に会うついでではなく、二人で会える時間も作ってほしい」


 これから先の繁忙を考えたら、アンヌだけが癒やし。何としてでもアンヌと会う時間だけは作ろう。


「はい、もちろんです」

 

 嬉しそうなアンヌの顔に、ホッとする。

 母がエミリア様か。許可をいただかなくてはいけないが、でも、あの様子なら婚約もきっと快く許してくれるだろう。自然と口角が上がる。


 外を見ると、陽が庭の噴水に反射して、金色の波紋を描いていた。

 風がそよぎ、庭の花々の香りがほのかに届く。淡い光の中で、木々の影がゆらりと揺れる。


 女神が私たちを見守り、静かに祝福してくれているかのようだった。



 END




 
 
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