手を差し伸べるのは…

流輝星

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手を差し伸べる彼

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私は、あの日全てを失った。

職も、住まいも、家族も…

そんな時手を差し伸べてくれる人に出会ったが…



私は夫と小さな洋食屋さんを経営していた。お客さんは、少なかったが、繰り返し来てくれるお客さんで成り立っていた。
だが、4ヶ月前、店から少し行ったところに大きな洋食屋さんができてしまった。その洋食屋さんは、とても人気があり、私達の店の常連さんもその大きな洋食屋さんに行くようになってしまった。すると、とうとう私達の店の経営が厳しくなっていった。その上、店が暇だからと言って夫は、競馬にはまってしまった。はじめは、少額のお金をかけていたので生活が少し苦しくなるほどだった。しかし、夫は、当たった時の感覚が忘れられず、つぎ込むお金は増えていった。増えていくごとに生活は苦しくなって行き、とうとう夫は借金までして競馬にお金をつぎ込んでいた。私は借金のことは知らなかった。

ある日、私が家で家事をしているとチャイムがなった。誰だろう…
家に来たのは、怖そうな人達だった。玄関のドアを開けると、「お宅の後藤 大輔に、500万貸したが帰ってこない。後藤 大輔はどこにいる。」
競馬に行っている時だった。私は、なんとかして500万を返そうと店を売ることにした。そして、夫に競馬を辞めさせようとした。だが、夫は、やめてくれない。「俺の楽しみを奪うつもりか」こう言って競馬に出ていってしまうのだ。私は、借金が増えないように、パートを始めた。
だが、収入と比例して夫は競馬にお金をつぎ込んだ。そして、とうとう私の収入以上を使ってしまった。家にお金がなくなった。そして、借金が増えていった。

そして、2ヶ月前…
私がパートから帰ってくると夫が首をつっていた。リビングで。

テーブルの上には遺書。それを読んで驚いた。夫の借金は8000万もあったのだ。そして、夫には浮気相手がいて、その浮気相手は妊娠していた。夫の浮気相手は慰謝料を払えと家にまで来た。それを無視し続けていたら、パート先まできて大騒ぎを起こした。そして、パート先の人からもう来なくて良いと言われたのだ。
8000万もどう払えば良いのだろうか。身内もいない私に何ができるのだろう。とりあえず、家を売ることになった。家具も、売った。だが、あと5000万円足りない。家のない私は、河川敷にビニールシートで作った家に住むことになった。

ある日、川で何か売れそうなものを探しているときだった。黒くて、綺麗で高そうな帽子が流れてきた。私はこれは売れるなっと喜んでいると、金髪で、青い目の青年が近づいてきた。「コレハ…ワタシノ…モノデス。カエシテクダサイ。」そう言って彼は私から帽子を受け取り、付き人に何かを話した。付き人は、頷くと私を車に乗せた。誘拐されたのかな…
そう思っていると先ほどの青年が話しかけてきた。「ワタシタチハコワイヒトデハアリマセン。アナタニヒトメボレシマシタ。ボクとイッショニクラシマショウ。」
そう言って私を安心させた。

しばらくすると、この街で最も大きいと言われているお屋敷の前に止まった。

そういえば、このお屋敷には、アメリカから来た人が住んでいるという噂だったな。

この人は、私を助けてくれるかもしれない。

そう思い、私は彼について行こうと決めた。

お屋敷につくとすぐ、私はお風呂に入れられた。

バラの花びらが浮いていた。そして、広かった。

お風呂から上がるとすぐ、私は彼、ブライアンの部屋へ通された。

「ボクとケッコンシテクダサイ。ボクにはアナタがヒツヨウデス。ココデイッショニクラシマショウ。」

そう言って彼は私に大きなダイヤのついた指輪を渡してきた。

これを受け取れば、幸せになれるはずだ。
でも、死んだ夫はどう思うだろうか…

そんなことを考えているうちに、彼は私の指に指輪をつけた。

夫には、たくさん迷惑をかけられた。

もう忘れてもいいわよね…


そう思い、彼の求婚を受けることにした。

彼との結婚式はすぐに行われた。

彼との暮らしはとても快適で、彼も優しかった。

私は彼と一緒に暮らしてよかったと思っていた。

あの日までは…

あの日、私は彼の部屋で衝撃的なものを見つけてしまったのだ。
掃除をしようとしていたら1冊の通帳が落ちていた。

彼のかなと思い、好奇心で開けてしまった。

彼に毎月のようにお金を振り込んでいる人がいた。

後藤 大輔、私の夫だ。

それも、毎月のように大金を振り込んでいた。

私はブライアンに問いただした。

すると、彼はバレてしまったかというような表情で話し始めた。

彼の話は私の頭を真っ白にさせた。

彼は夫にわざとぶつかり、怪我をしたといい、慰謝料を貰っていたのだ。

夫は、私に言えなかったのだ。

なので、競馬と言ってお金を振り込んでいたのだ。

様々なところから借金をしながら、私にバレないように…


ここを出ていこう。

そう決めて、私は逃げ出そうとした。

だが、彼は私を逃がすまいと、私を拘束した。

彼から拘束された私は様々な方法で逃げようとしたが、すぐに、捕まった。

もう、彼を殺すしかない。

彼を殺して、私も夫のところへ行こう。

そう思い、彼が寝ている間に私は彼の胸にナイフを刺した。

彼の息が止まるのはすぐだった。

そして今、私は夫の元へ旅立つためにマンションの屋上にいる。



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