六華 snow crystal 2

なごみ

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幸せの急展開

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有紀
12月10日

谷さんに別れようって言われたときはショックだったけれど、今では谷さんにとても感謝している。


私と佐野さんの仲が急速に進展していたことまで、谷さんは気づいていたのかな?  だとしたら本当に鋭い感の持ち主だと思う。


佐野さんとこんな風になれるなんてわたし自身、思ってもみなかったのに。


 佐野さんとは友だち付き合いでも十分幸せだったけれど、両思いになれた今はやっぱり幸福感がまるで違う。


佐野さんがとても優しい。


今までとは話し方まで違う。気安いぞんざいさがなくなって、少し照れて話すから私までなんとなく恥ずかしくなって、普通に話せなくなってしまう。


以前なら車の中で話が途切れても全く気にならなかったけれど、今は微妙な空気が流れてなんとなく気まずくなる。


こういう緊張感だって楽しんじゃえばいいんだ。


ずっと憧れて夢にみてきたのだから。


嬉しくてつい運転している佐野さんの横顔をじっと見つめた。


「なんだよ、何みてるんだよ」


と、運転している佐野さんが前方を見ながら口を尖らせた。


「ごめん、見とれてた」


「い、いきなり変なこというなよ。事故るぞ」


  焦って照れている佐野さんが可愛いくて、思わずケタケタ笑ったら、膝においていた手を握られた。


「・・・いきなりさわんないでよ。事故るよ」


 恥ずかしくなってうつむいた。


「手ぐらいいいだろう」


 今度は佐野さんがからかうようにハハハと笑った。


 握られた手が熱い。


なんて幸せなんだろう。


 このまま事後って死んじゃってもいいって思えちゃうほどに。





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