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大切なお友達
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*美穂*
「いやっ! やめて、、」
やっとの思いで執拗にせまる結衣さんの手から逃がれた。
こ、この人は一体なにを考えてるの?
信じられない気持ちで結衣さんを見つめた。
「……ごめんなさい。美穂さん、私どうかしていたわ。あまりに悲しいことがあったものだから」
結衣さんは顔もあげられないのか、ソファに突っ伏したまますすり泣いた。
すぐにも帰ろうと思ったけれど、あまりに落ち込んでいる結衣さんを見て気がとがめた。
「結衣さん、、一体なにがあったの? 」
「……いいの、気にしないで。もう私のことなんて嫌いになったでしょ。美穂さんは島村くんと幸せになってね」
ソファから起き上がっても、うな垂れたまま顔をあげようとしなかった。
明るく気丈に見えた結衣さんがこんなに落ち込んでいるなんて。余程のことがあったのではないのか。
わたしも潤一さんから見放されたとき、誘拐事件など起こしてしまった。あまりに悲しくて、義父の死にも責任を感じ、自暴自棄になっていた。まわりの人を思いやる余裕など、どこにもなかった。
「結衣さん、なにか辛いことがあったの? わたしにしてあげられることはある?」
「美穂さん、私を許してくれるの?」
結衣さんは驚いたように涙で濡れた顔をあげた。
「わたしにも経験があるの。ひどく辛い時って、自分でも理解できないような行動を取ってしまうことがあるわ」
破談になったのだろうか。だとしたら、とても見放して帰ることなどできない。
「本当にどうかしてたわ。美穂さんをお母さんみたいに思ってしまって、、私の母はとっても厳しい人で甘えることなど出来ない人なの。誰か包み込んでくれるような人に慰めてもらいたくて」
結衣さんはご両親から愛情をたっぷりかけて育てられたのだと思っていた。
母親の愛情に飢えていたなんて。
更に結衣さんに親近感がわき、寄り添ってあげたい気持ちが芽生えた。
「わたしも同じよ。母はヒステリックで幼稚な人だったの。甘えることなんて出来なかったわ」
「そうだったのね。私、美穂さんに初めて会ったときから、なにか似たところがある人だと感じてたの。きっと同じような悩みを抱えてる人なんじゃないかって……」
「結衣さんは悩みなどない人のように見えたわ。とても堂々として明るくて、わたしとは正反対の素敵な人なんですもの」
わたしとは住む世界が違う人だと思っていた。お付き合いする人たちも華やかで、最先端を行くような人たちばかりだと。
「私は母の理想を演じているだけ。とても内向的で傷つきやすいの。誰も本当の私を知らないわ。ほとんどの人がうわべだけの付き合いよ。こんな話が出来るのは美穂さんだけだわ」
結衣さんはお母様の期待に応えて、優等生を演じなくてはいけなかったのね。
そんな無理を演じるほうがわたしの何倍も大変だったかも知らない。わたしは母に見捨てられたけれど、その分自由でいられたのだ。
結衣さんと聡太くんは少し似ている。親の期待に応えるって、とても大変なことだと思う。
「結衣さんは立派なご家庭でなに不自由なく気ままに暮らしてきたのだと思ってたわ」
「経済的には恵まれていたけど、求めていた家庭とは違うわ。どんな子でも受け入れてくれる寛容な親がよかった。私、美穂さんにならなんでも本音で話せそう。これからもずっとお友達でいてくれる?」
「わ、わたしで良ければ、喜んでお願いします!」
こんな友人がずっと欲しかった。なんでも語り合える姉妹のような友人が。
「ありがとう、美穂さん。じゃあ、チョコケーキ作りましょうか」
結衣さんはすっかり元気を取り戻したかのように、スクッとソファから立ち上がった。
「ええ!」
結衣さんとすっかり意気投合し、チョコケーキも素晴らしくきれいに焼けた。
焼けたケーキをスライスし、カシスのムースを挟んでチョコをコーティングした。そして、カシスをバランスよく飾った。
「とっても素敵だわ。プロみたい!」
結衣さんが手をたたき、大袈裟に驚いた。
「今日はいつも以上に上手く焼けたみたい。結衣さんの彼、喜んでくれるかしら?」
「喜ぶに決まってるわ。全部一人で食べられちゃいそうよ。勿体ないから彼には買ったチョコをあげて、ケーキは私が食べちゃおうかな?」
さっきまでひどく落ち込んでいたのに。すっかり立ち直っている結衣さんに少し違和感を感じた。
「フフッ、ダメよ。せっかく彼のために作ったのに」
「わかったわ。ちゃんと二人で分けて食べる。それにしてもこんなに上手だなんて思わなかった。島村くんは素敵な奥さんが貰えて羨ましいな」
結衣さんの婚約者さんって、どんな人なんたろう。
「結衣さんの彼はお料理しないの?」
「しないわけじゃないけど、、上手とは言えないわ。料理って面倒でむずかしでしょ。私も苦手なの」
「結衣さんならすぐに覚えられるわ」
「美穂さん、また教えてくださる? 私、和食を覚えたいの。煮物とか教えてほしいな」
「わたしで良ければいつでも」
こんなわたしを頼ってくれることがとても嬉しい。
「本当に? じゃあ、次の夜勤明けにまた来てくれる?」
「え、、ええ、いいわ」
聡太くんのアパートに行けなくなって、ちょっと残念。
でも、結衣さんとは東京へ行っても仲良くしたいから。
「それで次の夜勤明けも結衣さんと会う約束をしちゃったの。聡太くん、ごめんね。わたし、同性のお友達が一人もいないものだから……」
翌日の仕事帰り、聡太くんのアパートに寄り、昨日結衣さんと一緒に焼いたチョコケーキを食べていた。
「結衣さんに随分と気に入られたものだね。美穂さんが楽しいなら我慢するよ。同性の友達は大切だからね。このケーキ本当に美味しいよ。結衣さんの婚約者も喜んで食べてるんだろうな」
「……結衣さん、大丈夫かしら」
ひどく落ち込んでいた結衣さんの顔を思い出した。
「どうして? 結衣さんになにかあったのかい?」
「詳しいことは聞いてないけど、ひどく悲しいことがあったみたいで、、なんとなくだけど、婚約者さんと上手くいってないみたい」
ケーキを作り始めたら、すっかり元気に戻っていたけれど。
「そうか、それは困ったね。結婚間近だっていうのに」
「そうなの。とっても悲しそうな顔で、美穂さんは島村くんと幸せになってね、なんて言うのよ。それって、おかしいでしょう?」
「……そ、そうだね。でも、そういうことって当事者にしかわからないことだから」
「わたしみたいに相手のご両親から反対されるわけもないだろうし、本当になにが問題なのかしらね?」
お相手の婚約者さんはなにか不満でもあるのだろうか?
「破談になったわけでもないんだろ。結婚前はなにかと忙しいから、ブルーな気分になっしまう人も多いらしいよ。美穂さんは大丈夫?」
「わたしは大丈夫。聡太くんがいてくれるから」
「早く一緒に暮らしたいね。東京へ行くのは少し憂鬱だったけど、今はとても楽しみだな」
ウキウキと話す聡太くんの笑顔がまぶしい。わたしって、本当に幸せものね。
「先週退職届けを出したわ。やっと仕事を任せられるようになったばかりなのに!って散々言われちゃったけど、、」
「じゃあ、予定通り3月20日で仕事は終わるんだね。
「ええ、あと1ヶ月で終わりよ」
「東京への引っ越しは3月28日だよ。忘れないで」
「…母はやっぱり東京には行きたくないって」
強情な母とのやりとりを思い出し、気持ちがふさぐ。
「そうか、困ったね。何かいい方法はないかな」
「母に任せてみようかと思うの。わたしが母でも新婚夫婦と同居は遠慮するわ。母の気持ちを考えると、親切の押し売りは確かに迷惑だと思うの」
「でも、経済的にはどうなんだい? 仕事をしてないんだろ?」
「あの幽霊屋敷、買い手がついたんですって。不動産屋さんから連絡があったの。家屋に価値はないけど、土地には価値があるみたいで、結構な値段だったのよ。だから、当面の生活は大丈夫なの」
「そうか、あの家、売れたんだ」
「一応、地下鉄駅に徒歩圏内の物件だから、祖父母には助けられたってことね。母はまだ若いし、困ったときには頼るって言ってくれてるの。だから」
「美穂さんがそれで納得出来るならいいと思うけどね」
今回は母の言葉を信じよう。母の好意を受け取ろうと思う。
ずっと自分のことしか考えない人と思ってたけれど、この10年で母も人として成長したのかも知れない。
「とにかく家が売れてよかったわ。駅から徒歩圏って言っても、17分も歩かなきゃいけないし、利便の良くないところだったから。街中のアパートに引っ越してくれたほうが安心だわ」
「じゃあ、お母さんもそのうち引っ越しをするわけだね」
「そうね、でも大した荷物はないわ」
飛行機なら東京札幌間は大した距離ではない。列車やクルマで釧路へ行くよりも早いくらいだ。
心配をしてもキリがない。母の意思を尊重しよう。
夜勤明け、また結衣さんのマンションを訪れる。
3人体制の夜勤は本当にキツくて、仮眠もほとんど取れなかった。
睡眠不足で頭もボーッとして重かった。肌にはハリがなくむくんでいる。こんな状態で、お料理なんて教えられるかな。
大寒は過ぎたとはいえ、二月下旬の今朝はみぞれ混じりの雪がボダボタと降り続いて、寒く暗い日だった。
傘をさしながら、結衣さんのマンションまでの道のりをトボトボと歩く。
結衣さんと仲良くしたい気持ちはあっても、まだ気のおけない仲というわけもないので、緊張感が抜けない。
これが聡太くんのアパートへ向かっているのなら、足取りも軽いだろうなと思う。
でも苦手なことは少しづつ克服していかないと。結衣さんはわたしにとって、ハードルの低い疲れないタイプの女性なのだから。
マンションに到着したと報告し、セキュリティを解錠してもらう。エレベーターに乗り込み、結衣さんの部屋へ向かった。
ドアの前に立ち、ブザーを押す。
「はーい!」
インターホンから結衣さんの明るい声が聞こえた。
作り笑いを浮かべて待っていると、
「いらっしゃーい~!」
ドアを開けてくれたのは、会ったことのない女性だった。
「いやっ! やめて、、」
やっとの思いで執拗にせまる結衣さんの手から逃がれた。
こ、この人は一体なにを考えてるの?
信じられない気持ちで結衣さんを見つめた。
「……ごめんなさい。美穂さん、私どうかしていたわ。あまりに悲しいことがあったものだから」
結衣さんは顔もあげられないのか、ソファに突っ伏したまますすり泣いた。
すぐにも帰ろうと思ったけれど、あまりに落ち込んでいる結衣さんを見て気がとがめた。
「結衣さん、、一体なにがあったの? 」
「……いいの、気にしないで。もう私のことなんて嫌いになったでしょ。美穂さんは島村くんと幸せになってね」
ソファから起き上がっても、うな垂れたまま顔をあげようとしなかった。
明るく気丈に見えた結衣さんがこんなに落ち込んでいるなんて。余程のことがあったのではないのか。
わたしも潤一さんから見放されたとき、誘拐事件など起こしてしまった。あまりに悲しくて、義父の死にも責任を感じ、自暴自棄になっていた。まわりの人を思いやる余裕など、どこにもなかった。
「結衣さん、なにか辛いことがあったの? わたしにしてあげられることはある?」
「美穂さん、私を許してくれるの?」
結衣さんは驚いたように涙で濡れた顔をあげた。
「わたしにも経験があるの。ひどく辛い時って、自分でも理解できないような行動を取ってしまうことがあるわ」
破談になったのだろうか。だとしたら、とても見放して帰ることなどできない。
「本当にどうかしてたわ。美穂さんをお母さんみたいに思ってしまって、、私の母はとっても厳しい人で甘えることなど出来ない人なの。誰か包み込んでくれるような人に慰めてもらいたくて」
結衣さんはご両親から愛情をたっぷりかけて育てられたのだと思っていた。
母親の愛情に飢えていたなんて。
更に結衣さんに親近感がわき、寄り添ってあげたい気持ちが芽生えた。
「わたしも同じよ。母はヒステリックで幼稚な人だったの。甘えることなんて出来なかったわ」
「そうだったのね。私、美穂さんに初めて会ったときから、なにか似たところがある人だと感じてたの。きっと同じような悩みを抱えてる人なんじゃないかって……」
「結衣さんは悩みなどない人のように見えたわ。とても堂々として明るくて、わたしとは正反対の素敵な人なんですもの」
わたしとは住む世界が違う人だと思っていた。お付き合いする人たちも華やかで、最先端を行くような人たちばかりだと。
「私は母の理想を演じているだけ。とても内向的で傷つきやすいの。誰も本当の私を知らないわ。ほとんどの人がうわべだけの付き合いよ。こんな話が出来るのは美穂さんだけだわ」
結衣さんはお母様の期待に応えて、優等生を演じなくてはいけなかったのね。
そんな無理を演じるほうがわたしの何倍も大変だったかも知らない。わたしは母に見捨てられたけれど、その分自由でいられたのだ。
結衣さんと聡太くんは少し似ている。親の期待に応えるって、とても大変なことだと思う。
「結衣さんは立派なご家庭でなに不自由なく気ままに暮らしてきたのだと思ってたわ」
「経済的には恵まれていたけど、求めていた家庭とは違うわ。どんな子でも受け入れてくれる寛容な親がよかった。私、美穂さんにならなんでも本音で話せそう。これからもずっとお友達でいてくれる?」
「わ、わたしで良ければ、喜んでお願いします!」
こんな友人がずっと欲しかった。なんでも語り合える姉妹のような友人が。
「ありがとう、美穂さん。じゃあ、チョコケーキ作りましょうか」
結衣さんはすっかり元気を取り戻したかのように、スクッとソファから立ち上がった。
「ええ!」
結衣さんとすっかり意気投合し、チョコケーキも素晴らしくきれいに焼けた。
焼けたケーキをスライスし、カシスのムースを挟んでチョコをコーティングした。そして、カシスをバランスよく飾った。
「とっても素敵だわ。プロみたい!」
結衣さんが手をたたき、大袈裟に驚いた。
「今日はいつも以上に上手く焼けたみたい。結衣さんの彼、喜んでくれるかしら?」
「喜ぶに決まってるわ。全部一人で食べられちゃいそうよ。勿体ないから彼には買ったチョコをあげて、ケーキは私が食べちゃおうかな?」
さっきまでひどく落ち込んでいたのに。すっかり立ち直っている結衣さんに少し違和感を感じた。
「フフッ、ダメよ。せっかく彼のために作ったのに」
「わかったわ。ちゃんと二人で分けて食べる。それにしてもこんなに上手だなんて思わなかった。島村くんは素敵な奥さんが貰えて羨ましいな」
結衣さんの婚約者さんって、どんな人なんたろう。
「結衣さんの彼はお料理しないの?」
「しないわけじゃないけど、、上手とは言えないわ。料理って面倒でむずかしでしょ。私も苦手なの」
「結衣さんならすぐに覚えられるわ」
「美穂さん、また教えてくださる? 私、和食を覚えたいの。煮物とか教えてほしいな」
「わたしで良ければいつでも」
こんなわたしを頼ってくれることがとても嬉しい。
「本当に? じゃあ、次の夜勤明けにまた来てくれる?」
「え、、ええ、いいわ」
聡太くんのアパートに行けなくなって、ちょっと残念。
でも、結衣さんとは東京へ行っても仲良くしたいから。
「それで次の夜勤明けも結衣さんと会う約束をしちゃったの。聡太くん、ごめんね。わたし、同性のお友達が一人もいないものだから……」
翌日の仕事帰り、聡太くんのアパートに寄り、昨日結衣さんと一緒に焼いたチョコケーキを食べていた。
「結衣さんに随分と気に入られたものだね。美穂さんが楽しいなら我慢するよ。同性の友達は大切だからね。このケーキ本当に美味しいよ。結衣さんの婚約者も喜んで食べてるんだろうな」
「……結衣さん、大丈夫かしら」
ひどく落ち込んでいた結衣さんの顔を思い出した。
「どうして? 結衣さんになにかあったのかい?」
「詳しいことは聞いてないけど、ひどく悲しいことがあったみたいで、、なんとなくだけど、婚約者さんと上手くいってないみたい」
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お相手の婚約者さんはなにか不満でもあるのだろうか?
「破談になったわけでもないんだろ。結婚前はなにかと忙しいから、ブルーな気分になっしまう人も多いらしいよ。美穂さんは大丈夫?」
「わたしは大丈夫。聡太くんがいてくれるから」
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「ええ、あと1ヶ月で終わりよ」
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「そうか、あの家、売れたんだ」
「一応、地下鉄駅に徒歩圏内の物件だから、祖父母には助けられたってことね。母はまだ若いし、困ったときには頼るって言ってくれてるの。だから」
「美穂さんがそれで納得出来るならいいと思うけどね」
今回は母の言葉を信じよう。母の好意を受け取ろうと思う。
ずっと自分のことしか考えない人と思ってたけれど、この10年で母も人として成長したのかも知れない。
「とにかく家が売れてよかったわ。駅から徒歩圏って言っても、17分も歩かなきゃいけないし、利便の良くないところだったから。街中のアパートに引っ越してくれたほうが安心だわ」
「じゃあ、お母さんもそのうち引っ越しをするわけだね」
「そうね、でも大した荷物はないわ」
飛行機なら東京札幌間は大した距離ではない。列車やクルマで釧路へ行くよりも早いくらいだ。
心配をしてもキリがない。母の意思を尊重しよう。
夜勤明け、また結衣さんのマンションを訪れる。
3人体制の夜勤は本当にキツくて、仮眠もほとんど取れなかった。
睡眠不足で頭もボーッとして重かった。肌にはハリがなくむくんでいる。こんな状態で、お料理なんて教えられるかな。
大寒は過ぎたとはいえ、二月下旬の今朝はみぞれ混じりの雪がボダボタと降り続いて、寒く暗い日だった。
傘をさしながら、結衣さんのマンションまでの道のりをトボトボと歩く。
結衣さんと仲良くしたい気持ちはあっても、まだ気のおけない仲というわけもないので、緊張感が抜けない。
これが聡太くんのアパートへ向かっているのなら、足取りも軽いだろうなと思う。
でも苦手なことは少しづつ克服していかないと。結衣さんはわたしにとって、ハードルの低い疲れないタイプの女性なのだから。
マンションに到着したと報告し、セキュリティを解錠してもらう。エレベーターに乗り込み、結衣さんの部屋へ向かった。
ドアの前に立ち、ブザーを押す。
「はーい!」
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