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また、ひとりぼっち
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*美穂*
聡太くんなら許してくれると思い込んでいた。あんな過去のあるわたしを許してくれたから。
取り返しのつかない状況に取り乱し、傘をさしながら呆然と地下鉄駅までの道のりを泣きながら歩いた。
音もなく降り続くみぞれが、冷たく心に沁みわたった。凍りついた心は永遠に融けることはないように思えた。
確かにわたしのしたことは恥ずべきことだった。よくあんな告白が出来たと思えるくらいに。
だけど……
裏切るつもりなど、全くなかった。
レズビアンなんて興味もなければ、試してみようなどと思ったこともない。
正直に打ち明けたら許してくれると信じていた。こんなことで別れることになってしまうなんて。
本当にこれで終わりなの?
聡太くんはもうわたしに何の未練もないの?
絶望的な気分で過ごしながらも、聡太くんからの電話を待っていた。
家にいても仕事をしていても落ち着かず、叫び出したい気持ちに襲われた。
なにを根拠に、どんなわたしでも許されるなどと思い込んでいたのか。ひとの気持ちなど、所詮は儚いものなのだ。親にさえ見捨てられたわたしなのに。
まだ若い聡太くんの心変わりを、責めることなど出来ない。誰よりも純粋な聡太くんにとって、レズビアンなど許しがたいことだったのだろう。
電話もメッセージもないままに十日も過ぎて、これ以上待っても無駄であることを悟った。
結局、こうなってしまうんだ。
聡太くんが与えてくれた自信も、ポジティブシンキングも一瞬で消えてなくなる。
また元の場所に戻っただけ。
ギルバート・オサリバンの『アローン アゲイン 』寂しく哀しいこの曲が好きだった。
不登校の頃、ラジオから流れたこの曲にひどく共感し、なけなしの生活費を工面して購入したCD。
自分でもあきれるほど繰り返し聴いた。
♫ Alone again, naturally ♩
まるで自分に言い聞かせるかのように、悲しいフレーズが頭の中でリフレインする。
これから一体、どうすればいい?
元々釣り合わない家柄で、よくよく考えてみるとこれで良かったのかもしれない。
今は絶縁状態でも、聡太くんがこの先も両親と縁を切ったままでいられるわけもない。
たとえ聡太くんとの子供が生まれたところで、あのご両親がわたしを認めてくれるわけはなかった。
東京に行けばステキな出会いがあって、わたしのことなどすぐに忘れてしまうだろう。
結局わたしは聡太くんにとって、特別な存在にはなれなかった。
そういうこと。
これ以上、未練を持ち続けるのは哀しく、いつまでも期待する自分が惨めで情けなかった。
過去の何もかもを捨てて、一から出直そう。
この陰鬱な家に思い出の一切を捨てていこう。
「あ、あの、お母さん。わたしやっぱり聡太くんと結婚しないことになったの。申し訳ないんだけど、しばらくお母さんとアパートで一緒に暮らしてもいいかな?」
引越しの荷物をダンボールに詰めている母に打ち明けた。
この家はすでに売却済みで、今月中に明け渡すことになっていた。
母のために見つけた1LDKのアパートには、明後日引っ越すことになっている。
聡太くんからの電話を待っていたので、ギリギリまで母には相談が出来なかった。
「結婚しないって、、一体なにがあったの?」
母は信じがたいといった様子で、荷物を詰める手を止めた。
寸前で破談になるなんて、わたしだって予想だにしなかった。
「聡太くんもわたしもまだ若いし、結婚はもう少し後でもいいでしょ。でも、辞表は出しちゃったから、新しい仕事が見つかるまで居候させて欲しいの」
「……もしかして、破談になった原因は私なの?」
疑心暗鬼な眼差しで母はわたしを見つめた。
「違うよ、ちょっとした価値観の違いなんかもあってね。別に慌ててしなくてもいいんじゃないかってことになっただけ」
信じてもらえる自信はなかったけど、とりあえずもっともらしいことを言ってその場をしのいだ。
母はそれ以上の追求をして来なかったけれど、少しも信じてない様子がうかがえた。
この数日間、ひどく落ち込んでいたわたしに気づかないわけもない。母でさえ可哀想すぎて聞けなかったのだと思う。
家が売れたおかげで、当分お金の心配がないだけでもありがたい。
今の職場はあと一週間で去らねばいけないから。
やっと慣れた介護の仕事だけど、保育士のような喜びを感じることは出来なかった。
お年寄りの世話が嫌なわけではない。だけど、あまりに忙しく殺伐とした現場では、利用者のニーズに応える余裕などない。
時間内に終えなければ他の職員にしわ寄せがいく。おむつの交換でも食事の介助でも、常に時間に追われる状況では機械的にならざるを得なかった。
だからといって保育士の仕事に戻るわけにもいかない。多分、わたしはブラックリストに載っていて、再び採用されることは出来なくなってるだろう。
この先、一体どんな職業についたら良いのか。
お掃除の仕事なんかがいいのかも知れない。
楽しいとは言えない母との同居生活。
だけどそこには分相応の指定席に戻れたような安心感があった。
幼い頃から慣れ親しんだ質素な居場所。華やかさや喜びから見放されたくすんだ生活。
それがわたしに与えられた運命なのだろう。
それでかまわない。
細々とした生活の中にも、小さな幸せを見つけることは出来る。苦悩することにさえ生きる意味があるというなら、そんな生活でも十分ではないだろうか。
古いソファや食器棚など、みすぼらしい家具は処分したので、新しいアパートへ持ち込んだ荷物は少なかった。古い食器や着なくなった衣類なども処分した。
利便のいい場所を選んだので、買い物は本当に楽になった。
築五年のアパートは清潔で清々しい。
こんなにきれいなアパートに引っ越したのは生まれて初めてのことだ。
シミひとつない白い壁。床は安っぽいクッションフロアではなく、木製のフローリングでとてもおしゃれに見える。バス、トイレも別で立派な洗面台がついている。引き出し式のキッチンも使い勝手がいい。
お鍋や包丁などを収めながら、窓の外を眺めていた母に話しかけた。
「このアパートなら、どこへ行くにも便利でいいね」
「美穂、ここに居たかったらずっと居てもいいんだよ」
なにを考えていたのか、母は振り向きもせずにボソッと言った。
「お母さんは一人暮らしがしたいんでしょ。わたしもひとりで頑張ってみたいから、仕事が決まったら出て行くわ。ここからあまり遠くないところに借りるね」
心療内科にかかっているとはいえ、母はまだ五十二歳だ。ひとりで十分やっていけると思う。
というか、わたしにはまだ母が許せていなかった。
中学二年のあのとき、母がわたしを見捨てたりしなければ、あんな目に遭わずに済んだはずだ。
その過去は聡太くんに癒され、もう解決したと思い込んでいたけれど、そんなに単純なものではない。今でも深い悲しみと怒りの感情が突然わき起こり、激しく胸をえぐる。
親に捨てられたわたしには自尊感情のカケラもなかった。わたしはこんなことされても仕方のない人間なのだと、そんな風に思っていた。
親に愛されなかったわたしは、幸せというものを自ら放棄していた。
そこに付け込まれたのだ、わたしは。
あんな体験、どうしたって忘れられるわけがない。
その怒りは、わいせつ教師と酔っ払いの義父以上に母へと向かう。
お母さんはどんなに辛くても、あのとき逃げ出したりしちゃいけなかったのよ!!
あっという間に三月も下旬となり、今日で介護の仕事を終えた。
明日から何もすることがないと思うと、なんともいえない不安に襲われる。
聡太くんも今頃は引っ越しの準備で忙しいだろうな。
卒業のお祝いをしてあげたかった。
……お引越し
二人でしたかったな。
ダメダメ、もう過去は振り返らないと決めたんだから。
未練がましい気持ちを無理やり閉ざしたところで、涙はあふれる。
どうしてこんなことになってしまったのかと、同じ後悔に苛まれた。
わたしたちは多分、結衣さんと出会わなければ別れることにはならなかっただろう。
そんなことを思うと、どうしても彼女と陽菜さんが恨めしかった。
わたしはハメられてしまったのだ。
お友達になってもらいたい気持ちが強すぎたのだろう。
キスをされた時点で、彼女がおかしいことに気づいていたはずなのに。
たったひとりの女の子に、わたしと聡太くんの人生は狂わされてしまった。
人との出会いの不思議さ。
わたし自身、誰かの人生を決定的に変えるような影響を、今まで与えたことがあったのだろうか。
1LDKのアパートなので、わたしには部屋がない。リビングの隅に布団を敷き、寝転ぶ。
スマホでYouTubeの動画を見ていたら、もう夜の十時を過ぎているのに着信の通知があった。
相手は何故か茉理さんだった。
どういうこと?
今頃、わたしに何の用があるというのだろう。
明るく快活で、陰険なマネをする子ではないけれど、もう関わりたくなかった。
彼女から潤一さんの話など聞きたくもないし、落ち込んでいる今は特にそんな気にはなれない。
茉理さんの屈託のない明るさが何よりも鬱陶しく思えた。
茉理さんにも出会ってなければ、わたしは今頃潤一さんと結婚していたかも知れないと思った。
そんなことを思うと、また別の悲しみに襲われた。
電話に出ることもなく、ブロックする。
もう誰もわたしに関わらないで。
女の友人などいらない!!
翌日、ハローワークに行こうと洗面所で軽くメイクしていたら、急にムカムカと吐き気に襲われた。
精神的なものかも知れない。胃腸はストレスに弱いというから。
吐き気が収まらないのでトイレに駆け込む。
トイレでゲーゲーやっていたら、心配してくれたのか母が来て背中をさすってくれた。
そして、驚愕の言葉をかけられる。
「美穂、あなた妊娠してるんじゃない?」
一気に顔から血の気が引いた。
ムカムカするのは今日始まったことではない。しかも生理が来ていなかったのだった。
……う、嘘でしょう
聡太くんなら許してくれると思い込んでいた。あんな過去のあるわたしを許してくれたから。
取り返しのつかない状況に取り乱し、傘をさしながら呆然と地下鉄駅までの道のりを泣きながら歩いた。
音もなく降り続くみぞれが、冷たく心に沁みわたった。凍りついた心は永遠に融けることはないように思えた。
確かにわたしのしたことは恥ずべきことだった。よくあんな告白が出来たと思えるくらいに。
だけど……
裏切るつもりなど、全くなかった。
レズビアンなんて興味もなければ、試してみようなどと思ったこともない。
正直に打ち明けたら許してくれると信じていた。こんなことで別れることになってしまうなんて。
本当にこれで終わりなの?
聡太くんはもうわたしに何の未練もないの?
絶望的な気分で過ごしながらも、聡太くんからの電話を待っていた。
家にいても仕事をしていても落ち着かず、叫び出したい気持ちに襲われた。
なにを根拠に、どんなわたしでも許されるなどと思い込んでいたのか。ひとの気持ちなど、所詮は儚いものなのだ。親にさえ見捨てられたわたしなのに。
まだ若い聡太くんの心変わりを、責めることなど出来ない。誰よりも純粋な聡太くんにとって、レズビアンなど許しがたいことだったのだろう。
電話もメッセージもないままに十日も過ぎて、これ以上待っても無駄であることを悟った。
結局、こうなってしまうんだ。
聡太くんが与えてくれた自信も、ポジティブシンキングも一瞬で消えてなくなる。
また元の場所に戻っただけ。
ギルバート・オサリバンの『アローン アゲイン 』寂しく哀しいこの曲が好きだった。
不登校の頃、ラジオから流れたこの曲にひどく共感し、なけなしの生活費を工面して購入したCD。
自分でもあきれるほど繰り返し聴いた。
♫ Alone again, naturally ♩
まるで自分に言い聞かせるかのように、悲しいフレーズが頭の中でリフレインする。
これから一体、どうすればいい?
元々釣り合わない家柄で、よくよく考えてみるとこれで良かったのかもしれない。
今は絶縁状態でも、聡太くんがこの先も両親と縁を切ったままでいられるわけもない。
たとえ聡太くんとの子供が生まれたところで、あのご両親がわたしを認めてくれるわけはなかった。
東京に行けばステキな出会いがあって、わたしのことなどすぐに忘れてしまうだろう。
結局わたしは聡太くんにとって、特別な存在にはなれなかった。
そういうこと。
これ以上、未練を持ち続けるのは哀しく、いつまでも期待する自分が惨めで情けなかった。
過去の何もかもを捨てて、一から出直そう。
この陰鬱な家に思い出の一切を捨てていこう。
「あ、あの、お母さん。わたしやっぱり聡太くんと結婚しないことになったの。申し訳ないんだけど、しばらくお母さんとアパートで一緒に暮らしてもいいかな?」
引越しの荷物をダンボールに詰めている母に打ち明けた。
この家はすでに売却済みで、今月中に明け渡すことになっていた。
母のために見つけた1LDKのアパートには、明後日引っ越すことになっている。
聡太くんからの電話を待っていたので、ギリギリまで母には相談が出来なかった。
「結婚しないって、、一体なにがあったの?」
母は信じがたいといった様子で、荷物を詰める手を止めた。
寸前で破談になるなんて、わたしだって予想だにしなかった。
「聡太くんもわたしもまだ若いし、結婚はもう少し後でもいいでしょ。でも、辞表は出しちゃったから、新しい仕事が見つかるまで居候させて欲しいの」
「……もしかして、破談になった原因は私なの?」
疑心暗鬼な眼差しで母はわたしを見つめた。
「違うよ、ちょっとした価値観の違いなんかもあってね。別に慌ててしなくてもいいんじゃないかってことになっただけ」
信じてもらえる自信はなかったけど、とりあえずもっともらしいことを言ってその場をしのいだ。
母はそれ以上の追求をして来なかったけれど、少しも信じてない様子がうかがえた。
この数日間、ひどく落ち込んでいたわたしに気づかないわけもない。母でさえ可哀想すぎて聞けなかったのだと思う。
家が売れたおかげで、当分お金の心配がないだけでもありがたい。
今の職場はあと一週間で去らねばいけないから。
やっと慣れた介護の仕事だけど、保育士のような喜びを感じることは出来なかった。
お年寄りの世話が嫌なわけではない。だけど、あまりに忙しく殺伐とした現場では、利用者のニーズに応える余裕などない。
時間内に終えなければ他の職員にしわ寄せがいく。おむつの交換でも食事の介助でも、常に時間に追われる状況では機械的にならざるを得なかった。
だからといって保育士の仕事に戻るわけにもいかない。多分、わたしはブラックリストに載っていて、再び採用されることは出来なくなってるだろう。
この先、一体どんな職業についたら良いのか。
お掃除の仕事なんかがいいのかも知れない。
楽しいとは言えない母との同居生活。
だけどそこには分相応の指定席に戻れたような安心感があった。
幼い頃から慣れ親しんだ質素な居場所。華やかさや喜びから見放されたくすんだ生活。
それがわたしに与えられた運命なのだろう。
それでかまわない。
細々とした生活の中にも、小さな幸せを見つけることは出来る。苦悩することにさえ生きる意味があるというなら、そんな生活でも十分ではないだろうか。
古いソファや食器棚など、みすぼらしい家具は処分したので、新しいアパートへ持ち込んだ荷物は少なかった。古い食器や着なくなった衣類なども処分した。
利便のいい場所を選んだので、買い物は本当に楽になった。
築五年のアパートは清潔で清々しい。
こんなにきれいなアパートに引っ越したのは生まれて初めてのことだ。
シミひとつない白い壁。床は安っぽいクッションフロアではなく、木製のフローリングでとてもおしゃれに見える。バス、トイレも別で立派な洗面台がついている。引き出し式のキッチンも使い勝手がいい。
お鍋や包丁などを収めながら、窓の外を眺めていた母に話しかけた。
「このアパートなら、どこへ行くにも便利でいいね」
「美穂、ここに居たかったらずっと居てもいいんだよ」
なにを考えていたのか、母は振り向きもせずにボソッと言った。
「お母さんは一人暮らしがしたいんでしょ。わたしもひとりで頑張ってみたいから、仕事が決まったら出て行くわ。ここからあまり遠くないところに借りるね」
心療内科にかかっているとはいえ、母はまだ五十二歳だ。ひとりで十分やっていけると思う。
というか、わたしにはまだ母が許せていなかった。
中学二年のあのとき、母がわたしを見捨てたりしなければ、あんな目に遭わずに済んだはずだ。
その過去は聡太くんに癒され、もう解決したと思い込んでいたけれど、そんなに単純なものではない。今でも深い悲しみと怒りの感情が突然わき起こり、激しく胸をえぐる。
親に捨てられたわたしには自尊感情のカケラもなかった。わたしはこんなことされても仕方のない人間なのだと、そんな風に思っていた。
親に愛されなかったわたしは、幸せというものを自ら放棄していた。
そこに付け込まれたのだ、わたしは。
あんな体験、どうしたって忘れられるわけがない。
その怒りは、わいせつ教師と酔っ払いの義父以上に母へと向かう。
お母さんはどんなに辛くても、あのとき逃げ出したりしちゃいけなかったのよ!!
あっという間に三月も下旬となり、今日で介護の仕事を終えた。
明日から何もすることがないと思うと、なんともいえない不安に襲われる。
聡太くんも今頃は引っ越しの準備で忙しいだろうな。
卒業のお祝いをしてあげたかった。
……お引越し
二人でしたかったな。
ダメダメ、もう過去は振り返らないと決めたんだから。
未練がましい気持ちを無理やり閉ざしたところで、涙はあふれる。
どうしてこんなことになってしまったのかと、同じ後悔に苛まれた。
わたしたちは多分、結衣さんと出会わなければ別れることにはならなかっただろう。
そんなことを思うと、どうしても彼女と陽菜さんが恨めしかった。
わたしはハメられてしまったのだ。
お友達になってもらいたい気持ちが強すぎたのだろう。
キスをされた時点で、彼女がおかしいことに気づいていたはずなのに。
たったひとりの女の子に、わたしと聡太くんの人生は狂わされてしまった。
人との出会いの不思議さ。
わたし自身、誰かの人生を決定的に変えるような影響を、今まで与えたことがあったのだろうか。
1LDKのアパートなので、わたしには部屋がない。リビングの隅に布団を敷き、寝転ぶ。
スマホでYouTubeの動画を見ていたら、もう夜の十時を過ぎているのに着信の通知があった。
相手は何故か茉理さんだった。
どういうこと?
今頃、わたしに何の用があるというのだろう。
明るく快活で、陰険なマネをする子ではないけれど、もう関わりたくなかった。
彼女から潤一さんの話など聞きたくもないし、落ち込んでいる今は特にそんな気にはなれない。
茉理さんの屈託のない明るさが何よりも鬱陶しく思えた。
茉理さんにも出会ってなければ、わたしは今頃潤一さんと結婚していたかも知れないと思った。
そんなことを思うと、また別の悲しみに襲われた。
電話に出ることもなく、ブロックする。
もう誰もわたしに関わらないで。
女の友人などいらない!!
翌日、ハローワークに行こうと洗面所で軽くメイクしていたら、急にムカムカと吐き気に襲われた。
精神的なものかも知れない。胃腸はストレスに弱いというから。
吐き気が収まらないのでトイレに駆け込む。
トイレでゲーゲーやっていたら、心配してくれたのか母が来て背中をさすってくれた。
そして、驚愕の言葉をかけられる。
「美穂、あなた妊娠してるんじゃない?」
一気に顔から血の気が引いた。
ムカムカするのは今日始まったことではない。しかも生理が来ていなかったのだった。
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