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七章
68話 不穏
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シュシュシュシュシュ!!――
シュポォォ!
街中を力強く進む蒸気車両。
冒険者の声すらもかき消す機械音に、堺の意識が引っ張られてしまう。
「う…」
堺はベットに溶けるように体を預けていた。
「もぉ~、朝からうっさいな…」
ナマケモノのように体を起こす。
ズキッ
後頭部に痛みが走る。
「いった なんだこれ、」
痛みがある場所をさすると、ボコリとタンコブができてた。
「えー っと、昨日は車みて…スーツみて…クエスト……」
「あ! 魔法の訓練!」
トンと手のひらを打ち、記憶がさえる。
「それで気絶したんか、マジこれ急になるから勘弁してほしいんだよなぁ」
「あ~ いってー、もーう、朝からだるいなぁ」
スタートダッシュで気が落ち込み、二度寝をかまそうとした時、
「まてよ、、あっ! 頭も回復させれば!」
タンコブを手で覆い、魔力を集中させる。
「いっ痛みが!」
つねられたような痛みが消えていく。
腫れた部分は固まった砂が溶けるようにおさまっていった。
「すっげぇ…」
タンコブがあった場所を押しても痛みを感じない。
「……でも、魔力消費すごいな、」
体力が吸い取られた感覚。
グゥ~
腹がなった。頬の肉がどこかにいった感じがする。
「丸一日たべてないよな…」
「とりあえず、飯食うか」
のそっとベットから起き上がる。
体をそらせて「うぅ~ん!!」と全身を伸ばした。
パパッと風呂に入り、スーツに着替える。
シュルン!
「おぉー! 自動調節!」
光すら捉える真っ黒なスーツ。
シャドウボクシングや屈伸の動きをしても、裸のように動きやすい。
「うーん、いいかも」
ドヤ顔で襟を正す。
「そういえば、ペストマスク……まっいっか!」
つけるか迷ったが、魔道具の中に収めた。
その後は宿にある飯屋で肉料理を食らった。
ボロボロな格好でないため、余裕がある。
堺からは成金のオーラが漂っていた。
「ふぅ~ 食った食った!」
ポンポンと腹をたたき、満足そうに宿を出る。
「さて!クエストにでも行きますか!」
巨大な建物に背を向けて駅を目指す。
カラッとした気温。
道脇から溢れる白い蒸気。
排熱のせいか、ブワッと熱波が全身を通り抜ける。
蒸気車両に負けない熱を帯びた冒険者たちの声。
火の都は活気に燃えていた。
そんか中、堺はと言うと、
「……」
どこか浮かれない顔をしていた。
駅に近づけば近づくほど、足取りが重くなっている。
ファイアベア。自分は勝てるのだろうか?と自問自答していた。
「うーん」
クエスト用紙の控えをマジマジと見つめ、思考をめぐらせる。
(まてよ、アイススピアで勝てるのか? 溶けてたし、もっと訓練した方が……)
足取りが止まる。
くるりと体を回転させ、宿方面に歩き出した。
(クエストは危険だな、棄権だけに)
フッと鼻で笑う。
トントン
「っえ!」
突然、肩を触られた。
振り向くと、ペストマスクを身につけた斎藤がいた。
焦げて破けていた服は、新品の燕尾服に着替えられている。
黒革靴も新しくなっていた。
「サッカイくん、マスクはつけてた方がいいよ」
「あっ、そ、すすいません!」
堺は魔道具からペストマスクを取り出し、ギィギュと被る。
急いで被った為、マスクが傾く。
「……」
斎藤が堺を見つめ、
「あっ」
堺の頭を触り、マスクの位置を正した。
「あ、ありがとうございます…」
「うん。それとこれ、この前は助かったよ ありがとう」
斎藤は銀貨を十枚渡してきた。
「あっ、ありがとうございます!」
(ラッキー! 斎藤さん、良い人だなぁ… てか!頭さわったよね!?めっちゃ近かったんやけど!アカン、好きや…)
「サッカイくん。今から付き合ってほしいんだけど、いいかな?」
「い、いいです!」
「よかった、それならついてきて」
「は、はい!」
堺はペストマスクを曇らせながら斎藤についていく。
「ここらでいいかな、」
そう言ってカフェに入っていく。
木製の建物、テラス席があり、穏やかな風が流れている。
ガヤガヤとした雰囲気はなく、自然を感じる場所だ。
丁寧に塗装された扉を開けると、
カランコロン
ドアベルが響いた。
店内からはコーヒーの香ばしい香りが漂っている。
いらっしゃいませ と店員が涼しい笑顔を見せ、斎藤がメニューを眺める。
「サッカイくん。飲みたいものとかあれば教えてね」
「あっ、は、はい!」
堺は斎藤の隣にそっと立つ。
(これデートだよね!?もう、付き合ってるよねこれ!?)
バクンバクンと心臓の音が聞こえる。
「サッカイくん?」
斎藤がこちらを見つめてきた。
「えっ!あっ!こ、こコーヒーでおぉねがいしますっ」
「うん、なら 僕もコーヒーを頼むよ」
店員はできたら持っていくとのことで、二人は席に向かう。
カツカツ
斎藤の革靴の音が響く。
店内には人がちらほらとおり、ガチガチの冒険者は見当たらない。
皆、ゆったりと過ごしている。
一番奥の席についた。斎藤と向かい合う形で座る。
スッ
斎藤がマスクを脱ぎ、こちらを見つめる。
サラサラとしたショートの黒髪、淡く輝く虹色の瞳。
あんなに無機質だった表情が、今では穏やかに生き生きとしている。
斎藤と目が合うたび、瞳の中に吸い込まれそうで、目を合わせることができない。
(やばいやばい!!これ、きたよこれ!モテ期!到来!?そうよね、ずっっと苦しい思いばっかだったもんね!ようやく俺の異世界転生が始まるってわけよね!!)
堺の鼻息が無意識にあらくなる。
「…… 単刀直入に言うね」
堺が喉を鳴らし、コクンと頭を振るう。
「サッカイくん、これからは僕たちと別行動してほしいんだ」
「わ、わかりました!……って、え?」
世界が止まったかのような感覚。
斎藤はまっすぐ堺を見据えた。
「お待たせしました」と言う店員の声が耳に届かない。
ただ聞こえるのは、動き出した物語がガラスのように砕ける散る音だけ。
シュポォォ!
街中を力強く進む蒸気車両。
冒険者の声すらもかき消す機械音に、堺の意識が引っ張られてしまう。
「う…」
堺はベットに溶けるように体を預けていた。
「もぉ~、朝からうっさいな…」
ナマケモノのように体を起こす。
ズキッ
後頭部に痛みが走る。
「いった なんだこれ、」
痛みがある場所をさすると、ボコリとタンコブができてた。
「えー っと、昨日は車みて…スーツみて…クエスト……」
「あ! 魔法の訓練!」
トンと手のひらを打ち、記憶がさえる。
「それで気絶したんか、マジこれ急になるから勘弁してほしいんだよなぁ」
「あ~ いってー、もーう、朝からだるいなぁ」
スタートダッシュで気が落ち込み、二度寝をかまそうとした時、
「まてよ、、あっ! 頭も回復させれば!」
タンコブを手で覆い、魔力を集中させる。
「いっ痛みが!」
つねられたような痛みが消えていく。
腫れた部分は固まった砂が溶けるようにおさまっていった。
「すっげぇ…」
タンコブがあった場所を押しても痛みを感じない。
「……でも、魔力消費すごいな、」
体力が吸い取られた感覚。
グゥ~
腹がなった。頬の肉がどこかにいった感じがする。
「丸一日たべてないよな…」
「とりあえず、飯食うか」
のそっとベットから起き上がる。
体をそらせて「うぅ~ん!!」と全身を伸ばした。
パパッと風呂に入り、スーツに着替える。
シュルン!
「おぉー! 自動調節!」
光すら捉える真っ黒なスーツ。
シャドウボクシングや屈伸の動きをしても、裸のように動きやすい。
「うーん、いいかも」
ドヤ顔で襟を正す。
「そういえば、ペストマスク……まっいっか!」
つけるか迷ったが、魔道具の中に収めた。
その後は宿にある飯屋で肉料理を食らった。
ボロボロな格好でないため、余裕がある。
堺からは成金のオーラが漂っていた。
「ふぅ~ 食った食った!」
ポンポンと腹をたたき、満足そうに宿を出る。
「さて!クエストにでも行きますか!」
巨大な建物に背を向けて駅を目指す。
カラッとした気温。
道脇から溢れる白い蒸気。
排熱のせいか、ブワッと熱波が全身を通り抜ける。
蒸気車両に負けない熱を帯びた冒険者たちの声。
火の都は活気に燃えていた。
そんか中、堺はと言うと、
「……」
どこか浮かれない顔をしていた。
駅に近づけば近づくほど、足取りが重くなっている。
ファイアベア。自分は勝てるのだろうか?と自問自答していた。
「うーん」
クエスト用紙の控えをマジマジと見つめ、思考をめぐらせる。
(まてよ、アイススピアで勝てるのか? 溶けてたし、もっと訓練した方が……)
足取りが止まる。
くるりと体を回転させ、宿方面に歩き出した。
(クエストは危険だな、棄権だけに)
フッと鼻で笑う。
トントン
「っえ!」
突然、肩を触られた。
振り向くと、ペストマスクを身につけた斎藤がいた。
焦げて破けていた服は、新品の燕尾服に着替えられている。
黒革靴も新しくなっていた。
「サッカイくん、マスクはつけてた方がいいよ」
「あっ、そ、すすいません!」
堺は魔道具からペストマスクを取り出し、ギィギュと被る。
急いで被った為、マスクが傾く。
「……」
斎藤が堺を見つめ、
「あっ」
堺の頭を触り、マスクの位置を正した。
「あ、ありがとうございます…」
「うん。それとこれ、この前は助かったよ ありがとう」
斎藤は銀貨を十枚渡してきた。
「あっ、ありがとうございます!」
(ラッキー! 斎藤さん、良い人だなぁ… てか!頭さわったよね!?めっちゃ近かったんやけど!アカン、好きや…)
「サッカイくん。今から付き合ってほしいんだけど、いいかな?」
「い、いいです!」
「よかった、それならついてきて」
「は、はい!」
堺はペストマスクを曇らせながら斎藤についていく。
「ここらでいいかな、」
そう言ってカフェに入っていく。
木製の建物、テラス席があり、穏やかな風が流れている。
ガヤガヤとした雰囲気はなく、自然を感じる場所だ。
丁寧に塗装された扉を開けると、
カランコロン
ドアベルが響いた。
店内からはコーヒーの香ばしい香りが漂っている。
いらっしゃいませ と店員が涼しい笑顔を見せ、斎藤がメニューを眺める。
「サッカイくん。飲みたいものとかあれば教えてね」
「あっ、は、はい!」
堺は斎藤の隣にそっと立つ。
(これデートだよね!?もう、付き合ってるよねこれ!?)
バクンバクンと心臓の音が聞こえる。
「サッカイくん?」
斎藤がこちらを見つめてきた。
「えっ!あっ!こ、こコーヒーでおぉねがいしますっ」
「うん、なら 僕もコーヒーを頼むよ」
店員はできたら持っていくとのことで、二人は席に向かう。
カツカツ
斎藤の革靴の音が響く。
店内には人がちらほらとおり、ガチガチの冒険者は見当たらない。
皆、ゆったりと過ごしている。
一番奥の席についた。斎藤と向かい合う形で座る。
スッ
斎藤がマスクを脱ぎ、こちらを見つめる。
サラサラとしたショートの黒髪、淡く輝く虹色の瞳。
あんなに無機質だった表情が、今では穏やかに生き生きとしている。
斎藤と目が合うたび、瞳の中に吸い込まれそうで、目を合わせることができない。
(やばいやばい!!これ、きたよこれ!モテ期!到来!?そうよね、ずっっと苦しい思いばっかだったもんね!ようやく俺の異世界転生が始まるってわけよね!!)
堺の鼻息が無意識にあらくなる。
「…… 単刀直入に言うね」
堺が喉を鳴らし、コクンと頭を振るう。
「サッカイくん、これからは僕たちと別行動してほしいんだ」
「わ、わかりました!……って、え?」
世界が止まったかのような感覚。
斎藤はまっすぐ堺を見据えた。
「お待たせしました」と言う店員の声が耳に届かない。
ただ聞こえるのは、動き出した物語がガラスのように砕ける散る音だけ。
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