異世界転生 内気な青年に与えられた能力は死に戻り

KOKE

文字の大きさ
23 / 77
三章

23話 決着

しおりを挟む
「決闘始め!!」
 普段のジョン・ケイン先生からは想像もできないような気合の入った言葉にラルトとタイトは事の重大さに改めて気づく

「大地の剛腕!!」
 彼がそう叫ぶと、隣にあった5メートルほどの岩がクネクネと形を変える

「おぉぉおおお!」
「やべーなこりゃ」

 ラルトとタイトは彼の魔法に驚き隠せないでいる

 彼の魔法は巨大な岩を拳に形を変えるものであった
 それはまるで、頭が拳になっている大蛇のようだ
 
 杖を振るたびにズル!!ズルルル!!と拳が動く

「ぶち殺してやるよ」
 ニタァと笑う表情に恐怖したのはタイトであった、体がすくんでしまったが、盾を持つ手は緩めない

「潰れろ!!ゴミ共!!!!」
 勢いよく杖を振り回すと、彼の頭上にある拳が後方に行ったと思いきや、そのままズゥゥン!!とタイトとラルトに向かってくる

 それがゴゴゴゴゴ!と地面を抉る
 当たれば即死だということを理解するのにさほど時間を要さなかった
 
 彼が作り出した拳は現代でいうところの10トントラック、その拳が時速100kmで突っ込んでくる

「うぉぉぉ!!!受け止めてやりゃぁ!!!」
 盾を押すかのように持ち、衝撃に備える

 ラルトはタイトを信じて背後に回った

 ドシャァァン!!!!

 砕け散る拳の岩に散乱する砂や砂利
 シャリシャリと砕けた余韻が聞こえる

「タイト!?」
 目の前の砂埃が晴れると、ガチっと固まっているタイトの姿が見えた
 ラルトは「ふぅ、」と息を吐き、安心する

「はっははは、、ははっ!!」
「受け止めてやったぜ!!」

「凄いよタイト!!」

 2人は興奮状態だったが、それをよく思わない彼は「ちっ」としたうちをする

「1発がなんだ?そんなに嬉しいか??ならもっと喜ばせてやるよ!!!」

 彼の後ろに先ほどの拳が10手あり、千手観音のように周りを囲んでいる

「これで消えろや!!!!」
 杖をグルングルンと回すと、一手が風をグワングワンきりながら向かってくる

「かかってこいや!!!」
 タイトはガッチリ構え、疲弊した体を気合いで立て直す

 ドシャァァン!!!

「うぉぉぉ!!!」
 踏み込んだ体が地面を抉りながら後ろに押される
 その体をラルトが受け止めた

「大丈夫!!??僕攻めるから休んでて!」
「はぁっ、はぁっ...ラルト、ちょっといいか、、」

 2人は彼に気づかれないようにコソコソと話す

「何話してんだダァ??休んでる暇はねぇぞ!!」

 すると、1つ、また1つと重い一撃が2人を襲う

「くそ!!手も足もでねぇ!踏ん張りは任せたぞ!!」
「わかった!!あと7発!頑張って耐え切って!!」

 タイトが守り、ラルトが支える形でやり過ごそうとしていた

 そんな姿を見た彼はふと疑問に思う
 (耐える??せめてこないのか??近づけない??いや、何かを狙っている??なんだ?考えろ、嫌な予感がする……!!、、魔力切れか!!あいつらそれを狙って、)

 彼はクククと笑い、何度も拳をぶつける

 ドシャァァン!!!ドシャァァン!!!!

「おい!!あいつの攻撃止まないぞ!!もうとっくに7発は過ぎたぞ!!!」
「わかんないよ!!!普通あんなに強い魔法を撃ってたらすぐ魔力切れになるでしょ!!」
「ならどうしろってんだよ!!」
 
 2人は大声で言い合いを始めた
 その内容で彼は自分の予感が的中したと理解する

 (こいつら、俺の魔力切れを狙ってたんだな、通りで動かない、動けないんだ、つまり攻める能力がないわけだ)

「どうした!どうした!そんなもんかよ!このままだと、2人とも退学だぞ!!あっははははは!!」

 ドシャァァン!!ドシャァァン!!!

 彼は杖をブンブンと振り回して笑っている
 フィールドの岩がどんどんなくなり、更地となっていく、地面は拳を放つたびにえぐれ、弾かれるたびに砂埃が舞っていた

 上の観戦席にて――

「おいおい、まずいじゃねーか!」
 1人の生徒が声を上げる
 すると、1人また1人と戦況について話し出す
 
「このまま、何もできずに終わるのかな?」
「無謀だったんだよ、まぁ、攻撃を何発も防いだタイトは称賛ものだよ」
「ラルトくん、あんなに自信満々だったのに、タイトの後ろに隠れて何もできてないね」

 生徒は皆、2人の敗北を確信していた
 そんな中、ラルトとタイトの先生、ジョン・ケインは瞬きをしていない程にじっと凝視していた

 決闘に戻る――

「あーくそ!!もう足がもたねぇ!!どうするんだよ!」

「退学したくねぇ!!退学したくねーよ!!」
 タイトが叫ぶ、戦意が喪失しかけているようだ
 その後も「負けたくない!」などと叫んでいる

「お前らは喧嘩を買う相手を間違えたんだよ!!見習いは!見習いらしく!ゴミのように!!隅っこで!!固まっておけば!!よかったんだよ雑魚がぁ!!!」
 セリフの合間に杖を振り、怒りをぶつけるように魔法を放つ
 まるで蛇口の水を無駄遣いするかのように、溢れんばかりの魔力量であった

「君は、どうしようもないね、、」

 彼の横からラルトが砂埃を剣で切り裂いて突っ込んでくる

「は???」

 彼は訳もわからずに放心状態になる
 ラルトはお構いなしに刃を振った
 目にも止まらぬ速さで刃が首、胸、腹を切り裂いた
 かと思いきや、彼は魔法壁の外に瞬間移動する

 ラルトとタイトもまた、魔法壁の外に瞬間移動した

 放心状態の彼と同じように、上で見ていた生徒もまた訳もわからずに固まっている

 そんな中、

「か、勝ったのか?、、いや勝った!勝ったんだよ!!やったな!!ラルト!!」
「うん!作戦成功だね!!」
 2人はハイタッチを交わす、ラルトはタイトよりも身長が低いため、ほんの少しジャンプをした

「なんだよ作戦成功って、、お前ら何したんだよ、」

「まあなんだ、簡単に説明すると、不意打ちだな」
「そう!タイトが君の攻撃をひきつけて、僕がトドメを刺す!ってね!」

「は??それなら、あの言い合いもわざとってことか??」

「わざとってわけではないけど、結構ピンチだったし、、でも作戦のうちではあったな」

 彼はタイトとラルトの作戦を聞いて怒りが湧き出してくる
 こんなチンケな作戦でやられた自分が惨めだと感じてしまうからだ

「ふざけんな!!ふざけんなよ!!!こんなんで、こんなんで終わりかよ…」
 彼は呼吸して冷静になろうと努力する
「も、もう一度だ、もう一度、俺だってお前にハンデを渡した!なら俺だってもらう権利がある!」

 プライドを捨てて、学園に残りたいと意地をみせる

 すると、ラルトが彼に救いの手を差し伸べた
「そうだね、ハンデもあったわけだしー、、うん!もう一回勝負しよう!」

 すかさずタイトが止めに入る
「おい!辞めとけって、勝ったんだからもういいだろ!」

「お前は黙っとけ!!なら決まりだ、今度は正々堂々、タイマンで勝負しろ!!」
 彼は熱く、今にも飛びかかってきそうな眼差しをラルトに突き立てる

「わ、わかったよ!」
 彼の圧に心がひいてしまうラルトであった

「おい!聞いただろ?もう一回勝負させろ!今すぐだ!!」
 観戦席に声を張り上げる
 顔は怒り狂っており、今にも爆発しそうだ
 、、、
「おい!!聞いてんのか!勝負させろって言ってんだろ!!」

 スゥーーン、、
 
 ……空気が変わる、何かがきた

「認めろ、お主は負けた」

「あぁ??、、、!!」
「す、すいませんでした!」

 彼とラルト達の間にいたのはナックル校長であった
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

構造理解で始めるゼロからの文明開拓

TEKTO
ファンタジー
ブラック企業勤めのサラリーマン・シュウが転生したのは、人間も街も存在しない「完全未開の大陸」だった。 ​適当な神から与えられたのは、戦闘力ゼロ、魔法適性ゼロのゴミスキル《構造理解》。 だが、物の仕組みを「作れるレベル」で把握できるその力は、現代知識を持つ俺にとっては、最強の「文明構築ツール」だった――! ​――これは、ゴミと呼ばれたスキルとガラクタと呼ばれた石で、世界を切り拓く男の物語。

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

荷物持ちを追放したら、酷い目にあった件について。

しばたろう
ファンタジー
無能だと思い込み、荷物持ちのレンジャーを追放した戦士アレクス。 しかし―― 彼が切り捨てた仲間こそが、 実はパーティを陰で支えていたレアスキル持ちだった。 事実に気づいた時にはもう遅い。 道に迷い、魔獣に襲われ、些細な任務すらまともにこなせない。 “荷物持ちがいなくなった瞬間”から、 アレクスの日常は静かに崩壊していく。 短絡的な判断で、かけがえのない存在を手放した戦士。 そんな彼と再び肩を並べることになったのは―― 美しいのに中二が暴走する魔法使い ノー天気で鈍感な僧侶 そして天性の才を秘めた愛くるしい弟子レンジャー かつての仲間たちと共に、アレクスはもう一度歩き出す。 自らの愚かさと向き合い、後悔し、懺悔し、それでも進むために。 これは、 “間違いを犯した男が、仲間と共に再び立ち上がる” 再生の物語である。 《小説家になろうにも投稿しています》

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
 女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!  HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。  跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。 「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」  最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!

【第一部完結】転生99回目のエルフと転生1回目の少女は、のんびり暮らしたい!

DAI
ファンタジー
【第一部完結!】 99回のさよならを越えた、究極の『ただいま』 99回転生した最強エルフは、のんびり暮らしたいだけなのに――なぜか家族が増えていく。 99回も転生したエルフの魔法使いフィーネは、 もう世界を救うことにも、英雄になることにも飽きていた。 今世の望みはただひとつ。 ――森の奥の丸太小屋で、静かにのんびり暮らすこと。 しかしその願いは、 **前世が日本人の少女・リリィ(12歳)**を拾ったことで、あっさり崩れ去る。 女神の力を秘めた転生少女、 水竜の神・ハク、 精霊神アイリス、 訳ありの戦士たち、 さらには―― 猫だと思って連れ帰ったら王女だった少女まで加わり、 丸太小屋はいつの間にか“大所帯”に!? 一方その裏で、 魔神教は「女神の魂」と「特別な血」を狙い、 世界を揺るがす陰謀を進めていた。 のんびり暮らしたいだけなのに、 なぜか神々と魔王と魔神教に囲まれていくエルフ。 「……面倒くさい」 そう呟きながらも、 大切な家族を守るためなら―― 99回分の経験と最強の魔法で、容赦はしない。 これは、 最強だけど戦いたくないエルフと、 転生1回目の少女、 そして増え続ける“家族”が紡ぐ、 癒しと激闘の異世界スローライフファンタジー。 ◽️第二部はこちらから https://www.alphapolis.co.jp/novel/664600893/865028992

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

処理中です...