【完結】ゆるキャラ好きの悪役令嬢はオネエ公爵に拾われる

柊ハセル

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魔力測定と属性確認

 聖女の認定話が終わったところで、ノルン師団長が何やらウキウキと準備を始める。
 あの重そうな魔力測定と属性確認の魔道具を風属性の魔法で浮かせて、軽々運んできた。
 さらに、なぜかよくわからない神官のような格好の人たちと魔術師団の魔術師たちが部屋に入って来て、順々に陛下に首を垂れる。
 魔術師団の面子は、以前魔術師団棟で最前列で熱狂的に師団長と叫んでいた人たちだ。
 
(なんだかとてもめんどうな予感がするわ……)

 魔法と宗教には密接な関係がある。
 魔法は神々によって与えられるものであり、信心深いものほど強い力を与えられると信じられているからだ。
 まあでも実際には、信心深さよりも遺伝だったり、本人が生まれ持った才能のほうが大きい。
 後天的に与えられるものは、神官など、特殊な職業のものに限られる。
 とはいえ、その神官だって、なるためにはある程度の家柄と才能が必要な訳だけど。

 そんなわけで、神官が三人も立ち会うなんて、めんどうな予感しかしない。

「聖女様、お初にお目にかかります。王宮直属の神殿で神官長を務めております、フェリックスと申します」

 唐突に『聖女様』などと呼ばれたことに動揺して、すぐに挨拶を返すことができずにいると、年配の神官長は優しい微笑みを浮かべながら、後ろに控えるランス様たちを見た。

「ハーティス公爵、アラベスク侯爵、ご無沙汰しております」

「神官長、久しいですね。今日はなぜこちらに?」

「ら、ランス様っ……」

 わかっているのにあえて威圧感満点の笑顔で聞くランス様が若干怖い。
 でも私を想っての行動なので、止めつつも無意識に口角が上がってしまう。

「それはもちろん、聖女様の魔力鑑定と伺いましたので、是非立ち会わせていただきたいと思いまして」

「魔力鑑定……? 今日は属性判定と魔力測定ではないのですか?」

 驚く私に今度はノルン師団長が慌てて声を上げる。

「神官長! ロベリア嬢の力はまさに聖女のそれなので、鑑定などする必要ありませんよ!!」

「だが、光属性と闇属性は表裏一体のもの。確かにあの封印を見る限り間違いないとは思うが、一時力では困るのだ。だからこそ、今日見極めさせていただきたいのです」

 師団長ではなく、私に向かって懇願するようにそう述べた神官長は深く頭を下げる。
 後ろに控えていた他の神官たちも、それに続いた。

(やっぱり面倒なことになった……。鑑定って、頼んでもいないのに見極められるってあまり気分のいいものじゃないわよ~~!)

 私の困惑をよそに着々と準備は進められ、魔術師たち主導のもと、まずは属性確認から行われることになった。

「では、この水晶に手を乗せてください」

 手のひらより三倍はありそうな水晶玉に手を乗せる。
 すると、水晶が真っ白に光り出し、水晶の中心には黄金色の小さな光がキラキラと輝いている。

「…………これは……こんな現象は今まで見たことがない」

 じっと水晶を横で見ていた神官長が信じられないものを見るかのようにつぶやく。
 目の前で水晶を覗き込んでいた師団長は喜びの雄叫びを上げた。

「……やはり! やはり文献の通りです!! 通常の光属性よりもさらに強い光属性に現れる黄金の光!! まさかこの目で見られる日が来ようとは……」

 言いながらノルン師団長は今にも泣きそうな表情で私を見つめる。
 というか、神殿よりも魔術師団のほうが光属性に詳しいのは大丈夫なの?
 まあ、魔術師団というより、ノルン師団長が詳しいだけな気はするけれど……。

 彼らの反応にお父様は目と口をぽっかり開けたまま唖然としている。
 私の属性確認は、生まれてすぐからずっとしていなかったから仕方ない。
 ランス様は、私が不安になっていると思ったのか、振り向いた途端、「大丈夫です。私が付いていますよ」と耳元で囁いてくれた。
 そしてその後、優しい顔で微笑む。
 ちょっとだけ不安に思っていたけれど、それだけで安心してしまうのだから、私もかなりチョロい。

 一方、国王陛下は、神妙な面持ちで何かを考えているようだった。

 今にも泣きそうに感極まった状態の師団長は、その状態のまま魔力測定に私を促した。
 瞳を潤ませた師団長の美しさがいつもの五割増しで、思わず見惚れてしまう。
 すかさずランス様に引き寄せられ、エスコートされた。
 少し強引なエスコートに驚いて、ランス様の顔を見ると、少し拗ねているのか唇がほんの少し尖っている。

(もしかしてヤキモチ……? え!? ランス様がヤキモチをやいてくださってる!? さっきの陛下との会話もそうだけど、実はランス様、独占欲強め……?)

 なんだか思わず嬉しくなって、エスコートされている手をギュッと握る。
 驚いたランス様と目が合って、照れる彼が可愛かった。
 上機嫌になった彼と、魔力測定器の前に向かう。
 私の身長の二倍はある大きなガラスでできた空の球体に、目盛りのような枠がついていて、その土台に手をつくためか、大きな魔石がついている。

「さあ、こちらに手を」

 大勢が見守る中、緊張しながら手をつく。
 次の瞬間、魔石が光り出し、ガラスの球体には液体のようなものが上がっていった。
 ところがその液体の色に、私以外の全員が言葉を失う。
 ようやく口を開いたノルン師団長は、わなわなと体を震わせた。

「やはりロベリア嬢は、いえ、ロベリア様は聖女様です!!」

 測定器にはキラキラと光る粒子を帯びた透明な液体が、球体パンパンまで充満し、目盛りには【測定不能】の文字が浮かび上がっていた――。
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