転生した子供部屋悪役令嬢は、悠々快適溺愛ライフを満喫したい!

木風

文字の大きさ
21 / 55
転生した子供部屋悪役令嬢は、悠々快適溺愛ライフを満喫したい!

第21話「気づけば王太子の婚約者」

しおりを挟む
「国王陛下のご意志として、王太子殿下が……クローバー公爵令嬢とのご婚約を望まれます」

……は?

……今、なんて言った?
誰と誰が、婚約を望まれる?ご婚約つった??

え、ちょっと待って!?
先日ようやくルシアンとの婚約が破棄されたばかりだよね!?
なのに今日からエドと!?そんな切り替えガチャみたいなノリで!?

「殿下もお間違いないですか?」

宰相がエドに確認する。
おいおい、こんなん間違いだらけだろ!!!

「私の意志です」

……はぁぁぁぁああ!?!?

お前、つい最近まで家庭教師だよね!?
確かに街中では手を繋いだし、恋人繋ぎもしたけど……あれは勢いっていうか……

「ありがたく拝受いたします」

父ぃぃぃぃぃいいいい!!!!!
勝手に受け入れないでよ!!!
私の意見、完全スルー!?ありがたくないから!!

……あれ?ひょっとしてこの空気、私だけが知らなかったパターン……?
兄たちすら『知ってました』みたいな顔してるんだけど!?
いやいや、守秘義務とかいらんだろ!?私、当事者なんですけど!?

「以上をもちまして、国王陛下の御意志を伝え終えました」
「ご快諾に感謝いたします」

え、ちょっと待って。快諾したのは父であって、私はまだ一言も喋ってないよね!?
なのに、もう全部決まったみたいな空気……

そのまま宰相は一礼して退室。
続いて父や母、兄たちも立ち上がり、次々に出て行く。
兄がエドに何か耳打ちしてる?
残された私は、ただ椅子に座ったまま固まっていた。

……終わった?本当に?

『ご快諾に感謝』って言ってたけど、快諾したのは父で、私は快諾してないし。
ツッコむ暇すら与えられなかった……

婚約……決定、しちゃったの?

頭が追いつかない。
昨日まで『婚約破棄された悪役令嬢』だったのに、今日からは『王太子の婚約者』って、どんなジェットコースターだよ。

ふらふらと自室に戻り、侍女にドレスを脱がされる。
ネグリジェに着替えたけれど、本を開く気力すら湧かない。

ベッドに沈み込み、天井を見つめる。
さっきの出来事が現実だなんて、まだ信じられなかった。

私、ほんとに婚約しちゃったの?

……婚約。
本当に、婚約しちゃったんだ。

ぽつりと、ドレスを片付けてくれている侍女に問いかけてみる。

「……婚約破棄って、できちゃったりしないのかな~?」

手を動かしていた侍女が一瞬ぴたりと止まり、妙に真剣な声で返す。

「閨を共にされた後は、いかなる事情があれど……」

……え?
閨って……まさか先日の?いやいやいや!
何もなかったし!?ただ泊まっただけだし!?
でも、確かに同じベッドだった……起きたら隣にいた……

「ちょ、ちょっと待って!あの時も否定したけど、ほんとに何もなかったから!ねぇ!」

必死に否定する私に、侍女は一瞬目を瞬かせて……そして、妙に優しい、何かを悟ったような微笑を浮かべた。

「ええ、存じております。お嬢様がそう仰るのですから」

え!?何その目!!
絶対何もなかったけど、あったって思ってるでしょ!?

「ご安心ください。ここでのことを、私どもが軽々しく口外するようなことはございません」

いやいやいやいやいや!!違う違う違う!!
ほんとに何もなかったんだってば!!
くっそ……こうなるってわかってて泊まったんだな、あいつ……!

……エドの野郎!!はめやがったな!!!!



「ちょっと二人だけにして」

さんざんネグリジェからの着替えを促してきた侍女を部屋から追い出す。
二人きりになった部屋。もちろん、そこにいるのは、正式に……こ、婚約者になってしまったらしいエド。

「お前……私をはめただろ?」

ソファに悠々と座るエドを問い詰めると、彼は首を傾げて小さく笑った。

「……どのことだろう?」
「どのって、お前……心当たりがいっぱいあるってことかよ!!!」

思わず、ぐったりとエドの正面のソファに腰を落とす。

「昨日の感じだと、こ、この婚約……だいぶ前に決まってたよな?」
「気が付いてなかったのか?」

すっと立ち上がったエドが、当然のように私の隣に腰を下ろす。
……ダメだ。近くに来られると、どうしてもこいつのペースに流されてしまう。
慌てて姿勢を正し、ソファの端に移動して距離を取る。

「君はストールを受け取っただろう?」

ストール……?紫色の、今も身につけているやつ?

「は?何でこれが関係あるの?」
「紫は禁色。王族以外が身につけることは許されない」

禁色?王族しか?

「つまりあれが婚約内定の証であり、受け取った時点で承諾したことになる」
「そ、そんな前から!!!?」

……お見舞いのお礼とか、完全に出来レースじゃねーか!!
ってことは……父も最初からグルだったってことか!?

あまりの衝撃に頭を抱えていると、気が付けばエドがさらに近づき、紫のストールの裾を軽く摘まんでいた。

「……いつも大切に身に着けてくれて、俺は嬉しかったんだが」
「だ、だからって説明ゼロで渡すなよ!?」

んな……!!!ってことをさらっと言うんだこいつは!!

「じゃあ……その後の家庭教師も、この前の市政調査も……全部最初から計画通りだったってこと!?」
「人聞きが悪いな。少し懸念があったから、慎重になっただけだ」
「私の気持ちは完全スルーかよ!!」
「……確かに。君の気持ちを蔑ろにしたのは否めない」

……え。急にしおらしくなるなよ。調子狂うじゃん……
って、ちょっと!さりげなく手に触れるな!!じっと見つめるな!!髪に触んな!!

「それでも……俺は、どうしてもアリエルが良かったんだ」

あ゛~~~~!!当たり前みたいに髪に口づけとかしてんなよ!!
なんか声のトーンまで変わってるし!!

昨日の流れでさ、もう断れる段階じゃないってのは、わかってる。
でもさ。私は医者として死ぬほど働いて、文字通り死んだんだよ?
せめて転生くらいご褒美で、一生ダラダラさせてくれてもよくない!?
どこで道を間違えたんだ、私……

「……何もない時は、ネグリジェで部屋に転がってダラダラしてたい……」
「いいね。俺も隣で一緒にくつろがせてもらえるかな?」
「は!?いやだよ!?ダラダラは一人でやるから意味あるんじゃん!」

何だよこの王子……
この間はあんなに真面目くさってたくせに、今日はまたこれか。
ほんっと調子が狂う。

「……でも」

ソファの背にもたれていたエドが、ふっと笑みを深める。

「どんな君でも、俺は大事にするよ」

はい、強引に話を逸らした。
絶対に私の話、聞く気なかっただろ……

気が付けば、また手が重ねられている。
いくらでも振りほどけるはずなのに……ほんの少し、その体温が心地よく感じてしまう自分が悔しい。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

虐殺者の称号を持つ戦士が元公爵令嬢に雇われました

オオノギ
ファンタジー
【虐殺者《スレイヤー》】の汚名を着せられた王国戦士エリクと、 【才姫《プリンセス》】と帝国内で謳われる公爵令嬢アリア。 互いに理由は違いながらも国から追われた先で出会い、 戦士エリクはアリアの護衛として雇われる事となった。 そして安寧の地を求めて二人で旅を繰り広げる。 暴走気味の前向き美少女アリアに振り回される戦士エリクと、 不器用で愚直なエリクに呆れながらも付き合う元公爵令嬢アリア。 凸凹コンビが織り成し紡ぐ異世界を巡るファンタジー作品です。

【完結】アラサー喪女が転生したら悪役令嬢だった件。断罪からはじまる悪役令嬢は、回避不能なヤンデレ様に溺愛を確約されても困ります!

美杉日和。(旧美杉。)
恋愛
『ルド様……あなたが愛した人は私ですか? それともこの体のアーシエなのですか?』  そんな風に簡単に聞くことが出来たら、どれだけ良かっただろう。  目が覚めた瞬間、私は今置かれた現状に絶望した。  なにせ牢屋に繋がれた金髪縦ロールの令嬢になっていたのだから。  元々は社畜で喪女。挙句にオタクで、恋をすることもないままの死亡エンドだったようで、この世界に転生をしてきてしあったらしい。  ただまったく転生前のこの令嬢の記憶がなく、ただ状況から断罪シーンと私は推測した。  いきなり生き返って死亡エンドはないでしょう。さすがにこれは神様恨みますとばかりに、私はその場で断罪を行おうとする王太子ルドと対峙する。  なんとしても回避したい。そう思い行動をした私は、なぜか回避するどころか王太子であるルドとのヤンデレルートに突入してしまう。  このままヤンデレルートでの死亡エンドなんて絶対に嫌だ。なんとしても、ヤンデレルートを溺愛ルートへ移行させようと模索する。  悪役令嬢は誰なのか。私は誰なのか。  ルドの溺愛が加速するごとに、彼の愛する人が本当は誰なのかと、だんだん苦しくなっていく――

気付けば名も知らぬ悪役令嬢に憑依して、見知らぬヒロインに手をあげていました

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
私が憑依した身体の持ちは不幸のどん底に置かれた悪役令嬢でした ある日、妹の部屋で見つけた不思議な指輪。その指輪をはめた途端、私は見知らぬ少女の前に立っていた。目の前には赤く腫れた頬で涙ぐみ、こちらをじっと見つめる可憐な美少女。そして何故か右手の平が痛む私。もしかして・・今私、この少女を引っ叩いたの?!そして何故か頭の中で響き渡る謎の声の人物と心と体を共存することになってしまう。憑依した身体の持ち主はいじめられっ娘の上に悪役令嬢のポジションに置かれている。見るに見かねた私は彼女を幸せにする為、そして自分の快適な生活を手に入れる為に自ら身体を張って奮闘する事にした―。 ※ 「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています。

『お前の顔は見飽きた!』内心ガッツポーズで辺境へ

夏乃みのり
恋愛
「リーナ・フォン・アトラス! 貴様との婚約を破棄する!」 華やかな王宮の夜会で、第一王子ジュリアンに突きつけられた非情な宣告。冤罪を被せられ、冷酷な悪役令嬢として追放を言い渡されたリーナだったが、彼女の内心は……「やったーーー! これでやっとトレーニングに専念できるわ!」と歓喜に震えていた!

断罪の準備は完璧です!国外追放が楽しみすぎてボロが出る

黒猫かの
恋愛
「ミモリ・フォン・ラングレイ! 貴様との婚約を破棄し、国外追放に処す!」 パルマ王国の卒業パーティー。第一王子アリオスから突きつけられた非情な断罪に、公爵令嬢ミモリは……内心でガッツポーズを決めていた。 (ついにきたわ! これで堅苦しい王妃教育も、無能な婚約者の世話も、全部おさらばですわ!)

婚約破棄だ!と言われ実家に帰ったら、最推しに餌付けされます

黒猫かの
恋愛
王国の第一王子クレイスから、衆人環視の中 で婚約破棄を言い渡されたローゼン侯爵令嬢ノエル。

幼馴染みが描いた悪役令嬢ものの世界に「メイド」として転生したので、6年後の断罪イベントをどうにか回避したい

ゆずまめ鯉
恋愛
通勤途中、猫好きではないのに轢かれそうな黒猫をうっかり助けてしまい、死んでしまった主人公──水縞あいり(26) 鳥の囀りで目を覚ますとそこは天国……ではなく知らない天井だった。 狭い個室にはメイド服がかかっている。 とりあえず着替えて備えつけの鏡を見ると、そこには十代前半くらいの子どもの姿があった。 「この顔……どこか見覚えが……」 幼馴染みで漫画家、ミツルギサイチ(御剣才知)が描く、人気漫画「悪役令嬢が断罪されるまで」の登場人物だということに気がつく。 名前はミレア・ホルダー(本名はミレア・ウィン・ティルベリー) 没落貴族の令嬢で、現在、仕えているフランドル侯爵によって領地と洋館を奪われ、復讐のために、フランドル侯爵の長女イザベラが悪役令嬢になるのを止めず、むしろ後押しして見事断罪されてしまうキャラだった。 原作は未完だが、相談を受けていたのでどういう結末を迎えるのか知っている。 「二期アニメもまだ見てないし、どうせ転生するなら村人Aとかヒロインの母親がよかった……!!」 幼馴染みの描く世界に転生してしまった水縞あいり=ミレアが、フランドル侯爵家で断罪回避するべく、イザベラをどうにかお淑やかな女性になるように導いている途中。 病弱で原作だと生死不明になる、イザベラの腹違いの兄エミールに、協力してもらっているうちに求愛されていることに気づいてしまい──。 エミール・ディ・フランドル(20)×ミレア・ウィン・ティルベリー(18) 全30話の予定で現在、執筆中です。2月下旬に完結予定です。 タイトルや内容が変更になる場合もあります。ご了承ください。

処理中です...