虚空の支配者 ~元勇者パーティの荷物持ち、最弱魔法で無双~

夕影草 一葉

文字の大きさ
24 / 100
二章 有明と黄昏

24話

しおりを挟む
 久しぶりに潜るダンジョンは、想像をはるかに超えて順調に攻略が進んでいた。
 その理由としては、やはりヨミから授かった力だろう。俺の転移魔法は、以前とは比べ物にならない強力な魔法となった。さすがに最下層まで一息とはいかないものの、道中の魔物に苦戦を強いられることは皆無と言っていい。
 
「目まぐるしいな。 お主、以前とは何もかもが変わったようにみえるぞ。 心なしか動きも軽快ではないか?」

「まぁ、そうだな。 魔法も強化されて、できる事の幅が大きく広がったからな」

 パーティを組んでいるビャクヤがこういうのだ。
 やはり外から見ても俺の魔法は飛躍的に向上したといっていいだろう。
 だが軽快に動ける理由は、また別にあった。

「そういえば、ビャクヤはレベル上がったか? ワイバーンとの戦いでは、相当に魔力を奪えたと思うが」

 手ごわい魔物を倒すと、レベルは上がりやすい。これは冒険者の中での共通認識だ。
 例えば魔物の中でも最弱のゴブリンだけを倒し続けていても、すぐにレベルアップしなくなってしまう。
 さらにレベルアップをしたいのであれば、豊富に魔力を持っている魔物、つまり手ごわい魔物を相手にしなければならない。
 それが冒険者と呼ばれる所以でもある。
 手ごわい魔物と戦い続ける事が、冒険者にとってレベルアップへの近道なのだ。
 そして今回、俺達が戦ったのは最上位ともいえる魔物、ワイバーンだ。
 今日のビャクヤの動きを見ていても、相当にレベルアップしたように見える。
 まさにその質問を待っていたとでも言うように、ビャクヤは胸を張っていった。

「ふふん、我輩のレベルを知りたいのか? 良かろう。 我輩はあの戦いで、レベル21まで上がったのだ! 新しいスキルも覚えたのだぞ?」

「なるほど、それはすごいな」 

 単純計算でビャクヤは9レベルも上がったのだ。
 以前から比べて約二倍ものレベルになれば、彼女の動きが変わったのもうなずける。
 だが俺の反応が面白くなかったのか、ビャクヤはジト目でこちらを見てきた。

「なんだお主、質問に答えてやったというのに、ずいぶんな反応だな。 ならばお主は幾つになったのだ?」

「26だ」

「なんと?」

「だから、26だって」

「ず、ずるいぞ! なぜお主だけそんなに上がるのだ!?」

 大声で訴えるビャクヤは、噛みつかんばかりに俺の顔に近づいた。
 急接近した顔から目を背けながら、どうにかビャクヤをなだめる。

「魔物は仕留めた時が一番、魔力を奪えるらしいからな。 思い返せば、俺ばっかり美味しい思いをしてたみたいだ」

 村を襲撃したワイバーンの内、ビャクヤが倒したのは最初に一頭だけだ。
 それ以外は俺が仕留めたことになる。当然、ビャクヤの強力もあっての結果だが、過程はどうあれ最後に魔物の命を奪った者が、最も多く魔力を吸収できるのだ。
 つまり残った三頭の殆どは俺が吸収したことになる。当然その分だけ多くレベルが上がるのも当然のことだった。
 だが協力関係にあるビャクヤを差し置いて俺だけが甘い汁を吸うのは憚られた。

「そこら辺を考えてなかったな、悪い。 ふたりの手柄だってのに」

 レベルは基本的な身体能力の強化にもつながる。
 はっきり言って各種能力の伸びが悪い俺がレベルアップするより、前衛で能力の伸びがいいビャクヤがレベルアップしたほうが、パーティとしては恩恵が大きいのが事実だ。
 素直に頭を下げると、ビャクヤはいつもの笑顔を浮かべた。

「いや、我輩も熱くなっていた。 すまぬ」

「だが俺の力だけでも勝てなかった。 ビャクヤの力があったからこそ、だ」

 これは、紛れもない事実だ。
 ビャクヤが居なければ一頭目のワイバーンに村は蹂躙されていたことだろう。
 とてもではないが俺一人ではどうすることもできなかったに違いない。
 ビャクヤは気を取り直したように、薙刀で地面を叩いた。

「よし、ならばそういう事にしておこう! 先へ進むぞ!」



 順調にダンジョンを進む中で、ビャクヤは以前から使っているスキルを多用していた。
 それらは確かに使い慣れているのだろうが、パーティメンバーとして確認しておきたいこともある。

「気になっていたんだが」

「どうした?」

「あの特別なスキルはいつから使えたんだ? 今までは使ってなかったと思うが」

 思い返すのは、ワイバーンを切り裂いた一撃だ。
 あのスキルに関していえば、いつも使っている物とは全く違い威力を秘めていた。
 なんせ空を飛ぶワイバーンを、見事にとらえて見せたのだ。
 ダンジョンの中でもあのスキルが仕えれば、間違いなく戦力の増強につながる。
 しかしビャクヤは俺の言いたいことを理解したのか、首を小さく振った。

「あれはヨミ様の許しがあった時だけ使えるようになっている。 我輩の力ではジョブで得られるスキルしか使えないのだ」

 俺で言う所の能力の強化を受けた物が、あのスキルという事か。
 それも使える条件が限定的な物となっている。
 ヨミが俺に力を与えた際にはそういった条件は付けてこなかったが、それはビャクヤと俺に何らかの違いがあってのことなのだろうか。
 ただ追い詰められた時には使えるという事で、少しばかりは心に余裕ができる。

「ピンチの時にだけ使える切札ってことか」

「聞こえ良く言えばそうなるな。 とはいえ戦いは常に命の奪い合いだ。 その切札を切る前に死ぬことは防がねばな。 そういうお主はどうなのだ? 転移魔法に変化があったと見えるが」

「相当に強化されてる。 今までの転移魔法とは全くの別物みたいだ」

 以前とは比べ物にならないほどに強化がされているのが、自分でも理解できた。
 特にワイバーンのような巨大な生物まで転移させられるのだ。
 練習も必要になるだろうが、いずれ自分も飛ばせるようになるだろう。
 戦いの幅と戦術が広がるのが、楽しくてしょうがなかった。

「これなら、今までよりずっと戦えるさ」

 そしていずれは、アーシェ達に追いつくことも。
 そんな考えが頭をよぎり、振り払う。
 何のためにこの力を手に入れたのか。
 今一度、考え直す必要がありそうだった。 
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?

桜井正宗
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」  その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。  影響するステータスは『運』。  聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。  第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。  すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。  より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!  真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。 【簡単な流れ】 勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ 【原題】 『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。

ヒツキノドカ
ファンタジー
 誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。  そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。  しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。  身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。  そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。  姿は美しい白髪の少女に。  伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。  最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。 ーーーーーー ーーー 閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります! ※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

勇者パーティーに追放された支援術士、実はとんでもない回復能力を持っていた~極めて幅広い回復術を生かしてなんでも屋で成り上がる~

名無し
ファンタジー
 突如、幼馴染の【勇者】から追放処分を言い渡される【支援術士】のグレイス。確かになんでもできるが、中途半端で物足りないという理不尽な理由だった。  自分はパーティーの要として頑張ってきたから納得できないと食い下がるグレイスに対し、【勇者】はその代わりに【治癒術士】と【補助術士】を入れたのでもうお前は一切必要ないと宣言する。  もう一人の幼馴染である【魔術士】の少女を頼むと言い残し、グレイスはパーティーから立ち去ることに。  だが、グレイスの【支援術士】としての腕は【勇者】の想像を遥かに超えるものであり、ありとあらゆるものを回復する能力を秘めていた。  グレイスがその卓越した技術を生かし、【なんでも屋】で生計を立てて評判を高めていく一方、勇者パーティーはグレイスが去った影響で歯車が狂い始め、何をやっても上手くいかなくなる。  人脈を広げていったグレイスの周りにはいつしか賞賛する人々で溢れ、落ちぶれていく【勇者】とは対照的に地位や名声をどんどん高めていくのだった。

~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる

静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】 【複数サイトでランキング入り】 追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語 主人公フライ。 仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。 フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。 外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。 しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。 そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。 「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」 最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。 仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。 そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。 そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。 一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。 イラスト 卯月凪沙様より

処理中です...