うるさい彼女と静かな僕

Kaito

文字の大きさ
13 / 26

#13

しおりを挟む
#13

「お母さん、ちょっとだけお話ししよ」

「うん!」

お母さんは笑顔で受け入れてくれた。

ダイニングテーブルの椅子を少し引いて座る

お母さんは冷たいお茶を出して、私の向かい側に座った

「あのね...私、死のうとしたんだ」

「そっか......」

「でもね、助けてくれたんだ。和希が」

「和希君ってこの前の?」

「うん。和希と一緒にいるとね、すっごく楽しくて、気づくといつも笑っていて、抱きしめると安心するの」
「でも分からないの、どれだけ一緒に居ても抱きしめても、心がぎゅーって締め付けられる時があって」

「それはきっと..."恋"だよ」

「えっ?!」

「好きな人のことを思うと胸が苦しくなる。それはもう恋だよ!」

微笑ましそうに結花を見つめる

「えっ?!えっ!!!」

まさかそんなことを言われるとは思ってもいなかったから声を出して驚いてしまった

「結花も成長したね、女の子って感じ」

急に恥ずかしさが押し寄せてきて顔が真っ赤になった

「照れた顔も可愛いよ」

照れくさくて上手く喋れない

「どっちから告白したの?」

「えっ、えっと...私から....なのかな?」

面映くて両手で顔を隠した。

「私も結花くらいの頃好きな子とかいたな~、懐かしい」

「お母さんもあった?胸が苦しくなること」

「あったと思う、もう随分前のことだか良く覚えてないけど」

私の倍以上生きてるお母さんなら恋の一つや二つしてきてるに決まってる

「結花は和希君のどんなところが好きなの?」

「えっと、、優しいところとか、話を聞いてくれるところとか」

「そっか!じゃあ結花とはお似合いかもね!」

「うん!ありがと!」

結花は満面の笑みでそう答えた。

「お母さん、おなかすいた.....」

夕飯を途中までしか食べてなかったせいで結花のお腹は空腹で限界だった

「ちょっと待っててね」

そう言うと颯爽とキッチンに向かった。

数分後にはおいしそうな料理が出てきた

「おいしい~!」

一口食べれば自然とそんな言葉が出てくる

「ふふっ、何かこんなにおいしそうに食べてくれるのって久しぶりだなって思って」

「そう...かな?」
「頑張って笑顔を作ってたつもりだったけど、思ってた以上に笑えてなかったのかもね」

「今度海音君と会わせてよ」

「え?海音と会ってどうするの?」

「お礼が言いたくて、"結花を助けてくれてありがとうございます"って」

「そっか、伝えとくね」

ごはんを食べながら横目に答えた。

その後お風呂に入って歯磨きをして自分の部屋に戻った。

この気持ちにどう折り合いをつければ良いのかは分からないけど、悪い気持ちじゃないってことは確かだと、そう思った。


翌日。

「かーずきっ!」

駅で背後から軽く背中を押して驚かせた

「結花!」

「へへっ、昨日はごめんね。色々と」

頬を少し赤らめながら伝えた。

結花は和希の腕を引いて自分の口に和希の耳をぎりぎりまで近づけた

「大好きだよ」

和希の頬がみるみる赤くなっていく

「あれー、和希頬赤いよー」

和希は倒れるように結花を抱きしめた

「どう...したの?」

「僕も大好き」

「えっ...あ、ありがとう」

急にそんなことを言われて動揺しない人なんていないだろう

「じゃあ学校行こっか!」

人が変わったようにそう言った和希の後についていくように歩いた。

普通に授業を受けてお昼ご飯を食べてまた授業を受けて部活をして家に帰る

当たり前の日常かもしれないけど、それがすごく楽しくて幸せだった。

「結花、ちょっと良い」

雪奈に呼び止められたのは部活終わりの帰り道だった。

私と雪奈以外はみんなバイトがあり早々に帰って行った。

「和希と付き合ってるの?」

それはあまりにも直球な言葉で結花は喉に引っかかったように声が出せなくなった

「ねえ答えてよ!!結花!!」

単なる興味ではなく、怒りのような感情が混ざった表情で肩を揺らされる

「私たち親友でしょ!隠し事とかしたら絶交だから!」

雪奈の瞳は潤んでいて、ちょっとした衝撃で溢れ出してしまいそうだった

「答えて!答えろ!!」

黙っていたら、雪奈の声はどんどん大きくなっていく

「和希とはとね....つき..付き合ってるの」

正直に話した。

「やっぱり.....」

雪奈はその場に崩れ落ちるように座り込んだ

じっと結花を見つめる瞳からは大粒の涙がいくつも溢れ出ていた。

「大丈夫....?」

しゃがみ込んで雪奈と同じ高さまで視線を下ろして、ハンカチで涙を拭ってあげようと手を近づけた時

「触るな!この裏切り者!」

雪奈は結花の頬を思いっきり叩いた、結花はその衝撃で後ろに倒れて反射的に手をついた

「痛いっ!」

上手く手をつけず変に手首を捻ってしまった

「いい気味だ」

雪奈はそれだけ言い零してからどこかへ行ってしまった。

「雪奈........。」

この場に居たら、誰かに見られてしまう気がして走って学校に戻った。忘れ物を取りにきたふりをして。

誰も来ないであろう階段裏で独りで泣いた

「雪奈...雪奈......」

どれだけ泣いても止まらなくて、次第に声も抑えられなくなって。気がつけば大声を出して泣いていた。

「どうしたの結花さん?」

副担任の佐々木先生だった

「なんでもないです....」

止まらない涙を必死に袖で隠してリュックのベルトを掴んで走り去ろうとした

「待って」

もう片方のベルトを掴んで先生は言った

「離してください」

「こっちを向いて」

「嫌です、本当になんでもないですから」

「そんなに泣いているのに何にもないわけないでしょ」

「ちょっと落ち込んでただけです....もう大丈夫ですから」

「話して」

その言葉は妙な優しさに包まれていて身体がここを離れることを拒んだ、体の力が抜けていって立っていられなくなった

「話してくれる?」

そっと顔のそばで囁かれた言葉に何もかも我慢できなくなって口が勝手に動いた

「裏切り者って...言われちゃいました」
「私って最低な人間だったんですね」

「そんなことないよ」

「そんなことあるんですよ。ううん、そうとでも思わないと、私は私をなんだと思えば良いのかわからないんです」

「私は自分が何者かなんてそんな簡単に分かることじゃないと思うな」

「先生、"愛"ってなんですか?"恋"ってなんですか?"好き"ってなんですか?"友達"ってなんですか?」

「難しいこと訊くね、えーっと"愛"も"恋"も"好き"も"友達も"よくわかんないな」
「でも、よくわからないからこそ、人それぞれ色んな形があって。時には迷ったり惑わされたりするけどさ、そういうところも全部含めて"素敵な物"なんだろうなって思う」

「よくわかんないです」

「それで大丈夫だよ、私も結花さんくらいの頃は分からなかったから」

「ありがとうございました、もう遅いので帰ります」

落ち着いたのかあれだけ溢れていた涙は止まっていた。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。 そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。 「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。 時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。 多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。 この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。 ※医学描写と他もすべて架空です。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

小さい頃「お嫁さんになる!」と妹系の幼馴染みに言われて、彼女は今もその気でいる!

竜ヶ崎彰
恋愛
「いい加減大人の階段上ってくれ!!」 俺、天道涼太には1つ年下の可愛い幼馴染みがいる。 彼女の名前は下野ルカ。 幼少の頃から俺にベッタリでかつては将来"俺のお嫁さんになる!"なんて事も言っていた。 俺ももう高校生になったと同時にルカは中学3年生。 だけど、ルカはまだ俺のお嫁さんになる!と言っている! 堅物真面目少年と妹系ゆるふわ天然少女による拗らせ系ラブコメ開幕!!

12年目の恋物語

真矢すみれ
恋愛
生まれつき心臓の悪い少女陽菜(はるな)と、12年間同じクラス、隣の家に住む幼なじみの男の子叶太(かなた)は学校公認カップルと呼ばれるほどに仲が良く、同じ時間を過ごしていた。 だけど、陽菜はある日、叶太が自分の身体に責任を感じて、ずっと一緒にいてくれるのだと知り、叶太から離れることを決意をする。 すれ違う想い。陽菜を好きな先輩の出現。二人を見守り、何とか想いが通じるようにと奔走する友人たち。 2人が結ばれるまでの物語。 第一部「12年目の恋物語」完結 第二部「13年目のやさしい願い」完結 第三部「14年目の永遠の誓い」←順次公開中 ※ベリーズカフェと小説家になろうにも公開しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

俺をフッた幼馴染が、トップアイドルになって「もう一度やり直したい」と言ってきた

夏見ナイ
恋愛
平凡な大学生・藤堂蓮には忘れられない過去がある。高校時代、告白した幼馴染の星宮瑠奈に「アイドルになるから」とこっ酷くフラれたことだ。 数年後、瑠奈は国民的アイドル『LUNA』として輝いていた。遠い世界の住人になった彼女との再会なんて、あるはずもなかった――そう、変装した彼女が俺の前に現れ、「もう一度やり直したい」と泣きつくまでは。 トップアイドルの立場を使い強引に迫る元幼馴染と、過去の傷。揺れ動く俺の日常を照らしてくれたのは、俺の才能を信じてくれる後輩・朝霧陽葵の存在だった。 俺をフッた幼馴染か、俺を支える後輩か。過去の清算と未来の選択を描く、ほろ苦くも甘い、逆転ラブコメディ、開幕。

まずはお嫁さんからお願いします。

桜庭かなめ
恋愛
 高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。  4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。  総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。  いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。  デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!  ※特別編7が完結しました!(2026.1.29)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想をお待ちしております。

網代さんを怒らせたい

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「なあ。僕たち、付き合わないか?」 彼がなにを言っているのかわからなかった。 たったいま、私たちは恋愛できない体質かもしれないと告白しあったばかりなのに。 しかし彼曰く、これは練習なのらしい。 それっぽいことをしてみれば、恋がわかるかもしれない。 それでもダメなら、本当にそういう体質だったのだと諦めがつく。 それはそうかもしれないと、私は彼と付き合いはじめたのだけれど……。 和倉千代子(わくらちよこ) 23 建築デザイン会社『SkyEnd』勤務 デザイナー 黒髪パッツン前髪、おかっぱ頭であだ名は〝市松〟 ただし、そう呼ぶのは網代のみ なんでもすぐに信じてしまい、いつも網代に騙されている 仕事も頑張る努力家 × 網代立生(あじろたつき) 28 建築デザイン会社『SkyEnd』勤務 営業兼事務 背が高く、一見優しげ しかしけっこう慇懃無礼に毒を吐く 人の好き嫌いが激しい 常識の通じないヤツが大嫌い 恋愛のできないふたりの関係は恋に発展するのか……!?

処理中です...