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1章
7話 忠義の騎士
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アトラは一足早くイチジクの木にたどり着いていた。
「ルリィは本当に大丈夫だろうか。奴の自信満々な様子から見ると、きっとすごい部下を向かわせたんだろう。今ごろ捕まって大変な目にあってるんじゃないだろうか?」
アトラの不安が収まらない。
その時、遠くの方から聞きなれた声が聞こえてきた。
「アトラー」
「ルリィ!」
見知らぬ男と近づいてくるルリィにアトラは戸惑った。
「ルリィ、横の男は何者だ?」
「この人はラルフ、追っ手じゃないわ」
「おめぇさんがルリィが言ってた少年か。確か名前は...」
「アトラだ。ルリィ、こいつ信用できるのか?」
「大丈夫だと思う。私は信用してる」
「そんな事よりおめぇさんがアトラか。ルリィから話しは聞いている。そういえばあともう1人いたような」
「そうだ、ダルクは?ダルクは一緒じゃないのか?」
「ダルク? 知らないよ」
「そうなのか?」
ラルフが「うん」とうなずいたその時、
「やっと追いつきましたよ。ラルフさん羅針盤はもう手に入れてくれたようですね?」
コステロが部下とともに姿を現した。
ラルフはコステロを正面から見据えると、不敵な笑みを浮かべて言い放った。
「お前の部下の振りはもうやめだ」
「どういう意味ですか、ラルフさん」
戸惑うコステル。目をキョロキョロさせて周囲を見回すと、怒りを含んだ声で言った。
「そういう事ですか...ならばこの少年がどうなっても良いのですか?」
コステルの後ろには部下たちに両腕をつかまれてもがいているダルクの姿が見えた。
「これがオメェさんのやり方ってわけか」
「ふむやり方?これは私なりの信念なんですよ」
「信念?良くそんなつらで信念を語れるな!!」
ラルフが苦々しげに声を強めた。
「ふむ、やる気ですか?このコステルに戦いを仕掛けると?」
その時だった。ラルフの剣が抜かれ、瞬時にコステルの部下が地面に倒れた。
「お,お、お前、何をやった?」
コステロは声を震わせた。
「お前は信念とやらで悪事を働くのか?」
ラルフがあきれたように言うと、コステロは落ち着きをとりもどしたのか、ふてぶてしく言い放った。
「ふん、これは私なりの正義ですよ。正しい目的の為になら手段は選びません」
「正義?手段を選ばない正義など俺を認めない!」
その刹那、ラルフの鋭い剣撃が走った。
「う!なんだその剣筋は・・・」
言い終わる前に崩れ落ちるコステル。
「俺は忠義の為なら命を落としても構わない。それがお前と俺との差だ」
地面に倒れたコステロに向かって、ラルフは毅然としてつぶやいた。
「ルリィは本当に大丈夫だろうか。奴の自信満々な様子から見ると、きっとすごい部下を向かわせたんだろう。今ごろ捕まって大変な目にあってるんじゃないだろうか?」
アトラの不安が収まらない。
その時、遠くの方から聞きなれた声が聞こえてきた。
「アトラー」
「ルリィ!」
見知らぬ男と近づいてくるルリィにアトラは戸惑った。
「ルリィ、横の男は何者だ?」
「この人はラルフ、追っ手じゃないわ」
「おめぇさんがルリィが言ってた少年か。確か名前は...」
「アトラだ。ルリィ、こいつ信用できるのか?」
「大丈夫だと思う。私は信用してる」
「そんな事よりおめぇさんがアトラか。ルリィから話しは聞いている。そういえばあともう1人いたような」
「そうだ、ダルクは?ダルクは一緒じゃないのか?」
「ダルク? 知らないよ」
「そうなのか?」
ラルフが「うん」とうなずいたその時、
「やっと追いつきましたよ。ラルフさん羅針盤はもう手に入れてくれたようですね?」
コステロが部下とともに姿を現した。
ラルフはコステロを正面から見据えると、不敵な笑みを浮かべて言い放った。
「お前の部下の振りはもうやめだ」
「どういう意味ですか、ラルフさん」
戸惑うコステル。目をキョロキョロさせて周囲を見回すと、怒りを含んだ声で言った。
「そういう事ですか...ならばこの少年がどうなっても良いのですか?」
コステルの後ろには部下たちに両腕をつかまれてもがいているダルクの姿が見えた。
「これがオメェさんのやり方ってわけか」
「ふむやり方?これは私なりの信念なんですよ」
「信念?良くそんなつらで信念を語れるな!!」
ラルフが苦々しげに声を強めた。
「ふむ、やる気ですか?このコステルに戦いを仕掛けると?」
その時だった。ラルフの剣が抜かれ、瞬時にコステルの部下が地面に倒れた。
「お,お、お前、何をやった?」
コステロは声を震わせた。
「お前は信念とやらで悪事を働くのか?」
ラルフがあきれたように言うと、コステロは落ち着きをとりもどしたのか、ふてぶてしく言い放った。
「ふん、これは私なりの正義ですよ。正しい目的の為になら手段は選びません」
「正義?手段を選ばない正義など俺を認めない!」
その刹那、ラルフの鋭い剣撃が走った。
「う!なんだその剣筋は・・・」
言い終わる前に崩れ落ちるコステル。
「俺は忠義の為なら命を落としても構わない。それがお前と俺との差だ」
地面に倒れたコステロに向かって、ラルフは毅然としてつぶやいた。
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