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――目を覚ますと、見慣れない天井が目に入った。
……いや、違う。
これは、見慣れなくなった天井だ。
「――もう朝だっていうのにいつまで寝てるの、彰。早く起きないと学校に遅刻するよ?」
もう見なくなったはずの天井が目の前にある事に戸惑っていると、突如大きな音を立ててドアが開かれた。
そして中に入ってきたのは、懐かしの制服に身を包む女の子。
髪型は髪を後ろにくくるポニーテールヘアーだ。
「えっと、どちらさま……?」
「えぇ……お姉ちゃんの顔を忘れるとか寝ぼけてるってレベルじゃないでしょ。病院行く?」
本気で心配したように俺の顔を覗き込んでくる自称姉。
確かに俺には姉がいるが、姉はもう社会人になっている大人だ。
こんな青春真っ只中の女の子が姉とか、冗談にもほどがある。
――しかし、この少女の顔付きには見覚えがあった。
というか、高校生時代の姉にそっくりなのだ。
「もう、何が何やらわからねぇ……」
頭によぎるのは昨晩の記憶。
変な少女に絡まれたと思ったら、その少女は急に『時を戻せると言ったら――』と言い始めたのだ。
それから少し話をしたのは覚えている。
なんか色々とわけのわからない事を言われたのだが、途中から少女が異様な雰囲気を纏いだして俺は彼女とある約束を交わした。
半信半疑ではあったのだが――あの子は本当に俺に告げた存在であって、時を戻したというのか……?
「ねぇ、本当に大丈夫? 病院行く?」
ありえない事態に一人戦慄していると、若返ってしまっている姉が俺の顔を覗き込んできた。
もう滅多に会う事はなく、会っても軽く言葉を交わすだけで終わる関係だったのに、昔は意外と仲がよかった事を思い出す。
「あっ、えっと、大丈夫。なぁ姉さん、今って西暦何年の何月何日だ?」
俺は慌てて取り繕い、今一番気になっている事を尋ねる。
本当に俺が望んだ通りに時が戻っているんだとしたら――。
「えっ、2020年の6月7日だけど――ねぇ、やっぱり病院に行こうよ。絶対にお医者さんに見てもらったほうがいいって」
姉さんは本当に心配そうな表情をして俺の手を握ってきた。
昔の姉さんは結構俺の事を雑に扱う性格をしていたが、俺が困っていた時や病気になって苦しんでいる時は誰よりも心配してくれた事を覚えている。
なんだろう、凄く懐かしくて涙が出てきそうだ。
――だけど、今は感動に浸っている場合ではない。
間違いない、本当に時は戻っているんだ。
そして戻ったのはあの出来事が起きる一ヶ月前――今はまだ、安心院さんが生きている事になる。
どうやって戻ったのか、あの少女は本当に――だったのか。
色々と気になる点はあるが、望んだ通り時が戻ったのだったら俺がやらないといけない事は一つだ。
これは俺の望みであり、そして本当に時が戻った以上義務でもある。
義務を果たせなかった時、あの少女とした約束も有効になってしまうだろう。
「ごめん姉さん、学校に行く準備をするよ。病院は行かなくて本当に大丈夫だから」
「あっ、ちょっ――」
俺は着替えるために姉さんを部屋の外へと押しだした後、すぐに学校へ行く準備をするのだった。
……いや、違う。
これは、見慣れなくなった天井だ。
「――もう朝だっていうのにいつまで寝てるの、彰。早く起きないと学校に遅刻するよ?」
もう見なくなったはずの天井が目の前にある事に戸惑っていると、突如大きな音を立ててドアが開かれた。
そして中に入ってきたのは、懐かしの制服に身を包む女の子。
髪型は髪を後ろにくくるポニーテールヘアーだ。
「えっと、どちらさま……?」
「えぇ……お姉ちゃんの顔を忘れるとか寝ぼけてるってレベルじゃないでしょ。病院行く?」
本気で心配したように俺の顔を覗き込んでくる自称姉。
確かに俺には姉がいるが、姉はもう社会人になっている大人だ。
こんな青春真っ只中の女の子が姉とか、冗談にもほどがある。
――しかし、この少女の顔付きには見覚えがあった。
というか、高校生時代の姉にそっくりなのだ。
「もう、何が何やらわからねぇ……」
頭によぎるのは昨晩の記憶。
変な少女に絡まれたと思ったら、その少女は急に『時を戻せると言ったら――』と言い始めたのだ。
それから少し話をしたのは覚えている。
なんか色々とわけのわからない事を言われたのだが、途中から少女が異様な雰囲気を纏いだして俺は彼女とある約束を交わした。
半信半疑ではあったのだが――あの子は本当に俺に告げた存在であって、時を戻したというのか……?
「ねぇ、本当に大丈夫? 病院行く?」
ありえない事態に一人戦慄していると、若返ってしまっている姉が俺の顔を覗き込んできた。
もう滅多に会う事はなく、会っても軽く言葉を交わすだけで終わる関係だったのに、昔は意外と仲がよかった事を思い出す。
「あっ、えっと、大丈夫。なぁ姉さん、今って西暦何年の何月何日だ?」
俺は慌てて取り繕い、今一番気になっている事を尋ねる。
本当に俺が望んだ通りに時が戻っているんだとしたら――。
「えっ、2020年の6月7日だけど――ねぇ、やっぱり病院に行こうよ。絶対にお医者さんに見てもらったほうがいいって」
姉さんは本当に心配そうな表情をして俺の手を握ってきた。
昔の姉さんは結構俺の事を雑に扱う性格をしていたが、俺が困っていた時や病気になって苦しんでいる時は誰よりも心配してくれた事を覚えている。
なんだろう、凄く懐かしくて涙が出てきそうだ。
――だけど、今は感動に浸っている場合ではない。
間違いない、本当に時は戻っているんだ。
そして戻ったのはあの出来事が起きる一ヶ月前――今はまだ、安心院さんが生きている事になる。
どうやって戻ったのか、あの少女は本当に――だったのか。
色々と気になる点はあるが、望んだ通り時が戻ったのだったら俺がやらないといけない事は一つだ。
これは俺の望みであり、そして本当に時が戻った以上義務でもある。
義務を果たせなかった時、あの少女とした約束も有効になってしまうだろう。
「ごめん姉さん、学校に行く準備をするよ。病院は行かなくて本当に大丈夫だから」
「あっ、ちょっ――」
俺は着替えるために姉さんを部屋の外へと押しだした後、すぐに学校へ行く準備をするのだった。
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