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第十五章 400年後の未来
第百ニ十九話 勇者ミンデの旅とアイドルユニット結成
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その日、学園祭でティアが笑顔を見せていた頃。
遥か西方の要衝都市《デュル》では、蒼炎神ティアの加護を受けし勇者ミンデが、新たな使命を胸に動き始めていた。
アルマ――その存在は未だ未知。
神々の管理を離れ、暴走した存在。
その痕跡を追って、ミンデ率いる五人の勇者パーティは、この地へとやって来ていた。
「みんな、街の人から情報を集めよう。」
ミンデの声に、仲間たちはそれぞれ頷いた。
「そうね。
手分けしましょう。」
そう言ったのは、聖剣士ミナンサ。
金色の髪に凛とした眼差しを持つ、聖属性魔法剣の使い手。
その名は既に冒険者ギルドでも知らぬ者がいないほどのS級剣士だ。
「俺は酒場をあたるぜ。」
軽く肩を回しながら言ったのは、槍使いホールディ。
粗野に見えるが、戦場では味方を背中で守る頼れる戦士。
「私はギルドへ行くわ。」
冷静に地図をたたみながら言ったのは、魔導士クルミナ。
蒼炎神教団魔導協会に属するエリートで、魔力制御の才に長けている。
「俺は教会を回ってみる。」
僧侶アミッツは、静かな口調ながら芯の強い男。
回復魔法と守護の祈りで、これまで幾度も仲間を救ってきた。
そして最後に、まだどこかあどけなさの残る少年、ミンデ。
蒼炎神ティアに選ばれた新たな勇者――
国中の希望と期待を背負いながらも、彼の瞳には迷いの色が残っていた。
夕刻、街の灯りがともる頃。
全員が宿屋の一室に集まり、情報を持ち寄った。
「僕は街の人に聞いたんだけど、先週“人型のアルマ”が城壁を乗り越えて侵入したらしい。」
ミンデは椅子に座り、真剣な眼差しで口を開いた。
「アルマって普通は獣の姿をしてるよね? でも、そのアルマは人間と同じ大きさで……しかも、話しているように見えたって。」
「ギルドにも報告が上がっていたわ。」
クルミナが頷きながら手振りで説明を加える。
「冒険者たちが街の外まで追い払ったけれど、ほとんど抵抗はしなかったみたい。
何か“探し物”をしていた、という話もあったわ。」
「教会では特に記録はない。」
アミッツが首を振る。
「だが、“神の御使いを見た”という噂は出ている。真偽は不明だがな。」
「酒場じゃ話が早かったぜ。」
ホールディは豪快に笑って、酒の匂いを漂わせながら報告を始めた。
「戦った冒険者が言うには、そいつは“全身鎧のアルマ”だったそうだ。
鋼鉄みたいな体で、赤い光の瞳。まるで機械のようだったらしい。」
「……飲んでるじゃないの!」
クルミナが鋭くツッコミを入れる。
「情報収集と称して、酒場で呑み比べ大会でもしてたんじゃないでしょうね?」
「ま、まぁまぁ。
酒も情報の潤滑油ってやつだろ?」
ホールディが笑って誤魔化すと、ミナンサが呆れたようにため息をついた。
「まったく……。
でも、確かにアルマの動きが不気味ね。
ここ数日、周辺のアルマ目撃例も激減しているのわね。」
それから数日間、勇者一行はデュルの街と近郊の森を徹底的に調査した。
だが、人型アルマの姿は影も形も見えなかった。
風のない夜、ミンデは宿の窓から星空を見上げる。
その胸には、遠くで笑っているティアの姿が浮かんでいた。
「蒼炎神ティア様……僕、本当に“勇者”になれてますか?」
その小さな呟きは夜風に溶け、静かに月明かりの中へ消えていった。
学園祭の喧騒が去り、教室にも日常の空気が戻ってきた頃――。
だが、一年三組の一角では、まだ「燃え残り」がいた。
「ティア!アーシャ!決めたよ!」
教室に入るなり、ミミィが机をバンッと叩いた。
「私たち、三人で本格的に“学園アイドルユニット”して活動して、ライブをやる!」
「……はい?」
ティアは目をぱちくりさせた。
「うん、私も聞き間違えたかと思った。」
アーシャは呆れ顔で首をかしげている。
「聞き間違いじゃないの!
だって、学園祭のメイド喫茶で、あれだけ人気だったんだよ!?
ティアの笑顔とアーシャのツンデレ、そしてこの私のプロデュース力!
完璧でしょ!?」
「いや、プロデュース力って何よ。」
ティアは額に手を当ててため息をつく。
「目立つのは嫌なの。
わたしは静かに暮らしたいの。」
「静かに暮らすには可愛すぎるのが悪いのよ!」
ミミィがずいっと詰め寄る。
「ね?アーシャも賛成でしょ!?」
アーシャは少し頬を赤らめて、小声で言った。
「……まあ、ティアの歌、聴いてみたい気はする。」
「うっ……あ、アーシャまで……!」
ティアは頬をぷくっと膨らませた。
「もう!みんな勝手に決めるんだから!」
こうして、結成された学園アイドルユニットは「Trinity☆Heart(トリニティ・ハート)」と名を改めた。
名付け親、もちろんミミィである。
「まずは練習よ!
ミュウオケでボイトレ!」
ミミィが腕まくりして、三人を引き連れカラオケルームへ。
「……ミュウオケって、“魔導通信型音響オーケストラ"の略なのね。」
アーシャが説明するが、ティアはマイクを持って固まっている。
「え、えっと……本当に、歌うの?」
「もちろん!
センター候補なんだから!」
ミミィがキラキラした目でマイクを差し出した。
「せ、センターは絶対イヤ……!」
ティアが後ずさるも、
「ティアちゃんなら絶対できるって!
信じてるから!」
その真っ直ぐな瞳に押され、ティアはしぶしぶマイクを受け取った。
「……少しだけよ?」
音楽が流れる。
そして――
ティアの唇が、そっと開いた。
次の瞬間、室内の空気が変わった。
光がきらめくような澄んだ声が流れ、
天から降るような旋律が三人を包み込んだ。
「……っ」
ミミィもアーシャも息を呑む。
まるで、魂に触れるような――神の歌声。
曲が終わると、静寂が訪れた。
そして次の瞬間、ミミィが机を叩いて叫んだ。
「こ、これは……本物だーーーっ!!!」
「ミミィ、落ち着いて……っ」
ティアは真っ赤になって小さく縮こまる。
「そんな大したことじゃないから……」
「大したことしかないよ!?」
ミミィは感動で涙ぐみ、アーシャは小さく拍手した。
「やっぱり、ティアがセンターね。」
「ええええ!?」
ティアの悲鳴が部屋に響いた。
その後、生徒会の計らいで「Trinity☆Heart」は講堂でお披露目ライブを行うことになった。
「いやぁぁぁ!
無理!
人前でなんて無理ぃぃぃ!!」
舞台袖でティアは全力拒否。
「大丈夫!
笑顔、笑顔!」
ミミィが背中を押す。
「……恥ずかしい……」
アーシャは頬を赤らめながらも衣装の裾を整えていた。
そして――幕が上がる。
ライトが三人を照らし、ティアがセンターに立つ。
彼女の歌声が流れた瞬間、講堂は一瞬で静まり返った。
まるで天から降る光のように、清らかな旋律が生徒たちの心を包み込む。
やがて拍手と歓声が嵐のように巻き起こった。
「ティアちゃん、可愛すぎるー!」
「癒やされたー!」
「神の声って、こういうのを言うのか!?」
ティアは真っ赤な顔で小さく手を振る。
ミミィは満足げにガッツポーズ。
アーシャは少し照れながらも笑顔で並んでいた。
こうして、学園の伝説――“三人の天使ユニット”が誕生したのだった。
遥か西方の要衝都市《デュル》では、蒼炎神ティアの加護を受けし勇者ミンデが、新たな使命を胸に動き始めていた。
アルマ――その存在は未だ未知。
神々の管理を離れ、暴走した存在。
その痕跡を追って、ミンデ率いる五人の勇者パーティは、この地へとやって来ていた。
「みんな、街の人から情報を集めよう。」
ミンデの声に、仲間たちはそれぞれ頷いた。
「そうね。
手分けしましょう。」
そう言ったのは、聖剣士ミナンサ。
金色の髪に凛とした眼差しを持つ、聖属性魔法剣の使い手。
その名は既に冒険者ギルドでも知らぬ者がいないほどのS級剣士だ。
「俺は酒場をあたるぜ。」
軽く肩を回しながら言ったのは、槍使いホールディ。
粗野に見えるが、戦場では味方を背中で守る頼れる戦士。
「私はギルドへ行くわ。」
冷静に地図をたたみながら言ったのは、魔導士クルミナ。
蒼炎神教団魔導協会に属するエリートで、魔力制御の才に長けている。
「俺は教会を回ってみる。」
僧侶アミッツは、静かな口調ながら芯の強い男。
回復魔法と守護の祈りで、これまで幾度も仲間を救ってきた。
そして最後に、まだどこかあどけなさの残る少年、ミンデ。
蒼炎神ティアに選ばれた新たな勇者――
国中の希望と期待を背負いながらも、彼の瞳には迷いの色が残っていた。
夕刻、街の灯りがともる頃。
全員が宿屋の一室に集まり、情報を持ち寄った。
「僕は街の人に聞いたんだけど、先週“人型のアルマ”が城壁を乗り越えて侵入したらしい。」
ミンデは椅子に座り、真剣な眼差しで口を開いた。
「アルマって普通は獣の姿をしてるよね? でも、そのアルマは人間と同じ大きさで……しかも、話しているように見えたって。」
「ギルドにも報告が上がっていたわ。」
クルミナが頷きながら手振りで説明を加える。
「冒険者たちが街の外まで追い払ったけれど、ほとんど抵抗はしなかったみたい。
何か“探し物”をしていた、という話もあったわ。」
「教会では特に記録はない。」
アミッツが首を振る。
「だが、“神の御使いを見た”という噂は出ている。真偽は不明だがな。」
「酒場じゃ話が早かったぜ。」
ホールディは豪快に笑って、酒の匂いを漂わせながら報告を始めた。
「戦った冒険者が言うには、そいつは“全身鎧のアルマ”だったそうだ。
鋼鉄みたいな体で、赤い光の瞳。まるで機械のようだったらしい。」
「……飲んでるじゃないの!」
クルミナが鋭くツッコミを入れる。
「情報収集と称して、酒場で呑み比べ大会でもしてたんじゃないでしょうね?」
「ま、まぁまぁ。
酒も情報の潤滑油ってやつだろ?」
ホールディが笑って誤魔化すと、ミナンサが呆れたようにため息をついた。
「まったく……。
でも、確かにアルマの動きが不気味ね。
ここ数日、周辺のアルマ目撃例も激減しているのわね。」
それから数日間、勇者一行はデュルの街と近郊の森を徹底的に調査した。
だが、人型アルマの姿は影も形も見えなかった。
風のない夜、ミンデは宿の窓から星空を見上げる。
その胸には、遠くで笑っているティアの姿が浮かんでいた。
「蒼炎神ティア様……僕、本当に“勇者”になれてますか?」
その小さな呟きは夜風に溶け、静かに月明かりの中へ消えていった。
学園祭の喧騒が去り、教室にも日常の空気が戻ってきた頃――。
だが、一年三組の一角では、まだ「燃え残り」がいた。
「ティア!アーシャ!決めたよ!」
教室に入るなり、ミミィが机をバンッと叩いた。
「私たち、三人で本格的に“学園アイドルユニット”して活動して、ライブをやる!」
「……はい?」
ティアは目をぱちくりさせた。
「うん、私も聞き間違えたかと思った。」
アーシャは呆れ顔で首をかしげている。
「聞き間違いじゃないの!
だって、学園祭のメイド喫茶で、あれだけ人気だったんだよ!?
ティアの笑顔とアーシャのツンデレ、そしてこの私のプロデュース力!
完璧でしょ!?」
「いや、プロデュース力って何よ。」
ティアは額に手を当ててため息をつく。
「目立つのは嫌なの。
わたしは静かに暮らしたいの。」
「静かに暮らすには可愛すぎるのが悪いのよ!」
ミミィがずいっと詰め寄る。
「ね?アーシャも賛成でしょ!?」
アーシャは少し頬を赤らめて、小声で言った。
「……まあ、ティアの歌、聴いてみたい気はする。」
「うっ……あ、アーシャまで……!」
ティアは頬をぷくっと膨らませた。
「もう!みんな勝手に決めるんだから!」
こうして、結成された学園アイドルユニットは「Trinity☆Heart(トリニティ・ハート)」と名を改めた。
名付け親、もちろんミミィである。
「まずは練習よ!
ミュウオケでボイトレ!」
ミミィが腕まくりして、三人を引き連れカラオケルームへ。
「……ミュウオケって、“魔導通信型音響オーケストラ"の略なのね。」
アーシャが説明するが、ティアはマイクを持って固まっている。
「え、えっと……本当に、歌うの?」
「もちろん!
センター候補なんだから!」
ミミィがキラキラした目でマイクを差し出した。
「せ、センターは絶対イヤ……!」
ティアが後ずさるも、
「ティアちゃんなら絶対できるって!
信じてるから!」
その真っ直ぐな瞳に押され、ティアはしぶしぶマイクを受け取った。
「……少しだけよ?」
音楽が流れる。
そして――
ティアの唇が、そっと開いた。
次の瞬間、室内の空気が変わった。
光がきらめくような澄んだ声が流れ、
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「……っ」
ミミィもアーシャも息を呑む。
まるで、魂に触れるような――神の歌声。
曲が終わると、静寂が訪れた。
そして次の瞬間、ミミィが机を叩いて叫んだ。
「こ、これは……本物だーーーっ!!!」
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「そんな大したことじゃないから……」
「大したことしかないよ!?」
ミミィは感動で涙ぐみ、アーシャは小さく拍手した。
「やっぱり、ティアがセンターね。」
「ええええ!?」
ティアの悲鳴が部屋に響いた。
その後、生徒会の計らいで「Trinity☆Heart」は講堂でお披露目ライブを行うことになった。
「いやぁぁぁ!
無理!
人前でなんて無理ぃぃぃ!!」
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「大丈夫!
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ミミィが背中を押す。
「……恥ずかしい……」
アーシャは頬を赤らめながらも衣装の裾を整えていた。
そして――幕が上がる。
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まるで天から降る光のように、清らかな旋律が生徒たちの心を包み込む。
やがて拍手と歓声が嵐のように巻き起こった。
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「癒やされたー!」
「神の声って、こういうのを言うのか!?」
ティアは真っ赤な顔で小さく手を振る。
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