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22 それから
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日が昇るころ。
私たち使い魔3匹は、遊戯室の外から、生きた人間の気配が室内にあることを確認した。
使い魔その1が判定結果を宣告する。
「昨夜のお客様について、姫さまと共に一晩過ごし、生きていることを確かめました。
姫さまのご婚約は成立しております。」
ここで、大変しかつめらしくお辞儀。
今日は、私たちは部屋には入らない。まあ、99.9パーセントお二人には何もなかっただろうけれども、とにかく呼ばれるまでは入らない。
それが様式美ってものである。
「これより各自、しかるべき作業を進めて行きましょう。」
そして私たちは、パパッと散会した。
さあ、忙しくなるぞ~。
★ ★ ★
「何だか化かされたみたいだわ……。」
姫さまは遠い目をしている。
ここは姫さまのお部屋。窓からはレースのカーテンごしに柔らかな光が振り注ぎ、木目の床にはふかふかの絨毯が。
壁紙は白、テーブルに花。天井には洒落たシャンデリア。まともな、まともな、お姫さまのお部屋である。
うん。午前中に突貫工事で頑張りました!
「こうして元に戻してみると、この3年の騒動が幻のようですね。」
万感の思いを込めてそう言うと、姫さまはじっとこちらを見つめ返してきた。
「愚かなことをしたと思う?」
「それはもう。この世の理不尽の、見本でございました。」
「あら。そう思うなら何故、私を止めてくれなかったの?」
「あれは一方的なものではございませんでしたので。所謂お互いさまかな、と。」
「??」
不思議そうな姫さま。もう少し補足するか。
「あの条件は厳しすぎるものでした。それでも求婚しにいらしたのは、求婚者さまたちご自身のご意志です。
それだけのお覚悟をされた方をお止めするのは憚られるものですよ。
それに、姫さまの方は、ご結婚に関して妥協できるようには見えませんでしたしね。」
あれは求婚者さまたちと姫さま、両方がいて成立した惨劇なのだと、私は思っている。
「そう。私もね、まさか好きな訳でもない相手に命掛けで求婚なさるお方が、あんなにいらっしゃるとは思わなかったわ。
それに、命掛けで求婚されても結婚する気にならないほど、自分が頑なだとは……知らなかったのよ…。」
姫さまは、ひとつ重いため息をついた。
「愚かだったわ。心を試してはダメね。」
あー、こりゃ反省モードだな。
夕方には、今や正式に“婚約者さま”となったあの男の子が姫さまをたずねて来る。そうなれば、姫さまも持ち直すだろうけれど。
まだ昼過ぎだ。夕方まで間がある。あまりしんみりした姫さまは、見たくないんだよなー。
私はちょっと考えて、レースのカーテンを開けた。
ここからは、お庭の向こうに城壁が見える。そして城壁の上には、風に翻る旗がある。
白地に、紫の巨大なハートマーク。
ゲッと言うなかれ、アレがうちの国旗なのだ。今日のあれは祝い旗、姫さまの求婚が上手く行ったことを辺りに報せているのである。
今日はおめでたい日ですよー。
さあさあ、どうですか~?
振り返ると、姫さまはニッコリと笑って下さった。
終わり良ければ全て良し。めでたしめでたし、かな。
★ ★ ★ おしまい ★ ★ ★
私たち使い魔3匹は、遊戯室の外から、生きた人間の気配が室内にあることを確認した。
使い魔その1が判定結果を宣告する。
「昨夜のお客様について、姫さまと共に一晩過ごし、生きていることを確かめました。
姫さまのご婚約は成立しております。」
ここで、大変しかつめらしくお辞儀。
今日は、私たちは部屋には入らない。まあ、99.9パーセントお二人には何もなかっただろうけれども、とにかく呼ばれるまでは入らない。
それが様式美ってものである。
「これより各自、しかるべき作業を進めて行きましょう。」
そして私たちは、パパッと散会した。
さあ、忙しくなるぞ~。
★ ★ ★
「何だか化かされたみたいだわ……。」
姫さまは遠い目をしている。
ここは姫さまのお部屋。窓からはレースのカーテンごしに柔らかな光が振り注ぎ、木目の床にはふかふかの絨毯が。
壁紙は白、テーブルに花。天井には洒落たシャンデリア。まともな、まともな、お姫さまのお部屋である。
うん。午前中に突貫工事で頑張りました!
「こうして元に戻してみると、この3年の騒動が幻のようですね。」
万感の思いを込めてそう言うと、姫さまはじっとこちらを見つめ返してきた。
「愚かなことをしたと思う?」
「それはもう。この世の理不尽の、見本でございました。」
「あら。そう思うなら何故、私を止めてくれなかったの?」
「あれは一方的なものではございませんでしたので。所謂お互いさまかな、と。」
「??」
不思議そうな姫さま。もう少し補足するか。
「あの条件は厳しすぎるものでした。それでも求婚しにいらしたのは、求婚者さまたちご自身のご意志です。
それだけのお覚悟をされた方をお止めするのは憚られるものですよ。
それに、姫さまの方は、ご結婚に関して妥協できるようには見えませんでしたしね。」
あれは求婚者さまたちと姫さま、両方がいて成立した惨劇なのだと、私は思っている。
「そう。私もね、まさか好きな訳でもない相手に命掛けで求婚なさるお方が、あんなにいらっしゃるとは思わなかったわ。
それに、命掛けで求婚されても結婚する気にならないほど、自分が頑なだとは……知らなかったのよ…。」
姫さまは、ひとつ重いため息をついた。
「愚かだったわ。心を試してはダメね。」
あー、こりゃ反省モードだな。
夕方には、今や正式に“婚約者さま”となったあの男の子が姫さまをたずねて来る。そうなれば、姫さまも持ち直すだろうけれど。
まだ昼過ぎだ。夕方まで間がある。あまりしんみりした姫さまは、見たくないんだよなー。
私はちょっと考えて、レースのカーテンを開けた。
ここからは、お庭の向こうに城壁が見える。そして城壁の上には、風に翻る旗がある。
白地に、紫の巨大なハートマーク。
ゲッと言うなかれ、アレがうちの国旗なのだ。今日のあれは祝い旗、姫さまの求婚が上手く行ったことを辺りに報せているのである。
今日はおめでたい日ですよー。
さあさあ、どうですか~?
振り返ると、姫さまはニッコリと笑って下さった。
終わり良ければ全て良し。めでたしめでたし、かな。
★ ★ ★ おしまい ★ ★ ★
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広間に集められた婿候補さん。王侯貴族なら中身はどうあれ身なりはキチンとしてそうなのに、見た目からして犯罪者なんて、国民の支持をどうやって得ているんだろーか?(^^;)案外国中が姫さまと同じ価値観なんじゃなかろーか…