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14 人面魚は迷う
しおりを挟むどうやらドラゴンの方でもこちらを異性として認識したらしい。なんとなくそんな様子である。
彼はバタバタと立ち上がり。お行儀良く姿勢を正すと、私の体に触れないギリギリまで寄って来て嬉しそうに匂いを嗅ぎ始めた。
え。あ。う。
近い。めちゃくちゃ近い!
息ができない!!
これは好意があるのだと思う。どんな好意かはまだ分からないけれど。勘違いでなければバッチリ異性的な好意を持たれている。
ええと。
こういう場合の女性の行動は、どうすれば良いのだったっけ?
・花を背景にキラキラと光る
・お菓子や軽食などを差し入れする
・至急、何かに困る(相手が助けられる内容に限る)
つ……、使えそうなネタがない!
いやいや落ち着こう。こういうときはやっぱりノンフィクションを参考にするんだよ。
動物ドキュメンタリーなんかで求愛を受けたメスはどうしてた?
あれっ……、なんか記憶にないぞ。
そもそも動物番組では専らオスの求愛がフォーカスされる。体の色を変えたり、ケンカをしたり、歌ったり踊ったり。
で。その間メスが何をしていたかというと。
………特に何もしてなかったような。敢えて言うならその辺を歩いていた……?
ま、全く参考にならない!!!
どうしよう。
オーケーサインってどう出すの!?
あああああ。もっとこう、日常会話を重ねてそれなりの関係が構築されてる相手なら。おそらく、多分、きっと、どうにかできたのに。
こんなところからスパーンと始まる断崖絶壁のような関係なんて。取り扱い方法がさっぱり分からない!
私は思いきり仏頂面で固まってしまった。
その様子を拒絶と捉えたようで。ドラゴンはすーっと離れて行く。
待って待って待って。違うから。
これはただ。思わぬところで私がとんでもないポンコツだっただけなんだよーーー!
困った。
こういう時、追いかけて良いのかどうかも分からない。
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