23 / 23
23 人面魚のお家
しおりを挟むここはあの神殿の地下深く。黄金の山が積まれたドラゴンの寝床の一角だ。
地下にある洞窟だけれど、辺りはわりと明るい。壁や天井には鏡が幾つもあって、それが縦穴から落ちる日の光を反射するように置かれているのである。
洞窟の片隅には大きな穴が開いていて。穴の底に、この池があるのだ。
卵は池の底、私は池の中。ドラちゃんは池のほとりがそれぞれの住みか。
そうして三人、というか三匹?で長閑に暮らしてる。
まあ傍目には。ドラゴンが生け簀のお魚を眺めている不思議な絵に見えるのかなあ。
……………それで、ええと。
なんで私はまた魚になったのか。そしてどういう経緯でこうなったのか、と言いますと。
まず。人面魚は子供ができると魚の姿に戻る仕様だったのだ。
そんなの私は知らなかったけど!
急に体に異変がおきたときには本当にビックリしたわー。
海、海、海!!それしか考えられなくて。
ともかく慌てて海に戻った。
だけどドラちゃんは泳いで付いて来ようとするし、私も、こう、遠くに行きづらいというか……。
結局、浜から離れられないまま一晩がすぎて。それで翌朝、目を覚ますと。
海の中に。前日までは存在しなかった大きな穴がぱっくりと開いていた。
ドラちゃんに促されるままその穴に入ると、それが結構な長さの地下水路で。
やがてたどり着いたのがこちらのお池だった……という訳。
あれは、もしかしなくても。ドラちゃんが一晩であの水路を掘った、っぽい。
ううむ。ドラゴンパワー恐るべし。
また私は人型をとれるのか、とれるとして何時ごろそうなるのか。それは全く分からない。
でも。今の暮らしはなかなかに楽しい。
おかしなもので。魚型だと、ドラちゃんに好意を示す方法に困らないんだよね。
ドラちゃんが腕やしっぽを池に入れてきたとき。何のためらいもなくスリスリして、ピターーッとくっ付くことができる。
あなたが好き、側にいたいのだと。
間違いなく行動して見せられる。
ああ。
人型ってなんであんなに困るかなー。
初めて人型になったときには、もうずっと人型でいてやりたい!ぐらいに思ってたのに。
今は。もう少しこうして魚型でいたいなー、なんて。ちょっと思ったりもしているのだから。
我ながらまあ、現金なものだ。
0
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
二重のカーテン (スカートの下の黒い意志)
MisakiNonagase
青春
洗濯物の隙間に隠したのは、母としての祈りと、娘のプライド。
かつて、女子高生という生き物はもっと無防備で、自由だった。
44歳の主婦、愛子が朝のベランダで手にするのは、娘たちが毎日履き替える漆黒のオーバーパンツ、通称「黒パン」。それは、令和を生きる娘たちが自らの尊厳を守るために身に着ける、鉄壁の「鎧」だった。
小学校時代のママ友たちとのランチ会。そこで語られるのは、ブルセラショップに下着を売っていた奔放な50代、無防備なまま凛と歩くしかなかった40代、そして「見せないこと」に命を懸ける10代の、あまりに深い断絶。さらには、階段で石像のように固まる父、生徒の背後に立たないよう神経を削る教師……。
一枚の黒い布を通して浮き彫りになる、現代社会の歪さと、その根底にある不器用なまでの「優しさ」。
ベランダに干された黒いカーテンの向こう側に、あなたは何を見ますか?
俺の伯爵家大掃除
satomi
ファンタジー
伯爵夫人が亡くなり、後妻が連れ子を連れて伯爵家に来た。俺、コーは連れ子も可愛い弟として受け入れていた。しかし、伯爵が亡くなると後妻が大きい顔をするようになった。さらに俺も虐げられるようになったし、可愛がっていた連れ子すら大きな顔をするようになった。
弟は本当に俺と血がつながっているのだろうか?など、学園で同学年にいらっしゃる殿下に相談してみると…
というお話です。
魅了魔法の正しい使い方
章槻雅希
ファンタジー
公爵令嬢のジュリエンヌは年の離れた妹を見て、自分との扱いの差に愕然とした。家族との交流も薄く、厳しい教育を課される自分。一方妹は我が儘を許され常に母の傍にいて甘やかされている。自分は愛されていないのではないか。そう不安に思うジュリエンヌ。そして、妹が溺愛されるのはもしかしたら魅了魔法が関係しているのではと思いついたジュリエンヌは筆頭魔術師に相談する。すると──。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる