毒が効くまで長すぎる

ねね

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1 小さな魔物

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 暗~い暗い森の中。

 すぐそばで、羽根が6枚ある蝶々が朝ごはんを食べている。彼らのサイズは70センチほど。

 向こうには、頭がない鹿の群れがいる。草の上に体を投げ出して休憩中だ。

 どう、素敵なところでしょ?
 私はここを、闇の森と呼んでいる。

 良いところだよ~?
 人間が住める場所ではないけどね。

 昔々、生まれてすぐの頃のこと。

 私は空へ飛び上がり、自分がいる場所について確認した。

 そこにあったのは、地平線まで続く黒い森。蛇が空を飛び、口から火を吹く風景だった。

 いくら何でも、地球上にコレはない。自分が人外魔境に生まれたことを悟ったね。

 そのまま、しばし呆然としたものだ。
 ええと、10分くらい。

 ちょっと短かったかな?……でも、実のところ困ることが何もなかったんだよね。

 だって私、人間じゃなくなってたからさ。

 自分の記憶を頼りにするなら、前はヒトだったはずなんだけど。

 気がついたら、私は気体になっていた。

 端的に言うと、青い色がついた霧だ。

 目も耳もない、肉体が肉体じゃない。なのにバッチリ世界を認識できる。

 何がどうなっているの?
 コレの仕組みは?

 そんな戸惑いはあったものの、霧の体は便利がよくて。結局、訳もわからないまま馴染んでしまった。

 この体は、大きさも形も思いのまま。そして風のような速さで空を飛べる。

 ずーっとずっと何日も飛べるのだ。

 霧は息をしないし、食べないし、眠らない。

 だから、休み無しで飛び続けても平気なの。

 あまりに生き物っぽくないので、実は私って幽霊かも?と、不安に思うことがある。

 自分がどういうものなのか、今もよくわからない。

 せめて仲間でも見つかれば、何か解ったりするのかな、と思うけど。

 未だに同族ぽいモノを見たことがなくてさ。レア種なのかな~。

 あー、闇の森の青い霧だからな。

 暗くてお互い気がつかず、スルーしているだけかもな。
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