冥界の愛

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愛の目覚め   君さえ良かったら…一緒に暮らして欲しいんだ

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ペルセ視点

誰かの声が聞こえる。
ゆっくりと目を開けると、見知らぬ男の人がこっちを見ている。立ち上がるのに手を貸してくれる。心配そうに覗き込んでくれている。

「どこか、お怪我はございませんか?
気分が悪かったりしませんか?」

かなり膝を屈んで目線を合わせる様子で尋ねてくれている。

少し考えてから、

「大丈夫そうです。ありがとうございます。」
「あの、それと ここはどこなのか教えていただけますか?」




ミノス視点

良かった。どこも怪我はしてないようだし、何より泣き叫ぶクソガキではないようだ。それどころか随分としっかりとしたお嬢様のようだし。幼顔なのかな?御子神なのは間違いなさそうだけど。

えっと、仕事仕事。御尊名に御用命ね。それに こんだけしっかりとした別嬪の御子神様なら、さぞや親は有名な高位な神だろうし。パパ神かママ神のお名前言えるかな?もしかしてサラブレッドかな?

「はい、ここは冥界と言う地上よりもずっと深い地下の世界です。」

まぁ正解に言うと地下ではないんだけどさ。基本的に暗闇だからそう思われてる。けど、地上から地面を掘っても掘ってもここには辿り着かねえから。こっちのがお子様にはわかりやすいだろう。

そう説明すると すこーし首を傾げて不思議そうな顔してる。

「そうなんですか。」
あっ 納得してない顔だわ。

「ところでまた どうしてこんな所で倒れてたのですか?
 申し遅れましたが、私 冥府に勤めている者でミノスと申します。
お嬢様のお名前をお聞きしてもよろしいでしょうか?」

「助けて頂きありがとうございます。
 私は、私は、うーん。
 ごめんなさい、記憶が少し混乱しているみたいです。思い出せないんです。
どうしてここに来たのかも。ただこんな所は初めての見る感じがするので、何処かから来たんだと思います。」


あー やばいかも。

「もしかしてお嬢様はあの川の水を飲みましたか?」

「ごめんなさい、覚えていません。」
「倒れてる近くに 萎れた赤い花があったんですが、見覚えはありませんか?」

「花?萎れているの?」

ピンクの花を差し出して見せると 初めて驚いた顔をして花に手を伸ばす。目を瞑り何か一生懸命に持った花を両手で囲ってる。 だけど段々と可愛い額にうっすらと汗をかいて描き始め、眉間に皺がよる。 やっぱり力 使えるんだ。御子神様に決定。


「ダメだわ、全然 力が入らない。ごめんね。どうして君は元気がないの?お水飲んだ方がいいかしら?近くに水が流れる音がするわ」

「いやー この花は水じゃあダメなんです。しかもあの川の水なんて吸わせると使い物にならなくなる。でもありがとう。私が持ち帰りますので。」

「ところで お名前は覚えておられない様子ですが、何か目的ご用事があって来た訳じゃないんですか? 何か思い出すことは無いですか?」

「ごめんなさい、やっぱり何も思い出せないんです。それより力が入らないんですが、どうしてだかわかります?」

ふーん、名前もわからない事よりも誰かとはぐれたかも知らない事よりも力が使えない事が気にかかるんだ。じゃあ力は普段使いと。まぁ枯れた花を戻そうとするぐらいだものな。

「やっぱり倒れる前にあの横の川の水を飲んだんでしょう。あの川は忘却の河なんです。力の使い方も 一緒に忘れているのかも知れませんしね」

やっぱり少し首を傾けながら、
「今はあまり喉が渇いてる感じはありません。知らない土地の見知らぬ川の水を、喉の渇きが充分に取れるほど たくさん飲む事は無いと思います。だからその水を飲んだ可能性は低いと思います。」

ふむふむ。

「それに たぶん私は臆病な方だと思うんです。好奇心旺盛ではない気がします。だから自分からここに来たのであれば、もう少し色々と服装や持ち物を準備する様なら気がします。何も持っていない。例えどこかに持って来た物を失くしてしまったりだったとしても、この服はちょっとその辺に遊びに行くだけの格好だと思います。
力も、使い方を忘れているのではなくここの場所が何か作用している気がするんです。」


自分の事も、基本的な事もわかっている。礼儀正しいし。しかも賢いようだ。
自分の方が年下だろうから敬語はやめてほしいとか。
きっと高位神の御子神だろうなのに偉そうなところもなし。何より可愛い、将来別嬪に、、いや今でも充分別嬪なお嬢さんだな。 
いい意味で親の顔が見てみたい。うん、良いね😊。


おーい!
主?聞いてますか?て言うか見てる? 

まったく~。主からは勝手に命令が入って来るのに、こっちの事は聞こえてるのか?見てるのか?わからないなんて不公平だ。

でもこの子なら 冥府宮に連れて行っても大丈夫そうだな。


「とりあえず、ここじゃなんだから 俺ん家(冥府宮)来る?」




え?
「家、ついて行ってもイイんですか?」

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