冥界の愛

文字の大きさ
20 / 107

絶対に忘れてはいけない事

しおりを挟む


「  随分と、うちのミノスと仲良くなったようですが、ここでの事は全て忘れてお帰りいただく事は聞いてますか?  」


ヘカテー様 二人きりになって急に敬語になったから 余計に緊張します。
なんだか表情も怖いです。
ミノスさんが居なくなって心細いです。

「はい」と答えるとヘカテー様は続けて、

「  ミノスではなく、誰か案内できる者を付けます。
部屋もその者から聞いて下さい。
先程仰っていた様に しばらくここで過ごしてもらう事になりました。
その間、どこでもあちこちと見て頂いてもかまいません。どうせ忘れるので。


ですが、ひとつだけ
絶対に忘れてはいけない事があります。


『此処では、一口も、何も、口に入れてはいけません』

絶対に守ってください。

もしも一口でも食べると元の世界には帰れません。例外なく。

つい うっかり忘れて一口齧ったとか、美味しそうと誘惑に負けたりなど絶対にしません様にお伝えしておきます。

おわかりいただけましたか? 」


そう怖い美人顔で 念を押される。


「 はい!決して何も食べません!」

我慢よ がまん。野苺の美味しそうな物も、何があっても ぜっーたいダメだからね。

そう自分に言い聞かせてると、ヘカテー様の表情がすこーし柔らかくなって


「 心配しなくても、此処では肉体の感覚はありません。本来 喉が渇いたりお腹が空くような事はありません。
全て気の所為ですから。死んでからくる所なので食べなくても飲まなくても死にはしませんよ。」


え?
ミノスさんと一緒で考えてる事がバレるみたい。此処の人達は、みんな心の中の事がわかるのかしら?冥界の住人たち侮れないって感じかしら?


「  お嬢さんは 素直なんですね。ミノスやカロン殿が惹かれるのがわかる気がします。」




(  タラシはやっぱりあの女の娘だからか?みんな男どもはメロメロになるのか。
ただ可愛いだけとかじゃないんだな。

でも、やっぱり気に食わない。

ハデス様のあの態度もなんなんだ。
会わないなら会わないでさっさと帰ってもらえばいいのに。
このまま無理に返せば、記憶に障害が残ったまま地上に戻ってしまう?はぁ?そんな記憶の事まで気にする必要あるのか?
それとも、誰かさんが娘を迎えにくる事でも待っているというのか?今更だ!

あんな自己中女なんて、みんなみんなどこが良いのか!ハン!
気に食わない。)



「   あの~ ヘカテー様。」

段々と、また眉間にグッと力を入れて天井向いて睨みつけてる。
こ、こ、怖~

なんか急に、不機嫌になってるみたい。

勇気を絞って話しかけたけど、
キッと睨まれた。


「 どこに出掛けてもらっても、何をご覧になってもらってもかまいませんが
あまりこの冥界の者と親しくなるのはご遠慮下さい。

あなた様は忘れて帰るだけですが、こちらは全て覚えている事ですから。
くれぐれも先程ミーノースとしていた様な再会の約束も、お控えください。
あなた様には意味のない媚びかもしれませが、こちらの者が間に受けないともかぎりませんので。悪しからず。」


そうだゎ。
私、ここでの事は忘れるようになるんだった。ミノスさんは大人だから笑って許してくれたけど、実際に再会した時に忘れられてた事もあったかもしれないわね。



私があんな事をミノスさんに言ったから不機嫌になったのかしら?
謝るべき?
でも、相手が怒ってるからとただ謝るって反対に、失礼よね。
 
私は出来るだけ考えながら

「 わかりました。お話する時には気をつける様にします。」

とだけ答えた。




その時、部屋にノックの音がした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

籠の鳥〜見えない鎖に囚われて✿❦二人の愛から…逃れられない。

クラゲ散歩
恋愛
私。ユリアナ=オリーブ(17)は、自然豊かなオータム国にあるグローパー学院に在籍している。 3年生になって一ヶ月が経ったある日。学院長に呼ばれた。技術と魔術の発展しているフォール国にある。姉妹校のカイト学院に。同じクラスで3年生の男子3名と女子3名(私を含め)。計6名で、半年の交換留学をする事になった。 ユリアナは、気楽な気持ちで留学をしたのだが…まさか学院で…あの二人に会うなんて。これは…仕組まれていたの?幼い頃の記憶。 「早く。早く。逃げなきゃ。誰か〜私を…ここから…。」

カモフラ婚~CEOは溺愛したくてたまらない!~

伊吹美香
恋愛
ウエディングプランナーとして働く菱崎由華 結婚式当日に花嫁に逃げられた建築会社CEOの月城蒼空 幼馴染の二人が偶然再会し、花嫁に逃げられた蒼空のメンツのために、カモフラージュ婚をしてしまう二人。 割り切った結婚かと思いきや、小さいころからずっと由華のことを想っていた蒼空が、このチャンスを逃すはずがない。 思いっきり溺愛する蒼空に、由華は翻弄されまくりでパニック。 二人の結婚生活は一体どうなる?

ため息ひとつ――王宮に散る花びらのように

柴田はつみ
恋愛
「離縁を、お願いしたいのです」 笑顔で、震えずに、エレナはそう言った。 夫は言葉を失った。泣いてくれれば、怒ってくれれば、まだ受け止め方があった。しかしあの静けさは、エレナがもう十分に泣き終わった後の顔だと、ヴィクトルにはわかった。 幼なじみと結ばれた三年間。すれ違いは静かに始まり、深紅のドレスの令嬢によって加速した。ため息を飲み込み、完璧な微笑みを保ち続けた公爵夫人が、最後に選んだのは――。 王宮に散る花びらのような、夫婦の崩壊と再生の物語。

落ちこぼれ村娘、拾った王子に溺愛される。

いっぺいちゃん
恋愛
辺境の村で育った元気娘 ミレイ。 ある日、森で倒れていた金髪の青年を助けるが、 実は彼は国一の人気者 完璧王子レオン だった。 だがレオンは外に出ると人格がゆるみ、 王宮で見せる完璧さは作ったキャラだった。 ミレイにだけ本音を見せるようになり、 彼は彼女に依存気味に溺愛してくる。 しかしレオンの完璧さには、 王宫の闇に関わる秘密があって—— ミレイはレオンの仮面を剥がしながら、 彼を救う本当の王子に導いていく。 ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。 ※この作品は「小説家になろう」でも同時投稿しています。

甘い匂いの人間は、極上獰猛な獣たちに奪われる 〜居場所を求めた少女の転移譚〜

具なっしー
恋愛
「誰かを、全力で愛してみたい」 居場所のない、17歳の少女・鳴宮 桃(なるみや もも)。 幼い頃に両親を亡くし、叔父の家で家政婦のような日々を送る彼女は、誰にも言えない孤独を抱えていた。そんな桃が、願いをかけた神社の光に包まれ目覚めたのは、獣人たちが支配する異世界。 そこは、男女比50:1という極端な世界。女性は複数の夫に囲われて贅沢を享受するのが常識だった。 しかし、桃は異世界の女性が持つ傲慢さとは無縁で、控えめなまま。 そして彼女の身体から放たれる**"甘いフェロモン"は、野生の獣人たちにとって極上の獲物**でしかない。 盗賊に囚われかけたところを、美形で無口なホワイトタイガー獣人・ベンに救われた桃。孤独だった少女は、その純粋さゆえに、強く、一途で、そして獰猛な獣人たちに囲われていく――。 ※表紙はAIです

とっていただく責任などありません

まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、 団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。 この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!? ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。 責任を取らなければとセルフイスから、 追いかけられる羽目に。

死に戻ったら、私だけ幼児化していた件について

えくれあ
恋愛
セラフィーナは6歳の時に王太子となるアルバートとの婚約が決まって以降、ずっと王家のために身を粉にして努力を続けてきたつもりだった。 しかしながら、いつしか悪女と呼ばれるようになり、18歳の時にアルバートから婚約解消を告げられてしまう。 その後、死を迎えたはずのセラフィーナは、目を覚ますと2年前に戻っていた。だが、周囲の人間はセラフィーナが死ぬ2年前の姿と相違ないのに、セラフィーナだけは同じ年齢だったはずのアルバートより10歳も幼い6歳の姿だった。 死を迎える前と同じこともあれば、年齢が異なるが故に違うこともある。 戸惑いを覚えながらも、死んでしまったためにできなかったことを今度こそ、とセラフィーナは心に誓うのだった。

処理中です...