冥界の愛

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ヒロイン定番のセリフ 

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 カロンの手伝いという名目で連れ出されたコレーは、忙しいタナトスの代わりにケール達の手伝いに行くと言うケイロンにお礼を言い別れた。




 渡し守の船着場までミノスと歩いて行くとカロスが他の何人かと話していた。



 ( ふふふ、やっぱりポケットのお金が重たそう。コイン入れの賽銭箱が溢れてるって言ってたけど、そのままにもしておけなくて持って帰るのも大変そうね。)

  「 こんにちは、カロンのお爺さん。
この前は舟で送っていただきありがとうございました。
それに、今日も私の子守を引き受けてくださり、お世話をおかけします。」
と声をかけると、話し合っていた皆がかなり眩しがって目を逸らしたり手を翳したりしている。

 「やあ嬢ちゃんが手伝ってくれるのかい?こっちは商売繁盛なんじゃ。よろしくのぉ。」

  コインが入ったポケットを叩きながらカロンが笑顔を向ける。

( 花友達のカロンのお爺さんは癒される、お会いしたかったです。)

 「ところで、皆さんと何を話してたんですか?その溢れてるコインの事ですか?」


 「 まぁな、それもあるんじゃが。
 今、渡場に一気に人が押し寄せてごった返しておる。中には気の荒い者も居てる。そんな中で、金が無いからとなかなか舟に乗り込めない者も多くてな。
舟を大きくして、渡渉人数を増やすと、それだけ舟の上での揉め事も多くなる。
 全く辺りを気にしない、自分の事しか見えていない者はいいんじゃが、生前から我先にとか一番良い席でとか、自分だけは特別でこんな下々の者と同席などと思ってる者もいてな。
 いつもなら、そんな奴は川に放り込むんじゃが、いかんせん人数が増えると対応が間に合わない。
 取り残されて舟に乗れない貧しさ故に死んだ者達をどうやって渡し船に乗り込んでもらうか、気の荒い者や高慢な者に順番を守らせる説得するのに時間もかかるから、どうすべきかと話していたんじゃ。」




 そうなんですね。ただ舟を漕ぐだけじゃなくて渡場の管理まで、なんだかカロンおじいさん 大変そう。


向こうの河岸に彼岸花ヒガンバナが咲き乱れている。その彼岸花すぐ近くまで舟を待ってる多くの死者達の影が見えた。
確かに、混んでいて収集が付かない感じよね。


「 カロンお爺さん、もうお賽銭なんて無くなってもいいですよね?」

「 もちろんじゃ。金が無くて乗れないって思う者達が可哀想だ。昔は金なんて身分のある者達しか持っておらなんだ。いったい、いつからかこんな習慣になったのか。死の旅人がここでお金の苦労をするのかと思うと不憫じゃ。執着を捨てる旅なのにな。わしのことを業突くジジイだと思ってる様で『これが精一杯で勘弁してください』と言われるとこっちもムッとしてまうんじゃ。」


 カロンお爺さんが業突くジジイだって。優しいお爺さんなのにな。地上界に戻ったら絶対誤解を解くわ!


 私は落ちてる大きめの木の板と軟かい炭石を拾うと一緒に来ていたミノスさんに尋ねる。


 私が、カロンお爺さんのお手伝いなら河を渡って向こうの船着場まで行っても良いか、死者達に顔を見られてもいいのかをミノスさんに聞く。
 すると、ミノスさんは
「どこにでも行っても良いし、誰とでも会って話しても良い」
と笑って答えてくれた。


 またカロンお爺さんの舟に乗せてもらった。二回目だけど、なんだか随分と時間が経った気がする。

 この前乗った時は何もわからずに不安で、でもすぐに戻れると思っていた。
 今も何もわからないのは同じだけど、ここのエスパーの様に人の心がわかる優しい人達の事を知った。それに私の力がここでは変化するのがわかった。

 私も少し理解した。ここでは、その人の事を思うと自然に思っている事がある程度心に流れてくる、これは嘘はつけないわね。
 でも、何故かわからないが、皆が私が早く地上に戻るようにと期待?いや心配されている。何かあるんだろう。

そう考えている間に河岸に着いた。

舟を降りてごった返す死者達の前に先程拾った板に思いっきり黒い炭を擦り付けて書き込んだ。


  

【  】



って看板を渡場に立てかけた。
そして、誰でもどんな言葉の人もみんなが読めます様にって力を込めた。

そうすると看板を見た人がなんとゆっくりと一列に並び始めた。
そして賽銭箱にお金を入れる人もいるけど、持ってなさそうな人もちゃんと舟に乗ってくれてる。

まぁコインの方はこれで良いかな。
後は順番だなぁって見てると
やっぱり横入りする人が見える。でも不思議な事に その無理矢理に横入りの人が舟に乗り込もうとすると、スーッと身体が宙に浮いて行列に戻ってしまう。
 何度か怒りながら💢繰り返すがどうしても元に戻ってしまうし、周りの順番を守っている人達には笑われるしで力尽きて諦めた様だ。ようやく舟に乗り込むと『じゃあ爺さん、金は要らないんだな?俺はたんまりと持ってるし良い席を用事するなら出さない事もない』とか言ってる。
 カロンお爺さんって怖い顔も出来るんだと思った。『 大人しく出来ないなら叩き落とすだけじゃ!』って、迫力ある~。



 お嬢さん、ありがとうな



そう言ってもらえたから、少しは役に立ったかしら。

 本当は名前が入ると看板を読まなくても、周りの咲き誇る花達にお喋りして伝えてもらう事もできるんだけど。名前、名前。さっさと思い出さないと、なんだか曰くがあるらしい私の名を。



 カロンお爺さんの舟がゆっくりと渡場から離れて彼岸に進んでゆくのを見送る。いってらっしゃい~と大きく手を振りながら、ハッと気が付いた。

 私、どうやって帰ろうかしら?


またまた考えてる事がバレた様で後ろのミノスさんがお腹抱えて笑ってる。
もう~気がついてたら教えて欲しかった。


まだ笑いながらミノスさんが提案してくれた。
 「 じゃあお嬢さん、今度は溜まってる俺の仕事も手伝ってくれる? 」



えっと、前に聞いたのを思い出しながら答えた。

「 ミノスさんのお仕事って、、たしか、雑務一般の方ですか? それともカウンセラーって言ってた方ですか?」


「 うんうん。よく覚えてくれてたね。一応本職なんだ。でも、judgeの方ね。」








「 judge?何それ、美味しいの? 」





はい!流石ヒロイン様。
定番のセリフ戴きましたよ♪

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