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第九章 皇太子
第九十八話 決戦、死の山(三)
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死の山表層の革命軍は、帝国機甲兵団と帝国竜騎兵団の攻撃で既に壊滅していた。
死の山を強力な結界で囲っていた六本の結界塔は、飛行戦艦艦隊の艦砲射撃と古代竜の爆炎の吐息で四本が倒壊し、既に結界は機能していなかった。
ユニコーン小隊と揚陸艇は、死の山の中腹の入り口に着陸する。
ラインハルトは飛空艇から降りると、揚陸艇の陸戦隊に命令する。
「陸戦隊は此処で待機。出口を確保せよ」
飛空艇から降りたジカイラが軽口を叩く。
「さて。さっさとガマガエル一味をやっちまおうぜ!」
ラインハルトはフッと鼻で笑うと、小隊に号令を出す。
「ユニコーン小隊、前へ! 行くぞ!」
「「了解!!」」
ユニコーン小隊は、死の山の入り口から司令室を目指して通路を進む。
機甲兵団の輸送用飛空艇が死の山中腹の別の入口に着陸する。
輸送飛空艇のハッチが開くと、中から二人の軍服姿の美女が降りてくる。
帝国不死兵団を率いる不死者王のエリシス・クロフォード伯爵と、その副官、真祖吸血鬼のリリー・マルレーである。
彼女達の後に死の騎士や骸骨騎士などの不死者の軍勢が輸送飛空艇からゾロゾロと降りてくる。
エリシスが傍らのリリーに話し掛ける。
「行くわよ。リリー」
「判りました」
二人の美女を先頭に、帝国不死兵団は死の山の中に進軍して行った。
死の山の別の入口には、帝国魔界兵団が到達。
二体の上位悪魔を先頭に、ナナシ伯爵と紳士の姿に変身した魔神マイルフィックは、帝国魔界兵団を率いて通路を奥に進んで行った。
程なくユニコーン小隊、帝国不死兵団、帝国魔界兵団は、死の山を防衛する革命軍兵士や秘密警察戦闘員と交戦する。
--死の山 司令室 革命党本部
ヴォギノの元に軍事委員のコンパクが駆け込んでくる。
「ヴォギノ首席! 帝国軍が死の山内部に侵入しました! 現在、防衛部隊と交戦中です!!」
ヴォギノは笑い出す。
「ふはははは! 遂に来おったか!!」
ヴォギノはコンパクに命令する。
「付いて来い!」
「はっ!!」
ヴォギノはそう言って、コンパクに付いて来るように命令すると、司令室からエレベーターで地下奥深く降りていく。
エレベーターは地下深くで止まり、その扉を開く。
その扉の先は、広い玄室になっていた。
玄室の天井には一定間隔で魔法の青白い光を放つランタンが吊り下げられ不気味な光で玄室を照らしている。
床には巨大な魔法陣が描かれ青白く光を放っており、巨大な六本の水晶塔が魔法陣の中に配置されていた。
コンパクが玄室と魔法陣を見て驚愕する。
「ヴォギノ首席! ・・・これは一体!?」
ヴォギノは醜悪な笑みを浮かべる。
「まぁ、見ていろ!」
ヴォギノは懐から水晶を取り出すと魔法陣の中心に置く。
中心に置かれた水晶に反応するように六本の巨大な水晶塔は共振し始め、床の魔法陣が放つ青白い光は次第に強くなる。
やがて、大きな地震が死の山を襲う。
コンパクが悲鳴を上げる。
「ヒィイイイ!!」
ヴォギノがコンパクを一喝する。
「落ち着け! これが死の山の真の姿だ!!」
「真の姿!?」
理解できないといった具合のコンパクにヴォギノが説明する。
「六本の巨大な魔導水晶塔を共振させて大量の魔力を集める。そして集めた魔力を巨大な魔法陣から浮遊水晶の岩盤層に直接、注ぎ込む仕掛けだ!!」
コンパクが驚く。
「浮遊水晶の岩盤層!?」
ヴォギノが歪んだ笑みを浮かべる。
「そうだ。この要塞死の山は空を飛ぶのだよ!!」
-- 死の山 通路 ユニコーン小隊
大きな地震がユニコーン小隊を襲う。
ジカイラが素っ頓狂な声を上げる。
「なんだぁ!?」
クリシュナも驚く。
「地震!?」
入り口から陸戦隊員の一人が走ってくる。
「大変です! 死の山が・・・」
ラインハルトが聞き返す。
「死の山がどうした?」
「この要塞、死の山が・・・空に浮かびました」
小隊全員が驚く。
「「なんだって!?」」
ジカイラが悪態を突く。
「ガマガエル一味め! このままじゃ逃げられないと考えて、立て籠もる要塞ごと空に浮かべて、国外逃亡するつもりだな!!」
ハリッシュも呆れたように話す。
「しかし、まぁ、彼等は次から次へと、よく悪知恵が働くものですね。まさか要塞ごと空に浮かべて国外逃亡を謀るとは」
ナナイが尋ねる。
「国外逃亡って、一体、何処に?」
ラインハルトが答える。
「バレンシュテット帝国の力が及ばないところ・・・新大陸しかないだろうな」
ヒナも驚いて尋ねる。
「まさか、革命党は山一つを丸ごと空に浮かべて、そのまま新大陸まで逃げるつもりなの!?」
ケニーも呆れたように話す。
「革命党なら、やりかねないね」
ラインハルトが結論を下す。
「陸戦隊は引き続き待機。危なくなったら独自の判断で撤退して構わない」
陸戦隊員が聞き返す。
「殿下は如何されますか?」
「我々はこのまま司令室を目指す! 行くぞ!」
「「おう!!」」
敬礼で見送る陸戦隊員を置いて、ラインハルト達は、司令室を目指して通路を駆けて行った。
死の山を強力な結界で囲っていた六本の結界塔は、飛行戦艦艦隊の艦砲射撃と古代竜の爆炎の吐息で四本が倒壊し、既に結界は機能していなかった。
ユニコーン小隊と揚陸艇は、死の山の中腹の入り口に着陸する。
ラインハルトは飛空艇から降りると、揚陸艇の陸戦隊に命令する。
「陸戦隊は此処で待機。出口を確保せよ」
飛空艇から降りたジカイラが軽口を叩く。
「さて。さっさとガマガエル一味をやっちまおうぜ!」
ラインハルトはフッと鼻で笑うと、小隊に号令を出す。
「ユニコーン小隊、前へ! 行くぞ!」
「「了解!!」」
ユニコーン小隊は、死の山の入り口から司令室を目指して通路を進む。
機甲兵団の輸送用飛空艇が死の山中腹の別の入口に着陸する。
輸送飛空艇のハッチが開くと、中から二人の軍服姿の美女が降りてくる。
帝国不死兵団を率いる不死者王のエリシス・クロフォード伯爵と、その副官、真祖吸血鬼のリリー・マルレーである。
彼女達の後に死の騎士や骸骨騎士などの不死者の軍勢が輸送飛空艇からゾロゾロと降りてくる。
エリシスが傍らのリリーに話し掛ける。
「行くわよ。リリー」
「判りました」
二人の美女を先頭に、帝国不死兵団は死の山の中に進軍して行った。
死の山の別の入口には、帝国魔界兵団が到達。
二体の上位悪魔を先頭に、ナナシ伯爵と紳士の姿に変身した魔神マイルフィックは、帝国魔界兵団を率いて通路を奥に進んで行った。
程なくユニコーン小隊、帝国不死兵団、帝国魔界兵団は、死の山を防衛する革命軍兵士や秘密警察戦闘員と交戦する。
--死の山 司令室 革命党本部
ヴォギノの元に軍事委員のコンパクが駆け込んでくる。
「ヴォギノ首席! 帝国軍が死の山内部に侵入しました! 現在、防衛部隊と交戦中です!!」
ヴォギノは笑い出す。
「ふはははは! 遂に来おったか!!」
ヴォギノはコンパクに命令する。
「付いて来い!」
「はっ!!」
ヴォギノはそう言って、コンパクに付いて来るように命令すると、司令室からエレベーターで地下奥深く降りていく。
エレベーターは地下深くで止まり、その扉を開く。
その扉の先は、広い玄室になっていた。
玄室の天井には一定間隔で魔法の青白い光を放つランタンが吊り下げられ不気味な光で玄室を照らしている。
床には巨大な魔法陣が描かれ青白く光を放っており、巨大な六本の水晶塔が魔法陣の中に配置されていた。
コンパクが玄室と魔法陣を見て驚愕する。
「ヴォギノ首席! ・・・これは一体!?」
ヴォギノは醜悪な笑みを浮かべる。
「まぁ、見ていろ!」
ヴォギノは懐から水晶を取り出すと魔法陣の中心に置く。
中心に置かれた水晶に反応するように六本の巨大な水晶塔は共振し始め、床の魔法陣が放つ青白い光は次第に強くなる。
やがて、大きな地震が死の山を襲う。
コンパクが悲鳴を上げる。
「ヒィイイイ!!」
ヴォギノがコンパクを一喝する。
「落ち着け! これが死の山の真の姿だ!!」
「真の姿!?」
理解できないといった具合のコンパクにヴォギノが説明する。
「六本の巨大な魔導水晶塔を共振させて大量の魔力を集める。そして集めた魔力を巨大な魔法陣から浮遊水晶の岩盤層に直接、注ぎ込む仕掛けだ!!」
コンパクが驚く。
「浮遊水晶の岩盤層!?」
ヴォギノが歪んだ笑みを浮かべる。
「そうだ。この要塞死の山は空を飛ぶのだよ!!」
-- 死の山 通路 ユニコーン小隊
大きな地震がユニコーン小隊を襲う。
ジカイラが素っ頓狂な声を上げる。
「なんだぁ!?」
クリシュナも驚く。
「地震!?」
入り口から陸戦隊員の一人が走ってくる。
「大変です! 死の山が・・・」
ラインハルトが聞き返す。
「死の山がどうした?」
「この要塞、死の山が・・・空に浮かびました」
小隊全員が驚く。
「「なんだって!?」」
ジカイラが悪態を突く。
「ガマガエル一味め! このままじゃ逃げられないと考えて、立て籠もる要塞ごと空に浮かべて、国外逃亡するつもりだな!!」
ハリッシュも呆れたように話す。
「しかし、まぁ、彼等は次から次へと、よく悪知恵が働くものですね。まさか要塞ごと空に浮かべて国外逃亡を謀るとは」
ナナイが尋ねる。
「国外逃亡って、一体、何処に?」
ラインハルトが答える。
「バレンシュテット帝国の力が及ばないところ・・・新大陸しかないだろうな」
ヒナも驚いて尋ねる。
「まさか、革命党は山一つを丸ごと空に浮かべて、そのまま新大陸まで逃げるつもりなの!?」
ケニーも呆れたように話す。
「革命党なら、やりかねないね」
ラインハルトが結論を下す。
「陸戦隊は引き続き待機。危なくなったら独自の判断で撤退して構わない」
陸戦隊員が聞き返す。
「殿下は如何されますか?」
「我々はこのまま司令室を目指す! 行くぞ!」
「「おう!!」」
敬礼で見送る陸戦隊員を置いて、ラインハルト達は、司令室を目指して通路を駆けて行った。
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