1 / 63
プロローグ
第一話 第二皇子、平民として士官学校へ
しおりを挟む
始原の炎ありき。
創造主は、始原の炎から世界を造り、神々と対になる魔神達を造り給う。
始原の炎、残りは金鱗の竜王となった。
創造主は神々と魔神達に告げる。
「汝らは世界を形造れ」
創造主は金鱗の竜王に告げる。
「汝は世界を調停せよ」
言葉を残し、創造主は去る。
神々は人と亜人、精霊を造って僕とし、魔神達は悪魔と魔獣、妖魔を造って僕とした。
神々と魔神達は、領土を巡って相容れず、創造主の言葉を忘れ、世界を造らずに僕を率いて互いに争う。
争いは幾千年もの間続き、遂に金鱗の竜王がいきり立つ。
金鱗の竜王は、始原の炎を吐いて神々の肉体を滅ぼした。
魔神達は金鱗の竜王を恐れ、悪魔と共に地獄へと通じる地下深い穴に逃げ込む。魔獣は大陸から世界の端へと逃げて行った。
金鱗の竜王は、大陸を自分の領地として眠りに就く。
かくして世界は未完成のまま、アスカニア大陸に人と亜人、精霊と妖魔の時代が到来せり。
-アスカニア大陸創世記 詩編 序章-
暴力革命による動乱を終結させた『革命戦役』から十七年後。
--帝都ハーヴェルヴェルク 皇宮
身なりの良い金髪の少年が廊下を歩いてくる。
母親に似た美しい顔立ちと美しいエメラルドの瞳とは相反して、視線の先は、退屈しのぎに何かを探しているように見えた。
皇宮のとある部屋からメイドが出て来る。メイドは黒目黒髪の十代後半の少女であった。
部屋での仕事を終え、次の仕事場へ向かうところだろう。
廊下を歩く少年は、部屋から出てきたメイドに目を止める。
メイドも少年の存在に気が付き、廊下の片隅に身を寄せると、少年に向けて頭を下げる。
少年がメイドに話し掛ける。
「おい」
「はい」
少年に声を掛けられたメイドは、「困った事になった」と少し表情を曇らせる。
「ちょっと来い!」
少年は、メイドの手首を掴むと力ずくで引っ張っていく。
驚いたメイドが口を開く。
「あの・・・、困ります! まだ、仕事がありますので」
少年は、メイドの言葉を無視して手を引いたまま、どんどん早足で歩いていく。
そして、少年は、皇宮の一角にある書庫にメイドを連れ込む。
書庫といっても、皇宮の書庫は小さな図書館程の規模があり、帝国の歴史書や地図、過去の戦争の記録などの書物が本棚にぎっしりと並んでいた。
少年は、書庫の奥にある閲覧席の机の前までメイドを連れ込むと、メイドの前に仁王立ちして告げる。
「脱げ」
メイドは、俯いて少年に尋ねる。
「あの・・・、服ですか?」
「そうだ」
少年の言葉にメイドは「悪い予感が当たった」という表情を浮かべる。
「・・・畏まりました」
メイドは恥じらいから俯いたまま、着ている服を一枚一枚と脱ぎ、後ろの閲覧席の傍らに脱いだ服を畳んで置いていく。
メイドは下着姿になって少年の前に立つと、少年に尋ねる。
「これで・・・よろしいでしょうか?」
少年は、勝ち誇ったような顔でメイドに告げる。
「まだだ。全部だ。・・・脱げ」
「・・・畏まりました」
メイドは泣き出しそうな顔で下着を脱ぐと、畳んだ服の上に脱いだ下着を置く。
メイドの胸の形の良い双丘と、秘所が顕になる。
メイドは恥じらいから、両手で胸と秘所を隠しながら立ち、少年に尋ねる。
「・・・これで、よろしいでしょうか?」
「そうだ。後ろの机に座れ」
「はい」
メイドは少年に命じられたまま、後ろの閲覧席の机に腰掛ける。
「こうだな」
そう呟くと少年は、机に腰掛けたメイドの両足を手で掴み、M字にその両足を広げる。
「ああっ!」
メイドは、か細い悲鳴をあげると、恥じらいから少年から顔を背けて俯く。
少年は、顕になったメイドの秘所を両手の指で広げ、顔を近付けてじっくりと眺めて呟く。
「女の秘所とは、こうなっているのか・・・」
メイドは涙声で少年に訴える。
「もう、お許し下さい」
少年は、涙声で許しを乞うメイドの顔を見ると、右手の三本の指で秘所を撫で始める。
「ああっ・・・」
メイドは少年の愛撫に敏感に反応して声を漏らす。
「許す? 何をだ?」
少年はメイドにそう答えると、秘所への愛撫を続ける。
「あっ・・・ああっ・・・」
メイドは、か細く悲鳴とも喘ぎ声とも、とれる声を漏らす。
少年は、メイドの反応を楽しみながら愛撫を続ける。
「んん? ぬるぬるしてきたぞ?」
メイドの秘所から滴る透明な体液が少年の指に絡み付き、糸を引く。
「どうか・・・もう・・・お許し下さい」
メイドが目に涙を浮かべ、涙声で少年に許しを乞いた、その時であった。
突然、扉が開き、ドレスを着た女性が書庫に入ってくる。
皇妃のナナイであった。
ナナイは、少年とメイドの痴態を目撃すると、激怒して怒鳴る。
「アレク!! またメイドの娘に悪戯して!!」
少年の名前は、アレキサンダー・ヘーゲル・フォン・バレンシュテット。愛称、アレク。
皇帝ラインハルトと皇妃ナナイの次男であり、バレンシュテット帝国第二皇子である。
アレクは、驚いてナナイの怒鳴り声が聞こえた方を向く。
「母上!?」
ナナイの姿を見たアレクは、脱兎の如く、その場から走って逃げ出す。
「『書庫に行く』と言っていたから、勉強しているかと思えば!!」
「『女体の神秘』についての実習ですよ!」
「待ちなさい!!」
ナナイも、息子のアレクを走って追い掛ける。
走って追い掛けてくるナナイに向かって、アレクは逃げながら軽口を叩く。
「母上! あんまり怒ると美しい御顔に小ジワが増えますよ!」
からかわれたナナイの顔が益々赤くなる。
「今日は許さないから!!」
ナナイは、書庫の一角に息子のアレクを追い詰める。
「逃がさないわよ!」
ナナイは、正拳でアレクに殴り掛かるが、アレクは紙一重でナナイの拳を避ける。
普通の母親なら平手打ちにするのだろうが、皇妃のナナイは聖騎士であり、格闘戦も体術もかなりの腕前であった。
ナナイが、右、左、右と連続でアレクに殴り掛かるが、いずれもアレクは避ける。
再びアレクが軽口を叩き、ナナイを挑発する。
「当たりませんねぇ~。母上」
「何だと!?」
アレクの挑発に激昂したナナイが、本気を出す。
ナナイは上半身を大きく反らせると、大きく脚を開いて回し蹴りを放つ。
アレクは、ナナイの回し蹴りを両腕で受け止める。
回し蹴りを受け止め、両腕に走る鈍痛にアレクが顔を歪める。
「ぐうっ・・・!!」
次の瞬間、再びアレクは脱兎のごとく走って逃げる。
「くっ!!」
ナナイも再びアレクを追い掛ける。
アレクとナナイが廊下に出ると、廊下の先から二人の少女を従えた少年が現れる。三人とも制服姿であった。
少年が口を開く。
「どうしました? 母上。 ・・・アレク!?」
アレクが少年に驚く。
「兄上!?」
現れた少年にナナイが話し掛ける。
「ジーク! アレクを捕まえて!」
ジークと呼ばれた少年は、金髪で顔も容姿もラインハルトの少年時代にそっくりであったが、瞳の色だけが違い、その色は母親のナナイと同じ美しいエメラルドであった。
ジークフリート・ヘーゲル・フォン・バレンシュテット。愛称、ジーク。
皇帝ラインハルトと皇妃ナナイの長男であり、バレンシュテット帝国皇太子である。
若くして上級騎士となった実力は、父親のラインハルト譲りの才能と努力の賜物であった。
ジークに付き従う制服姿の少女は、『大陸最強の竜騎士』と名高いアキックス伯爵の孫娘、ソフィア・ゲキックス。
燃えるような紅い髪と瞳を持った、気が強そうに見える凛とした竜騎士の美少女であった。
もう一人の制服姿の少女は、『神速と速攻の魔法騎士』ヒマジン伯爵の娘、アストリッド・トゥエルブである。
ソフィアとは対照的な物静かな印象の澄んだ勿忘草色の髪と瞳の魔法騎士の美少女であった。
三人は、士官学校の休みに合わせて、ジークの実家である皇宮に来ていた。
ナナイの言葉を聞いたジークが苦々しく口を開き、アレクの前に立ち塞がる。
「アレク! 貴様!!」
「チッ!!」
アレクは短く舌打ちすると、上目遣いに兄のジークを睨み付け、拳で殴り掛かる。
ジークはアレクの左右の拳を避けると、反撃の拳を繰り出す。
「ぐはっ!!」
ジークの拳はアレクの顔面を捉え、アレクは短い嗚咽と共にその場に倒れる。
ジークは更に、倒れたアレクを数回蹴り飛ばすと、その頭を踏み付ける。
ジークは、踏み付けたアレクを冷酷に見下しながら怒りに満ちた口を開く。
「アレク! 貴様・・・。母上は身重なのだぞ? 貴様は、父上や母上を助け、弟や妹達を導く立場だろう! バレンシュテット帝国第二皇子という自分の立場を理解しているのか?」
ナナイの胎内には、新しい命が宿っていた。
兄のジークに頭を踏み付けられたまま、アレクはジークを睨み上げ、口を開く。
「くそっ・・・。一つしか違わないのに、エラそうに!!」
ナナイがジークとアレクの二人の間に割って入る。
「ジーク! やりすぎよ! アレクを殺す気!?」
ナナイに仲裁され、ジークはアレクの頭から足を避けると、口を開く。
「母上は甘いのです! こうして甘やかすから、アレクがツケあがるのです!!」
「何事だ! 騒々しい!!」
執務室から二人の少年の父親である皇帝ラインハルトが現れる。
「「父上!」」
「「陛下!」」
ジークは、短く言葉を口にすると廊下の端に身を寄せ、踵を鳴らして直立不動の姿勢を取り、ラインハルトに向けて一礼する。
ジークに付き従うソフィアとアストリッドも廊下の端に身を寄せるが、彼女達は片膝を着き、ラインハルトに向けて最敬礼を取る。
アレクも口を開くと、両手をついて這いつくばった床から起き上がり、ラインハルトの方を見る。
ラインハルトは、畏まるジーク達三人に軽く右手をかざして楽にするように伝えると、ナナイの元へ歩いていく。
ナナイは、ラインハルトに事の一部始終を話す。
ラインハルトは、大きくため息を吐くとアレクに尋ねる。
「・・・それで。アレク。お前は、そのメイドを妃にしたいのか?」
アレクが答える。
「いいえ。そんなつもりはありません」
「では、どういうつもりだ?」
「遊んでいただけです」
次の瞬間、ラインハルトの正拳がアレクの顔面に炸裂する。
「ゴッ!?」
短い嗚咽と共にアレクは殴り飛ばされ、廊下の壁に当たると床にへたり込む。
(何だ!? 見えなかった! 父上に殴られたのか??)
ラインハルトが床にへたり込むアレクの前に立って告げる。
「・・・良いか? アレク。お前も年頃だ。『好きな女の子と遊ぶ』のは構わない。その子と一緒に街でデートしても、遠掛けしても良い。だが、帝室の権威を傘にきて『女の子を玩具にして弄ぶこと』は許さん!! 男なら、言葉と行動に責任を持て!!」
アレクは、床にへたり込んだまま、ラインハルトを見上げて呟く。
「帝室の権威・・・」
皇宮で務めるメイドは、皆、帝国の下級貴族の次女三女達であり、彼女達が皇太子や皇子達の目に止まり『御手付』となれば、彼女達自身だけでなく、実家の栄達も約束されたようなものであった。
下級貴族出身という身分と実家を巻き込むという立場から、帝室の皇子達に抵抗できないメイド達を玩具にして弄ぶことを皇帝ラインハルトは許さなかった。
ラインハルトは、二人の女性従者を連れ、軍人らしく毅然とした長男のジークを見た後、床にへたり込んだまま自分を見上げる次男のアレクの様子を見て、少し考える素振りを見せる。
ラインハルトがアレクに告げる。
「・・・アレク。お前は根本的に鍛え直さねばならないようだ。来期からお前もジーク同様、士官学校に入れ!」
アレクが文句を言う。
「ええっ!? 私が?? 嫌ですよ!!」
ラインハルトは、アレクに諭す。
「兄のジークは、士官学校で全科目満点で首席。評価は全てA。来期、飛び級で上の学年へ編入だ。お前もジークを見習って、少し頑張ってみろ!」
兄と比較されたアレクは、強烈に兄のジークを皮肉る。
「私に兄上を見習えですって!? 十代で『愛人』が二人も居る兄上を?? 私はメイド一人に、ちょっとイタズラしただけで、ここまでの仕打ちを受けているのに!?」
「「『愛人』って・・・!!」」
アレクに『ジークの愛人』と揶揄されたソフィアとアストリッドは、二人揃ってその言葉を口にすると、照れて赤面する。
ソフィアは頬を赤らめてジークの腕を取ると、その顔色を伺いながら嬉しそうに甘えるような猫撫で声でジークに尋ねる。
「そんな。『愛人』だなんて・・・。ジーク様。私、ジーク様の愛人だと思われているようです。どうしましょう」
アストリッドも頬を赤らめ、横目でチラッチラッとジークを伺いながら、口を開く。
「私は、両親からジーク様の閨事の御相手も務めるように仰せつかっております」
「貴様、私を愚弄するか!!」
アレクに皮肉られたジークは、床にへたり込むアレクを再び蹴り飛ばす。
「よせ。ジーク」
ラインハルトは、静かにそう言うと右手を軽く上げ、ジークを制止する。
ジークは、素直にラインハルトの制止に従い、一歩下がると再びラインハルトに向けて一礼する。
ラインハルトがアレクに向けて続ける。
「アレク。お前が『バレンシュテット』姓を名乗ることを禁じる! 平民として士官学校の平民組に入れる! 良いな?」
アレクは涙目でラインハルトを見上げる。
「そんな・・・」
こうしてバレンシュテット帝国第二皇子 アレキサンダー・ヘーゲル・フォン・バレンシュテットは、平民のアレキサンダー・ヘーゲルとして、バレンシュテット帝国軍士官学校 平民組への入学を余儀なくされた。
暴力革命による動乱を終結させた『革命戦役』から十七年後。
物語はここから始まる。
創造主は、始原の炎から世界を造り、神々と対になる魔神達を造り給う。
始原の炎、残りは金鱗の竜王となった。
創造主は神々と魔神達に告げる。
「汝らは世界を形造れ」
創造主は金鱗の竜王に告げる。
「汝は世界を調停せよ」
言葉を残し、創造主は去る。
神々は人と亜人、精霊を造って僕とし、魔神達は悪魔と魔獣、妖魔を造って僕とした。
神々と魔神達は、領土を巡って相容れず、創造主の言葉を忘れ、世界を造らずに僕を率いて互いに争う。
争いは幾千年もの間続き、遂に金鱗の竜王がいきり立つ。
金鱗の竜王は、始原の炎を吐いて神々の肉体を滅ぼした。
魔神達は金鱗の竜王を恐れ、悪魔と共に地獄へと通じる地下深い穴に逃げ込む。魔獣は大陸から世界の端へと逃げて行った。
金鱗の竜王は、大陸を自分の領地として眠りに就く。
かくして世界は未完成のまま、アスカニア大陸に人と亜人、精霊と妖魔の時代が到来せり。
-アスカニア大陸創世記 詩編 序章-
暴力革命による動乱を終結させた『革命戦役』から十七年後。
--帝都ハーヴェルヴェルク 皇宮
身なりの良い金髪の少年が廊下を歩いてくる。
母親に似た美しい顔立ちと美しいエメラルドの瞳とは相反して、視線の先は、退屈しのぎに何かを探しているように見えた。
皇宮のとある部屋からメイドが出て来る。メイドは黒目黒髪の十代後半の少女であった。
部屋での仕事を終え、次の仕事場へ向かうところだろう。
廊下を歩く少年は、部屋から出てきたメイドに目を止める。
メイドも少年の存在に気が付き、廊下の片隅に身を寄せると、少年に向けて頭を下げる。
少年がメイドに話し掛ける。
「おい」
「はい」
少年に声を掛けられたメイドは、「困った事になった」と少し表情を曇らせる。
「ちょっと来い!」
少年は、メイドの手首を掴むと力ずくで引っ張っていく。
驚いたメイドが口を開く。
「あの・・・、困ります! まだ、仕事がありますので」
少年は、メイドの言葉を無視して手を引いたまま、どんどん早足で歩いていく。
そして、少年は、皇宮の一角にある書庫にメイドを連れ込む。
書庫といっても、皇宮の書庫は小さな図書館程の規模があり、帝国の歴史書や地図、過去の戦争の記録などの書物が本棚にぎっしりと並んでいた。
少年は、書庫の奥にある閲覧席の机の前までメイドを連れ込むと、メイドの前に仁王立ちして告げる。
「脱げ」
メイドは、俯いて少年に尋ねる。
「あの・・・、服ですか?」
「そうだ」
少年の言葉にメイドは「悪い予感が当たった」という表情を浮かべる。
「・・・畏まりました」
メイドは恥じらいから俯いたまま、着ている服を一枚一枚と脱ぎ、後ろの閲覧席の傍らに脱いだ服を畳んで置いていく。
メイドは下着姿になって少年の前に立つと、少年に尋ねる。
「これで・・・よろしいでしょうか?」
少年は、勝ち誇ったような顔でメイドに告げる。
「まだだ。全部だ。・・・脱げ」
「・・・畏まりました」
メイドは泣き出しそうな顔で下着を脱ぐと、畳んだ服の上に脱いだ下着を置く。
メイドの胸の形の良い双丘と、秘所が顕になる。
メイドは恥じらいから、両手で胸と秘所を隠しながら立ち、少年に尋ねる。
「・・・これで、よろしいでしょうか?」
「そうだ。後ろの机に座れ」
「はい」
メイドは少年に命じられたまま、後ろの閲覧席の机に腰掛ける。
「こうだな」
そう呟くと少年は、机に腰掛けたメイドの両足を手で掴み、M字にその両足を広げる。
「ああっ!」
メイドは、か細い悲鳴をあげると、恥じらいから少年から顔を背けて俯く。
少年は、顕になったメイドの秘所を両手の指で広げ、顔を近付けてじっくりと眺めて呟く。
「女の秘所とは、こうなっているのか・・・」
メイドは涙声で少年に訴える。
「もう、お許し下さい」
少年は、涙声で許しを乞うメイドの顔を見ると、右手の三本の指で秘所を撫で始める。
「ああっ・・・」
メイドは少年の愛撫に敏感に反応して声を漏らす。
「許す? 何をだ?」
少年はメイドにそう答えると、秘所への愛撫を続ける。
「あっ・・・ああっ・・・」
メイドは、か細く悲鳴とも喘ぎ声とも、とれる声を漏らす。
少年は、メイドの反応を楽しみながら愛撫を続ける。
「んん? ぬるぬるしてきたぞ?」
メイドの秘所から滴る透明な体液が少年の指に絡み付き、糸を引く。
「どうか・・・もう・・・お許し下さい」
メイドが目に涙を浮かべ、涙声で少年に許しを乞いた、その時であった。
突然、扉が開き、ドレスを着た女性が書庫に入ってくる。
皇妃のナナイであった。
ナナイは、少年とメイドの痴態を目撃すると、激怒して怒鳴る。
「アレク!! またメイドの娘に悪戯して!!」
少年の名前は、アレキサンダー・ヘーゲル・フォン・バレンシュテット。愛称、アレク。
皇帝ラインハルトと皇妃ナナイの次男であり、バレンシュテット帝国第二皇子である。
アレクは、驚いてナナイの怒鳴り声が聞こえた方を向く。
「母上!?」
ナナイの姿を見たアレクは、脱兎の如く、その場から走って逃げ出す。
「『書庫に行く』と言っていたから、勉強しているかと思えば!!」
「『女体の神秘』についての実習ですよ!」
「待ちなさい!!」
ナナイも、息子のアレクを走って追い掛ける。
走って追い掛けてくるナナイに向かって、アレクは逃げながら軽口を叩く。
「母上! あんまり怒ると美しい御顔に小ジワが増えますよ!」
からかわれたナナイの顔が益々赤くなる。
「今日は許さないから!!」
ナナイは、書庫の一角に息子のアレクを追い詰める。
「逃がさないわよ!」
ナナイは、正拳でアレクに殴り掛かるが、アレクは紙一重でナナイの拳を避ける。
普通の母親なら平手打ちにするのだろうが、皇妃のナナイは聖騎士であり、格闘戦も体術もかなりの腕前であった。
ナナイが、右、左、右と連続でアレクに殴り掛かるが、いずれもアレクは避ける。
再びアレクが軽口を叩き、ナナイを挑発する。
「当たりませんねぇ~。母上」
「何だと!?」
アレクの挑発に激昂したナナイが、本気を出す。
ナナイは上半身を大きく反らせると、大きく脚を開いて回し蹴りを放つ。
アレクは、ナナイの回し蹴りを両腕で受け止める。
回し蹴りを受け止め、両腕に走る鈍痛にアレクが顔を歪める。
「ぐうっ・・・!!」
次の瞬間、再びアレクは脱兎のごとく走って逃げる。
「くっ!!」
ナナイも再びアレクを追い掛ける。
アレクとナナイが廊下に出ると、廊下の先から二人の少女を従えた少年が現れる。三人とも制服姿であった。
少年が口を開く。
「どうしました? 母上。 ・・・アレク!?」
アレクが少年に驚く。
「兄上!?」
現れた少年にナナイが話し掛ける。
「ジーク! アレクを捕まえて!」
ジークと呼ばれた少年は、金髪で顔も容姿もラインハルトの少年時代にそっくりであったが、瞳の色だけが違い、その色は母親のナナイと同じ美しいエメラルドであった。
ジークフリート・ヘーゲル・フォン・バレンシュテット。愛称、ジーク。
皇帝ラインハルトと皇妃ナナイの長男であり、バレンシュテット帝国皇太子である。
若くして上級騎士となった実力は、父親のラインハルト譲りの才能と努力の賜物であった。
ジークに付き従う制服姿の少女は、『大陸最強の竜騎士』と名高いアキックス伯爵の孫娘、ソフィア・ゲキックス。
燃えるような紅い髪と瞳を持った、気が強そうに見える凛とした竜騎士の美少女であった。
もう一人の制服姿の少女は、『神速と速攻の魔法騎士』ヒマジン伯爵の娘、アストリッド・トゥエルブである。
ソフィアとは対照的な物静かな印象の澄んだ勿忘草色の髪と瞳の魔法騎士の美少女であった。
三人は、士官学校の休みに合わせて、ジークの実家である皇宮に来ていた。
ナナイの言葉を聞いたジークが苦々しく口を開き、アレクの前に立ち塞がる。
「アレク! 貴様!!」
「チッ!!」
アレクは短く舌打ちすると、上目遣いに兄のジークを睨み付け、拳で殴り掛かる。
ジークはアレクの左右の拳を避けると、反撃の拳を繰り出す。
「ぐはっ!!」
ジークの拳はアレクの顔面を捉え、アレクは短い嗚咽と共にその場に倒れる。
ジークは更に、倒れたアレクを数回蹴り飛ばすと、その頭を踏み付ける。
ジークは、踏み付けたアレクを冷酷に見下しながら怒りに満ちた口を開く。
「アレク! 貴様・・・。母上は身重なのだぞ? 貴様は、父上や母上を助け、弟や妹達を導く立場だろう! バレンシュテット帝国第二皇子という自分の立場を理解しているのか?」
ナナイの胎内には、新しい命が宿っていた。
兄のジークに頭を踏み付けられたまま、アレクはジークを睨み上げ、口を開く。
「くそっ・・・。一つしか違わないのに、エラそうに!!」
ナナイがジークとアレクの二人の間に割って入る。
「ジーク! やりすぎよ! アレクを殺す気!?」
ナナイに仲裁され、ジークはアレクの頭から足を避けると、口を開く。
「母上は甘いのです! こうして甘やかすから、アレクがツケあがるのです!!」
「何事だ! 騒々しい!!」
執務室から二人の少年の父親である皇帝ラインハルトが現れる。
「「父上!」」
「「陛下!」」
ジークは、短く言葉を口にすると廊下の端に身を寄せ、踵を鳴らして直立不動の姿勢を取り、ラインハルトに向けて一礼する。
ジークに付き従うソフィアとアストリッドも廊下の端に身を寄せるが、彼女達は片膝を着き、ラインハルトに向けて最敬礼を取る。
アレクも口を開くと、両手をついて這いつくばった床から起き上がり、ラインハルトの方を見る。
ラインハルトは、畏まるジーク達三人に軽く右手をかざして楽にするように伝えると、ナナイの元へ歩いていく。
ナナイは、ラインハルトに事の一部始終を話す。
ラインハルトは、大きくため息を吐くとアレクに尋ねる。
「・・・それで。アレク。お前は、そのメイドを妃にしたいのか?」
アレクが答える。
「いいえ。そんなつもりはありません」
「では、どういうつもりだ?」
「遊んでいただけです」
次の瞬間、ラインハルトの正拳がアレクの顔面に炸裂する。
「ゴッ!?」
短い嗚咽と共にアレクは殴り飛ばされ、廊下の壁に当たると床にへたり込む。
(何だ!? 見えなかった! 父上に殴られたのか??)
ラインハルトが床にへたり込むアレクの前に立って告げる。
「・・・良いか? アレク。お前も年頃だ。『好きな女の子と遊ぶ』のは構わない。その子と一緒に街でデートしても、遠掛けしても良い。だが、帝室の権威を傘にきて『女の子を玩具にして弄ぶこと』は許さん!! 男なら、言葉と行動に責任を持て!!」
アレクは、床にへたり込んだまま、ラインハルトを見上げて呟く。
「帝室の権威・・・」
皇宮で務めるメイドは、皆、帝国の下級貴族の次女三女達であり、彼女達が皇太子や皇子達の目に止まり『御手付』となれば、彼女達自身だけでなく、実家の栄達も約束されたようなものであった。
下級貴族出身という身分と実家を巻き込むという立場から、帝室の皇子達に抵抗できないメイド達を玩具にして弄ぶことを皇帝ラインハルトは許さなかった。
ラインハルトは、二人の女性従者を連れ、軍人らしく毅然とした長男のジークを見た後、床にへたり込んだまま自分を見上げる次男のアレクの様子を見て、少し考える素振りを見せる。
ラインハルトがアレクに告げる。
「・・・アレク。お前は根本的に鍛え直さねばならないようだ。来期からお前もジーク同様、士官学校に入れ!」
アレクが文句を言う。
「ええっ!? 私が?? 嫌ですよ!!」
ラインハルトは、アレクに諭す。
「兄のジークは、士官学校で全科目満点で首席。評価は全てA。来期、飛び級で上の学年へ編入だ。お前もジークを見習って、少し頑張ってみろ!」
兄と比較されたアレクは、強烈に兄のジークを皮肉る。
「私に兄上を見習えですって!? 十代で『愛人』が二人も居る兄上を?? 私はメイド一人に、ちょっとイタズラしただけで、ここまでの仕打ちを受けているのに!?」
「「『愛人』って・・・!!」」
アレクに『ジークの愛人』と揶揄されたソフィアとアストリッドは、二人揃ってその言葉を口にすると、照れて赤面する。
ソフィアは頬を赤らめてジークの腕を取ると、その顔色を伺いながら嬉しそうに甘えるような猫撫で声でジークに尋ねる。
「そんな。『愛人』だなんて・・・。ジーク様。私、ジーク様の愛人だと思われているようです。どうしましょう」
アストリッドも頬を赤らめ、横目でチラッチラッとジークを伺いながら、口を開く。
「私は、両親からジーク様の閨事の御相手も務めるように仰せつかっております」
「貴様、私を愚弄するか!!」
アレクに皮肉られたジークは、床にへたり込むアレクを再び蹴り飛ばす。
「よせ。ジーク」
ラインハルトは、静かにそう言うと右手を軽く上げ、ジークを制止する。
ジークは、素直にラインハルトの制止に従い、一歩下がると再びラインハルトに向けて一礼する。
ラインハルトがアレクに向けて続ける。
「アレク。お前が『バレンシュテット』姓を名乗ることを禁じる! 平民として士官学校の平民組に入れる! 良いな?」
アレクは涙目でラインハルトを見上げる。
「そんな・・・」
こうしてバレンシュテット帝国第二皇子 アレキサンダー・ヘーゲル・フォン・バレンシュテットは、平民のアレキサンダー・ヘーゲルとして、バレンシュテット帝国軍士官学校 平民組への入学を余儀なくされた。
暴力革命による動乱を終結させた『革命戦役』から十七年後。
物語はここから始まる。
0
あなたにおすすめの小説
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
『専属メイド全員が重すぎる愛で迫ってくる!~大学生の僕、11人?の美女に24時間甘やかされ尽くす生活~』
まさき
青春
僕は、ちょっと普通じゃない日常を送ることになった――それは、専属メイドが全員僕のことを溺愛してくれる暮らしだ。
朝は髪を整えてくれるリナ、朝食で笑顔を見せてくれるミユ、どの瞬間も全力で僕を甘やかす。掃除、料理、悩み相談まで、僕のためだけに動くメイドたち。
「ご主人様の笑顔が見たいんです」
その一言で、僕の毎日はちょっとドキドキ、ちょっと幸せ。
全員が僕を独占したいと競い合う日常の中、僕はどうやってこの溺愛地獄(?)を生き抜けばいいのか――!?
甘々、至れり尽くせりの日常ラブコメ、開幕。
「作品への感想代わりの『いいね❤️』や『エール📣』、心よりお待ちしております。」
「【応援のお願い】『いいね❤️』や『エール📣』をいただけると、作者のモチベーションが爆上がりします!」
「最後までお読みいただきありがとうございます。温かい『いいね❤️』が更新の支えです。」
貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…
美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。
※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。
※イラストはAI生成です
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜
桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。
上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。
「私も……私も交配したい」
太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる