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(おまけショートストーリー)〈ラティス様の若かりし?頃[マリー告白編]〉
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私には、好きな人がいる。
もう……3年も片思いしてる方……。
魔術学校の同級生、その名も、ラティス様……。
ラティス様は、成績優秀、容姿端麗……。
学校の女子憧れの的……。
なのに浮いた話がないのはなぜなのか……。
告白する女子は沢山いるらしいけど……、誰かと付き合っていると言う噂は聞かない……。
誰か思い人でもいるのかしらと、ずっと遠慮していたけれど、もう3年……。
3年も片思いしているのだから、今日こそ、この思いを告げようと思う!
いつも、ラティス様は、ここを通り過ぎて帰宅されるはず……。
ここで待っていれば会えるはず……!
はっ!さ、早速、ラティス様だわ!
あっ、どうしよう……。いきなりすぎて心の準備が……!私ったら、ヘアスタイル大丈夫かしら……?
あぁ、もう!ままよ……!
私は平静を装い、ラティス様に話しかけた。
「ごきげんよう」
私は、出来る限りの可愛い微笑みをした。
「……どちら様……ですか?」
へ?……私、ラティス様と3年間同じクラスなのに覚えていらっしゃらない……?
まさか……。ふふ、ラティス様ったら冗談が好きなのね……。
[ラティス様メモ①:興味がないものには、恐ろしいほどに無関心である]
「ふふ……、お、同じクラスのマリーですわ。ラティス様ったら、ご冗談を……」
「……え……?冗談を言ったつもりはないですが……。……ところでなにか用ですか?」
「えっ、あのっ……」
はっ!マリー!言うのよっ!今、ここで、3年間の思いをぶつけるのっ!
「あ、あのラティス様……、実は私……」
「あっ、ちょっと待って……!」
ラティス様は、私の顔に手を伸ばした……。
え?これって、何?もしかして顔触られちゃう?もしかしてラティス様も私を……?
私は、目を瞑った。
「あぁ、これはいいものが捕れた……」
そっと目を開けると、ラティス様の手には小さな虫がいた。
「これは、なかなか希少価値でめったに捕れないもの……。すごくいいものに出会えました……」
ラティス様は嬉々として、鞄の中の虫かごに虫をそっとしまっている。
「あの……、ラティス様……。なぜ虫を捕獲するんですか……?しかも、虫かごまでカバンに入れてるなんて……」
「魔術の研究で使うかもしれないでしょう?」
「でも……使用するものは加工した状態で売られていますよね……」
「……えぇ……。ですが、私はどこで、いつ生息していた虫かを知り、魔術の薬を作ろうと思っています。捕獲した時の気候であるとか、温度や湿度、虫の気性や健康状態など……。それによって効果がどう変わるかを実験しているのです……」
「え……、そんなことまでしているんですか……」
(ラティス様メモ②:興味のあることには、とにかくのめり込む。周りが引くぐらい、とことん!常軌を逸する)
あっ……!こんなことで引いてる場合じゃない!確かにちょっと、怯んだけど、3年も片思いしたんだから!
ラティス様は、今の気温や湿度を機械で計り、メモっている。
あっ、迷ってるうちに、ラティス様が、後ろを向いて立ち去ろうとしている……。
引き留めなければ……!
私は、ラティス様の腕を掴んだ。
その瞬間、ラティス様の鞄が落ちた。
「ラティス様、実は私、前からあなたのことが…………きゃっ!!!」
鞄の中から、芋虫が入った透明なケースが飛び出した!し、しかも沢山……。
私は、恐ろしくて動けなくなってしまった。
「あぁ!やめてください!乱暴したら、この子達がビックリするでしょう。せっかく、安静にしていたのに……」
「へ……?」
「さっき、友達になったんです。せっかくだか
ら、うちの庭に移住してもらって、色々な情報を共有しようと思っていたのに……。ケガでもしたら、大変です」
(ラティス様メモ③:本当に変人。超優秀なイケメンだけど、恐ろしく変人。残念なイケメン。〈本人はもちろん、そう思ってはいない〉)
私は、しばらく、力が抜けてそこに座っていた。
ラティス様は、芋虫ケースを丁寧に優しく拾い上げると、そっと鞄にしまっていた。
芋虫に何か優しく語りかけながら……。
そうして、去っていく後ろを姿を見ながら、私の片思いは終わりを告げた……。
いくら何でもこれは無理だわ……。
もう……3年も片思いしてる方……。
魔術学校の同級生、その名も、ラティス様……。
ラティス様は、成績優秀、容姿端麗……。
学校の女子憧れの的……。
なのに浮いた話がないのはなぜなのか……。
告白する女子は沢山いるらしいけど……、誰かと付き合っていると言う噂は聞かない……。
誰か思い人でもいるのかしらと、ずっと遠慮していたけれど、もう3年……。
3年も片思いしているのだから、今日こそ、この思いを告げようと思う!
いつも、ラティス様は、ここを通り過ぎて帰宅されるはず……。
ここで待っていれば会えるはず……!
はっ!さ、早速、ラティス様だわ!
あっ、どうしよう……。いきなりすぎて心の準備が……!私ったら、ヘアスタイル大丈夫かしら……?
あぁ、もう!ままよ……!
私は平静を装い、ラティス様に話しかけた。
「ごきげんよう」
私は、出来る限りの可愛い微笑みをした。
「……どちら様……ですか?」
へ?……私、ラティス様と3年間同じクラスなのに覚えていらっしゃらない……?
まさか……。ふふ、ラティス様ったら冗談が好きなのね……。
[ラティス様メモ①:興味がないものには、恐ろしいほどに無関心である]
「ふふ……、お、同じクラスのマリーですわ。ラティス様ったら、ご冗談を……」
「……え……?冗談を言ったつもりはないですが……。……ところでなにか用ですか?」
「えっ、あのっ……」
はっ!マリー!言うのよっ!今、ここで、3年間の思いをぶつけるのっ!
「あ、あのラティス様……、実は私……」
「あっ、ちょっと待って……!」
ラティス様は、私の顔に手を伸ばした……。
え?これって、何?もしかして顔触られちゃう?もしかしてラティス様も私を……?
私は、目を瞑った。
「あぁ、これはいいものが捕れた……」
そっと目を開けると、ラティス様の手には小さな虫がいた。
「これは、なかなか希少価値でめったに捕れないもの……。すごくいいものに出会えました……」
ラティス様は嬉々として、鞄の中の虫かごに虫をそっとしまっている。
「あの……、ラティス様……。なぜ虫を捕獲するんですか……?しかも、虫かごまでカバンに入れてるなんて……」
「魔術の研究で使うかもしれないでしょう?」
「でも……使用するものは加工した状態で売られていますよね……」
「……えぇ……。ですが、私はどこで、いつ生息していた虫かを知り、魔術の薬を作ろうと思っています。捕獲した時の気候であるとか、温度や湿度、虫の気性や健康状態など……。それによって効果がどう変わるかを実験しているのです……」
「え……、そんなことまでしているんですか……」
(ラティス様メモ②:興味のあることには、とにかくのめり込む。周りが引くぐらい、とことん!常軌を逸する)
あっ……!こんなことで引いてる場合じゃない!確かにちょっと、怯んだけど、3年も片思いしたんだから!
ラティス様は、今の気温や湿度を機械で計り、メモっている。
あっ、迷ってるうちに、ラティス様が、後ろを向いて立ち去ろうとしている……。
引き留めなければ……!
私は、ラティス様の腕を掴んだ。
その瞬間、ラティス様の鞄が落ちた。
「ラティス様、実は私、前からあなたのことが…………きゃっ!!!」
鞄の中から、芋虫が入った透明なケースが飛び出した!し、しかも沢山……。
私は、恐ろしくて動けなくなってしまった。
「あぁ!やめてください!乱暴したら、この子達がビックリするでしょう。せっかく、安静にしていたのに……」
「へ……?」
「さっき、友達になったんです。せっかくだか
ら、うちの庭に移住してもらって、色々な情報を共有しようと思っていたのに……。ケガでもしたら、大変です」
(ラティス様メモ③:本当に変人。超優秀なイケメンだけど、恐ろしく変人。残念なイケメン。〈本人はもちろん、そう思ってはいない〉)
私は、しばらく、力が抜けてそこに座っていた。
ラティス様は、芋虫ケースを丁寧に優しく拾い上げると、そっと鞄にしまっていた。
芋虫に何か優しく語りかけながら……。
そうして、去っていく後ろを姿を見ながら、私の片思いは終わりを告げた……。
いくら何でもこれは無理だわ……。
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