居座られタンゴ

帆村仁

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一章 始まりの季節

秋の夜の出会い

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 俺はポケットからたばこを取り出して、火をつけた。吐き出した煙が宙に舞う。
 最近になってようやく秋らしい気候になってきた。今年の残暑もなかなか長引いた。暑さに耐性の無い俺は苦々しい思いをしたものだ。汗に濡れてべっとりと肌に張り付くワイシャツ。今年で勤続10年目の夏、俺は企業戦士としてこれまで以上に奮起して仕事に励んでいた。しかし。
 「人生とは、分からないものだな」
  深夜の公園のベンチで俺は一人呟いた。公園には俺以外誰もいない。空を仰ぎ見てみた。東京の空に見える星の数は少ない。田舎の空にはごまんと輝いていた星が、少し場所を変えるだけで姿を隠してしまうのだな。こんな当たり前のことを考えたのは久しぶりだ。帰ってないな。田舎。久しぶりに帰ってみるのもいいかもしれない。それで何が変わるわけでもないが。
 一か月前俺は会社をクビになった。大きな失敗をやらかしてしまったのだ。今まで順風満帆だった俺の人生にとって初めての挫折。まったく人生とはいつ何時座礁するかわからない。
  解雇を言い渡されたときこそショックを受けていたが、次第に俺は冷静になった。不思議なものだ。どこか他人事のように思えた。俺はこんなに冷めた人間だったのか。
  幸い貯金はそこそこあった。だからすぐに生活が逼迫するということはなかった。焦る必要はない。しかし求人誌に目を落としても、俺はその気になれなかった。俺は予想以上に高いプライドを有しているようだった。今まで一部上場企業でばりばり働いてきたという自負がある俺は、それ以下の会社で働く気になれなかったのだ。だいたいこの不況のご時世で、いかに立派な履歴を持っている俺でもまともな会社に就職できる保証はどこにもないのだ。
  そんなわけで俺は現在漫然と無職生活を送っている。
  いい機会だ。昔の友人に会ってみようかとも思った。地元の友人たちならば、俺が失職したこともいい笑いの種にしてくれるに違いない。いいさ。耐えられる。しかし、よく考えてみれば彼らの大半は家庭を持っている。そんな彼らの目にとって俺のような人間はどのように映るのだろうか。ただお互いに気まずい思いをするだけではないのか。俺は誰ともコンタクトを取ることをしなかった。
  昼間に街中をぶらぶらするのは気がひけた。俺は怪しい身なりをしているわけではないが、もしかしたら職務質問を受けるかも知れない。そんなことになったら耐えられない。俺は今まで職務質問にあったことなんて一度もないのだ。ずっと優秀だったのだから。そう、俺はずっと失敗知らず。名は体を表す。優という名に違わず俺はずっと優秀な人間として世を渡ってきた。そうだ。俺は本来こんなことをしている人間ではないのだ。
  コンビニの袋の中からウイスキーの瓶を取り出して、蓋を開けた。ぐいっと一口飲み込む。喉を熱い液体が通り過ぎていく。深夜の公園でこうしていることが最近の俺の日課になっている。まったく俺も落ちたものだな。しかしこうしているのも悪くない。俺は次第にそう思うようになっていた。俺はどこまで落ちていくのか。それを楽しんでいる気にすらなっていた。もう一口、もう一口と安酒を体内に吸収していく。
  次第に気分がよくなってくる。目を瞑る。眠るつもりはないがしばらくこうしていよう。
  風が心地よい。
  眠気が襲ってきた。
  俺はしばらく眠っていたようだ。
  ふと気づくと人の気配がする。ゆっくりと目を開けた。
  目の前に誰かが立っていた。顔がよく見えない。しかしそれはあたりが暗いからではない。ぶかぶかのパーカーのフードが頭をすっぽり覆いかぶさっているからからだ。B系ってやつか?なんだなんだ。流行りではないがオヤジ狩りではなかろうな。断じて俺はオヤジではないが。恐る恐る俺は目の前の人物に声をかけた。
 「なにか」
 「鷲崎優さんですね」
  聞こえてきたのは意外にも女の声だ。こんな格好をする女か。怪しい。それ以上になぜ俺の名前を知っている。俺の知り合いか?
 「たしかに俺の名前は鷲崎だが、俺になにか用か」
 「そう。やっぱり。やっと見つけた」
  女はフードの中で微かに笑ったようだった。やはり怪しいこの女。女でなければ声変わりのしていない中学生。
 「鷲崎優さん。やっと見つけました。あなたのことをずっと探していたんです。よかった。しかも今日は満月だし。グッドタイミングだわ」
 「なにを言っているんだ」
 「何を言っているんだ。ふふ。何を言っているのかわからないでしょう。でもそれでいいの。あなたは何も知らなくて」
  そう言うと女は小さな棒のようなものを取り出して何語かわからないが、日本語ではない言語でぶつぶつと呟き始めた。何を始めたのか分からす俺は呆気にとられた。
  途端、体が動かなくなった!金縛りというやつか…!
 「ふふ。うまくいったみたい。これであなたは私と繋がれた。あなたは私の思うようになる」
 「なにを……言っているんだ……おま……え」
かろうじて口は動く。声は出る。
 「なにをした……。俺に」
 「ちょっとした呪いのようなものをかけさせてもらったのよ。パイプラインを繋いだの。あなたと私のね。それから行動の自由を奪ってる。それは分かったいるわよね」
 「パイプ……ライン……?」
 「そうよ。私がこの世界で生きていくための命綱のようなもの」
  ますます分からない。命綱?なんのことだ。ライン。俺に繋がれただと。くそ。体が動かない。動け。動けよ。
 「お前がなにをしようとしているのかは知らないが、俺のような人間を呪っても何の特もないぞ」
 「そんな謙遜しなくていいのよ。私はあなたにこそ用があるのだから。そう、年収1000万以上の鷲崎優さん」
 「年収一千万?は。なにか勘違いしていないか。俺がそれだけの収入を得ていたのは一ヶ月も前のことだぞ」
 「え?なにを言っているの」
 「俺はついこの間会社を解雇されたんだ」
 「な、なんですって」
 女は明らかに狼狽している様子だ。
すると体の緊張が解けた。女はその場にへたりこんでしまった。

 「本当にあなた、無職なのね」
 「そうだ。立派なニートってやつだよ」
 「無職。無職」
  無職無職とうるさい奴だな。まるで職務質問を受けている気になってきたぞ。
 「これは困ったわ」
 「なにが」
 「私はあなたとパイプラインを繋いでしまった」
 「だったら解けばいいだろ。というか、さっさと解いてくれ」
 「それができるなら、とっくにそうしているわよ。私はこの呪術をかけることはできても外すことはできないの。正確にはその方法を知らないということだけど」
 「それは困ったことだな」
  なにがなんだか分からないが、こいつの当ては外れたようだ。それならこいつの相手をしていることはない。俺はこの場を立ち去ることにした。いつまでも怪しい人間に関わっているつもりはない。
 「ちょっとどこへ行く気よ」
 「家に帰るのさ」
 「そう。なら私もついて行くわ」
 「なにを言ってる。お前はついてくるな。気色の悪い」
 「なんですって」
  女がさきほどの棒をかざすと、またもや体が動かなくなってしまった。
 「なにを……する」
 「あなた何も分かっていないわね。あなたは私の言うことに反することはできないのよ。だから私の言うことを聞きなさい。私をあなたの家にもてなしなさい」
 「やなこった」
 「ならこうしてやる」
 「ぐげ」
  く、苦しい。首を絞められている。このままでは窒息死してしまう。死ぬのは嫌だ。死ぬ前にやっておきたいことがまだ山ほどあるのに。仕事仕事でやり残していることがこれでもかってほどあるのに。
 「頼む……! やめてくれ」
 「私の言うこと聞く?」
 「聞く! 聞くとも」
 「そう。なら許してあげる」
  息ができる。よかった。まだ死なずにすむ。どうやらしばらくはこいつの言うことを聞いておいたほうがいいようだ。
 「さ、案内しなさい」
  部屋に着いた。女は「やっぱりいい家で暮らしているのね」と言った。
  家に上がり、俺は緑茶を女に出した。興味深げにそれを眺めて、女は口を開いた。
 「なにこれ?」
 「なにってお茶だが」
 「お茶? 緑色しているけど」
 「そりゃ緑茶だからな」
  女は腕を組んでなにやら思案しているようだ。ただの緑茶がそんなにめずらしいか。そうか、こいつ外国人なんだな。
 「大丈夫だよ。毒なんか入ってないから」
 「これが日本で伝統的に飲まれてきたというお茶ね。なるほど実際にお目にかかるのはこれが初めてだわ。興味深いわね」
 「さっさと飲んだらどうだ」
 「そうね」
  恐る恐るといったふうに湯呑を手にすると、緑茶を口にした。
 「苦い。けど奥深い味ね。香りも気に入ったわ」
 「そりゃよかったな」
 「そういえばこういったとき日本では粗茶ですがって言うのが慣習じゃないの?」
  図々しい。
 「お前、名前は?」
 「サラ。サラ・ロベスティーニ」
  やはり外国人か。しかし怪しい。家にあがってからもフードを被ったままだし。
 「お前、そのフードとらなくていいのか」
  不気味だぞ、ということは口にしないことにした。
 「そうね。いつまで隠しておいてもしかたないし、とってしまってもいいわ。どのみちこれから色々説明しないといけないわけだし」
 「そうだな。俺も色々聞きたいことがたくさんある」
  女はさっとフードをとった。その姿を見た俺は驚いた。透き通るような白い肌。長いまつげ。切れ長だが大きな青い瞳。長い耳…。長い耳?
 「なによ。鳩が豆鉄砲食らったような顔して」
 「いや、驚いた。お前、その耳、作り物か?」
 「何言ってるの。本物よ」
 「何言ってるのはお前のほうだろ。作り物以外考えられないだろ。その長さ」
 「失礼ね。本当に本物よ」
  あれか。コスプレってやつか。心底コスプレを愛してやまない人種なんだな。二次元と三次元の区別のつかない頭のおかしいやつ。そんな変態が俺の目の前にいる。
  しかし公園での一件。あれはなんだ。妙な言葉を発したかと思うと俺の体を緊縛してきた。口答えすると俺の首を絞めてきた。
 「ふふ。不思議でしょう。恐ろしいでしょう」
 「なんだと」
 「私の存在が不思議で不思議で堪らないといった表情しているわよ、あなた」
 「くっ……」
 「いいわ。説明してあげる」
  そう言うと女は自分自身のことを語りだした。
 「私の名前はサラ。されはさっきも言ったとおりね」
 「ああ」
 「単刀直入に言うとね私は異世界からこっちにやってきたのよ」
 「異世界だと」
  サラはくすくす笑った。
 「あなた、いちいち反応が面白いわね」
 「だってお前。話があまりにも唐突で」
 「異世界からやってきたと言えば、この耳のことも。それからさっき私があなたにかけた呪術のことも説明がつくでしょう」
 「俄かには信じがたい話だが」
 「信じてもらわないと困るわ。これから共同生活を送るのだから」
 「共同生活? なんの冗談だ」
 「さっき公園でも言ったとおり、私はあなたにある呪術をかけたの」
 「パイプラインがどうのとかいう、あれか」
 「そう。あの術はね、私という存在をこの世界に維持するために必要なものなの」
 「なんだってそんな」
 「この世界で生きていくために」
  サラの眼光が鋭くなった。
  要するにこいつはこっちの世界に逃亡してきたらしい。その寄生先が俺だったということだ。なぜ俺だったのかといえば、まず第一に健康体だったこと。これは俺も自信があったから納得といえば納得だ。その点、中学高校大学と体育会系だった俺は、まさに寄生先としてはうってつけだったらしい。第二に俺に生活力があったこと。サラの設定していた条件は未婚で収入1000万以上。ま、それも俺が無職になる前、ばりばりのエリートだったころの話だが。
 「まったくの大誤算」
 「ほっとけ」
 「ほっとけるわけないでしょう!さっきも言ったとおり一度繋げたパイプラインはそう簡単に解除することができないのよ」
 「そこが解せないんだよな。繋げることができるなら外すことだってできるはずだろう」
 「あなたね。私が簡単に術を行使していると思っているのかもしれないけど、それは間違いよ。いかに私が天才だっていってもこの手の術を習得して行使するのには血の滲むような努力と魔力を必要とするのよ。とっても複雑な機構があなたと私の間には構築されているの。そのとっても複雑な機構を作るのはとっても大変なのだから、外すのだってとっても大変なのよ。詳しく説明することはできないからこんな抽象的な表現しかできないけど」
 「要するにこれでもかってくらい糸がこんがらがっているから、それを解くのが難しいっていうことだな」
 「まあ、簡単に言ってしまえばそういうことね。ああそれにしても大誤算。計画が完璧に狂ってしまったわ」
 悲嘆するサラ。やれやれ。
 「お前の目的は異世界からこっちの世界に逃亡すること。そして俺に寄生してこっちの世界で逃亡生活を送ることだったんだな」
 「そうよ。ああ! あなたが無職になりさえしなければ、こっちで平穏無事な住まいと暮らしを手に入れることができたのに。そしてこの大好きな日本の文化を思う存分愛でることができたというのに」
 「それは悪かったな。そんなに日本のこと好きだったのか」
 「小さい頃からずっと憧れていた。この世界に旅した人たちの手記を読んで。ああ、いつか行ってみたいなと思っていたの。千里眼が使えるようになってからは水晶でこっちの世界のことをずっと眺めていたわ。特に日本が大好きだったの。オタク最高! いつか私も牛丼くってアニメ見てアキバ行ってやろうと思っていたのに!」
  筋金入りの日本オタクか。こいつ。変な異世界人。
   サラは腕組みをして部屋の中をしばらくうろつくと、俺を見下して言った。
 「こうなったら仕方ないわね。あなたと私はもはや一蓮托生。切っても切り離せない関係にある。そんな私たちが今一番しなければいけないことがなにかわかる?」
 「わからん」
 「頭が悪いわねあなた。私は逃亡生活を送りたい。だけどあなたは無職。このままでは二人共行き倒れになってしまう」
 「ああ。そうなるかもな」
 「それを避けるためにもしなければならないこと。そう。それはあなたが新しく職に就くことよ!」
 「なんだと」
 「そして身辺の整理をするの。あなた無収入なんだからこんないいマンションに住んでいたらだめ。すぐ破産よ。それから売れるものは全部売ってしまうの。あなたいい車に乗っていたわね」
 「なんでそんなこと知っている」
 「だってずっとあっちの世界から観察していたもの。それも全部売る。売ってお金に換えなさい」
 「無茶苦茶だ」
  俺は泣きたい気分になってきた。なぜこうも不幸が続くんだ。会社をクビになったあげく、わけのわからんやつに借金取りまがいのことをされるなんて。俺はサラを見上げて言った。
 「なあ、俺のことずっと眺めていたんだろう。ならわかると思うが、俺ってプライドの高い人間なんだ」
 「そのようね」
 「だから前の会社以下のところに就職するのはいやだ」
 「なにを言っているの! ばか!」
  ばかとはなんだ異世界人。こうなりゃやけだ。俺は立ち上がりサラにメンチを切って言ってやった。
 「だがバイトならやってもいい」
 「バイトって? アルバイトのこと? あなた正規雇用ではだめで、非正規雇用ならいいって言ってるの?」
 「そうだ。働いたら負けだ。とは言わんがこのご時世、普通に就職しても社畜になるのが関の山。ならば俺はフリーターになる!」
 「あなた、とんだ馬鹿者ね!」
 「なんとでも言うがいい。俺は決めたんだ」
  こいつの言うとおりになって社畜になって思うようにされるならば、いっそのことフリーターになって共に底辺の生活を送ってやろうじゃないか。味わうといい。長らく続く日本のデフレを! はははは。
 「わかったわ……。もうアルバイトでもなんでもいいから収入を得る手段を作らないとね。あなた頼れる身内もいないようだし」
 「その通りだ。俺は天涯孤独の身だからな」
 「全然かっこよくない」
 「さあ、なんのバイトにしようかな! はははは!」
 「喜んでいるところ申し訳ないけれど、もう一つ懸念事項があるのよ」
 「なんだ。なんでも言ってみろ」
 俺はなんだか妙なテンションになっている。サラが呆れた口調で言ってきた。
 「魔力の補填に関して」
 「魔力?」
 「そう、魔力。私が呪術を使うための魔力。ま、正確に言えば魔素っていうんだけど。その補填の方法を考えないと」
 「なんでそんなこと考えないといけないんだ? 魔法を使わなければいい話じゃないか」
 「それができればどんなにいいことか。でもだめよ。最低限水晶を使ってあっちの世界の動向を確認しないと。言ったでしょ。私逃亡してるって」
 「追っ手がくるのか?」
 「ま、簡単には見つからないと思うけど。こっちに来るときに入念に痕跡を消しておいたから」
 「ふーん」
 「それから、もし追っ手がこの世界にやってきた時に私の存在を感知されないように、結界も貼らないといけないの。私自身にね。それを維持するのにも魔力が必要になってくるの」
 「いろいろ大変なんだな」
 「他人事のように言わないで。あなたにも関係することなんだから」
 「具体的にはどうするんだ?」
 「幽霊を成仏させる」
 「はあ?」
  俺はつい素っ頓狂な声を上げてしまった。

 「要するに、幽霊が成仏するときに魔素ってやつが発生するんだな」
  サラが頷く。俺にゴーストバスターズにでもなれっていうのか。
 「バスターしたらだめよ。あくまで成仏してもらうの。そうしないと魔素は手に入らない」
  厄介だ。わざわざ交渉して成仏させないといけないらしい。随分迂遠な方法だな。
 「幸い私と繋がったことであなたも霊感のようなものを有しているはずよ。私とあなた、二人共幽霊のことを見ることができるわけ」
 背筋がぞっとする。
 「ま、待て。俺は見えなくていい。昔からそっち系の話には弱いんだ」
 「無理だって。パイプラインが繋がっている以上、私の魔力も一定以上あなたに流れこむわけ。だから不可分なのよ。私が幽霊を感知できるってことは、あなたも幽霊を感知できるってこと」
 「くそう!つくづく厄介だ」
 「観念なさい。さっきの公園にも数体いたわよ。試しに見に行ってみる?」
 「御免こうむる。お前だけでなんとかすればいいじゃないか」
 「いいわよ。しばらくの間は。ま、そんなこと言っててもいずれその目で拝むことになるわよ」
 「くそう」
  こうして、俺とサラの奇妙な共同生活が幕を開けることになった。
  つくづく思う。今まで味わうことのなかった不幸がいっぺんにやってきたのではないかと。
  俺は自分の運命を呪った。
  神も仏も俺のことを見放した。
  いや、もしかしたら天界で俺のことを「おほほほほほ」と嘲笑うことすらしているかもしれない。
  くそう。俺は決めた。もう神も仏も信じない。
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