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おまけの用語解説

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麻衣「やあみんな、ボクアーンパーン……?」
理一「マーン」
麻衣「そこは、続けないで突っ込みいれよう?」
理一「あれ?すいません……」
麻衣「そんなことより解説ですって」
理一「これを機に、多くの人にクラシックの素晴らしさを知ってもらえると嬉しいですね」
麻衣「いや、多くの人がここ自体読んでないと思います」
理一「あぁ……(しょんぼり)」
麻衣「さて、始めようか。
まずは、声楽系から行こう!私の畑ですね!冒頭で出てきたぶっちゃけおデブな私の友人その一はソプラノ・リリコ。
よく、CMで流れるオペラとかソプラノ・リリコさんが多いかな?要するに何の違和感も無く耳に馴染むスタンダードな声なんだよね。だからこそ、リリコな人って倍率高くて大変見たいなんだよねぇ…愛音頑張れ!
次は、友人そのニなコロラトゥーラ。
夜の女王のアリア聴いて。それでわかるから。」
理一「あの歌を聴いたら一発ですね」
麻衣「うん。まぁ、しいて解説するなら、音をコロコロ転がすのが上手い歌い手?ただ、コロラはちょっと間違えるとキンキンしてて耳障りになりがち。下手なコロラだと聴いてて辛いよ!早苗は…あ……うん…うん……」
理一「ま、麻衣さんはソプラノ・ドラマティコですよね」
麻衣「あぁうん。声だけ聞くとメッゾ?って思う人多いと思う。こういう表現だと良くわからんって人多いと思うけど、ドラマティコは声が『重い』んだよね。逆にコロラは『軽い』。私は典型的なドラマティコらしくて、先生達に散々オペラに進めって言われてたな。重厚で、演劇的表現力が強い声なんだよね。「カルメン」とかメゾソプラノ歌手がやることが多いんだけど、ドラマティコはメッゾも兼任することが多いから、私もカルメンになれるわね!」
理一「駄目です。麻衣さんがカルメンなんてやったら皆魅了されてしまいます」
麻衣「眼科医は居ませんかー!」
理一「眼鏡の度は合ってますよ?」
麻衣「まぁいいや、次行きましょう」
理一「となると、あぁ、楽譜ですか?麻衣さんが持ってきたイタリアかきょきゅ…かきょきゅ……集とフランスかきょきゅ集……ですね」
麻衣「(必死に爆笑を堪える)……はぁ、えっと、正確には『イタリア歌曲集1(中声用)』と『フランス歌曲名歌集(原調版)』っすね。声楽って、出せる音の高さに楽譜のほうをあわせるから、中声用とか高声用とかってわかれてます」
理一「その場で転調してしまえばいいのでは?転調って簡単ですよね?」
麻衣「理一先生にはね。確かに歌う分には転調って簡単だけど、私とかピアノ伴奏を突然キー変えて弾くとか絶対無理。だから自分のキーにあった楽譜が必要なの。伴奏者の為にも」
理一「フンフンフン」
麻衣「イタリア歌曲集1は、声楽を始めると全員やらされるし、一部の高校の合唱部とかでもやるらしいから、なじみのある子もいるんじゃないかな?ちなみに、私の持ってる楽譜って和訳ページは原語と和訳しか乗ってないけど、最近の楽譜は単語にちゃんと意味が書いてあるんだよ。酷い話……」
理一「ですが、自ら調べるからこそ覚えられるんじゃないですか?」
麻衣「確かにね。おかげさんで単語は良く覚えてますお。イタリア行ったら単語だけでの会話は出来るかも」
理一「とりあえずレストランに行ったらドルチェ!ですね」
麻衣「うん、まあデザート出てくるけどさ。って脱線!」
理一「麻衣さんと話していると、止まらなくりますからね」
麻衣「そこで嬉しそうにしないでクダサイ……」
理一「すいません」
麻衣「ほにゃほにゃもしない!えっと、解説し忘れてたけど『カルメン』って言うのは、ゼビーが書いたフランス語オペラで主人公カルメンって言うのは男を手玉に取る悪女。騒ぎを起こして牢に入れられたんだけど護送をしていたドン・ホセって男を誑かして、まんまと逃げるわけ。色々あって、最後はドン・ホセがカルメンを刺して終了」
理一「あれ?カルメンって誇り高い女性じゃありませんでしたっけ?」
麻衣「いや、どう考えてもあれは悪女でしょ。誇り高い…悪女?まぁ、カルメンは誇り高い悪女で、ドン・ホセは誑かされた哀れな人って知っとっきゃ問題ない。興味があればあらすじ調べて見てね!ついでに絶対知ってる名曲が目白押しだから、是非聴いてみて欲しいけどね!」
理一「僕も貴女に誑かさ……いえ、僕が誑かした気も……」
麻衣「……どっちもどっち。だからその緩んだ頬やめてったら……」
理一「(にこにこにこ)」
麻衣「あー…次は~…作曲家と曲は、後でズラッとにしましょか?」
理一「そうですか?むしろそれこそしっかり説明……」
麻衣「駄目。熱い通り越して暑苦しく語って引かれるのが落ちだから。音楽用語系行きまっしょい」
理一「はい……」
麻衣「…………」
理一「…………?」
麻衣「いや、理一さん!お仕事の時間です!」
理一「あ、僕ですか、すいません。ではー……教師的観点からバイエルからの説明にしましょうか」
麻衣「楽譜だけどまぁいいか」
理一「作曲はピアニストにして作曲家のフェルディナント・バイエル。小さい子に教えるときは必ずと言っていいほどバイエルからですね。僕もバイエルからでした。麻衣さんも修了したって言ってましたよね?」
麻衣「うん。バイエルって先生との連弾曲が豊富だから、ちっちゃい頃は発表会でバイエルの曲やったなぁ。生徒用の連弾は言っちゃ悪いけどくっそつまらん。だけど、先生用が合わさると中々綺麗な曲になったりするんだよね」
理一「あぁ、そうですねぇ。僕も、まだ一人でやらせるには不安な子とかの為に発表会で連弾しますね。ですがバイエルは意外と海外では使われていないそうですよ」
麻衣「そなのですか?」
理一「はい。確かにオーストリアでは使っていなかったように思いますね」
麻衣「ん……、ん?(オーストリアにいたことあるの?)」
理一「次はハノン。作曲は、ピアノ教師にしてオルガニスト、もちろん作曲家のシャルル=ルイ・アノン。こちらもバイエルと同じくピアノの教則本ですが、指のトレーニング用の本ですので、曲としては成り立っていません。
31番までは指の強化練習の譜面、32番から音階、つまりスケールの準備。39番からスケールですね。
スケールとは音階のことなのですが…楽譜を見れば一発なのですが口で説明しようとすると難しいですね。ハ長調で話を進めましょう。ハ長調は簡単に言えば「ドレミファソラシド」の音階ですね。ハノンで言うところのスケールはこの「ドレミファソラシド」を四回繰り返して上昇して行き、その後は四回分下降します。最後に和音を弾いて終了。この流れのことをスケールと言います。これを色んな調で弾くんですね。ちなみに短調は一つの調に対して二種類、和声的短音階・旋律的短音階があります」
麻衣「何気に、シャープフラットが4つくらいのが鬼。鬼難しい」
理一「(苦笑い)40番からは半音階、僕は個人的にやりましたけど生徒にはやらせていないですね」
麻衣「私もやったことなーい」
理一「41番からはアルペジオです。アルペジオとは和音を分解して、上ないし下から順番に弾くことを言います。ハノンの中では、三和音をドミソ、ドミソ、ドミソ、ドミソ、ドソミ、ドソミ、ドソミドと弾くようになっていますね。こちらも全ての調が網羅されてます」
麻衣「私、スケールよりアルペジオのほうが得意だったよ!」
理一「麻衣さんは指が長いし、よく開きますからね。こまごましたのは苦手なんでしょう」
麻衣「でも先生のほうが長いけど?」
理一「僕はこれでもピアニストなので……」
麻衣「一緒にしてすいませんでした」
理一「ハノンに関してはここで終わりにしましょう。作中でも出て来てませんしね」
麻衣「文字数の問題もあるしね!」
理一「えぇ。では、次にツェルニーの話に行きましょう。これはピアノ練習曲集です。作曲者はカール・チェルニー」
麻衣「ツェルニーじゃなくて?」
理一「日本ではツェルニーで親しまれていますが、正確に発音しようとするとチェルニーさんですね。麻衣さんもそうですが、教典としてのツェルニーは大体が三十番から入ります。三十、四十……五十で終わりかなぁ……」
麻衣「六十は?」
理一「正直なところ五十もなんですが、六十は全部やらせると言うよりかは、生徒さんが苦手なテクニックの曲をやらせる分にはいいかもしれませんがそれだったら他の…スクリャービンの12の練習曲を全部とかのほうがいい気がしますね」
麻衣「スクリャービン!いいと思います!!」
理一「今度からやりましょうか」
麻衣「聴くほうでお願いします……」
理一「三十番頑張りましょうね」
麻衣「ぅう……」
理一「音楽用語はどうしましょうか」
麻衣「んー、さくっと解説しちゃいましょう。まず、知ってそうなのからサクサク。
スコア、は総譜。オーケストラとかのは分厚いよね。全部のパートが書いてあってまぁ指揮者用だね。
初見、は漢字見たまんまで初めて見た楽譜を弾くこと。私とかは初見マジ無理。
暗譜、は譜面を覚えて、見ないでも弾けるようにすることだね。発表会で楽譜見てたら笑われる。
アナリーゼもあったね。正直、のだ○カンタービレでも読んでくれって言いたい」
理一「僕、読んだことありませんねぇ」
麻衣「激同《はげどう》が多くて面白かったですよい」
理一「禿道……?」
麻衣「激しく同意!」
理一「あぁ」
麻衣「まぁ、解説を銘打っといてしないのは詐欺だから、解説しますか。アナリーゼって言うのは曲を分解して一音一音にどんな意味があるのか解明する音楽の科学だね。正直、旋律になってこその曲なんだから一音一音ってのはやり過ぎだと思いますー」
理一「いえいえ、そこはとても大切なところですよ?例えばフィボナッチ数列をた……」
麻衣「あーあー聞こえなーい!」
理一「(しょぼん)」
麻衣「次は…あぁ劇音楽!劇付随音楽とも言うね。オペラとは別に分類したほうがいいかな。劇の合間とか盛り上がるシーンで演奏されたり歌われたりする、ミュージカルのダンスが無いバージョンかなぁ」
理一「微妙にしっくり来ないような……」
麻衣「うん、ごめんでも多分これであってると思う……?あとは~……」
理一「音楽記号は?」
麻衣「あぁ、そうっすね。
クレッシェンドは書くと「<」で徐々に音を大きくするって事。逆にデクレッシェンドは「>」こう書いて、徐々に音を小さく。
アンダンティーノは演奏速度の指定で、アンダンテよりやや早く。アンダンテって言うのが「歩くような速さで」って意味だから「歩くような速さよりやや早く」って意味になるかな。正確にはテンポ90。
フォルテは強く、って意味で「f」って書くよ。ちなみにもっと強くは「ff」フォルテッシモ。「fff」はフォルテシッシモかフォルテフォルテッシモ。四つとか五つ書かれる楽譜もあるよね。フォルティシシシシッシモとか。どんだけ強くなんだよ。って」
理一「逆に弱くと言う記号は「p」ピアノですね。「pp」ピアニッシモ「ppp」ピアニシッシモ、もしくはピアノピアニッシモ」
麻衣「ピアニシシシシシッシモとか、聴こえんのそれ?って思うよね。あ、そうそう、今のピアノの…えっと、ん?楽器のピアノの前身であるピアノは「フォルテピアノ」って言うんだよね。白鍵と黒鍵の色が逆だったり。楽器の歴史って結構面白いよね!」
理一「そうですね、ちなみに今のピアノは「モダンピアノ」と言います」
麻衣「あら、素敵な補足」
理一「ありがとうございます」
麻衣「後は、作曲家と曲ぐらいかな?」
理一「ベーズレ書簡をわ……」
麻衣「やだ」
理一「え?」
麻衣「やだ」
理一「あの……麻衣さん?」
麻衣「ずぇぇったい、やだ」
理一「あー……」
麻衣「調べないほうがいいよ。調べると私とか作者みたいに、曲を聴いて感動して、でも人物を思い出して感動したことを後悔して、でも曲に罪はないって思いつつ葛藤する羽目になるから」
理一「…………まぁ、そういうのが好きな方もいらっしゃる……僕にそんな趣味はありませんよ!?」
麻衣「あったら別れる」
理一「全くありません!」
麻衣「……作曲家行こう。面白知識は披露して、後は箇条書きかな?」
理一「お勧めの曲を一曲ぐらいはあげませんか?」
麻衣「うちらの趣味で進めると暗ぁ~い曲ばかりになるですよ?」
理一「ま、まぁそうなんですが……」
麻衣「ま、いっか。とりま面白知識がある人を先にあげてっちゃおう。有名どころからドイツ作曲家ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン。ドイツ人だから正確にはルートヴィヒ・ファン・ベートホーフェンだよね」
理一「彼は、不遇の人と言えますね。難聴になってしまいますから。オーケストラの指揮を降り終わった後、割れんばかりの拍手の音に気付かなかったとか」
麻衣「音を聴きたいときは、ピアノに耳をベターってつけてたって話もあるよね」
理一「はい。ベートーヴェンと言えば「エリーゼのために」が有名ですが、この曲は初心者向きなので、バイエルが終了していない子の発表会で良く使っていますね」
麻衣「そういえばベートーヴェンって凄い悪筆で、「エリーゼのために」は恋人テレーゼ・マルファッティに送った曲なんだけど「エリーゼ」って読み間違えられたらしいよ」
理一「諸説ありますけどね。ベートヴェンはモーツァルトの弟子でもありました」
麻衣「けっ……」
理一「……まぁ、作曲家の人間関係なども面白いですから、機会があったらお話しましょうね」
麻衣「けっ……」
理一「えぇと、次は~……」
麻衣「パパ・バッハ!」
理一「そうですね。バッハ、と言うと大抵の人が思い浮かべるのは「音楽の父」と呼ばれるヨハン・ゼバスティアン・バッハです」
麻衣「バッハ一家は子供も音楽家になってるから、J.S.バッハとか大バッハとか言って区別するんだよね。次男だったかが音楽家でカール・フィリップ・エマヌエル・バッハ」
理一「いえ、子供だけではなく又従兄《またいとこ》のヨハン・ベルンハルト・バッハや……」
麻衣「こんがらがるからやめよう。私もこんがらがる」
理一「あ、はい」
麻衣「パパ・バッハの曲は作中に出したね。平均律って言ってたのは、平均律クラヴィーア。クラヴィーアって言うのは鍵盤楽器の総称かな。平均律って言うのは音律の一種って覚えておけばそれでいいよ。難しいことは私もわからん。音律ってのは……ってやってくと切が無いからここら辺は説明省かせて。ごめんね。
パパ・バッハで私的にもう二度と弾きたくないのはソナチネの四番!曲自体は古典的で美しいんだけど……右手で弾いたメロディを左手で弾いている間に新しいメロディを右手で弾いて、それを左手で弾いてる間に……無理」
理一「慣れたら簡単なんですけどね」
麻衣「むーりー」
理一「ははは。そういえば、時代順に説明したほうが良かったような気がしますが……」
麻衣「音楽の授業じゃないんだからいんだよー!グリーンダヨー!」
理一「(きょとん)」
麻衣「あ、すいません、ネタが古すぎてすいません……。ただでさえテレビ見ない人に振るネタじゃなかった……ま、ね?次いこ!あの人行きましょ。我が心の初恋ショパン様」
理一「初恋!?」
麻衣「うん。ジョルジュ・サンドに成り代わりたいと切実に思ったなぁー」
理一「……(以降早口)フレデリック・フランソワ・ショパンはポーランド出身の作曲家で、ピアノの詩人と言えば彼のことを指します。
作曲した曲の殆どがピアノ曲であり、繊細な旋律、美しい形式のまさに詩を思わせる曲を多く書き残しました。
ジョルジュ・サンドとはフランスの女流作家でショパンとは九年間交際していました。恋多き女性で、詩人・医者・作曲家と結構な男性と関係を持っています。
成り代わりたかったんですか?」
麻衣「え?だってほら、彼に自分のために曲を捧げられたりとかしたら昇天出来そうなくらい嬉しくないですか?」
理一「(クワッ!)」
麻衣「…ぇ?」
理一「僕が捧げます」
麻衣「あ、はい……。そう言えば、リスト様はショパンを敬愛していたっていいますよね!」
理一「リストはジョルジュ・サンドと関係持ってましたけどね」
麻衣「あれ…?理一さん、リスト好きだったはずだよね!?」
理一「好きですよ?」
麻衣「だ、だよね……?(じゃあ何そのドス黒い声……)」
理一「フランツ・リストはハンガリーで生まれ、ヨーロッパで活躍した作曲家です。彼はハンガリー人であることに誇りを持っており、ドイツ植民でしたがハンガリーを祖国と呼んでいました」
麻衣「だから本当はハンガリー名のリスト・フェレンツって呼んで欲しかっただろうね。そうそう、ハンガリーを想って書いた曲も多いよ!昔で言うアイドル的存在で、イケメンだったんだって!リサイタルとかすると貴族のご令嬢達が気絶しちゃったとか!」
理一「リストはピアノの魔術師という異名を持ち、超絶的な技巧で指が六本ある。なんて言われたりもします」
麻衣「さすがに六本は嘘だけど、ドから一オクターブ上のドを超えてミの音を押さえることが出来たんだって。私は小指プルプルさせて縁を押さえればなんとか弾けるけどド-ミは実用的には無理かな。
よく、オクターブ押さえようとしてド-レとか弾いちゃったけど。そのせいでスケールの試験は落ちまくったわ……」
理一「僕もド-ミは普通に押さえられますね」
麻衣「手が大きいっていいですね~」
理一「リストは初見が得意でもあり、数々の曲を初見で弾いて多くの作曲家を驚かせたとか」
麻衣「でも、出来ない曲もあったよね?出来ない曲は無いとか、天才過ぎだよね?」
理一「それはそうでしょう。初見で弾ききることが出来なかった曲もまぁまぁありますよ。フォーレの「ピアノとオーケストラのためのバラード」を弾いたときは「手が足りない!」と叫んだとか」
麻衣「フォーレ!って今回出したっけ?」
理一「出てますよ。しかし、申し訳ないですが彼は今回は箇条書きで行きましょう」
麻衣「はぁい」
理一「次は……」
麻衣「あ!言い忘れ!!私の大好きなショパン様だけど、絶対にチョピンと呼ぶことは許さない!覚えておけ!!」
理一「……ショパンの綴りは「Chopin」ですからね(苦笑)」
麻衣「音高・音大時代に友達がチョピンチョピン言ってて腹が煮えくり返る思いに駆られてたわ」
理一「それなら、チャイコフスキーをおチャイコさまとかショスタコーヴィチをショスタコスって呼ぶのもどうかと思いますが……」
麻衣「それはそれ、これはこれ」
理一「…………。黒鍵の説明も忘れていましたね」
麻衣「あぁ!黒鍵は通称ね。ショパンが書いた練習曲作品10の5番。通称通り黒鍵を多用してる曲で、ショパン自体はあまりこの曲が好きじゃなかったとか……?」
理一「あくまで黒鍵の練習用として書いたと言うことでしょう」
麻衣「後は箇条書きかなぁ?」
理一「詩人さんが関わってくる方がいましたよね?」
麻衣「あ、そっか。マスネだね!」
理一「ジュール・エミール・フレデリック・マスネはフランスの作曲家です。作中で出てきたピアノ小品集第5曲「メロディ」が」
麻衣「後に編曲されて「エレジー」になりました!作詞はルイ・ガレ!でも実はピエール・ロリスさんバージョンもあったりするんだねぇこれが。……言うのはそれくらい?」
理一「補足としては、エレジーはチェロ用に編曲されたことで爆発的に浸透した。でしょうか」
麻衣「素敵補足ありがと。あー、歌曲の説明忘れてた~……」
理一「あぁ、『私を泣かせてください』ですね」
麻衣「イタリーだと『Lascia ch'io pianga』。ラシャキオピアンガって言えば通じる」
理一「適当過ぎませんか……?」
麻衣「いいの。だって通じるから。この曲はヘンデルさんの曲だよー」
理一「大バッハと同じ時代の人物ですね。ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデルはドイツ出身でしたがイギリスに帰化した作曲家です」
麻衣「この曲はオペラ「リナルド」のアリアなんだよね。実はお恥ずかしい話…リナルド見に行ったこと無い……」
理一「日本ではあまり上演されませんから仕方ありませんよ」
麻衣「タイミング逃したんだよなぁ……」
理一「後、麻衣さんが以前弾いた曲の説明を入れますか?」
麻衣「いい。苦しかった記憶しかないし、それを聞かせても申し訳ない」
理一「そうですか。では後の作曲家さんと曲は箇条書きで行きましょう」


・ドビュッシー(クロード・アシル・ドビュッシー)
国:フランス
曲:亜麻色の髪の乙女

・フォーレ(ガブリエル・ユルバン・フォーレ)
国:フランス
曲:夢のあとに

・セザール・フランク(セザール=オーギュスト=ジャン=ギヨーム=ユベール・フランク)
国:ベルギー生まれ、フランスで活躍
曲:前奏曲、フーガと変奏曲
作曲者にしてオルガニスト

・シベリウス(ジャン・シベリウス)
国:フィンランド
曲:五つの小品、樹木の組曲第5番「樅の木」

・バラキレフ(ミリイ・アレクセエヴィッチ・バラキレフ)
国:ロシア
曲:東洋風幻想曲「イスラメイ」

・チャイコフスキー(ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー)
国:ロシア
曲:四季・四番「松雪草」、三大バレエ「白鳥の湖」「眠れる森の美女」「くるみ割り人形」

・スクリャービン(アレクサンドル・ニコラエヴィチ・スクリャービン)
国:ロシア
曲:12のエチュード

・リムスキー=コルサコフ(ニコライ・アンドレイェヴィチ・リムスキー=コルサコフ)
国:ロシア
曲:熊蜂の飛行

・ショスタコーヴィチ(ドミートリイ・ドミートリエヴィチ・ショスタコーヴィチ)
国:ロシア
曲:ジャズ組曲


麻衣「ざっくりいったねー」
理一「本当にざっくりですね」
麻衣「ま、いっか。おすすめ曲とか歯止めきかなくなるから、有名気味なのとか、作中で出したの書きました!」
理一「最後に即興曲《アンプロンプチュ》について解説しましょうか」
麻衣「タイトルですからね!」
理一「即興と名がついていますが、即興演奏とは別で自由な形式で書かれた小品のことを言います」
麻衣「ショパンの即興曲はきっと聴いたことがあるの多いと思うな」
理一「僕たちのお話は、即興曲《アンプロンプチュ》していたでしょうか?」
麻衣「さぁ?そこは読者さんに委ねようじゃありませんか」
理一「そうですね」
麻衣「じゃあ、これでバイバイかな」
理一「はい。それでは、作者に代わりましてお礼を」
麻衣「解説まで読んでくれて、本当にありがとう!」
理一「僕たちの話で、少しでもクラシックに興味を持っていただけたら嬉しいです」
麻衣「それじゃ、またどこかで!」
理一「お会いできますことを」




麻衣「語りたいこともっとあったなぁー」
理一「作者も、書きたかったのに当時この作品をあげていたサイトの文字数規定のせいで書けなかったネタが沢山あるそうですよ?」
麻衣「あー、発表会ネタとか、可愛いライバルとか出したかったらしいでふね」
理一「そもそも、僕たちが結ばれるのは中盤の予定だったとか」
麻衣「どんだけ押してんの(草生やしまくり)」
理一「続きを望まれれば書くかもしれませんね」
麻衣「エタリストなのに?おとなしくエタ作書かせておこ?」
理一「僕としては、あなたとの物語をもっとずっと続けていきたので書いて欲しいのですが……」
麻衣「ま、きっといずれ、ね。帰ろうー」
理一「そうですね」

理一「あ、そういえば」
麻衣「何よー?まだ引っ張るの?」
理一「言い忘れていたことが」
麻衣「んー?」
理一「麻衣さん、『ジュ・トゥ・ヴ』」
麻衣「ばっ!!!」

麻衣真っ赤になって退場。それを理一、苦笑気味に追いかけ退場。


チャンチャン。
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