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「おーおー、他のキャストの目も憚らず派手にやらかしたな」
面白そうに声を掛けてきたのは時也さんだった。
「すみません……みっともないところを見せてしまって……。他のキャストにも迷惑がかかりますよね……」
「痴話喧嘩するのは構わねぇし、お前らの関係なんてもう周知の事実なんだから誰も驚かねぇよ。――でもさ、もう少し真夜を信じてやれば? アイツ、宇大にはマジだよ。俺に迫って来た時とはわけが違う。この間、相談されたんだよ……今まで一人と真剣になったことがないからどうすればいいかわからないって。まぁ、一途を貫けプリンセスって返事しといたからちゃんとわかってると思うぞ?」
真夜が時也さんにそんな悩みを相談していたのは初耳だったし(というかプリンセスって……)嬉しくもあったが、今は心の中が荒波を立てていて。
「俺もどこか真夜を信じられない気持ちがあるんですかね……。九条さんの愛人だって話、真夜はまだ真相を話してくれていないんですよ……。だから心配で」
「信じてやれよ。いじらしいじゃねぇか。俺も真夜が女だったら堕ちてたかもな。本気で好きになった奴がいるから誠実に変わりたいなんて。宇大は男って障害を越えて惚れたんだろ? しかも真夜は元があんなんだ。少しずつ整理させてやれよ」
「時也さん……ありがとうございます。とりあえず今日は寝ないで真夜を待ってみます」
時也さんが俺の肩に手を置いて、「まぁ、頑張れ。愛の試練だ。お前たちはいま神に試されている」なんて苦笑してしまうようなことを言って去って行ったが俺の心はやはり穏やかじゃなかった。
(真夜にその気はなくとも九条さんが無理矢理襲ってくる可能性だってあるじゃないか……)
あの日、九条さんと真夜が連れ立って帰って行った日のアイツのキラキラした瞳を思い出してしまうと胸が苦しい。
カッとなって真夜に冷たい態度を取ってしまったのも悔やまれる……。
本当に、真夜を信じていないのは俺の方じゃないか。
ちゃんと繋ぎ止めておかないと、どこかへ消えて行ってしまいそうな真夜が怖くて、俺は閉じ込めてしまいたくなるような気持ちになるのがいけないんだろう。
今夜、真夜は帰ってくるだろうか……。
逆に怒らせてしまったことで、むしゃくしゃさせて帰って来ないなんてことになったら完全に墓穴を掘っている。
(頼むから俺だけのそばにいてくれよ……真夜……)
面白そうに声を掛けてきたのは時也さんだった。
「すみません……みっともないところを見せてしまって……。他のキャストにも迷惑がかかりますよね……」
「痴話喧嘩するのは構わねぇし、お前らの関係なんてもう周知の事実なんだから誰も驚かねぇよ。――でもさ、もう少し真夜を信じてやれば? アイツ、宇大にはマジだよ。俺に迫って来た時とはわけが違う。この間、相談されたんだよ……今まで一人と真剣になったことがないからどうすればいいかわからないって。まぁ、一途を貫けプリンセスって返事しといたからちゃんとわかってると思うぞ?」
真夜が時也さんにそんな悩みを相談していたのは初耳だったし(というかプリンセスって……)嬉しくもあったが、今は心の中が荒波を立てていて。
「俺もどこか真夜を信じられない気持ちがあるんですかね……。九条さんの愛人だって話、真夜はまだ真相を話してくれていないんですよ……。だから心配で」
「信じてやれよ。いじらしいじゃねぇか。俺も真夜が女だったら堕ちてたかもな。本気で好きになった奴がいるから誠実に変わりたいなんて。宇大は男って障害を越えて惚れたんだろ? しかも真夜は元があんなんだ。少しずつ整理させてやれよ」
「時也さん……ありがとうございます。とりあえず今日は寝ないで真夜を待ってみます」
時也さんが俺の肩に手を置いて、「まぁ、頑張れ。愛の試練だ。お前たちはいま神に試されている」なんて苦笑してしまうようなことを言って去って行ったが俺の心はやはり穏やかじゃなかった。
(真夜にその気はなくとも九条さんが無理矢理襲ってくる可能性だってあるじゃないか……)
あの日、九条さんと真夜が連れ立って帰って行った日のアイツのキラキラした瞳を思い出してしまうと胸が苦しい。
カッとなって真夜に冷たい態度を取ってしまったのも悔やまれる……。
本当に、真夜を信じていないのは俺の方じゃないか。
ちゃんと繋ぎ止めておかないと、どこかへ消えて行ってしまいそうな真夜が怖くて、俺は閉じ込めてしまいたくなるような気持ちになるのがいけないんだろう。
今夜、真夜は帰ってくるだろうか……。
逆に怒らせてしまったことで、むしゃくしゃさせて帰って来ないなんてことになったら完全に墓穴を掘っている。
(頼むから俺だけのそばにいてくれよ……真夜……)
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