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(4)
◇
(どこだ? ここは)
辺り一面に暗闇が広がっている。足元が土なのか草なのかすらも分からない。ただひたすら暗く寒い道をナツァグは歩いていた。
遠目に、数匹のハゲワシが何かを啄んでいる。やっと会えたものが人ではなく鳥だということに落胆する。
(何を食べているんだ)
ハゲワシは嘴に赤い肉片を挟んで両側から血を滴らせている。
ナツァグが視線を動かすと、ハゲワシの足元には腸詰のようなものがあり、その先には血にまみれた肉の塊が小山を形成している。
「あ……」
てらてらとぬめっているその肉塊に、彼はたじろいで後退った。
ぱきっ、からん……。
何かを踏んだ音がした。
足元を見ると、暗闇しかなかったはずの地面が白い骨で埋め尽くされている。これらはただの肉と骨に過ぎなかったが、ナツァグは直感的にこれらが部族の誰であるか手に取るように分かった。
それらは隣人の、友人の、父の、母のものだ。そして、ハゲワシが今啄んでいるものは――。
「バヤル!」
名を呼ぶと、肉の塊に過ぎなかったものから四肢が生まれ、馴染みのあるあどけない顔に変貌した。
「にい、ちゃん……」
バヤルは生前と同じ愛らしい声で呼びかける。
「バヤル! 今助けてやるから!」
もう無理だ。
ナツァグには分かり切っている。弟は生きたまま鳥に体を啄まれて死を待つだけの存在だ。それでも、駆け付けずにはいられなかった。
腕を伸ばして駆ける。しかし、地面の白骨が蔦のように足に絡みついてバヤルに近付くことができない。
「ダメだバヤル! 死ぬな! バヤル!」
胸が苦しくて息ができない。溢れる涙が頬を流れる。なぜ弟を助けることができないのだろう。こんなにも強く願っているのに。
どれだけ駆けても一向に近付けない。
「やめろ……! ダメだ……!」
ナツァグは胸元を掻きむしった。
「嫌だ……! バヤル!」
汗で冷たくなった手を温かい何かが覆った。
「ナツァグ、落ち着いて。ナツァグ」
震える両肩を包み込んだぬくもりで次第に緊張がほぐれていく。
「僕が側にいるから、ナツァグ。ゆっくり目を開けて」
荒い呼吸が徐々に整っていく。ナツァグは混乱した頭のまま、言われたとおりに瞼を持ち上げる。
怖い。
目を開けば肉と骨の山があって、またバヤルの哀れな姿を目にするのではないだろうか。
「ここは僕たちの部屋だ。怖がることはない」
ナツァグは己の手に重なった温かな手を握り返す。ようやく現実に出会えた気がした。
「子、壮……」
「うん」
現実でも頬は熱く濡れていた。
子壮が背中を撫でつける。温かな手のひらに安心感が湧き上がる。
ナツァグは毎晩悪夢を見る。故に眠るのが怖かった。
子壮は寝台をくっつけて共に寝れば、少しは安心するのではないかと提案したが、無様な姿を見られたくなくて断った。
だが、子壮は毎日嫌な顔ひとつ見せずにうなされるナツァグを様々な方法で救った。
いつしか、ナツァグは子壮を栄傑の手先だと疑う気持ちは薄れ、純粋に友情を結んでいった。
◇
数日後、禁軍での教練が開始した。
毎夜悪夢にうなされたナツァグは、子壮の慰撫に何とか救われていたが、今度は毎朝悪夢の原因たる赤髪の悪鬼と馬車に同乗して皇城へ向かわねばならなかった。
(同じ塀の中なんだから、歩いて行けるのに)
彼は教練で怪我をしないようにやすったばかりの、ゆっくりと獣化を続ける己の黒い爪に視線を落とした。
宮城前の城門に到着すると、栄傑は官人として職場へ赴き、子壮は禁軍の周将軍の元へナツァグを連れた。
周将軍こと周旋光は闊達な性格で、若い頃は幾度も征西して反乱分子を鎮圧してきた大男だ。中年になって髪に白い筋が混じってきたが、まだまだ若い者に引けを取らない。
過去には皇太子や栄傑に武芸を教えたこともあるらしく、ナツァグや子壮が彼に教えを乞えるのは縁故に拠るところが大きい。
「ふむ、ではまず武挙と同様の試験を受けてもらい、実力を測るとするか。誰か馬を!」
周将軍は教練場から兵をいったん下がらせ、軍馬を貸すように命じた。
武挙は武官登用試験のことだ。騎乗したまま矢を射る馬騎、規定歩数離れて矢を射る歩射、高所の的を射る地球、偃月刀や重い石を持ち上げる技勇と、兵法書に関する筆記問題が出る。
「兵法書……? 兵法は先達からの口伝じゃないのか?」
「え、と。曄では座学で書物を読んで学ぶんだけど……」
ナツァグの疑問に子壮が戸惑いながら答える。しかし、戸惑いが大きいのはナツァグのほうだ。
実技は得意な弓が主なのでともかく、兵法書はおろか、曄語すら満足に読めないナツァグに筆記問題は難題だ。まさか曄語の問題をビュレ文字で答えるわけにはいくまい。
それどころか、草原では書物は非常に珍しいもので一冊の書物を部族全員で回し読みするほどだ。ナツァグも生まれてこの方数冊しか目を通したこと――文字が読めずとも皆一度借りるのが通例になっている――がない。
「心配せずともよい。今の実力を測るだけだ。栄傑殿下の聖獣様を無碍に追い返しはせん」
周将軍は聖獣の血族よりも獣然とした豪快な笑みを浮かべてナツァグの背中を叩いた。
弓矢を用いる試験でナツァグは“神の射手”と称される本領を発揮し、全て正鵠を射た。控えていた兵たちから思わず歓声が上がる。
だが、続く技勇と筆記試験は散々で、控えていた兵たちからは大笑を得る羽目になった。
特に偃月刀の試験は想像よりもうまくいかなかった。
動物を解体したり、縄を切ったりする時に刀を扱うことはあるが、同じ「刀」という文字がついているのに偃月刀はナツァグが使ってきた刀とまるで違う。長い柄がついていて、殆ど槍だ。持ち上げるだけで尻もちをついて無様に試験は終了した。
筆記試験に至っては語る価値もなく、“ナツァグドルジ”とビュレ文字で署名するだけで終わった。
「うむ。射撃と乗馬は問題がないようだが、側仕えともなれば近接戦もできなくてはな。刀術と短槍術を重点的に訓練せよ」
将軍は方針を決めると早速教練への参加を促し、軍用の袍を渡す。
ナツァグが教練場の隅で着替えていると、複数の好奇の目がチクチクと彼を刺した。
「その印……」
近くにいた兵の一人が思わずナツァグの胸元をジッと見つめる。皆が気にしていたのは曄人には珍しい褐色の肌ではなく、鎖骨の宝玉に五弁蓮の印だった。
ナツァグは家畜のような所有印を衆目に晒したくなかったので、片手で印を隠したが、周囲はこの印がいかなるものか知っているらしく、ひそひそと話し始めた。
「うわっ、はじめて見たぜ」
「あれは誰の印だ?」
「奴隷の印とはまた違うのか?」
「印があるってことは、あいつはその、……あれなのか?」
「睦み合わないと現れないって噂だぜ」
「睦み合った後、どうやって印が出るんだ?」
「いや、そこまでは知らん」
目の前で噂が飛び交う。良くない雰囲気を察した周将軍が手を叩いて大声を上げた。
「お前たち! 教練に戻らぬか!」
ナツァグは居心地の悪さを感じながら、さっさと軍用の袍に着替えた。だが、兵たちの噂話から気になる言葉がいくつも耳に入っていた。
(睦み合わないと現れない……? どういうことだ!?)
この紋様は昏睡していた十日の内に彫られた刺青のはずだ。他に何か特殊なことでもされたのだろうか。
睦み合うという言葉の意味を咀嚼すると、家族であれ、恋人であれ、とても親密な行為のように感じる。
(あの男と? 親密な接触を? ありえない!)
しかし、刺青を彫る痛みで目覚めないほど昏睡していたならば、他に何をされていても気付かないだろう。
ナツァグは顔を青くしたが、これ以上真実を知りたくなくて考えるのをやめた。
悩みごとがある時には体を動かすに限ると言わんばかりに、空元気を装って、ぐっと短槍を握る手に力を籠め、がむしゃらに基本動作を繰り返す。
体を動かしてみれば煩悩を払うのは簡単だった。槍や刀は弓とは全く異なる間合いと体裁きで、扱いを知ればなかなか興味深い。中でも馬上から振り下ろして攻撃できる曲刀は特に気に入った。とはいっても、禁軍にでも配属されない限り、騎乗して実戦に参加することはないだろう。
教練が終わり、ナツァグと子壮は昼食をとりに食堂へやってきた。甘辛く煮込まれた肉で空腹を満たしていると、食堂の出入り口周辺が俄かに騒めく。
「!」
子壮が何かに気付いて箸を置き、椅子から立ち上がった。目配せでナツァグにも真似るよう促す。
周囲の人々の視線を辿ると、食堂の出入り口付近にひときわ麗しい顔立ちをした青年がお付きの者たちを率いてゆったりと歩いてくる。兵たちは緊張した面持ちで次々に頭を垂れて「清秀殿下にご挨拶申し上げます!」と拱手した。
ナツァグも子壮を真似て衆人とともに挨拶をした後、声を潜めながら尋ねる。
「誰だ?」
「第十二皇子の清秀殿下だ」
子壮が小声で答える。
第十二皇子ということは、深青の弟で栄傑の兄となる。ただ、外見は栄傑とさほど歳が離れていないように見える。
(あれが皇子……?)
皇子というよりもまるで美姫だ。
肩幅は男性そのものだが、楽国よりも妖艶さの増した目尻に頬を掠めて揺れる茶色の巻き毛、それに引き締まった細い腰から揺れる装飾品は歩搖のようで、仮に女性だったならば傾国であっただろう。
「みんな、ご苦労様」
彼は兵たちに蜂蜜を溶かしたような甘ったるい声をかけながら、蕩けるような微笑みで兵を労う。
兵たちの中には首から耳まで真っ赤に染め上げている者もおり、皇子というよりも魅惑の公主から声をかけられた光栄に浸っている。
「気にせず食べ続けて。ここでは僕も兵の一人だからね」
その言葉通り、彼も教練をしていたのだろう。汗を拭った手巾を肩にかけ、襟を開いて胸板をさらけ出している。白い胸板にはしっかりと訓練の賜物が結実しているにもかかわらず、不思議と雄としての勇ましさより、妖しげな色香が漂っている。
「お心遣い痛み入ります!」
兵たちは口々に感謝を述べて席につき、昼食の続きを食べ始める。
ナツァグも子壮に倣って感謝を述べて礼をし、再び飯に手を付けようとしたその時、清秀と目が合った。
「おやぁ?」
彼は面白いものを見つけた子供のように目を輝かせながら、ナツァグの傍に来て顔を覗き込む。
「もしかして君が栄傑兄上の新しい聖獣かい?」
「え、と……」
「清秀殿下。彼の代わりにご挨拶申し上げます。この者はナツァグドルジと申し、仰せの通り栄傑殿下の聖獣でございます。本日より周将軍のもとで朝の教練に参加させていただいております」
言い淀むナツァグの代わりに子壮が立ち上がって紹介する。
「なるほど。この月光のような銀髪に湖のような青い目はビュレの血を継いでいるのかな? 実に美しい! そして、……よく生き延びたね」
清秀はまなじりに慈愛を浮かべながら、いたわるようにナツァグの肩を撫でる。
「隣に座っても?」
二人が断れるはずもなく、清秀は従者から自分の昼食を受け取り、優雅な所作で武骨な木の食卓に置いた。
「さあ、冷めると厨房の者たちに悪い。僕に気兼ねせず食べ給え。先ほども言ったけど、ここでは僕もひとりの兵に過ぎないからね」
ナツァグはおずおずと自分の食べ物に手を付けながら、ふと清秀の皿に肉気が全くないことに気づいた。
彼の皿にはあっさりとした味付けの白菜や豆腐、それにきのこ類ばかりで、まるで斎戒中の僧だ。見ていてこちらの腹が空いてくる。
「あの、肉がないようですけど、取り忘れているなら俺が取ってきましょうか? 訓練の後ですし、肉を食ったほうが元気が出ますよ」
ナツァグの言葉に清秀は一瞬キョトンとして、口元を片手で抑えて笑う。たったそれだけの仕草であるのに、まるで美術品のように華麗だ。
「あはは、有難う。でも、それには及ばないよ。僕は菜食主義なんだ。脂がちょっと苦手でね。ただ、それだと皆に注意されるから鶏肉団子の日だけ肉を摂るようにはしている」
「そうでしたか。出過ぎた真似をしました」
「心配してくれたんだろう。皆にとって皇族の健康管理って仕事みたいなものだから、純粋に案じてもらたのなら嬉しいよ」
ナツァグはやや気恥ずかしくなって俯いたが、さも気にしていないように振舞う。
「いいなぁ、栄傑兄上は。こんな優しい聖獣が傍にいてくれるなんて。それに弓の腕も大したものじゃないか」
「見ていらしたんですか?」
「ああ。もっと近くで見たかったものだよ」
清秀が首をかしげて柔らかい笑みを浮かべる。ナツァグは見られていたとは露知らず、褒められて顔を熱くする。しかし、すぐにその他の散々な結果を思い出し、別の羞恥が這い上がってきた。
「弓は多少心得があります。ですが後半は目も当てられなかったですよね……」
「ふふっ、確かに。あの美しい背中と力強い弓射はまさに天の賜物だ。だけど、その後の刀と槍は……。ふふっ、思い出しただけで愉快な気分だ」
ナツァグはいたたまれない気持ちになったが、清秀の笑顔が色香漂う貴妃の佇まいと違い、あまりにも屈託がなく、むしろ無垢にすら感じられて次第に気持ちが和らぐ。
清秀はひとしきり笑うと目尻の涙を白く長い指先で拭った。
「ナツァグドルジと言ったね。これも何かの縁だ。刀と槍なら僕も多少心得がある。君さえ良ければ今度稽古をつけてあげるよ。暇ができたら息抜きにでもおいで」
彼はひらひらと手を振って、食器の後片付けをし、その場を後にした。
他の卓の兵たちは清秀の去った後、しばらくうっとりしながら、天女のようだと口々に褒め称えた。
子壮は清秀の色香にこそ当てられていないが、一連の話を聞いて興奮の色を隠せなかった。
「す、すごいじゃないか、ナツァグ! 清秀殿下は刀と槍の名手だ。稽古をつけてもらえたら得るものは大きいぞ!」
「そうなのか? なら、子壮も共に行かないか?」
子壮は首を振った。
「お誘いを受けたのは君だ。さすがに図々しいから遠慮しておく。……そうだ、このことは栄傑様には内密にしたほうがいい」
「どうして?」
子壮は周囲を気にしながら声を潜めた。
「栄傑様は清秀殿下を疎んじていらっしゃる」
「あいつ、感じが悪くて人気なさそうだし、清秀殿下に嫉妬でもしてるのか?」
「ナツァグ、滅多ことを言うな」
子壮に手で口を塞がれてナツァグは仕方なく閉口した。
「そりゃ、栄傑様は清秀殿下ほど柔和ではないし、従者たちとも気軽におしゃべりはしない。だが、その、たくさんの美点がある……」
はず、と子壮は己の主を立てようとしたが、次第に言い淀んだ。
ナツァグは栄傑に美点があるとは一欠けらも思わない。美点の多い人間なら、取るに足らない塞外の部族を急襲して、女子供や老人まで根こそぎ殺害するはずがない。せめて一縷の温情で捕虜にして生かすはずだ。
ましてや、あんなにも幼い弟の首をわざわざ胴から切り離す鬼畜の所業をするはずがない。
(バヤル……)
ナツァグは無意識に拳を握り締めると爪を立てる。子壮はその変化に気づかぬまま、清秀について話し続ける。
「清秀殿下は栄傑様より半年以上後にお生まれだがお母上の身分が高かったから第十二皇子に定められたんだ。同い年の皇子は十二位から十七位まで五人いらっしゃるが、栄傑様が他の皇子と反目していらっしゃる噂はよく耳にする。ただ、僕は栄傑様が地位にこだわってるとは思わないけども」
同年代の子供が優劣を競うのは珍しいことではない。
ビュレ族だって末子相続ゆえに長子が権利を主張して末子と殺し合いになった事件が古老によって語り継がれている。ましてや定住民の皇族や貴族であるならばなおさらだ。皇位に付かなくとも有力な土地で王府を開きたい野心を持っていてもおかしくない。
ナツァグは栄傑の冷淡で残忍な心に、いかような野心が燃えているのだろうかと想像した。あのような男であれば、血の縁すらも顧みることなく、己の地位のために残虐の限りを尽くし、覇道を進むことだろう。
彼は嫌悪に顔を暗く歪めた。
(どこだ? ここは)
辺り一面に暗闇が広がっている。足元が土なのか草なのかすらも分からない。ただひたすら暗く寒い道をナツァグは歩いていた。
遠目に、数匹のハゲワシが何かを啄んでいる。やっと会えたものが人ではなく鳥だということに落胆する。
(何を食べているんだ)
ハゲワシは嘴に赤い肉片を挟んで両側から血を滴らせている。
ナツァグが視線を動かすと、ハゲワシの足元には腸詰のようなものがあり、その先には血にまみれた肉の塊が小山を形成している。
「あ……」
てらてらとぬめっているその肉塊に、彼はたじろいで後退った。
ぱきっ、からん……。
何かを踏んだ音がした。
足元を見ると、暗闇しかなかったはずの地面が白い骨で埋め尽くされている。これらはただの肉と骨に過ぎなかったが、ナツァグは直感的にこれらが部族の誰であるか手に取るように分かった。
それらは隣人の、友人の、父の、母のものだ。そして、ハゲワシが今啄んでいるものは――。
「バヤル!」
名を呼ぶと、肉の塊に過ぎなかったものから四肢が生まれ、馴染みのあるあどけない顔に変貌した。
「にい、ちゃん……」
バヤルは生前と同じ愛らしい声で呼びかける。
「バヤル! 今助けてやるから!」
もう無理だ。
ナツァグには分かり切っている。弟は生きたまま鳥に体を啄まれて死を待つだけの存在だ。それでも、駆け付けずにはいられなかった。
腕を伸ばして駆ける。しかし、地面の白骨が蔦のように足に絡みついてバヤルに近付くことができない。
「ダメだバヤル! 死ぬな! バヤル!」
胸が苦しくて息ができない。溢れる涙が頬を流れる。なぜ弟を助けることができないのだろう。こんなにも強く願っているのに。
どれだけ駆けても一向に近付けない。
「やめろ……! ダメだ……!」
ナツァグは胸元を掻きむしった。
「嫌だ……! バヤル!」
汗で冷たくなった手を温かい何かが覆った。
「ナツァグ、落ち着いて。ナツァグ」
震える両肩を包み込んだぬくもりで次第に緊張がほぐれていく。
「僕が側にいるから、ナツァグ。ゆっくり目を開けて」
荒い呼吸が徐々に整っていく。ナツァグは混乱した頭のまま、言われたとおりに瞼を持ち上げる。
怖い。
目を開けば肉と骨の山があって、またバヤルの哀れな姿を目にするのではないだろうか。
「ここは僕たちの部屋だ。怖がることはない」
ナツァグは己の手に重なった温かな手を握り返す。ようやく現実に出会えた気がした。
「子、壮……」
「うん」
現実でも頬は熱く濡れていた。
子壮が背中を撫でつける。温かな手のひらに安心感が湧き上がる。
ナツァグは毎晩悪夢を見る。故に眠るのが怖かった。
子壮は寝台をくっつけて共に寝れば、少しは安心するのではないかと提案したが、無様な姿を見られたくなくて断った。
だが、子壮は毎日嫌な顔ひとつ見せずにうなされるナツァグを様々な方法で救った。
いつしか、ナツァグは子壮を栄傑の手先だと疑う気持ちは薄れ、純粋に友情を結んでいった。
◇
数日後、禁軍での教練が開始した。
毎夜悪夢にうなされたナツァグは、子壮の慰撫に何とか救われていたが、今度は毎朝悪夢の原因たる赤髪の悪鬼と馬車に同乗して皇城へ向かわねばならなかった。
(同じ塀の中なんだから、歩いて行けるのに)
彼は教練で怪我をしないようにやすったばかりの、ゆっくりと獣化を続ける己の黒い爪に視線を落とした。
宮城前の城門に到着すると、栄傑は官人として職場へ赴き、子壮は禁軍の周将軍の元へナツァグを連れた。
周将軍こと周旋光は闊達な性格で、若い頃は幾度も征西して反乱分子を鎮圧してきた大男だ。中年になって髪に白い筋が混じってきたが、まだまだ若い者に引けを取らない。
過去には皇太子や栄傑に武芸を教えたこともあるらしく、ナツァグや子壮が彼に教えを乞えるのは縁故に拠るところが大きい。
「ふむ、ではまず武挙と同様の試験を受けてもらい、実力を測るとするか。誰か馬を!」
周将軍は教練場から兵をいったん下がらせ、軍馬を貸すように命じた。
武挙は武官登用試験のことだ。騎乗したまま矢を射る馬騎、規定歩数離れて矢を射る歩射、高所の的を射る地球、偃月刀や重い石を持ち上げる技勇と、兵法書に関する筆記問題が出る。
「兵法書……? 兵法は先達からの口伝じゃないのか?」
「え、と。曄では座学で書物を読んで学ぶんだけど……」
ナツァグの疑問に子壮が戸惑いながら答える。しかし、戸惑いが大きいのはナツァグのほうだ。
実技は得意な弓が主なのでともかく、兵法書はおろか、曄語すら満足に読めないナツァグに筆記問題は難題だ。まさか曄語の問題をビュレ文字で答えるわけにはいくまい。
それどころか、草原では書物は非常に珍しいもので一冊の書物を部族全員で回し読みするほどだ。ナツァグも生まれてこの方数冊しか目を通したこと――文字が読めずとも皆一度借りるのが通例になっている――がない。
「心配せずともよい。今の実力を測るだけだ。栄傑殿下の聖獣様を無碍に追い返しはせん」
周将軍は聖獣の血族よりも獣然とした豪快な笑みを浮かべてナツァグの背中を叩いた。
弓矢を用いる試験でナツァグは“神の射手”と称される本領を発揮し、全て正鵠を射た。控えていた兵たちから思わず歓声が上がる。
だが、続く技勇と筆記試験は散々で、控えていた兵たちからは大笑を得る羽目になった。
特に偃月刀の試験は想像よりもうまくいかなかった。
動物を解体したり、縄を切ったりする時に刀を扱うことはあるが、同じ「刀」という文字がついているのに偃月刀はナツァグが使ってきた刀とまるで違う。長い柄がついていて、殆ど槍だ。持ち上げるだけで尻もちをついて無様に試験は終了した。
筆記試験に至っては語る価値もなく、“ナツァグドルジ”とビュレ文字で署名するだけで終わった。
「うむ。射撃と乗馬は問題がないようだが、側仕えともなれば近接戦もできなくてはな。刀術と短槍術を重点的に訓練せよ」
将軍は方針を決めると早速教練への参加を促し、軍用の袍を渡す。
ナツァグが教練場の隅で着替えていると、複数の好奇の目がチクチクと彼を刺した。
「その印……」
近くにいた兵の一人が思わずナツァグの胸元をジッと見つめる。皆が気にしていたのは曄人には珍しい褐色の肌ではなく、鎖骨の宝玉に五弁蓮の印だった。
ナツァグは家畜のような所有印を衆目に晒したくなかったので、片手で印を隠したが、周囲はこの印がいかなるものか知っているらしく、ひそひそと話し始めた。
「うわっ、はじめて見たぜ」
「あれは誰の印だ?」
「奴隷の印とはまた違うのか?」
「印があるってことは、あいつはその、……あれなのか?」
「睦み合わないと現れないって噂だぜ」
「睦み合った後、どうやって印が出るんだ?」
「いや、そこまでは知らん」
目の前で噂が飛び交う。良くない雰囲気を察した周将軍が手を叩いて大声を上げた。
「お前たち! 教練に戻らぬか!」
ナツァグは居心地の悪さを感じながら、さっさと軍用の袍に着替えた。だが、兵たちの噂話から気になる言葉がいくつも耳に入っていた。
(睦み合わないと現れない……? どういうことだ!?)
この紋様は昏睡していた十日の内に彫られた刺青のはずだ。他に何か特殊なことでもされたのだろうか。
睦み合うという言葉の意味を咀嚼すると、家族であれ、恋人であれ、とても親密な行為のように感じる。
(あの男と? 親密な接触を? ありえない!)
しかし、刺青を彫る痛みで目覚めないほど昏睡していたならば、他に何をされていても気付かないだろう。
ナツァグは顔を青くしたが、これ以上真実を知りたくなくて考えるのをやめた。
悩みごとがある時には体を動かすに限ると言わんばかりに、空元気を装って、ぐっと短槍を握る手に力を籠め、がむしゃらに基本動作を繰り返す。
体を動かしてみれば煩悩を払うのは簡単だった。槍や刀は弓とは全く異なる間合いと体裁きで、扱いを知ればなかなか興味深い。中でも馬上から振り下ろして攻撃できる曲刀は特に気に入った。とはいっても、禁軍にでも配属されない限り、騎乗して実戦に参加することはないだろう。
教練が終わり、ナツァグと子壮は昼食をとりに食堂へやってきた。甘辛く煮込まれた肉で空腹を満たしていると、食堂の出入り口周辺が俄かに騒めく。
「!」
子壮が何かに気付いて箸を置き、椅子から立ち上がった。目配せでナツァグにも真似るよう促す。
周囲の人々の視線を辿ると、食堂の出入り口付近にひときわ麗しい顔立ちをした青年がお付きの者たちを率いてゆったりと歩いてくる。兵たちは緊張した面持ちで次々に頭を垂れて「清秀殿下にご挨拶申し上げます!」と拱手した。
ナツァグも子壮を真似て衆人とともに挨拶をした後、声を潜めながら尋ねる。
「誰だ?」
「第十二皇子の清秀殿下だ」
子壮が小声で答える。
第十二皇子ということは、深青の弟で栄傑の兄となる。ただ、外見は栄傑とさほど歳が離れていないように見える。
(あれが皇子……?)
皇子というよりもまるで美姫だ。
肩幅は男性そのものだが、楽国よりも妖艶さの増した目尻に頬を掠めて揺れる茶色の巻き毛、それに引き締まった細い腰から揺れる装飾品は歩搖のようで、仮に女性だったならば傾国であっただろう。
「みんな、ご苦労様」
彼は兵たちに蜂蜜を溶かしたような甘ったるい声をかけながら、蕩けるような微笑みで兵を労う。
兵たちの中には首から耳まで真っ赤に染め上げている者もおり、皇子というよりも魅惑の公主から声をかけられた光栄に浸っている。
「気にせず食べ続けて。ここでは僕も兵の一人だからね」
その言葉通り、彼も教練をしていたのだろう。汗を拭った手巾を肩にかけ、襟を開いて胸板をさらけ出している。白い胸板にはしっかりと訓練の賜物が結実しているにもかかわらず、不思議と雄としての勇ましさより、妖しげな色香が漂っている。
「お心遣い痛み入ります!」
兵たちは口々に感謝を述べて席につき、昼食の続きを食べ始める。
ナツァグも子壮に倣って感謝を述べて礼をし、再び飯に手を付けようとしたその時、清秀と目が合った。
「おやぁ?」
彼は面白いものを見つけた子供のように目を輝かせながら、ナツァグの傍に来て顔を覗き込む。
「もしかして君が栄傑兄上の新しい聖獣かい?」
「え、と……」
「清秀殿下。彼の代わりにご挨拶申し上げます。この者はナツァグドルジと申し、仰せの通り栄傑殿下の聖獣でございます。本日より周将軍のもとで朝の教練に参加させていただいております」
言い淀むナツァグの代わりに子壮が立ち上がって紹介する。
「なるほど。この月光のような銀髪に湖のような青い目はビュレの血を継いでいるのかな? 実に美しい! そして、……よく生き延びたね」
清秀はまなじりに慈愛を浮かべながら、いたわるようにナツァグの肩を撫でる。
「隣に座っても?」
二人が断れるはずもなく、清秀は従者から自分の昼食を受け取り、優雅な所作で武骨な木の食卓に置いた。
「さあ、冷めると厨房の者たちに悪い。僕に気兼ねせず食べ給え。先ほども言ったけど、ここでは僕もひとりの兵に過ぎないからね」
ナツァグはおずおずと自分の食べ物に手を付けながら、ふと清秀の皿に肉気が全くないことに気づいた。
彼の皿にはあっさりとした味付けの白菜や豆腐、それにきのこ類ばかりで、まるで斎戒中の僧だ。見ていてこちらの腹が空いてくる。
「あの、肉がないようですけど、取り忘れているなら俺が取ってきましょうか? 訓練の後ですし、肉を食ったほうが元気が出ますよ」
ナツァグの言葉に清秀は一瞬キョトンとして、口元を片手で抑えて笑う。たったそれだけの仕草であるのに、まるで美術品のように華麗だ。
「あはは、有難う。でも、それには及ばないよ。僕は菜食主義なんだ。脂がちょっと苦手でね。ただ、それだと皆に注意されるから鶏肉団子の日だけ肉を摂るようにはしている」
「そうでしたか。出過ぎた真似をしました」
「心配してくれたんだろう。皆にとって皇族の健康管理って仕事みたいなものだから、純粋に案じてもらたのなら嬉しいよ」
ナツァグはやや気恥ずかしくなって俯いたが、さも気にしていないように振舞う。
「いいなぁ、栄傑兄上は。こんな優しい聖獣が傍にいてくれるなんて。それに弓の腕も大したものじゃないか」
「見ていらしたんですか?」
「ああ。もっと近くで見たかったものだよ」
清秀が首をかしげて柔らかい笑みを浮かべる。ナツァグは見られていたとは露知らず、褒められて顔を熱くする。しかし、すぐにその他の散々な結果を思い出し、別の羞恥が這い上がってきた。
「弓は多少心得があります。ですが後半は目も当てられなかったですよね……」
「ふふっ、確かに。あの美しい背中と力強い弓射はまさに天の賜物だ。だけど、その後の刀と槍は……。ふふっ、思い出しただけで愉快な気分だ」
ナツァグはいたたまれない気持ちになったが、清秀の笑顔が色香漂う貴妃の佇まいと違い、あまりにも屈託がなく、むしろ無垢にすら感じられて次第に気持ちが和らぐ。
清秀はひとしきり笑うと目尻の涙を白く長い指先で拭った。
「ナツァグドルジと言ったね。これも何かの縁だ。刀と槍なら僕も多少心得がある。君さえ良ければ今度稽古をつけてあげるよ。暇ができたら息抜きにでもおいで」
彼はひらひらと手を振って、食器の後片付けをし、その場を後にした。
他の卓の兵たちは清秀の去った後、しばらくうっとりしながら、天女のようだと口々に褒め称えた。
子壮は清秀の色香にこそ当てられていないが、一連の話を聞いて興奮の色を隠せなかった。
「す、すごいじゃないか、ナツァグ! 清秀殿下は刀と槍の名手だ。稽古をつけてもらえたら得るものは大きいぞ!」
「そうなのか? なら、子壮も共に行かないか?」
子壮は首を振った。
「お誘いを受けたのは君だ。さすがに図々しいから遠慮しておく。……そうだ、このことは栄傑様には内密にしたほうがいい」
「どうして?」
子壮は周囲を気にしながら声を潜めた。
「栄傑様は清秀殿下を疎んじていらっしゃる」
「あいつ、感じが悪くて人気なさそうだし、清秀殿下に嫉妬でもしてるのか?」
「ナツァグ、滅多ことを言うな」
子壮に手で口を塞がれてナツァグは仕方なく閉口した。
「そりゃ、栄傑様は清秀殿下ほど柔和ではないし、従者たちとも気軽におしゃべりはしない。だが、その、たくさんの美点がある……」
はず、と子壮は己の主を立てようとしたが、次第に言い淀んだ。
ナツァグは栄傑に美点があるとは一欠けらも思わない。美点の多い人間なら、取るに足らない塞外の部族を急襲して、女子供や老人まで根こそぎ殺害するはずがない。せめて一縷の温情で捕虜にして生かすはずだ。
ましてや、あんなにも幼い弟の首をわざわざ胴から切り離す鬼畜の所業をするはずがない。
(バヤル……)
ナツァグは無意識に拳を握り締めると爪を立てる。子壮はその変化に気づかぬまま、清秀について話し続ける。
「清秀殿下は栄傑様より半年以上後にお生まれだがお母上の身分が高かったから第十二皇子に定められたんだ。同い年の皇子は十二位から十七位まで五人いらっしゃるが、栄傑様が他の皇子と反目していらっしゃる噂はよく耳にする。ただ、僕は栄傑様が地位にこだわってるとは思わないけども」
同年代の子供が優劣を競うのは珍しいことではない。
ビュレ族だって末子相続ゆえに長子が権利を主張して末子と殺し合いになった事件が古老によって語り継がれている。ましてや定住民の皇族や貴族であるならばなおさらだ。皇位に付かなくとも有力な土地で王府を開きたい野心を持っていてもおかしくない。
ナツァグは栄傑の冷淡で残忍な心に、いかような野心が燃えているのだろうかと想像した。あのような男であれば、血の縁すらも顧みることなく、己の地位のために残虐の限りを尽くし、覇道を進むことだろう。
彼は嫌悪に顔を暗く歪めた。
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