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サムライ校での学園生活

救世主

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その頃・・・・地獄トンネルでは勝敗がついていた・・・

朝本未春が、冴鶴を地にふせていた・・・・

ケンカの勝者は【路上の神話】だった・・・


朝本「しかし、まあ・・・久々に面白い喧嘩が出来たぜ・・・俺相手にここまでしぶとく、手こずらせた奴はみたことがねえ・・・」

冴鶴「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

両者とも血まみれと大怪我だらけなのは、一緒だ・・・・
顔も身体も腫れ上がり、口元からは血が垂れている・・

冴鶴「ま、まだだ・・・まだ終わってねえ・・・」

冴鶴が、ボコボコの身体でまだ立ち上がろうとする・・・

朝本「おい、やめとけ・・そんなボロボロのお前を殴るほど俺は残酷じゃねえよ・・・それによ~、なんかこんなことしてる暇ないほど、なんだかめっちゃ嫌な予感がするんだ・・お前が心配していたリリって子、大丈夫なのか?」

冴鶴「!!」





一方こちらでは・・・



岩一「だ、誰なんだよ!おっさんたち・・・」

ボス「お前らが今言ってた【黒丸】のおっかない悪魔たちだよ・・つまり、お前らを地獄へ送る処刑人ってところさ・・」

ボスが拳銃を5人へ向ける・・・だが、もちろん一番の標的は友愛のため、狙う先は友愛の頭となっていた・・・


麗太「く、【黒丸】がなんでここに・・・」

ここにいる五人は、まさか自分たちが今、話題としていた犯罪グループが、まさか本当に現れるとは思わないだろう…当たり前だ。ドッキリじゃないかと思われるほど、こんなちょうどよく来たら、みんな一瞬我が目を疑うだろう・・

ボス「なんで、ここにって・・元々この島は、俺たち【黒丸】のテリトリーだったんだぜ。それを玄勇会や自衛隊員の連中が横取りしなきゃ、お前らガキどもがこんな目に合わなくてもすんだんだがな。」

安倍「よ、横取り?」

ボス「はあ~ん、お前ら、何も知らねえんだな。ま、こんな小さな島の汚れた黒歴史なんぞ誰も教えんか・・・いいか?この島の過去の繫栄は、天使と悪魔が契約したからこそのものだったんだ。」

京子「天使と悪魔?」

ボス「そうだ。この島の富裕層であった【天使】と呼ばれる金持ち、そして犯罪界の代表である俺たち黒丸という名の【悪魔】・・・この2つが島の発展を支えていたんだよ。天使たちは島民を武力で管理するために、俺たちみたいな犯罪者を暴力装置として雇ったんだ。だから俺たちは【悪魔】なのさ・・俺たちは天使共の手先となって働く代わりに、この島で麻薬の密売や人身売買ビジネスをすることを許してもらったのさ。その関係は十数年に及んだ。

それによって、莫大な富を築き上げた天使と悪魔に、日本の政界や財界の大物たちは食いついてきた・・」


友愛「そこで、政治家たちを殺したのか・・・」

安倍「しかし、なぜ?政治家や財界の関係者と関係を持つことは、あなた方にも悪い話じゃないはずでは?」


ボス「俺たち天使と悪魔の関係の中にある【秘密】を知っちまったからな・・・みんな行方不明者として土に帰ってもらったよ。ったく・・黙っとけば、俺たちと美味しい関係を築けたのに、バカな連中だ。

秘密を知った者の中には、最後まで俺たちの【秘密】を公にしようと頑張った連中がいてな・・・

それが世間では、世紀の大罪人として知られている【平成の悪魔】と呼ばれた政治家たちだ。

奴らは俺たちと接触し、俺たちの【秘密】が何なのかを必死に突き止めた・・・そして警察関係者にリークした。

だが、仮に警察に知られたとしても、そこは俺たち【黒丸】だ。秘密を知った警察関係者を全て皆殺しにし、バカな政治家をこの世から消してやった・・まあ、少々派手に殺しちまったせいか、マスコミには色々勘ぐられたが、死んだ政治家共に全て濡れ衣を着せ、表では悪魔になってもらうことでカタがついたってわけだ・・

文字通り、俺たち悪魔に関わると、国のために必死に【秘密】を突き止めようとした政治家たちも【平成の悪魔】って呼ばれるようになってしまうわけだ・・・」



安倍「じゃ、じゃあ・・・このホテルに来ていた政治家たちは、みんなあなた方の【秘密】を知ったせいで死んだってことですか?」

岩一「その【秘密】って何だよ!!」


バン!!

ボスの拳銃が火を吹く・・・・だが、幸い5人には誰も当たっていなかった・・・

どうやら威嚇射撃だったようだ・・床に弾痕が残り、煙が出ている・・・



ボス「口の利き方に気をつけろ・・小僧・・・」

岩一は、今の威嚇射撃で度肝を抜かれ、口をあんぐり開けて、しばらく動けなくなってしまった・・・


ボス「まあ、いい・・冥途の土産に教えといてやる・・・その【秘密】ってのは・・」


【0】「あまり、しゃべりすぎるなよ・・・ポイズン」


ボスの耳には、イヤモニがついており、そこから【0】の指示や仲間の報告を聞くのだ・・・

もちろん友愛たちには、イヤモニからの音声は一切聞こえていない・・・


【0】「小島友愛だけは、殺さずに残せ・・・奴とは話さなければならないことがある・・・」


【0】の声は、機械で加工されており、実際の声はわからないようになっている・・


ボス「しかし、問答無用で殺せ、と旦那が言ったじゃありませんか・・・」

【0】「気が変わった・・・周りのガキどもを殺し、小島友愛だけは捕まえてこい・・」



ボス「了解・・・・」



ボスは指示通りに、友愛から的を外し、残りの4人に拳銃をむけた・・・・



! なぜ、今、僕から照準を外した?


友愛は、ボスの照準ずらしを敏感に察知した。


ボス「おしゃべりの時間は終わりだ・・・ガキども、あの世でここに足を踏み入れたことに後悔するんだな・・・」


みんな目をつぶる・・・


麗太「ああ・・終わった・・」

安倍「短い人生だったな・・」

京子「まだまだ、これからもっと色んなことを楽しみたかったのに・・」

岩一「父ちゃん・・母ちゃん・・・」


誰もが、そう思ったその時だった!!



ズザザザザ・・・・・うん?外だ・・外から何か変な音がする・・・

思わず、ボスも割れた窓ガラスから、外を見る・・・



誰かが外で、ホテルに向かって思いきり走ってくる・・・

それも、とても人間とは思えないような異常な速さで

異常な速さの人間は、これまた異常な跳躍力でホテルの壁に飛びつき、まるでボルダリングのように
よじ登ってくる・・・それも異常な速さで・・・


そして、友愛たちのいる三階についたかと思うと・・・

「どーもー」

と登場!

と言ったかと思うと、その人物は手に持っていた木刀で思いきり、ボスの拳銃を持っている右手を
打撃攻撃・・・

カラン コロン・・・

拳銃が床に転がる・・・


「未来ある子供の命を奪おうとするとは、感心しませんねえ・・・」

丁寧で柔らかい口調の、その人物は、タートルネックにロングコート姿・・・女性のような優しく美しい顔立ちをした小柄なお兄さんだった・・・

手に硬い木刀が握られており、明らかに友愛たちを助けに来てくれたようだ・・・


「【携帯ボディーガードサービス】のリーダー【岸川景修】として、犯罪者から一般人を守るのが、僕の役目・・・皆さん以後お見知りおきを。」

ニコリ










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