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サムライ校での学園生活

ゾンビになる薬

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紫瑞先生「はいはい、その薬草はそこら辺に置いといて~」


紫端先生が来たことにより、やっと先程までのくだらない茶番劇が終わりを迎えた。


姫様とレカミエの2人は実力行使委員会に保護された後、そのまま寮に帰された。

残りの友愛たちサムライ部のメンバーは、なぜか何も悪いことをしていないのに、紫端先生から罰則を与えられた。

罰則の内容は、端的に言えば紫端先生の仕事のお手伝い・・・・

京子、安部、岩一たちは、温室の中で先生が育てている薬草に水をやったり、成長した葉を切り取ったり。

友愛、リリ、麗太の3人は、紫瑞先生の研究室で、大量の資料と薬品運びの手伝いをさせられていた。


麗太「ったく・・・なんで僕らがこんなことやらされてんの?罰則なら普通、あのニート党員どもにだろ」

リリ「しょうがないわ、だって彼ら逃げ足だけは速いんだもん。でもいいじゃない、私、1回科学の先生の研究室とか覗いてみたかったのよ」

友愛「僕たちは君みたいに勉強好きではないから、そんなに心は踊りませんね・・・ってか、足元気を付けて、そこにも試験管が転がってるから・・・」

紫瑞先生の研究室は、本来はたぶん広いんだろうが、大量の段ボールと、棚や机中に敷き詰められるように置いてある色んな色の薬品や、そして所々に置いてある分厚い書物によって、マジで狭い部屋に見えてくる。

可愛らしい童顔からは想像もできないほど、部屋は荒れているのだ。

とても女性の部屋とは思えない・・・

どうやら見た目は可愛らしい26歳の女性教員だが、根っからの研究者らしい・・・

友愛たちは、まだ紫瑞先生の授業は受けたことないが、他の生徒の話によると、紫端先生は薬学の話になると止まらないらしく、洪水のようなスピードで話し出すため、授業が一時間では終わらなくなり、次の授業の先生がやってくるまで、独り語りをずっとやってしまうらしい。

だけど、先生はやはり優しかったらしく、3人が頼んだ仕事を終えると、ジュースを奢ってくれた・・・

紫瑞先生「はい、お疲れ様。もう二度と廊下で悪さをするんじゃないよ。」

おお、優しく温かい笑顔・・・そして穏やかな雰囲気・・・どう見比べても、こんなに部屋を荒れ放題にする先生には見えないが・・・・


麗太「だから、僕ら何もしてないんですけど・・・」

これに関しては、もう反論することも諦めた3人・・・

事情を説明しても、完全に誤解されてるから、もうどうでもよくなった・・・・

紫瑞先生「それ飲んだら、もう帰っていいよ。みんなも大切な夜の自由時間があるでしょうしね・・・」

3人「はーい!」


やっと、解放される・・・その時だった!!

リリが床に落ちていたフラスコにつまずき、棚に頭をぶつけた。

そのせいで、棚に置いてあった一部のものがドサッと落ちてきた・・・・・


リリ「イテテテ・・・すいません。」

紫端先生「まったく・・・大丈夫?」

紫端先生が心配して、リリに駆け寄る。

麗太「気を付けろよな・・・せっかく片付けが終わったんだから・・・」

友愛と麗太は、棚から落ちてきたものを、かがんで、拾う・・・


すると、その落ちてきたものの中には、明らかに普通ではない薬ばかりがあった・・・

ビニールの中にキッチリと密閉され、ラベルに【ゾンビになる薬】と書かれている・・・

ネットの画像でよく見る薬物のビジュアルをしていた・・・


友愛と麗太は、それを見て一気に顔が青ざめてきた・・・

全身が恐怖でおかされるようだ・・・

こんなものを持っている紫端先生って、一体・・・


紫端先生「あらあら、見られてしまったわね~」

ニヤリと不気味に微笑む紫端先生・・・・





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