38 / 175
一章 入学旅行一日目
1-19a 課題4――班対抗表現バトル
しおりを挟む 課題4は、班対抗の表現バトルだ。
どの班と対戦するかは、競技場に到着して受付を済ませた順番で決まり、霧たち24班の相手は17班、対戦場所は「サブコート1」で14時からとなっている。
霧たちは草原から競技場へ出発する際 出遅れたので、競技場の受付も新入生全班の中で最も遅い班となった。そのため、もうほとんどの班が課題4を終了しており、これから始まる24班と17班の対戦が最後の試合となるようだ。
霧たちが「サブコート1」に到着した頃には、もう13時50分になっていた。すでに17班の面々は、サブコートの中央――競技者用のエリアで待機している。
それを見て霧たちが慌ててコート入りすると、観覧席からどよめきが起こった。同時にあちこちから、拍手が沸き起こる。
「えっ……ちょ、何?!」
霧たちは驚いて観覧席を見回す。サブコートの中では一番大きいこのコートは、観覧席が5000ほどある。驚いたことに、それらはほぼ満席だった。
「うわっ、やばいぐらい人大杉。さっきの課題3に使ったサブコートでは、こんなに見物人いなかったのに、班対抗戦って、こんなに人気あるの?」
霧の戸惑う声に、アデルが答えた。
「人気あるわよ。でも、まだ決勝バトルじゃないのに満席ってのは珍しいかも。多分、課題3の私たちの競技を見た人たちが噂を広めちゃったんでしょ。新入生の競技予定は公開されているから、私たち24班の競技目当てで集まったんだと思う。じゃなきゃ、私たちがコート入りした途端、拍手ってないでしょ。まあ、17班の人たちも優秀で、このバトルが特別期待されてるのかもしれないけど。それだと対戦するのが楽しみね」
「ええええ……。全然楽しみじゃない…………。誰か、お面、持ってない? 貸して……」
「しっかりしなさいよ、キリ! さあ、シャンとして! みんな、用意はいい? 勝ち負けは関係ないんだから、自分の全力出したらそれでOKよ!」
みんなが、一斉にうなずく。
24班がコート入りすると、レフリーが一通りの説明をしてくれた。そしていよいよ、競技が始まる。
最初の表現対象物は個性的な帽子。リューエストの担当だ。
霧の担当である黒い立方体は一番最後のため、競技者の立ち位置から少し下がった場所でツアーメイトと一緒に競技を見守った。
リューエストは今回は真面目に表現し、審判妖精からなんと500点を超える点数をもらった。
リューエストの対戦者は若い女性で、彼の美貌に見とれてしまい実力を出せなかったらしい。彼女が審判妖精からもらった点数は80点で、新入生の平均点120点には及ばなかったが、まるで悔しい顔はしていない。彼女は相変わらずうっとりとリューエストを見つめ、「今日の記念に握手してください!」と手を差し出している。
そんな中、観覧者からはリューエストの高得点を称える拍手と喝采が飛び、競技場内は騒然となっていた。やがてレフリーがそれを制し、声を上げる。
「皆さま、お手元の配点ボタンで、良いと思った競技者をお選びください! 各席1点が加算されます!」
課題3と違って、この課題4のための班対抗戦は、観覧席からの配点もある。
観覧席の前面に現れたホログラムによる配点ボタンで、表現が気に入った方の競技者を選べば、各席の持ち点である1点が加算される仕組みだ。
ほとんどの観客はリューエストを選んだと見え、彼の合計点数がレフリーによって発表されると、その並外れた高さにコート中は更に沸き立った。
競技は順調に進み、課題3の時と同じく24班の面々はいずれも高得点を取り、競技場は更なる興奮に包まれていく。
そしていよいよ、霧の番となった。
どの班と対戦するかは、競技場に到着して受付を済ませた順番で決まり、霧たち24班の相手は17班、対戦場所は「サブコート1」で14時からとなっている。
霧たちは草原から競技場へ出発する際 出遅れたので、競技場の受付も新入生全班の中で最も遅い班となった。そのため、もうほとんどの班が課題4を終了しており、これから始まる24班と17班の対戦が最後の試合となるようだ。
霧たちが「サブコート1」に到着した頃には、もう13時50分になっていた。すでに17班の面々は、サブコートの中央――競技者用のエリアで待機している。
それを見て霧たちが慌ててコート入りすると、観覧席からどよめきが起こった。同時にあちこちから、拍手が沸き起こる。
「えっ……ちょ、何?!」
霧たちは驚いて観覧席を見回す。サブコートの中では一番大きいこのコートは、観覧席が5000ほどある。驚いたことに、それらはほぼ満席だった。
「うわっ、やばいぐらい人大杉。さっきの課題3に使ったサブコートでは、こんなに見物人いなかったのに、班対抗戦って、こんなに人気あるの?」
霧の戸惑う声に、アデルが答えた。
「人気あるわよ。でも、まだ決勝バトルじゃないのに満席ってのは珍しいかも。多分、課題3の私たちの競技を見た人たちが噂を広めちゃったんでしょ。新入生の競技予定は公開されているから、私たち24班の競技目当てで集まったんだと思う。じゃなきゃ、私たちがコート入りした途端、拍手ってないでしょ。まあ、17班の人たちも優秀で、このバトルが特別期待されてるのかもしれないけど。それだと対戦するのが楽しみね」
「ええええ……。全然楽しみじゃない…………。誰か、お面、持ってない? 貸して……」
「しっかりしなさいよ、キリ! さあ、シャンとして! みんな、用意はいい? 勝ち負けは関係ないんだから、自分の全力出したらそれでOKよ!」
みんなが、一斉にうなずく。
24班がコート入りすると、レフリーが一通りの説明をしてくれた。そしていよいよ、競技が始まる。
最初の表現対象物は個性的な帽子。リューエストの担当だ。
霧の担当である黒い立方体は一番最後のため、競技者の立ち位置から少し下がった場所でツアーメイトと一緒に競技を見守った。
リューエストは今回は真面目に表現し、審判妖精からなんと500点を超える点数をもらった。
リューエストの対戦者は若い女性で、彼の美貌に見とれてしまい実力を出せなかったらしい。彼女が審判妖精からもらった点数は80点で、新入生の平均点120点には及ばなかったが、まるで悔しい顔はしていない。彼女は相変わらずうっとりとリューエストを見つめ、「今日の記念に握手してください!」と手を差し出している。
そんな中、観覧者からはリューエストの高得点を称える拍手と喝采が飛び、競技場内は騒然となっていた。やがてレフリーがそれを制し、声を上げる。
「皆さま、お手元の配点ボタンで、良いと思った競技者をお選びください! 各席1点が加算されます!」
課題3と違って、この課題4のための班対抗戦は、観覧席からの配点もある。
観覧席の前面に現れたホログラムによる配点ボタンで、表現が気に入った方の競技者を選べば、各席の持ち点である1点が加算される仕組みだ。
ほとんどの観客はリューエストを選んだと見え、彼の合計点数がレフリーによって発表されると、その並外れた高さにコート中は更に沸き立った。
競技は順調に進み、課題3の時と同じく24班の面々はいずれも高得点を取り、競技場は更なる興奮に包まれていく。
そしていよいよ、霧の番となった。
1
お気に入りに追加
50
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
催眠術をかけたら幼馴染の愛が激重すぎる⁉
モト
BL
魔法が使えない主人公リュリュ。
ある日、幼馴染で庭師の息子のセスが自分をハメようと企てていることを知る。
自分の身の危険を回避する為に、魔法が使えなくても出来る術、催眠術をセスにかけた。
異常に効果が効きすぎてしまって、おぉお!? 俺のことをキレイだと褒めて褒めて好き好き言いまくって溺愛してくる。無口で無表情はどうした!? セスはそんな人間じゃないだろう!?
と人格まで催眠術にかかって変わる話だけど、本当のところは……。
2023に『幼馴染に催眠術をかけたら溺愛されまくちゃった⁉』で掲載しておりましたが、全体を改稿し、あまりに内容変更が多いのでアップし直しました。
改稿前とストーリーがやや異なっています。ムーンライトノベルズでも掲載しております。
少年神官系勇者―異世界から帰還する―
mono-zo
ファンタジー
幼くして異世界に消えた主人公、帰ってきたがそこは日本、家なし・金なし・免許なし・職歴なし・常識なし・そもそも未成年、無い無い尽くしでどう生きる?
別サイトにて無名から投稿開始して100日以内に100万PV達成感謝✨
この作品は「カクヨム」にも掲載しています。(先行)
この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。
この作品は「ノベルアップ+」にも掲載しています。
この作品は「エブリスタ」にも掲載しています。
この作品は「pixiv」にも掲載しています。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!
古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。
そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は?
*カクヨム様で先行掲載しております

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる