推しと行く魔法士学園入学旅行~日本で手に入れた辞典は、異世界の最強アイテムでした~

ことのはおり

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三章 入学旅行三日目

3-15   365ページ広場

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 今夜の宿に向かう24班一行は、トリフォンの案内で、まず「365ページ広場」に向かうことになった。
 「365ページ広場」――その不思議な響きに、霧は誰ともなしに疑問を投げかける。

「えっ、何ページって言った?! 広場?! それ何?!」

「365ページ広場というのは、この先にある名物公園の愛称じゃ。図書塔と『繋がりの塔』を直線状に結んでいる大通りの、ちょうど真ん中辺りにあるんじゃよ。行きはちょうどその手前で、脇道に入ってしまったから通らなかったがの」

 そういえば……と、霧は思い出す。昼食を摂ったあと、図書塔に向かって大通りを歩いていたとき、前方に素敵な公園が見えていたのを。

(道の真ん中に公園があるのか~って、通るのワクワクしてたら、ティオールのせいで道をそれることになったんだっけ)

「まっすぐ行ってたら通ることになってたあの公園が、365ページ広場っていう公園なのね? でもなんで、365ページ?」

「あの公園の中央には、365ページもある巨大な本のオブジェの置かれた広場があっての。それにちなんで、365ページ広場と呼ばれておるんじゃ。本のオブジェは大変目立つので、待ち合わせにもよく使われておる。そこは言読町ことよみちょうの人気スポットなんじゃ」

「へえ……。本の、巨大オブジェ? 早く見たい!」

 やばいワクワクしてきた、と思いながら霧がそう叫ぶと、リリエンヌが会話に加わった。

「キリ、オブジェはただの置物じゃなくて、ちゃんと読めるんですのよ」

「えっ、すご! さすが本の町のオブジェ……! 一体、何が書いてあるの?」

「今年の作品は、有名作家の物語ですわ。見開き2ページ分が1ページとして数えられ、毎日1ページ分、めくられますの。1年の最初の日に1ページ目が開かれ、その年の最後の日に365ページ目、つまり物語の最後が読めるという、連載物ですわ。ページは毎日めくられたところで固定されてしまうので、読みにに来た人はいつも、内容を写して帰るそうですわ」

「今年の……って言うことは、毎年、内容が変わるの?!」

「変わるんじゃ。去年はこの言読町ことよみちょうを舞台にした青春物語じゃった。その前は、複数の作家による詩で編成されておったの。そして今年は空想物語で人気のエヴァンジェリン・リナグの書き下ろし作品での、大変な人気と聞く」

「本のオブジェの物語を読むためだけに、この町に住む人もいるぐらいなんだよ。キリ、学園を卒業したら、お兄ちゃんと一緒にこの町に住んじゃう?」

「本の町に住む……それはまた何とも魅力的な……へえ……ほう……ふわぁ……」

 霧が感心しているうちに、一行はその公園へと足を踏み入れた。
 きれいに刈り込まれた植栽や、手入れの行き届いた花々が美しい景観を形作り、あちこちに噴水や彫刻が飾られている。曲がりくねった遊歩道をただ歩いているだけで、楽しくなってくる。しばらくすると開けた場所に辿り着き、中央に高さ5メートルはあろうかという巨大な本が現れた。

「お、おお……、これが……なるほど……壮観……」

 巨大な本のオブジェは、読みやすいように傾斜をつけて置かれていた。
 オブジェの周りはきれいな花壇で飾られていて、美しく整えられている。そして先程リリエンヌとトリフォンが説明してくれた通り、オブジェの前には本を書き写している人や、誰かを待っていると思われる人が、たくさん見られた。
 霧がそれらの景色をポカンとして見ていると、トリフォンが一行を手招きする。

「こっちじゃ。ここから地下ちかどうに入る。言読町ことよみちょうの地上の道は表通りかられると迷路のように入り組んでおるが、地下道ならまっすぐ敷かれておるから、こっちの方が早いんじゃ。つまり近道ちかみち地下ちかみちというわけじゃ」

 トリフォンのダジャレにみんなが微妙な笑みを浮かべる中、霧一人が大喜びで反応した。

「ぷふっ! トリフォン、うまい! 近道ちかみち地下ちかみち、よき! まことによき!! 最高!!」

「ほっほっほっ! お粗末さまじゃて」

 気を良くしたトリフォンは、笑いながらアーチ状の出入り口をくぐり、地下道への階段を下りてゆく。一行はそれに続いた。地下道の壁は発光していて、地下とは思えない明るさだった。そして地上の道と同じように、掃除が行き届き、美しく整えられている。
 ほどなくして、トリフォンの導きで進む24班の面々は、くだんのホテルへと辿り着いた。
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