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36話:美味しくいただこう!4
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異世界生活二十四日目(続々)
私たちは、蜂蜜と香辛料を持って浜辺の住処に戻ってきた。
「なんだかメグミ殿は、えらい目にあいましたな」
「メグミさんに褒められたのに争うなんて、信じられませんね」
「まあ、いろんな価値観があるんじゃろ。仕方ないじゃろうて」
「そう。我々にとって“美しさ”とは、まさしく生きる理由なのです!」
「ええ!? なんで派手なカニさんたちまで来てるの!?」
「あなたに、我々の美しさの善し悪しを伝えねばと思いまして」
「育てた香草がどう使われるのか、気になって」
「二匹がついていくのを見て、出し抜かれたくなくて」
「なんとなく、楽しそうだったから」
派手ガニさんたちは、それぞれの理由を誇らしげに語った。
「えーっと……名前が長いから、ハロさん、スラさん、バンさん、デビさんって呼んでもいい?」
「うーん、シンプルでいい響きですね」
「我々にふさわしい! 水辺の者たちより、一歩リードですな」
どうやら気に入ってくれたようだ。
派手ガニさんたちを仲間に加えたところで、クマ肉料理に再挑戦!
まずは、クマ肉に蜂蜜を塗る。
ペタペタ。甘い香りが立ち上る。
しみこませている間に、コメちゃんズに香草と胡椒の半分を乾燥してもらう。
ちらりと見ると、胡椒は黒く、しわしわに――これ知ってるやつだ!
「ヤッシー、乾燥した香草と胡椒、すりつぶしてくれる?」
「任せるっすよ~!」
ギリギリギリ……サララ。
ものすごい握力で、粉になった。胡椒は、もう少し粗挽きでもよかったかもしれない。
蜂蜜がしみこんだクマ肉を、石板で焼いていく。
ジョワーッ!
火が通ったら、塩がダメなカニさん用に、塩なし香辛料をパパパッと振りかける。
そのあと、自分たち用に塩入りの香辛料をかけた肉を焼いて――
クマ肉の蜂蜜香草焼き、完成!
「ぬおお、すごくいい匂いがしますぞ!」
「粉にするだけで、こんなに香りが広がるとは! 水辺の者たちにも教えてやらねば!」
「はいはい、まだ料理あるからね~」
次は、土鍋に新鮮な香草を浮かべ、クマ肉を投入。
火がしっかり通ったら、ヤッシーが潰してくれたフレッシュ胡椒を、パラリパラリ。
こちらも、塩あり・塩なしで味つけを分けて――
クマ肉の香草煮、完成!
「むう、こっちもいい匂いじゃな……」
「早く食べたいですね!」
「はいはい、たくさんあるから、ちゃんと分けて食べてね」
では――実食!
「う~ん、もともとおいしかった脂の甘みが、さらに引き立ってる。お肉も柔らかいし、香辛料のいい香りが獣臭さを消してて……すごく美味しい!」
「煮物のほうも味が締まってて、いいダシが出てる!」
「この焼いたクマ肉、いくらでも食べられますぞ!」
「これは……わしら、また進化してしまうかもしれんのお!」
「焼肉パーティー、定期的にやりたいっすね~」
「クマは危険だから、こっちから狩りに行くのはナシだよ?」
「残念っす~」
「我々の香草が、こんな風に使われるとは……感動です」
「食べ物の“美しさ”を高めるという概念……我々にはなかったな」
「定期的に、水辺から香草を提供するのがよいかもしれませんね」
「それは、とっても助かる!」
「ふっ。我々の“美しさ”にかけて、今日の出来事を伝え、説得してみせましょう」
「蜂蜜も、我々の住処付近にあるから、ついでに採ってきてあげますよ」
「ええっ!? 本当にいいの!?」
「この集団に貢献することが、我々のさらなる美しさにつながると確信しています。任せてください」
「ありがとう! ハロさん!」
今後もおいしいご飯が作れそうだ――
「メグミ、毒はなかったのだが?」
「毒なんて食べたら、みんな死んじゃうでしょ! ベススさん!」
マイペースすぎるベススさんにあきれながら、今日も一日が過ぎていった。
私たちは、蜂蜜と香辛料を持って浜辺の住処に戻ってきた。
「なんだかメグミ殿は、えらい目にあいましたな」
「メグミさんに褒められたのに争うなんて、信じられませんね」
「まあ、いろんな価値観があるんじゃろ。仕方ないじゃろうて」
「そう。我々にとって“美しさ”とは、まさしく生きる理由なのです!」
「ええ!? なんで派手なカニさんたちまで来てるの!?」
「あなたに、我々の美しさの善し悪しを伝えねばと思いまして」
「育てた香草がどう使われるのか、気になって」
「二匹がついていくのを見て、出し抜かれたくなくて」
「なんとなく、楽しそうだったから」
派手ガニさんたちは、それぞれの理由を誇らしげに語った。
「えーっと……名前が長いから、ハロさん、スラさん、バンさん、デビさんって呼んでもいい?」
「うーん、シンプルでいい響きですね」
「我々にふさわしい! 水辺の者たちより、一歩リードですな」
どうやら気に入ってくれたようだ。
派手ガニさんたちを仲間に加えたところで、クマ肉料理に再挑戦!
まずは、クマ肉に蜂蜜を塗る。
ペタペタ。甘い香りが立ち上る。
しみこませている間に、コメちゃんズに香草と胡椒の半分を乾燥してもらう。
ちらりと見ると、胡椒は黒く、しわしわに――これ知ってるやつだ!
「ヤッシー、乾燥した香草と胡椒、すりつぶしてくれる?」
「任せるっすよ~!」
ギリギリギリ……サララ。
ものすごい握力で、粉になった。胡椒は、もう少し粗挽きでもよかったかもしれない。
蜂蜜がしみこんだクマ肉を、石板で焼いていく。
ジョワーッ!
火が通ったら、塩がダメなカニさん用に、塩なし香辛料をパパパッと振りかける。
そのあと、自分たち用に塩入りの香辛料をかけた肉を焼いて――
クマ肉の蜂蜜香草焼き、完成!
「ぬおお、すごくいい匂いがしますぞ!」
「粉にするだけで、こんなに香りが広がるとは! 水辺の者たちにも教えてやらねば!」
「はいはい、まだ料理あるからね~」
次は、土鍋に新鮮な香草を浮かべ、クマ肉を投入。
火がしっかり通ったら、ヤッシーが潰してくれたフレッシュ胡椒を、パラリパラリ。
こちらも、塩あり・塩なしで味つけを分けて――
クマ肉の香草煮、完成!
「むう、こっちもいい匂いじゃな……」
「早く食べたいですね!」
「はいはい、たくさんあるから、ちゃんと分けて食べてね」
では――実食!
「う~ん、もともとおいしかった脂の甘みが、さらに引き立ってる。お肉も柔らかいし、香辛料のいい香りが獣臭さを消してて……すごく美味しい!」
「煮物のほうも味が締まってて、いいダシが出てる!」
「この焼いたクマ肉、いくらでも食べられますぞ!」
「これは……わしら、また進化してしまうかもしれんのお!」
「焼肉パーティー、定期的にやりたいっすね~」
「クマは危険だから、こっちから狩りに行くのはナシだよ?」
「残念っす~」
「我々の香草が、こんな風に使われるとは……感動です」
「食べ物の“美しさ”を高めるという概念……我々にはなかったな」
「定期的に、水辺から香草を提供するのがよいかもしれませんね」
「それは、とっても助かる!」
「ふっ。我々の“美しさ”にかけて、今日の出来事を伝え、説得してみせましょう」
「蜂蜜も、我々の住処付近にあるから、ついでに採ってきてあげますよ」
「ええっ!? 本当にいいの!?」
「この集団に貢献することが、我々のさらなる美しさにつながると確信しています。任せてください」
「ありがとう! ハロさん!」
今後もおいしいご飯が作れそうだ――
「メグミ、毒はなかったのだが?」
「毒なんて食べたら、みんな死んじゃうでしょ! ベススさん!」
マイペースすぎるベススさんにあきれながら、今日も一日が過ぎていった。
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