浜辺のスローライフ~カニさんたちとの異世界生活日誌~

かにすごくうまい

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56話:窓ガラスがほしい!

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異世界生活 六十日目(続)



新しい住処は丘だけでなく、以前使っていた浜辺にも広がっている。



浜辺エリアには、建設中の水田、海ガニさん用の巨大海水プールと塩田、



そして今向かっている陶器を生産している窯業エリア――この三つが並んでいる。



「ヤマトくん!」



「なんだメグミ、新しい食器でも欲しくなったのか?」



「ガラスをつくろう!」



「……は?」



「ミコちゃん、イメージ共有お願い!」



「はーい」



ヤマトくんの表情が引きつる。



「……透明な板、か。で、どうやって作るんだ?」



「えーっと……砂をすっごく熱して溶かして固める!」



「そんな簡単にできるか!」



「陶器の窯と似た感じでなんとかなるって!」



「でもオカちゃん、今は水田作ってるぞ? 新しい窯なんてすぐには――」



「水田はもう仕上げ段階って言ってたし、こっち来てもらえばいいじゃん」



「じゃ、呼んでくる!」



ミコちゃんが小走りで去って、すぐにオカちゃんを連れて戻ってきた。



「水田もいいが、ガラス炉ってのはかなり面白そうだからな!」



「でもメグミの今回のイメージ、さすがに大雑把すぎないか? 今回は無理だと思うぞ」



「ヤマトくん、お前そんな根性なしだったか? 今までだってメグミのぼんやりイメージで物を作ってきただろ。今回も試してみりゃいいじゃねえか!」



「……問題は、溶かして透明になる砂なんて心当たりがないことだ」



「じゃあ最初から透けてる砂を選んで使えばいいだろ! 浜辺に砂なんて腐るほどあるんだから」



「選り分けるのが大変だと思うが……」



「コメちゃんズとホリくんがいれば何とかなるだろ」



「ふ、透明な砂集め……なんか楽しそうだな」



ホリくんがにやりと笑う。



こうして、スナホリガニさんたちとコメちゃんズが透明な砂を徹底的に集め、



その間にオカちゃんとヤマトくんが試作型ガラス炉を建築することになった。



「素材は陶器用と同じだが、どのくらいの熱で砂が溶けるか分からん。注意してやるぞ」



集めた砂を炉に入れ、コメちゃんズがミコちゃんの指揮で高熱魔法を放つ。



ゴゴゴゴ――



「……全然溶ける気配がないな。覗き穴が大きくて熱が逃げてるのか?」



「ミコちゃん、もっと温度上げられる?」



「やってみる! コメちゃんズ、出力増大!」



「「むーーーーん!」」



青白い熱線がさらに強くなり、白く輝く。



「おお! 砂が溶け始めたぞ、真っ赤だ!」



ドロ~ッ。



炉の傾斜から、溶けた真っ赤な砂が流れ出し、台の上で冷えて固まる。



「……陶器と違って成形できないから、このままだと板は無理だな」



「炉と同じ素材で型を作ればいいんだよ!」



「型?」



「鋳造って言うんだって!」



ヤマトくんの目が輝く。



「なるほど……形の決まった型に流し込んで成形か。面白そうだな」



そう言うと、すぐに奥へ引っ込んでいった。



しばらくして鋳型一号が運ばれてくる。



「よし、ガラス鋳造実験を開始!」



別のコメちゃんズが交代し、再び超火力で炉を加熱する。



ドロロ~ッ。



真っ赤なガラスが鋳型に流し込まれ、魔法で急冷。



不思議なことに、急冷でも割れる気配はない。



鋳型を開けると、中から分厚いガラスコップが現れた。



底面には注ぎ口の跡がついているが、ヤマトくんが綺麗に切り取る。



「どうだ、メグミ。試作だが、お前が欲しがってたコップを作ってみたぞ」



「おお……ずっしりしてるけど、ちゃんと透明で綺麗! 意外といけるもんだね」



「ただし、コメちゃんズの消耗が激しいから量産は無理だな。窓ガラスは明日挑戦だ」



こうして、わたしたちの初めてのガラス作りは、少し変わった形で成功したのだった。
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