浜辺のスローライフ~カニさんたちとの異世界生活日誌~

かにすごくうまい

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91話:東方との別れ

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異世界生活百十七日目



コケコッコー!



鶏の元気な鳴き声で朝を迎えた。



ふかふかベッドだったのでとてもいい目覚めだ!



「メグミ~。起きたかい?」



「オキテル カンナ ハヤイ」



「船乗りは朝が早いのさ!それに今日は鶏の目覚ましもあったしね!」



「船長はいつ起きても元気なのがおかしいんですよ……」



「あんたは剣士なのに朝弱すぎなんだよ!何のために鍛えてるんだい!」



「いや、そこは殺気とか感じたらちゃんと起きれますから!」



「信用無いんだよねえ……」



「ワタシ キョウ カエル セワニナッタ!」



「ああ、それなんだけど海刃丸で送ろうか?世界でも一番早い船だし、結構早く帰れると思うよ」



「マサルサン マッテル フネ ノッテイケナイ スマナイ」



「あー、何か山のように大きいカニだったっけ?」



「トテモ オオキイ! フタリニ アワセル!」



「それじゃ、そのマサルサンとの待ち合わせ場所まで行こうか!」



「いや船長、今日の仕事はどうするんですか……」



「かわいい、お客さんを見送る位の時間はちゃんとあるから大丈夫だよ!」



「俺はでかいカニには会いたくないんですが……」



「情けないこと言ってないで行くよ!」



わたしたちは船を降りると、勝さんが待つ浜辺に向かった。



「結構歩いて来たね。メグミ、あんたもしかして凄く体力あるんじゃ……」



「ケンキャク!」



「剣士の俺でも感心するくらい健脚ですよ」



「それにしてもマサルサンは見えないね?」



「ヨベバ クル」



「ちょ、ちょっと心の準備を……」



「勝さーん!来たよー!お待たせー!」



ズゴゴゴゴゴゴ。



海面が割れ巨大な勝さんの殻が姿を現す。



「お、メグミちゃん。ちゃんと買い物できた?お、現地の人と仲良くなったのかな?その帽子は……カンナちゃんの子孫かなあ?」



勝さんはいつもの感じで話しかけてきている。



ドサッ。



何かが倒れる音がした。振り返ると、ヒュウガさんが泡を吹いて、白目をむいて、気絶していた。



「ヒュウガサン ダイジョウブ?」



「あー、まあこりゃあ今回は気絶しても仕方ないね……その化け蟹様だよね?」



「おー、まだその呼び名なんだなあ。俺の名前は蟹江勝かにえまさるって念話届いてるかな?」



「あ、頭に直接声が響く、こ、こんな付き合い方をご先祖様はしてたのか……」



「勝さんは、クルストフィア語ペラペラだから、カンナ船長とも普通に話せるの?」



「話せるぞ、念話だから大体相手が不気味がるけど。それにしても子孫もカンナちゃんなんだねえ」



「17代目だって」



「おお、栄えてるなあ、しみじみするねえ」



「メグミ、あんた化け蟹様と普通に会話できるのかい?」



「メグミちゃんは片言だから俺が代わりに答えよう!メグミちゃんとはツーカーの仲だぞ!」



「ひえっ、頭に声が響くのにはなれないよ……」



「ヒュウガサン オコサナイ?」



「寝かせといたほうが幸せだと思う」



「そっちの気絶してるのは、もしやリュウガの子孫か?子孫までカニがダメなのか……なんか悪いことしたなあ。ユーマの知り合いの子孫が一緒にいるのは、なんか不思議な縁を感じるなあ」



「あたしたちのご先祖様が言ってたことは、みんな本当だったんだねえ……」



「さて、あんまり浜辺に長居すると街の人たちが騒ぎ始めるかもしれないから帰ろうか」



「はーい!」



「ん?もう行くのかい?」



「ウン カエル! カンナ ヒュウガサン アリガトウ! ウドン オイシカッタ!」



「メグミも元気でやるんだよ!また東方に買い物に来ることがあったら、絶対あたしらのところに顔を出すんだよ!」



わたしは荷物を抱え勝さんの殻に乗り込む。



ズズズズズ。



海に入って見えなくなるまでわたしは二人に手を振って別れを告げた。





「行っちまったねえ」



ドスッ!



「あいたっ!船長なにするんですか!」



「あんたがいつまでも気絶してるのが悪いんだよ!」



「いやあんなの見たら正気を保てる方が凄いですよ!」



「まあでも、あんだけやばい本物の化け蟹様を見たら、他のカニは平気になったんじゃないの?」



「あ、そうかも、今日はカニの素揚げにも挑戦してみますか」



「いいね!それにしてもメグミ面白い子だったねえ。また会えるといいね」



一息つくと、カンナとヒュウガは西山港で普段の生活に戻っていった。
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