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116話:異文化コミュニケーション
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異世界生活百八十日目(続)
ワタルくんの案内で、浜辺に訪れた人たちの下へ向かう。
「メグミさんこっちです!石臼のあたりに居るはずです!」
わたしの周りをずらりとカニさん達が囲みながら進む。
「ねえ、ワタルくん、これちょっと相手の人たち怖がらないかな?」
「メグミさんの安全が第一ですから、ハサミも振り上げてませんし、そこまで威圧的じゃないと思いますよ」
「そうかなあ。わたしはワタルくんたちの言葉わかるからいいけど、相手がヒュウガさんみたいな、カニ恐怖症の人が混じってるかもしれないし、怖いと思うんだけどなあ」
「危険がないと判断すれば我々も、後ろに下がりますので、最初だけ我慢してください」
「ワタルくんたちが、それで安心なら最初は仕方ないか……」
石臼の所についたものの周囲に人影は見当たらない。
長閑にいつもどおり小麦粉の生産作業風景が流れているだけだ。
「あれ?どこにもいないね」
「メグミさん!岩陰を見て下さい!」
「あ!いたいた!あんな風に隠れなくてもいいのに」
岩陰から頭だけ出してこちらの様子を窺っているようだ。
わたしは努めて、柔らかい表情を意識しながら岩陰に近づいていった。
近くで見ると上陸した人たちは全身鎧を着ており、腰に剣を差している。
ちょっと帰る前の土座衛門さんを思い出す風貌だ。
その中で少し豪華な鎧を着た人がこちらに声をかけてきた。
「お、おまえは何者だ!巨大な蟹どもはお前が操っているのか?」
少し声が震えてるようだ、緊張してるのかな?
わたしは間違いがないよう、ゆっくりクルストフィア語で答えを返す
「ワタシ メグミ カニハトモダチ!」
わたしの挨拶に合わせて一斉にみんながハサミを掲げる。
これで伝わってくれるといいのだけど。
その瞬間、豪華な鎧の人の背後にいた若そうな鎧の人が、剣を引き抜いて斬りかかってきた!
「うわあああ!喰われてたまるかぁ!」
「止めろ!ダメだ!完全に錯乱している!!」
豪華な鎧の人の制止も聞かず、炎を纏った剣が、ワタルくんに振り下ろされた!
ガシィ!
ワタルくんは、燃える剣を、見事に挟み取り、力を入れて砕いた!
「ワ、ワタルくん大丈夫?」
「大した熱じゃないですね、つい反射的に砕いてしまって、悪いことをしたかもしれません」
「よかった。やっぱり沢山巨大カニがいるのが怖かったんだよ」
「そうですね、これくらいの攻撃は、メグミさんには効かないでしょうから、わたしたちは少し下がりますね」
サササッ。
ワタルくんたちは、わたしの後方に下がっていった。
「ダイジョウブ?」
豪華な鎧の人にわたしは話しかける。
「あ、あ、あ」
豪華な鎧の人は青ざめた顔で言葉にならない呻きを出していた。
「オチツイテ」
わたしはさらに言葉をかけるが、豪華な鎧の人はわたしの後ろを見つめて固まったままだった。
何か後ろにいるのかな……と振り返るとそこには銀色の巨大な影が見えた。
ただでさえ混乱しているところに徹くんが出てきたら無茶苦茶である。
「徹くん!なんで出てきたの!」
「なんでって、攻撃的な人間が来たみたいだから、わからせに来ただけだが?」
徹くんは全く悪びれもせずに言った。
「メグミは、クルストフィア語の発音が下手くそだから、俺が代わりに、しっかりそいつらに、ここがどういうところか教えてやらんとな」
「ややこしくなるから、いいよ!」
しかし徹くんわたしの話を聞かず鎧の人たちに念話を送ってしまう。
「おい、人間共。ここはメグミの領域だ。お前たちが何をしにここに来たか、俺には大体わかる、大方、入植して領地拡大でもしようとしてるんだろう。だがそんなことは俺が許さん。今日は小舟で来たから見逃して上陸させてやったが、次はないぞ?帰ってお前たちの仲間にもそう伝えとくんだな」
「徹くん!なんでそんなに威圧的なの!仲良くなれそうだったのに」
「メグミ。お前はここの世界の奴らのことがよくわかってない、ここの生活を守るためには時には厳しい態度も必要なんだ」
「むーん……」
わたしは納得がいっていなかったが、豪華な鎧の人は徹くんの念話を聞いてハッとなり、鎧の人たちに指示を出し始めた。
「調査は終了だ!彼らに害意がないうちに撤収するぞ!」
「た、隊長。しかしこの結果をどう報告するのですか!」
「これまで通り、西大陸は不可侵が妥当とすると報告するしかない。我々の魔剣も通用しない蟹が、集団で文明を築いているんだぞ!それに銀色の悪魔の住処でもある!我々程度ではどうしようもない!剣を折られて放心してる奴を担げ!一刻も早く撤退だ!」
鎧の人たちは一目散に去っていった。
「徹くん、絶対何かすごい誤解を生んだと思うんだけど……」
「大丈夫だ、誤解でこの住処が脅かされることはない。俺がいる限りな!」
「仲良くなれたと思うんだけどなあ」
鎧の人たちがどこから来たかもわからず、バッドコミュニケーションで終わってしまったのであった。
ワタルくんの案内で、浜辺に訪れた人たちの下へ向かう。
「メグミさんこっちです!石臼のあたりに居るはずです!」
わたしの周りをずらりとカニさん達が囲みながら進む。
「ねえ、ワタルくん、これちょっと相手の人たち怖がらないかな?」
「メグミさんの安全が第一ですから、ハサミも振り上げてませんし、そこまで威圧的じゃないと思いますよ」
「そうかなあ。わたしはワタルくんたちの言葉わかるからいいけど、相手がヒュウガさんみたいな、カニ恐怖症の人が混じってるかもしれないし、怖いと思うんだけどなあ」
「危険がないと判断すれば我々も、後ろに下がりますので、最初だけ我慢してください」
「ワタルくんたちが、それで安心なら最初は仕方ないか……」
石臼の所についたものの周囲に人影は見当たらない。
長閑にいつもどおり小麦粉の生産作業風景が流れているだけだ。
「あれ?どこにもいないね」
「メグミさん!岩陰を見て下さい!」
「あ!いたいた!あんな風に隠れなくてもいいのに」
岩陰から頭だけ出してこちらの様子を窺っているようだ。
わたしは努めて、柔らかい表情を意識しながら岩陰に近づいていった。
近くで見ると上陸した人たちは全身鎧を着ており、腰に剣を差している。
ちょっと帰る前の土座衛門さんを思い出す風貌だ。
その中で少し豪華な鎧を着た人がこちらに声をかけてきた。
「お、おまえは何者だ!巨大な蟹どもはお前が操っているのか?」
少し声が震えてるようだ、緊張してるのかな?
わたしは間違いがないよう、ゆっくりクルストフィア語で答えを返す
「ワタシ メグミ カニハトモダチ!」
わたしの挨拶に合わせて一斉にみんながハサミを掲げる。
これで伝わってくれるといいのだけど。
その瞬間、豪華な鎧の人の背後にいた若そうな鎧の人が、剣を引き抜いて斬りかかってきた!
「うわあああ!喰われてたまるかぁ!」
「止めろ!ダメだ!完全に錯乱している!!」
豪華な鎧の人の制止も聞かず、炎を纏った剣が、ワタルくんに振り下ろされた!
ガシィ!
ワタルくんは、燃える剣を、見事に挟み取り、力を入れて砕いた!
「ワ、ワタルくん大丈夫?」
「大した熱じゃないですね、つい反射的に砕いてしまって、悪いことをしたかもしれません」
「よかった。やっぱり沢山巨大カニがいるのが怖かったんだよ」
「そうですね、これくらいの攻撃は、メグミさんには効かないでしょうから、わたしたちは少し下がりますね」
サササッ。
ワタルくんたちは、わたしの後方に下がっていった。
「ダイジョウブ?」
豪華な鎧の人にわたしは話しかける。
「あ、あ、あ」
豪華な鎧の人は青ざめた顔で言葉にならない呻きを出していた。
「オチツイテ」
わたしはさらに言葉をかけるが、豪華な鎧の人はわたしの後ろを見つめて固まったままだった。
何か後ろにいるのかな……と振り返るとそこには銀色の巨大な影が見えた。
ただでさえ混乱しているところに徹くんが出てきたら無茶苦茶である。
「徹くん!なんで出てきたの!」
「なんでって、攻撃的な人間が来たみたいだから、わからせに来ただけだが?」
徹くんは全く悪びれもせずに言った。
「メグミは、クルストフィア語の発音が下手くそだから、俺が代わりに、しっかりそいつらに、ここがどういうところか教えてやらんとな」
「ややこしくなるから、いいよ!」
しかし徹くんわたしの話を聞かず鎧の人たちに念話を送ってしまう。
「おい、人間共。ここはメグミの領域だ。お前たちが何をしにここに来たか、俺には大体わかる、大方、入植して領地拡大でもしようとしてるんだろう。だがそんなことは俺が許さん。今日は小舟で来たから見逃して上陸させてやったが、次はないぞ?帰ってお前たちの仲間にもそう伝えとくんだな」
「徹くん!なんでそんなに威圧的なの!仲良くなれそうだったのに」
「メグミ。お前はここの世界の奴らのことがよくわかってない、ここの生活を守るためには時には厳しい態度も必要なんだ」
「むーん……」
わたしは納得がいっていなかったが、豪華な鎧の人は徹くんの念話を聞いてハッとなり、鎧の人たちに指示を出し始めた。
「調査は終了だ!彼らに害意がないうちに撤収するぞ!」
「た、隊長。しかしこの結果をどう報告するのですか!」
「これまで通り、西大陸は不可侵が妥当とすると報告するしかない。我々の魔剣も通用しない蟹が、集団で文明を築いているんだぞ!それに銀色の悪魔の住処でもある!我々程度ではどうしようもない!剣を折られて放心してる奴を担げ!一刻も早く撤退だ!」
鎧の人たちは一目散に去っていった。
「徹くん、絶対何かすごい誤解を生んだと思うんだけど……」
「大丈夫だ、誤解でこの住処が脅かされることはない。俺がいる限りな!」
「仲良くなれたと思うんだけどなあ」
鎧の人たちがどこから来たかもわからず、バッドコミュニケーションで終わってしまったのであった。
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