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23.ラ・ビンカでの悲劇…その後 ― 1
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―― 時はさかのぼり……イリファスカが王都で食事の席を立った後、セルヴェンは去りゆく妻の背に伸ばした手を下げられずに、中途半端に腰を浮かせたまま放心状態で固まっていた。
「お、追わなくていいんですか所長っ!?」
「追う……追えばいいのか……? 急ぎの用と言っていたが……」
「もぉ~っ、研究所で『用事はない』って奥様がおっしゃってたじゃないですか~! きっと何か気に障ったことがあったんですよ……あぁぁっ……やっぱりわたしの存在がお邪魔だったのかもっ……! 所長っ、すぐに宿屋まで謝罪に向かいましょう!」
「……宿屋?」
見かねて声を掛けたミフェルナに何とか返答したセルヴェンは、イリファスカの滞在先を聞かれて、答えづらそうに瞳を右往左往させた。
「え、まさか……呼び付けておいて、奥様の宿泊場所もご存知ないのですかっ!?」
「王都に呼んだのはこれが初めてだしな……その……いつもは頼み事をするだけで向こうが全て済ませてくれるから……」
「バカッ……! “済ませてくれるから”じゃないでしょっ……! 何かっ……何かないのですかっ!? 宿泊先を調べる手立てはっ……!?」
「あー……研究所の受付嬢に頼めば兵士を手配してくれるかもしれないが……しかし店探しのために人を動かすのもな……それなら俺達で一軒一軒尋ね回った方が……」
「ん”ん”……! でもっ、もし私達が宿屋を当てる前に奥様が領地に発たれていたらっ……!!」
「その時は手紙でも出して追って謝罪するさ……はぁ……一体何が気に入らなかったんだ……? 俺の態度はそんなに酷いものだったのか……?」
「それ……本気で言ってます……?」
セルヴェンは『皆目見当もつかない』といった風に眉間を指で揉みほぐしながら、ほとほと困り果てた様子で言った。
そんな上司を、ミフェルナは細めた目でじっと見つめていた……。
―― 己が尊敬してやまない祖父が高く評価する、セルヴェン・アトラスカ侯爵……『研究者としては最高峰』と称される彼の活躍は、確かに間近で見ていて学ぶところの多い素晴らしいものだった。
ミフェルナが研究所に入所する前の年から、新薬ラバン・カーツの開発は進められていた。
開発が始まった当初はまず魔物の生体を把握すべく、セルヴェン自らが班員を引き連れて、主な出没地である国境沿いへと調査に向かったと言う。
国境沿いは日常的に戦闘が繰り広げられる危険地帯だ。調査は現地の警備隊と連携を取りながら、執り行われていた。
幼く向こう見ずだったミフェルナは、入所してからずっとこの現地調査への参加に手を挙げ続けていた。
早く経験を積みたかったし、何より好奇心旺盛な彼女は、生きた魔物をこの目で見てみたかった。
だが、セルヴェンは決して首を縦に振ってくれなかった。
当時のミフェルナはまだ十四歳……いくら飛び級して王立研究所に入所した天才と言えど、熟練の戦闘員でさえ命を落とすこともある現場に子供を連れてゆくのは、常識的にはばかられる話だった。
『居残り組には居残り組の仕事がある』と、ふてくされるミフェルナに先輩職員達はよく説いていた。
ミフェルナの希望が絶対に叶わないことを知っていたからだ。
実は彼女の実家である公爵家から、セルヴェンや班の職員らに宛てて、内密の指示書が届いていた。
内容は『我が家の寵児を王都から出すことを禁ずる』という……それは親心という私情の詰まったお達しであったが、同じ研究者として探究心の邪魔をされることがどれだけ歯がゆいことか理解していたセルヴェンは、『自分が全責任を負うので、彼女が十八歳の成人を迎えた暁には一人の研究者としてミフェルナを認め、参加を許可してやってほしい』と、裏で公爵家に直談判していた。
他人に無関心なセルヴェンがここまでミフェルナのために動いてやるわけは、単純に彼がミフェルナに伸びしろを感じて気に入っていたことと……何より彼女の祖父が、セルヴェンの恩師である前王立研究所所長、タスベデリッド・マレイであることが大きい――。
結局ミフェルナが成人を迎える前に、ラバン・カーツの開発は山場を越えた。
生きた魔物をこの目に収める機会はついに訪れなかったが、ミフェルナは死骸の解剖に立ち会わせてもらえただけでも満足できていた。
以前慰労のために研究所に立ち寄った祖父から、セルヴェンが自分のために、悪く言えば“家格が上である公爵家に盾突いた”ことを知らされていたからだ。
『良い上司だな』……ミフェルナを心配するあまりの行動だったと、圧力をかけたことを謝罪してきた祖父は、続けてかつての部下を陰ながら評価した。
博識で経験もあったセルヴェンは、実際に現場で使用するまでに十年以上はかかるだろうと言われていた瘴気無効薬を、わずか五年で作り上げてしまったのだ。
あらゆる動植物への理解、知識を頭の中に叩き込んでいた彼の指揮でなければ、成し遂げられなかった偉業である。
数え切れないほどの選択肢の中から、素早く最適解を発見する……それだけでいち研究者として尊敬に値するというのに、セルヴェンは新人職員の意思をくんで働きかけてくれる……なんて優れた人なのだろうと、ミフェルナはいたく感動した。
研究所でこもりっきりの研究を続けては、出来上がった試作品を持って国境沿い地域へと向かい、臨床実験を行う……そうして得られた結果を持ち帰っては、また研究所にこもって改良した薬を持参し、現地の兵士や土壌に使用して効果を調べる……。
目まぐるしく極端な生活を送る班員をねぎらうために、セルヴェンは定期的に全員を食事に連れて行ってくれた。
仕事から離れ酒も入ると、大人達は皆それぞれの家庭のことを思い思いに話し始めるのが、いつもの流れだった。
やれ『嫁がもっと家に帰って来いとうるさい』だの、やれ『久々に帰省したら妻が愛人と仲良くしていた』だの……男性目線で進む愚痴大会にミフェルナは肩身が狭い思いをしたが、その中で唯一伴侶を褒めちぎっていたのがセルヴェンだった。
『妻は本当によく出来た女性だ……私の仕事に理解を示してくれるし、領地運営を代わりに引き受けてくれている。あれほど献身的な人間はいない……瘴気問題が一段落つけば、拠点を侯爵領に移して彼女と共に切磋琢磨していければと思っている……』
離れた地で暮らすイリファスカを思い浮かべ、愛おしそうに……そして優しい声色で話すセルヴェンを前に、他の妻子持ちの班員達が『所長だけ完璧な奥さんを貰ってずるいぞー!』と、酔いの回った頭で茶化すのが毎度の光景だった。
仕事も家庭も充実している……そんな風に振る舞うセルヴェンに憧れを抱いていたミフェルナは、『自分もいつか結婚するなら、こんな完璧な男性と一緒になりたいなぁ』と考えていた。
しかし、それは恋愛感情によるものではない。
ミフェルナはセルヴェンのことを『第二の父親』としか見ていなかった。
そしてセルヴェンもまた、ミフェルナのことは『恩師から預かった愛嬢』としか認識しておらず、『我が子がいれば、こんな感じなのだろうか』と他意なく接しているだけだった。
つまり、巷で噂の“第二夫人問題”……人々が勝手に盛り上がりを見せているこの嫌らしい話題だが、実際のところミフェルナとセルヴェンの間にそのような関係性はなかった――。
二人共、互いにその信頼関係を人前でひけらかすことなく親しんでいた。
だからこそ、疑似的な親子関係は何も知らぬ外野には“恋愛関係”に映って見えた。
セルヴェンは昔から気難しい人間として有名だったので、唯一砕けて話す異性が珍しくて目立ってしまったのだろう。
他の班員も誘っての食事会はあったものの、二人っきりで行動したことはない……あっても廊下を並んで歩いていた程度のものだが、人々は面白おかしい部分だけを切り取って拡散した。
セルヴェンとミフェルナ……それに同じ班の研究者も含め、全員が好きなこと以外に興味を向けられない気質の者達で固まっていたのが非運の始まりだった。
仲間内で噂を知る者がいないのだから、誰も外部に否定しようがない。
研究にのめり込んでいる間に噂はどんどんと拡大されて流れてゆき、周知の事実のように扱われていった。
今こうしてラ・ビンカの二階で二人が向かい合っている間にも、下階の客は口々に『侯爵夫妻と第二夫人の少女による修羅場だ』と、各テーブルで沸いていた。
ミフェルナは憧れていた完璧な男性の愛妻家としての一面が崩れたことに、酷く幻滅していた。
この惨めな姿は、言うならばそう……“娘の前で失態を晒したお父さん”だ……。
しかし……セルヴェンは己の振る舞いを“悪”だと気付けていないみたいだった。
彼が仕事以外の雑談をする時の内容は、大半がイリファスカに関するものだったし、月に何度か目に見えて機嫌のいい日が来るのだが、それらは決まって前日に彼女から手紙が届いた時だった。
しつこいくらいに書かれた気遣いの言葉や、最近屋敷でこういった種類の花が咲いたなどの平和な近況報告……セルヴェンの鉄仮面を崩すのは、そんなささやかな妻からの便りだった。
先週だってイリファスカの来訪にはまだ日があるというのに、時々しか手入れしていなかった髭を毎日剃って身なりに気を使っていたし……本人に会ったら会ったで、いつもよりも明らかに興奮して張り切って話していたしで……きっとイリファスカに心底惚れているのだろうなと、ラ・ビンカに来る前のミフェルナは微笑ましく思っていた。
あの幸福感に満ちた笑顔や態度に偽りはなかったはずだ。
ミフェルナはセルヴェンの真意を確かめるべく、彼が本当にイリファスカを愛しているのか……尋ねてみることにした。
「お、追わなくていいんですか所長っ!?」
「追う……追えばいいのか……? 急ぎの用と言っていたが……」
「もぉ~っ、研究所で『用事はない』って奥様がおっしゃってたじゃないですか~! きっと何か気に障ったことがあったんですよ……あぁぁっ……やっぱりわたしの存在がお邪魔だったのかもっ……! 所長っ、すぐに宿屋まで謝罪に向かいましょう!」
「……宿屋?」
見かねて声を掛けたミフェルナに何とか返答したセルヴェンは、イリファスカの滞在先を聞かれて、答えづらそうに瞳を右往左往させた。
「え、まさか……呼び付けておいて、奥様の宿泊場所もご存知ないのですかっ!?」
「王都に呼んだのはこれが初めてだしな……その……いつもは頼み事をするだけで向こうが全て済ませてくれるから……」
「バカッ……! “済ませてくれるから”じゃないでしょっ……! 何かっ……何かないのですかっ!? 宿泊先を調べる手立てはっ……!?」
「あー……研究所の受付嬢に頼めば兵士を手配してくれるかもしれないが……しかし店探しのために人を動かすのもな……それなら俺達で一軒一軒尋ね回った方が……」
「ん”ん”……! でもっ、もし私達が宿屋を当てる前に奥様が領地に発たれていたらっ……!!」
「その時は手紙でも出して追って謝罪するさ……はぁ……一体何が気に入らなかったんだ……? 俺の態度はそんなに酷いものだったのか……?」
「それ……本気で言ってます……?」
セルヴェンは『皆目見当もつかない』といった風に眉間を指で揉みほぐしながら、ほとほと困り果てた様子で言った。
そんな上司を、ミフェルナは細めた目でじっと見つめていた……。
―― 己が尊敬してやまない祖父が高く評価する、セルヴェン・アトラスカ侯爵……『研究者としては最高峰』と称される彼の活躍は、確かに間近で見ていて学ぶところの多い素晴らしいものだった。
ミフェルナが研究所に入所する前の年から、新薬ラバン・カーツの開発は進められていた。
開発が始まった当初はまず魔物の生体を把握すべく、セルヴェン自らが班員を引き連れて、主な出没地である国境沿いへと調査に向かったと言う。
国境沿いは日常的に戦闘が繰り広げられる危険地帯だ。調査は現地の警備隊と連携を取りながら、執り行われていた。
幼く向こう見ずだったミフェルナは、入所してからずっとこの現地調査への参加に手を挙げ続けていた。
早く経験を積みたかったし、何より好奇心旺盛な彼女は、生きた魔物をこの目で見てみたかった。
だが、セルヴェンは決して首を縦に振ってくれなかった。
当時のミフェルナはまだ十四歳……いくら飛び級して王立研究所に入所した天才と言えど、熟練の戦闘員でさえ命を落とすこともある現場に子供を連れてゆくのは、常識的にはばかられる話だった。
『居残り組には居残り組の仕事がある』と、ふてくされるミフェルナに先輩職員達はよく説いていた。
ミフェルナの希望が絶対に叶わないことを知っていたからだ。
実は彼女の実家である公爵家から、セルヴェンや班の職員らに宛てて、内密の指示書が届いていた。
内容は『我が家の寵児を王都から出すことを禁ずる』という……それは親心という私情の詰まったお達しであったが、同じ研究者として探究心の邪魔をされることがどれだけ歯がゆいことか理解していたセルヴェンは、『自分が全責任を負うので、彼女が十八歳の成人を迎えた暁には一人の研究者としてミフェルナを認め、参加を許可してやってほしい』と、裏で公爵家に直談判していた。
他人に無関心なセルヴェンがここまでミフェルナのために動いてやるわけは、単純に彼がミフェルナに伸びしろを感じて気に入っていたことと……何より彼女の祖父が、セルヴェンの恩師である前王立研究所所長、タスベデリッド・マレイであることが大きい――。
結局ミフェルナが成人を迎える前に、ラバン・カーツの開発は山場を越えた。
生きた魔物をこの目に収める機会はついに訪れなかったが、ミフェルナは死骸の解剖に立ち会わせてもらえただけでも満足できていた。
以前慰労のために研究所に立ち寄った祖父から、セルヴェンが自分のために、悪く言えば“家格が上である公爵家に盾突いた”ことを知らされていたからだ。
『良い上司だな』……ミフェルナを心配するあまりの行動だったと、圧力をかけたことを謝罪してきた祖父は、続けてかつての部下を陰ながら評価した。
博識で経験もあったセルヴェンは、実際に現場で使用するまでに十年以上はかかるだろうと言われていた瘴気無効薬を、わずか五年で作り上げてしまったのだ。
あらゆる動植物への理解、知識を頭の中に叩き込んでいた彼の指揮でなければ、成し遂げられなかった偉業である。
数え切れないほどの選択肢の中から、素早く最適解を発見する……それだけでいち研究者として尊敬に値するというのに、セルヴェンは新人職員の意思をくんで働きかけてくれる……なんて優れた人なのだろうと、ミフェルナはいたく感動した。
研究所でこもりっきりの研究を続けては、出来上がった試作品を持って国境沿い地域へと向かい、臨床実験を行う……そうして得られた結果を持ち帰っては、また研究所にこもって改良した薬を持参し、現地の兵士や土壌に使用して効果を調べる……。
目まぐるしく極端な生活を送る班員をねぎらうために、セルヴェンは定期的に全員を食事に連れて行ってくれた。
仕事から離れ酒も入ると、大人達は皆それぞれの家庭のことを思い思いに話し始めるのが、いつもの流れだった。
やれ『嫁がもっと家に帰って来いとうるさい』だの、やれ『久々に帰省したら妻が愛人と仲良くしていた』だの……男性目線で進む愚痴大会にミフェルナは肩身が狭い思いをしたが、その中で唯一伴侶を褒めちぎっていたのがセルヴェンだった。
『妻は本当によく出来た女性だ……私の仕事に理解を示してくれるし、領地運営を代わりに引き受けてくれている。あれほど献身的な人間はいない……瘴気問題が一段落つけば、拠点を侯爵領に移して彼女と共に切磋琢磨していければと思っている……』
離れた地で暮らすイリファスカを思い浮かべ、愛おしそうに……そして優しい声色で話すセルヴェンを前に、他の妻子持ちの班員達が『所長だけ完璧な奥さんを貰ってずるいぞー!』と、酔いの回った頭で茶化すのが毎度の光景だった。
仕事も家庭も充実している……そんな風に振る舞うセルヴェンに憧れを抱いていたミフェルナは、『自分もいつか結婚するなら、こんな完璧な男性と一緒になりたいなぁ』と考えていた。
しかし、それは恋愛感情によるものではない。
ミフェルナはセルヴェンのことを『第二の父親』としか見ていなかった。
そしてセルヴェンもまた、ミフェルナのことは『恩師から預かった愛嬢』としか認識しておらず、『我が子がいれば、こんな感じなのだろうか』と他意なく接しているだけだった。
つまり、巷で噂の“第二夫人問題”……人々が勝手に盛り上がりを見せているこの嫌らしい話題だが、実際のところミフェルナとセルヴェンの間にそのような関係性はなかった――。
二人共、互いにその信頼関係を人前でひけらかすことなく親しんでいた。
だからこそ、疑似的な親子関係は何も知らぬ外野には“恋愛関係”に映って見えた。
セルヴェンは昔から気難しい人間として有名だったので、唯一砕けて話す異性が珍しくて目立ってしまったのだろう。
他の班員も誘っての食事会はあったものの、二人っきりで行動したことはない……あっても廊下を並んで歩いていた程度のものだが、人々は面白おかしい部分だけを切り取って拡散した。
セルヴェンとミフェルナ……それに同じ班の研究者も含め、全員が好きなこと以外に興味を向けられない気質の者達で固まっていたのが非運の始まりだった。
仲間内で噂を知る者がいないのだから、誰も外部に否定しようがない。
研究にのめり込んでいる間に噂はどんどんと拡大されて流れてゆき、周知の事実のように扱われていった。
今こうしてラ・ビンカの二階で二人が向かい合っている間にも、下階の客は口々に『侯爵夫妻と第二夫人の少女による修羅場だ』と、各テーブルで沸いていた。
ミフェルナは憧れていた完璧な男性の愛妻家としての一面が崩れたことに、酷く幻滅していた。
この惨めな姿は、言うならばそう……“娘の前で失態を晒したお父さん”だ……。
しかし……セルヴェンは己の振る舞いを“悪”だと気付けていないみたいだった。
彼が仕事以外の雑談をする時の内容は、大半がイリファスカに関するものだったし、月に何度か目に見えて機嫌のいい日が来るのだが、それらは決まって前日に彼女から手紙が届いた時だった。
しつこいくらいに書かれた気遣いの言葉や、最近屋敷でこういった種類の花が咲いたなどの平和な近況報告……セルヴェンの鉄仮面を崩すのは、そんなささやかな妻からの便りだった。
先週だってイリファスカの来訪にはまだ日があるというのに、時々しか手入れしていなかった髭を毎日剃って身なりに気を使っていたし……本人に会ったら会ったで、いつもよりも明らかに興奮して張り切って話していたしで……きっとイリファスカに心底惚れているのだろうなと、ラ・ビンカに来る前のミフェルナは微笑ましく思っていた。
あの幸福感に満ちた笑顔や態度に偽りはなかったはずだ。
ミフェルナはセルヴェンの真意を確かめるべく、彼が本当にイリファスカを愛しているのか……尋ねてみることにした。
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