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バッド・エンド
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クッ、崖かっ!
私の前には断崖絶壁。遥か下で波頭が岩に砕けていた。
「追い詰めたぞ! プロフェッサーQ! 観念しろ!」
背後にはイカれたマスク野郎が迫っていた。
「ふっ、よくぞ、私をここまで追い詰めた。名前を聞いておこう」
「ウサギ探偵快傑ウォンバットだ!」
「なげーよ! だいたい、ウサギかウォンバットか、どっちかにしろよ!」
「基本的にはカンガルーだ」
「訳分かんねーな」
「さぁ! もう、逃げ場はないぞ!」
「そいつは、どうかな?」
私は1つの装置を取り出した。
「ふっふっふっ、このボタンを押せば地球は木っ端微塵だ! さぁ、どうする?」
私は余裕の笑みを浮かべた。
すると、突然、快傑ウォンバットが、
「第1問、日本の首都は?」
と言った。
私は反射的にボタンを押して答えた。
ピンポーン!
「東京」
ドカーン!
地球は爆発した。
「ふっふっふっ、このボタンを押せば地球は木っ端微塵だ! さぁ、どうする?」
自分の言葉で我に返る。
はっ! じ、時間が戻った? 私にこんな能力があったなんて。
すると、突然、快傑ウォンバットが、
「次は、駅入り口、駅入り口」
と言った。
私は反射的にボタンを押して言った。
ピンポーン!
「降りまーす」
ドカーン!
地球は爆発した。
「ふっふっふっ、このボタンを押せば地球は木っ端微塵だ! さぁ、どうする?」
また……、戻った。
すると、突然、快傑ウォンバットが、
「新幹線のシートはB列が1番広いんです」
と言った。
私は思わず感心してボタンを押して言った。
へ~!
「へ~!」
ドカーン!
地球は爆発した。
「ふっふっふっ、このボタンを押せば地球は木っ端微塵だ! さぁ、どうする?」
まただ。
すると、突然、快傑ウォンバットが、
「だめだよ~。こんな小さい子が一生懸命頑張ったんだよ~。押してよ~」
と言った。
仮装大賞ファンの私は思わず、
「しょうがないなぁ。欽ちゃんがそう言うんじゃ……」
と言ってボタンを押した。
ピッ!
ドカーン!
地球は爆発した。
「ふっふっふっ、このボタンを押せば地球は木っ端微塵だ! さぁ、どうする?」
よし!
すると、突然、快傑ウォンバットが、
「あっ、ボタンにハエが止まってる」
と言った。
私は反射的に、
「コノヤロー!」
と言ってボタンを思い切りぶっ叩いた。
バンッ!
ドカーン!
地球は爆発した。
「追い詰めたぞ! プロフェッサーQ! 観念しろ!」
「そいつは、どうかな?」
私は1つの装置を取り出した。
「ふっふっふっ……、いや、その前に1つ確認したいことがある」
「なんだ?」
「お前は正義の味方で、俺が悪だよな?」
「そうだ」
「で、この装置のボタンを押すと、地球は木っ端微塵です。あなたのするべきことは?」
「そのボタン、押させはしない!」
「そうだよ。それで、いいんだよ」
私は、なんだか、ほっとした。
「では、改めて……」
そういったとき、目の前にヤツがいるのに気が付いた。
「しまった!」
装置を奪われると思った瞬間、ヤツが装置のボタンを押した。
カチッ!
ドカーン!
地球は爆発した。
「……お前、いい加減にしろよ」
「は?」
「何度も何度も地球壊しやがって!」
「何のことだ?」
(こいつは、繰り返していることを知らないから分からないか)
私は舌打ちした。
「とにかくだなぁ。この装置のボタンを押すと地球は木っ端微塵です。絶対、押しちゃいけないの! 分かる?」
「分かった」
「よし、では、お前はそこを1歩も動くな。でないと……」
「初めのいーっぽ」
そう言って、ヤツが足を踏み出した。
「もーうっ!」
私はボタンを押した。
カチッ!
ドカーン!
地球は爆発した。
「……あのですねぇ」
「なんだ?」
「君、何がしたいの?」
「もちろん、地球の平和を守るために戦っている」
「そうだよね。そうだよね。俺、間違ってないよね」
私は1つの装置を取り出した。
「このボタンを押せば地球は木っ端微塵だ。分かったら、おとなしく……」
ヤツがツカツカと私に歩み寄ってきた。
ヤツがボタンを押した。
カチッ!
ドカーン!
地球は爆発した。
「根本的に方針を変える必要があるな」
私は、独り言ちた。
「なんだ?」
「とにかくこいつはボタンを押そうとする」
「おい!」
「俺の能力では、これ以上過去には戻れないし……」
「何をブツブツ言っている!」
「うーん」
そのとき、腕をガシッと掴まれた。
「捕まえたぞ!」
「ゲッ!」
私は仕方なくボタンを押した。
カチッ!
ドカーン!
地球は爆発した。
(うーん、どうしよう? 他に切り札ないのに、出せばこいつがボタン押すし……)
「どうした? プロフェッサーQ!」
「あ、いや、その……」
「ふっ、貴様のことだ。何か切り札を持っているな」
「いや……、あるにはあるんだけど……」
「さっさと出せ!」
私は渋々例の装置を取り出した。
「このボタンを押すと地球は木っ端微塵なので、見逃してください」
「嫌だ!」
「クソッ!」
私はボタンを押した。
カチッ!
ドカーン!
地球は爆発した。
(なんか手はないのか?)
「さぁ! おとなしく捕まれ! プロフェッサーQ!」
「嫌だ!」
「何か切り札があるなら出してみろ」
「それも嫌だ」
「じゃあ、捕まれ」
「あーっ! もうっ!」
私はボタンを押した。
カチッ!
ドカーン!
地球は爆発した。
「プロフェッサーQ! 観念しろ!」
「……ああ」
「なんか持ってんだろ? 出せ!」
「クソッ!」
私は装置を渡した。
「まったく……、てこずらせやがって……」
私の両手に拘束装置が付けられた。
(やっぱり捕まりたくない)
私は過去に戻ろうとした。
……あれ? 戻らない。
「あ、時間戻してたの俺だから」
「えっ?」
「まったく、物騒なもの作りやがって」
「ええっ?」
「まったく、てこずらせやがって」
「えええっ?」
初めてかみしめる敗北の味は苦かった。
私の前には断崖絶壁。遥か下で波頭が岩に砕けていた。
「追い詰めたぞ! プロフェッサーQ! 観念しろ!」
背後にはイカれたマスク野郎が迫っていた。
「ふっ、よくぞ、私をここまで追い詰めた。名前を聞いておこう」
「ウサギ探偵快傑ウォンバットだ!」
「なげーよ! だいたい、ウサギかウォンバットか、どっちかにしろよ!」
「基本的にはカンガルーだ」
「訳分かんねーな」
「さぁ! もう、逃げ場はないぞ!」
「そいつは、どうかな?」
私は1つの装置を取り出した。
「ふっふっふっ、このボタンを押せば地球は木っ端微塵だ! さぁ、どうする?」
私は余裕の笑みを浮かべた。
すると、突然、快傑ウォンバットが、
「第1問、日本の首都は?」
と言った。
私は反射的にボタンを押して答えた。
ピンポーン!
「東京」
ドカーン!
地球は爆発した。
「ふっふっふっ、このボタンを押せば地球は木っ端微塵だ! さぁ、どうする?」
自分の言葉で我に返る。
はっ! じ、時間が戻った? 私にこんな能力があったなんて。
すると、突然、快傑ウォンバットが、
「次は、駅入り口、駅入り口」
と言った。
私は反射的にボタンを押して言った。
ピンポーン!
「降りまーす」
ドカーン!
地球は爆発した。
「ふっふっふっ、このボタンを押せば地球は木っ端微塵だ! さぁ、どうする?」
また……、戻った。
すると、突然、快傑ウォンバットが、
「新幹線のシートはB列が1番広いんです」
と言った。
私は思わず感心してボタンを押して言った。
へ~!
「へ~!」
ドカーン!
地球は爆発した。
「ふっふっふっ、このボタンを押せば地球は木っ端微塵だ! さぁ、どうする?」
まただ。
すると、突然、快傑ウォンバットが、
「だめだよ~。こんな小さい子が一生懸命頑張ったんだよ~。押してよ~」
と言った。
仮装大賞ファンの私は思わず、
「しょうがないなぁ。欽ちゃんがそう言うんじゃ……」
と言ってボタンを押した。
ピッ!
ドカーン!
地球は爆発した。
「ふっふっふっ、このボタンを押せば地球は木っ端微塵だ! さぁ、どうする?」
よし!
すると、突然、快傑ウォンバットが、
「あっ、ボタンにハエが止まってる」
と言った。
私は反射的に、
「コノヤロー!」
と言ってボタンを思い切りぶっ叩いた。
バンッ!
ドカーン!
地球は爆発した。
「追い詰めたぞ! プロフェッサーQ! 観念しろ!」
「そいつは、どうかな?」
私は1つの装置を取り出した。
「ふっふっふっ……、いや、その前に1つ確認したいことがある」
「なんだ?」
「お前は正義の味方で、俺が悪だよな?」
「そうだ」
「で、この装置のボタンを押すと、地球は木っ端微塵です。あなたのするべきことは?」
「そのボタン、押させはしない!」
「そうだよ。それで、いいんだよ」
私は、なんだか、ほっとした。
「では、改めて……」
そういったとき、目の前にヤツがいるのに気が付いた。
「しまった!」
装置を奪われると思った瞬間、ヤツが装置のボタンを押した。
カチッ!
ドカーン!
地球は爆発した。
「……お前、いい加減にしろよ」
「は?」
「何度も何度も地球壊しやがって!」
「何のことだ?」
(こいつは、繰り返していることを知らないから分からないか)
私は舌打ちした。
「とにかくだなぁ。この装置のボタンを押すと地球は木っ端微塵です。絶対、押しちゃいけないの! 分かる?」
「分かった」
「よし、では、お前はそこを1歩も動くな。でないと……」
「初めのいーっぽ」
そう言って、ヤツが足を踏み出した。
「もーうっ!」
私はボタンを押した。
カチッ!
ドカーン!
地球は爆発した。
「……あのですねぇ」
「なんだ?」
「君、何がしたいの?」
「もちろん、地球の平和を守るために戦っている」
「そうだよね。そうだよね。俺、間違ってないよね」
私は1つの装置を取り出した。
「このボタンを押せば地球は木っ端微塵だ。分かったら、おとなしく……」
ヤツがツカツカと私に歩み寄ってきた。
ヤツがボタンを押した。
カチッ!
ドカーン!
地球は爆発した。
「根本的に方針を変える必要があるな」
私は、独り言ちた。
「なんだ?」
「とにかくこいつはボタンを押そうとする」
「おい!」
「俺の能力では、これ以上過去には戻れないし……」
「何をブツブツ言っている!」
「うーん」
そのとき、腕をガシッと掴まれた。
「捕まえたぞ!」
「ゲッ!」
私は仕方なくボタンを押した。
カチッ!
ドカーン!
地球は爆発した。
(うーん、どうしよう? 他に切り札ないのに、出せばこいつがボタン押すし……)
「どうした? プロフェッサーQ!」
「あ、いや、その……」
「ふっ、貴様のことだ。何か切り札を持っているな」
「いや……、あるにはあるんだけど……」
「さっさと出せ!」
私は渋々例の装置を取り出した。
「このボタンを押すと地球は木っ端微塵なので、見逃してください」
「嫌だ!」
「クソッ!」
私はボタンを押した。
カチッ!
ドカーン!
地球は爆発した。
(なんか手はないのか?)
「さぁ! おとなしく捕まれ! プロフェッサーQ!」
「嫌だ!」
「何か切り札があるなら出してみろ」
「それも嫌だ」
「じゃあ、捕まれ」
「あーっ! もうっ!」
私はボタンを押した。
カチッ!
ドカーン!
地球は爆発した。
「プロフェッサーQ! 観念しろ!」
「……ああ」
「なんか持ってんだろ? 出せ!」
「クソッ!」
私は装置を渡した。
「まったく……、てこずらせやがって……」
私の両手に拘束装置が付けられた。
(やっぱり捕まりたくない)
私は過去に戻ろうとした。
……あれ? 戻らない。
「あ、時間戻してたの俺だから」
「えっ?」
「まったく、物騒なもの作りやがって」
「ええっ?」
「まったく、てこずらせやがって」
「えええっ?」
初めてかみしめる敗北の味は苦かった。
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