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第五話 #初めての配信
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配信の機材の準備を終え、午後六時。
日本ダンジョンギルドの俺専用の準備スペースで、俺は初配信に向けて備えていた。
備えるとは言っても主に俺の心の準備だが。
思ったよりも緊張するかもしれない。
いくら視聴者の顔が見えないとはいえ、不特定多数の人間に見られると考えると萎縮してしまう。
ボク、インキャだから人前でるとテンパっちゃうの……。
初配信だしそこまで人は来ないとは思っている。
が、憎むべきアンタレスは初配信で脅威の十万人もの同時接続視聴者を獲得したらしい。
ようは十万人が一斉にアンタレスの配信を見たということらしい。
やばすぎだろ。
Sランクという肩書きは配信活動においてもその効力を発揮するようだ。
つまりは、だ。
俺も最強ではないが、これでもAランク探索者ランキング一位なのだ。
一般人で俺の知名度はないにしろ、肩書きに連れられてそこそこ視聴者を獲得できるとは思う。
だって姉がそう言っていたから。
思った以上に人が来ることは覚悟しておいた方が良いだろう。
ライブ配信には待機所というものがある。
待機所とは、ライブ配信放送前に視聴者が訪れても、開始時間まで待機できるところだ。
その待機所にはなんと、配信開始5分前にして百人を超える人がいた。
姉によると、初配信で10人きたらすごいとは聞いた。
つまりは今この現状はとても凄い状況なのだろう。
つっても姉がSNSで配信の告知をしてくれたからこの数いるのだろう。
流石は最前線を走る配信者だ。
その手腕に惚れちまうぜ。
にしても配信前で百人か。
緊張してきたな。
数が明確になったことでかなり己のハートに来ている。
メンタル面では割と自信があるんだがな。
俺インキャやけど。
「どうした、そんな強張った顔をしてさ、クロ。緊張してんの?」
「き、きんち、緊張なんかしてねえぜベイベー」
「そうだねベイベー。明らかに緊張してるね」
「うるさいやい!」
緊張が伝わったのか、一緒に手伝ってくれるマジノコが心配するように話かけてきた。
「まあクロなら大丈夫だよ」
「何その根拠の無い自信の付け方」
「疑う君に、一つ緊張なんか余裕で解く魔法の言葉を授けよう」
ほう、魔法の言葉とな?
アバタケ◯ブラとかか?
それはくたばれって呪文か。
いや、でもマジノコなら死の呪文とか余裕で放って来そうなんだよな。
「フードコートのお姉さん、クロの配信をあのでっかいTVで放映するって言ってたよ」
「OKマジノコ。お姉さんが惚れちまうほどかっこいい初配信と洒落込もうぜ」
「よし行こうか!」
死の呪文なんて言って悪かったよマジノコ。
やっぱり俺はお前を信じていてよかった。
お姉さんが見るとなれば俺は本気を出せるんだ。
お姉さんが見ると思うとテンション上がってきたな!
折角だからアンタレスに反抗して俺は手すら使わずにモンスターを倒してやる。
さすれば、カッコいいカウント10は硬いだろう。
へへへっ今日でお姉さんを惚れさせるぜ!
「それじゃあそろそろダンジョン入って配信開始しますかね!」
「そうだね。そろそろ行こうか」
みてろよお姉さん。そしてアンタレス。
今日からお姉さんは俺の物だぜ!
◇◇◇
「はいどうも皆さんこんにちは!狂犬のクロです!」
ついに配信が開始された。
ちなみに緊張はもうしていない。
なんてったって、お姉さんが俺の配信を見ているからだ!
こけないようにまずは挨拶から。
姉曰く、挨拶はその配信者の顔となるらしい。
だから配信の内容は適当でも挨拶だけはキッチリしろと、姉と唯から強く言われた。
ので、個性は出さずとも元気よくを徹底した。
敬語なのはいきなりタメ口とか言われても無理だからだ。
まあこれなら面接でもばっちしだな。
<コメント>
・始まったー
・来たな
・Aランク詐欺乙wwwwww
手元の携帯を見てみるとコメントが流れ始める。
おーすごい、配信者側からみるとこんな感じなんだ。
流れてゆくコメントを見ると、色々な人に見られているのだと実感するな。
「今回は初配信ということで不手際あるとは思いますが、その辺はご了承くださいね!」
・了解!
・初配信なんでしょ!気軽にやってこ!
・狂犬のクロさんって本当にAランク探索者なんですか?
・↑コメそれ俺も気になった。
・ワイトもそう思います。
挨拶を済ませると、本当にAランク探索者なのか? という質問が飛んでくる。
その質問を待っていた!
告知ではそのAランク探索者という肩書きに釣られてやってきた視聴者がほとんどだろう。
そこで、今日の企画は視聴者が楽しめると同時に俺の実力を知らしめるのを考慮した結果。
俺はいいアイデアを思いついた。
「本日の配信ですが、武器無しでダンジョン攻略をしていきたいと思います!」
・ふぁ!?
・今なんて?
・ダンジョン配信に来たらなんか防具なんか一切身につけてなくてビビってんのに?
・パーカーとジーンズ着た上に武器無しは流石にダンジョン舐めすぎだろ
・だまれよ嘘つきwwww
・ダンジョンでそれはよくないぞ
コメント欄を覗くと否定的な意見が殆どだった。
まあそうだろうな。
ダンジョンは危険がいっぱいだから防具の着用が義務付けられている。
しかし俺は師匠に防具の着用を禁止されているので仕方ないよね。
でもコメントでこんだけ指摘してくれるってことはそれだけその常識が世の中に広まってるってことだよな。
いいこといいこと。
話が逸れたが、いいアイデアとは武器無し防具なしでミノタウロスを倒して行こう、だ。
Aランク探索者に認定されるためには、Bランクモンスターをソロで倒せるほどの実力というのが一つにある。
いきなりポッと出の配信者がAランク探索者を名乗っても信じてもらえることはまあないだろう。
さっきのコメント欄みたいに嘘つき扱いされるのが関の山。
だから俺がソロでBランクモンスターであるミノタウロスを倒せば、みんな俺の実力を知りAランクであることを疑う人がいなくなるという算段さ。
あとはアンタレスができることが、俺にできないはずねえし。
きっとミノタウロスをボコボコにするところを見ればお姉さんが黄色い歓声を上げること間違いなしだからだ。
「それじゃあ早速ダンジョン配信と行きましょうか! あ、ミノタウロスがいますね!」
・いやいやいや
・ぬるっと始まるじゃん!
・せめて武器持ってくれよ
・この詐欺師見栄張って死ににいくとかだせえwww
・初配信が事故配信だけはやめてくれよ
・せめて生きてくれ
日本ダンジョン五十五階層。
洞窟のようなフィールドだが、学校の体育館程の高さと横幅なのでそこまで窮屈ではない。
まあ戦いやすいってこった。
ミノタウロスは牛の頭、首からした人間の身体をしている。
5mほどの長身を待ち、かなり筋肉質でガタイがめちゃくちゃいい。
両手で大人の男性ほどある斧を抱えている。
目の前に現れたら圧巻されることだろう。
よくチビる探索者とかいるしな。
そんなミノタウロスが100m先に横並びで斧をどっしりと構えいる。
それが5体。
珍しく群れを成しているようだ。
奇しくもアンタレスと同じ状況だな。
あん時も群れをなしていたし。
通常のBランクパーティだったら撤退を余儀なくされるだろう。
しかし俺はAランク探索者。
その中でもトップに位置するのだ。
簡単には負けねえよ。
ってかこの程度でイキってたらアンタレスなんか一生かけても勝てやしねえわ。
「それじゃあミノタウロス狩りといきますか! すぐ終わるから瞬き厳禁な?」
そう呟き床を踏みしめる足に力を篭める。
狙うはド真ん中にいるミノタウロス。
そいつ目掛けてダッシュする。
狙うはその立派なお腹をキックだ。
・うおおお行ったぁ!!
・めっちゃ突っ込んでくやん!
・そんな真っ向から勝負するやつあるか!
真ん中のミノタウロスが斧を振り上げた瞬間———。
「ふんっ!」
そのお腹に大きな穴があく。
見えてはいけない向こう側が見えお腹があるかを手で確認し、あるはずの腹が無いのを知ったミノタウロスは何が起こったのか理解しないまま前に倒れ絶命する。
「まずは一体」
・うおおおおおお!!!
・すげえ!!!!!
・今何が起こったんだ?
・配信主がミノタウロスに突っ込んだらミノタウロスのお腹に穴が空いて死んだ
・なるほどよく分からないが主がすごい事したのは分かった
・まだ4体いるぞ!
狙い通りに腹をぶち抜くことには成功。
しかしその後着地にミスって少々躓いてしまったが、コメントをみる限りバレていないのでかっこよさは保っているはずさ。
「☆\$€##3%%~!!!」
ようやくこちらに気づいたミノタウロスの一体が咆哮を上げる。
こいつら鳴くとうるさいんだよな。
危険だしうるせえからサクッと倒しちゃいますかね。
そう思い、倒したミノタウロスのオノを右手で持つ。
どう倒すのがカッコよく決まるだろうか。
うーん、思いつかねえからこれでいいや。
「よいしょっと!」
ブーメランの要領で投げられたオノは軌道を円の様に描く。
その軌道にはミノタウロス達が入っており、その運動エネルギーで次々にミノタウロスの首を落として行く。
オノはブーメランのように丁度右手の位置に返ってくるのでタイミングよくキャッチ。
うわっ、めっちゃ血ついた最悪だ。
「あ、しくった。一体残っちったな」
全員倒したと思い、目線をミノタウロスに向けるとまだ一体だけが生き残っていた。
いつの間にか五体の内四体が倒された残りミノタウロスは、既に亡骸となった仲間達に呆然とし立ちすくんでいた。
「長引くとあれだから、はいサクッとな」
残り一体もオノで一振り。
これで終わりだ。
残ったミノタウロスの首を狙い一振り。
あっという間に死体の出来上がりだ。
「ふい~、まあこんなもんだな」
・うおおおおおお!!!
・すげえ!!!!
・かっけえ!!!
・あのミノタウロスをあっという間に倒しちまった!!
・こりゃホンモノですわ!
どうやら俺のミノタウロス作戦は最高を成したようだ。
これで俺に言いがかりをつけて来るやつはいないだろう。
「それじゃあやりたかったこともしたし、配信やめるか」
・おい、待ってくれ!
・まだ始まったばかりだろう?
・正直疑ってたがこれ見せつけられれば疑えねえや
・探索者ワイ自信を無くす
・ってか嘘つき呼ばわりしてたやつ元気か?
「この配信を楽しんでくれた方は是非ともチャンネル登録よろしくな! それじゃあ狂犬のクロでした。おつかれー」
・お疲れ様には早いだろ!
・もっと配信続けてくれ!
・狂犬のクロォォォ!!!
引き止める視聴者をガン無視し、マジノコに目線を配り配信を止めてもらう。
うん、なかなかに出来のよい配信だったんじゃなかろうか。
視聴者にも楽しんでもらえたろう。
そして何よりフードコートのお姉さんは見ていてくれただろうか!
俺は貴女のために配信をしたようなものですよ!
今頃きっとキャーキャー行っているに違いないな!
ああ、早くお姉さんに会いてえな!
そんなことを考えながら俺は、マジノコと一緒に機材を片して五十六階層に向かうのだった。
~~~~~~~~~
少しでも面白い、続きが気になる! と思ったら
お気に入り登録してくれたらすっごく嬉しいです!
感想も待ってます!
本作をどうぞよろしくお願いします!
日本ダンジョンギルドの俺専用の準備スペースで、俺は初配信に向けて備えていた。
備えるとは言っても主に俺の心の準備だが。
思ったよりも緊張するかもしれない。
いくら視聴者の顔が見えないとはいえ、不特定多数の人間に見られると考えると萎縮してしまう。
ボク、インキャだから人前でるとテンパっちゃうの……。
初配信だしそこまで人は来ないとは思っている。
が、憎むべきアンタレスは初配信で脅威の十万人もの同時接続視聴者を獲得したらしい。
ようは十万人が一斉にアンタレスの配信を見たということらしい。
やばすぎだろ。
Sランクという肩書きは配信活動においてもその効力を発揮するようだ。
つまりは、だ。
俺も最強ではないが、これでもAランク探索者ランキング一位なのだ。
一般人で俺の知名度はないにしろ、肩書きに連れられてそこそこ視聴者を獲得できるとは思う。
だって姉がそう言っていたから。
思った以上に人が来ることは覚悟しておいた方が良いだろう。
ライブ配信には待機所というものがある。
待機所とは、ライブ配信放送前に視聴者が訪れても、開始時間まで待機できるところだ。
その待機所にはなんと、配信開始5分前にして百人を超える人がいた。
姉によると、初配信で10人きたらすごいとは聞いた。
つまりは今この現状はとても凄い状況なのだろう。
つっても姉がSNSで配信の告知をしてくれたからこの数いるのだろう。
流石は最前線を走る配信者だ。
その手腕に惚れちまうぜ。
にしても配信前で百人か。
緊張してきたな。
数が明確になったことでかなり己のハートに来ている。
メンタル面では割と自信があるんだがな。
俺インキャやけど。
「どうした、そんな強張った顔をしてさ、クロ。緊張してんの?」
「き、きんち、緊張なんかしてねえぜベイベー」
「そうだねベイベー。明らかに緊張してるね」
「うるさいやい!」
緊張が伝わったのか、一緒に手伝ってくれるマジノコが心配するように話かけてきた。
「まあクロなら大丈夫だよ」
「何その根拠の無い自信の付け方」
「疑う君に、一つ緊張なんか余裕で解く魔法の言葉を授けよう」
ほう、魔法の言葉とな?
アバタケ◯ブラとかか?
それはくたばれって呪文か。
いや、でもマジノコなら死の呪文とか余裕で放って来そうなんだよな。
「フードコートのお姉さん、クロの配信をあのでっかいTVで放映するって言ってたよ」
「OKマジノコ。お姉さんが惚れちまうほどかっこいい初配信と洒落込もうぜ」
「よし行こうか!」
死の呪文なんて言って悪かったよマジノコ。
やっぱり俺はお前を信じていてよかった。
お姉さんが見るとなれば俺は本気を出せるんだ。
お姉さんが見ると思うとテンション上がってきたな!
折角だからアンタレスに反抗して俺は手すら使わずにモンスターを倒してやる。
さすれば、カッコいいカウント10は硬いだろう。
へへへっ今日でお姉さんを惚れさせるぜ!
「それじゃあそろそろダンジョン入って配信開始しますかね!」
「そうだね。そろそろ行こうか」
みてろよお姉さん。そしてアンタレス。
今日からお姉さんは俺の物だぜ!
◇◇◇
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ちなみに緊張はもうしていない。
なんてったって、お姉さんが俺の配信を見ているからだ!
こけないようにまずは挨拶から。
姉曰く、挨拶はその配信者の顔となるらしい。
だから配信の内容は適当でも挨拶だけはキッチリしろと、姉と唯から強く言われた。
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敬語なのはいきなりタメ口とか言われても無理だからだ。
まあこれなら面接でもばっちしだな。
<コメント>
・始まったー
・来たな
・Aランク詐欺乙wwwwww
手元の携帯を見てみるとコメントが流れ始める。
おーすごい、配信者側からみるとこんな感じなんだ。
流れてゆくコメントを見ると、色々な人に見られているのだと実感するな。
「今回は初配信ということで不手際あるとは思いますが、その辺はご了承くださいね!」
・了解!
・初配信なんでしょ!気軽にやってこ!
・狂犬のクロさんって本当にAランク探索者なんですか?
・↑コメそれ俺も気になった。
・ワイトもそう思います。
挨拶を済ませると、本当にAランク探索者なのか? という質問が飛んでくる。
その質問を待っていた!
告知ではそのAランク探索者という肩書きに釣られてやってきた視聴者がほとんどだろう。
そこで、今日の企画は視聴者が楽しめると同時に俺の実力を知らしめるのを考慮した結果。
俺はいいアイデアを思いついた。
「本日の配信ですが、武器無しでダンジョン攻略をしていきたいと思います!」
・ふぁ!?
・今なんて?
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・パーカーとジーンズ着た上に武器無しは流石にダンジョン舐めすぎだろ
・だまれよ嘘つきwwww
・ダンジョンでそれはよくないぞ
コメント欄を覗くと否定的な意見が殆どだった。
まあそうだろうな。
ダンジョンは危険がいっぱいだから防具の着用が義務付けられている。
しかし俺は師匠に防具の着用を禁止されているので仕方ないよね。
でもコメントでこんだけ指摘してくれるってことはそれだけその常識が世の中に広まってるってことだよな。
いいこといいこと。
話が逸れたが、いいアイデアとは武器無し防具なしでミノタウロスを倒して行こう、だ。
Aランク探索者に認定されるためには、Bランクモンスターをソロで倒せるほどの実力というのが一つにある。
いきなりポッと出の配信者がAランク探索者を名乗っても信じてもらえることはまあないだろう。
さっきのコメント欄みたいに嘘つき扱いされるのが関の山。
だから俺がソロでBランクモンスターであるミノタウロスを倒せば、みんな俺の実力を知りAランクであることを疑う人がいなくなるという算段さ。
あとはアンタレスができることが、俺にできないはずねえし。
きっとミノタウロスをボコボコにするところを見ればお姉さんが黄色い歓声を上げること間違いなしだからだ。
「それじゃあ早速ダンジョン配信と行きましょうか! あ、ミノタウロスがいますね!」
・いやいやいや
・ぬるっと始まるじゃん!
・せめて武器持ってくれよ
・この詐欺師見栄張って死ににいくとかだせえwww
・初配信が事故配信だけはやめてくれよ
・せめて生きてくれ
日本ダンジョン五十五階層。
洞窟のようなフィールドだが、学校の体育館程の高さと横幅なのでそこまで窮屈ではない。
まあ戦いやすいってこった。
ミノタウロスは牛の頭、首からした人間の身体をしている。
5mほどの長身を待ち、かなり筋肉質でガタイがめちゃくちゃいい。
両手で大人の男性ほどある斧を抱えている。
目の前に現れたら圧巻されることだろう。
よくチビる探索者とかいるしな。
そんなミノタウロスが100m先に横並びで斧をどっしりと構えいる。
それが5体。
珍しく群れを成しているようだ。
奇しくもアンタレスと同じ状況だな。
あん時も群れをなしていたし。
通常のBランクパーティだったら撤退を余儀なくされるだろう。
しかし俺はAランク探索者。
その中でもトップに位置するのだ。
簡単には負けねえよ。
ってかこの程度でイキってたらアンタレスなんか一生かけても勝てやしねえわ。
「それじゃあミノタウロス狩りといきますか! すぐ終わるから瞬き厳禁な?」
そう呟き床を踏みしめる足に力を篭める。
狙うはド真ん中にいるミノタウロス。
そいつ目掛けてダッシュする。
狙うはその立派なお腹をキックだ。
・うおおお行ったぁ!!
・めっちゃ突っ込んでくやん!
・そんな真っ向から勝負するやつあるか!
真ん中のミノタウロスが斧を振り上げた瞬間———。
「ふんっ!」
そのお腹に大きな穴があく。
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「まずは一体」
・うおおおおおお!!!
・すげえ!!!!!
・今何が起こったんだ?
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・なるほどよく分からないが主がすごい事したのは分かった
・まだ4体いるぞ!
狙い通りに腹をぶち抜くことには成功。
しかしその後着地にミスって少々躓いてしまったが、コメントをみる限りバレていないのでかっこよさは保っているはずさ。
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うーん、思いつかねえからこれでいいや。
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その軌道にはミノタウロス達が入っており、その運動エネルギーで次々にミノタウロスの首を落として行く。
オノはブーメランのように丁度右手の位置に返ってくるのでタイミングよくキャッチ。
うわっ、めっちゃ血ついた最悪だ。
「あ、しくった。一体残っちったな」
全員倒したと思い、目線をミノタウロスに向けるとまだ一体だけが生き残っていた。
いつの間にか五体の内四体が倒された残りミノタウロスは、既に亡骸となった仲間達に呆然とし立ちすくんでいた。
「長引くとあれだから、はいサクッとな」
残り一体もオノで一振り。
これで終わりだ。
残ったミノタウロスの首を狙い一振り。
あっという間に死体の出来上がりだ。
「ふい~、まあこんなもんだな」
・うおおおおおお!!!
・すげえ!!!!
・かっけえ!!!
・あのミノタウロスをあっという間に倒しちまった!!
・こりゃホンモノですわ!
どうやら俺のミノタウロス作戦は最高を成したようだ。
これで俺に言いがかりをつけて来るやつはいないだろう。
「それじゃあやりたかったこともしたし、配信やめるか」
・おい、待ってくれ!
・まだ始まったばかりだろう?
・正直疑ってたがこれ見せつけられれば疑えねえや
・探索者ワイ自信を無くす
・ってか嘘つき呼ばわりしてたやつ元気か?
「この配信を楽しんでくれた方は是非ともチャンネル登録よろしくな! それじゃあ狂犬のクロでした。おつかれー」
・お疲れ様には早いだろ!
・もっと配信続けてくれ!
・狂犬のクロォォォ!!!
引き止める視聴者をガン無視し、マジノコに目線を配り配信を止めてもらう。
うん、なかなかに出来のよい配信だったんじゃなかろうか。
視聴者にも楽しんでもらえたろう。
そして何よりフードコートのお姉さんは見ていてくれただろうか!
俺は貴女のために配信をしたようなものですよ!
今頃きっとキャーキャー行っているに違いないな!
ああ、早くお姉さんに会いてえな!
そんなことを考えながら俺は、マジノコと一緒に機材を片して五十六階層に向かうのだった。
~~~~~~~~~
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