徒然記

( ´ー`)y-~~

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気持ち悪いオオカミ少年男

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世の中には息を吐くように嘘を吐く人間は一定数いる。


職場で出会った嘘吐き男の話。


その男は日本海側の田舎出身だと言っていたが、嘘しか吐かないので、果たしてどこまでが本当かは全く真実味がない。

高卒後田舎では飲食関係で働き、都会に出て来てからは工場で働いていたらしい。

その後は日雇いのような派遣会社に所属して働いていた。
男は毎日同じ薄手のグレーのスーツを着ていた。
最初は夏だったが、真冬になっても毎日同じ恰好だった。

本人曰く同じ服を3着持っていると言っていたが、誰も信用していなかった。

ご時世柄換気が必要とされ、窓は開けっ放し。
毎日「寒い」と「眠い」しか口にしない男に、周囲は「暖かい服を買え」と忠告したが、
一向に聞く耳は持たず、毎日同じ薄手のスーツに足元は安全靴だった。

初めて出勤してきた時は、長い前髪で目元が隠れていた。
まるで野犬が汚い毛が伸び放題で一度も洗われたことがない姿に似ていた。
恐らく風呂にも毎日は入っていないであろうほど、髪の毛は脂ギッシュでボサボサで、はっきり言って不潔な身なりだった。

毎日寒いからと「窓を閉めていいですか?」ばかり言っていたので、みんなから言われ過ぎた為かついにUNIQLOで安物のボアの上着を買った。
しかしやはり1着だけなので毎日それを着古し、長年使った毛布のように毛はカーペットの毛並みのようになっていた。
そして赤いマフラーを仕事中もずっとしていた。

一度だけジャージー姿で出勤して来たことがあったが、なぜかGUCCIのジャージーだった。
しかし足元はスニーカーではなくやはり安全靴。そして紺のボア。
暖かくなっても赤いマフラーは欠かさず、季節と逆を行くクレイジーっぷりに明らかに浮いていた。

挙動不審で覇気もなく、最早ファッションセンスもクソもあったもんではない。


寒いと眠いしか言わなかったが、勤務中も毎日居眠りをしていた。

眠い理由は近隣県から通っているので朝4時起きだとか、アレルギー持ちで花粉症の薬を飲んでいるからだと言っていた。

しかし自宅に帰る時も乗っている電車が違うので、本当にそんな遠くから毎日来ているのか?と言われていた。
友達の家に泊まるとか言っていたこともあるがどうせネカフェ難民か何かだろうと噂されていた。
何故なら毎日家出してきたような重たいトートバッグを持ち歩いていた。
遠方から来ていることにして交通費を水増し請求していただけだろう。

昼休みも昼食は食べずに毎日その場で寝ていた。
椅子にひっくり返りそうになりながら寝る姿は、歯医者スタイルだ。

なぜ昼飯を食べないのか聞かれると、朝からカツカレーを食べて来ただとか、朝と夜はしっかり食べて昼はお腹が空かないので食べていないと言っていたが、一度人から貰ったパンを貪り喰っていた。

要はただ単に貧乏で金がないのだ。
借金して闇金から逃亡中の犯罪者ではないか?と噂されていた。
だとしたら全てに辻褄があう。

自宅にはコタツと電子レンジしかなく、冷蔵庫すら無いらしい。
近々引っ越しをする為、荷物はレンタルトランクルームに預けていると言っていた。

良く言えばミニマストだろうが、悪く言えばただの乞食のホームレス。

他にも度々具合が悪くなり仕事を休んだ。
検査結果は陰性だったと言いながら、陰性証明を持って来いと言われても、
毎日「忘れた」と言って持って来なかった。

証明書は値段いくらだったのか?とカマをかけて聞かれると、「あー…いくらだったかなぁ…」と誤魔化そうとし、「陰性証明は無料だ」と言われると、「無くした」と言った。

無くすわけないだろう。そんな大切な物と責め立てられても逃げ続けようとしていた。
病院にも行ってなければ、検査すら受けていないのだろう。
そんな奴の側に誰も近付きたくないと一人離れた席に座らされていた。

他にも職場を紹介してくれたという先輩が、月に一度近くに来た時に一緒に昼食に行くと言う日だけは、張り切って出かけていた。

一度見かけたが、おかわり自由のご飯を山盛り食べ、スープも何倍もおかわりしていた。

そしてその先輩が伝票を持つまで、決して立ち上がろうともせず、財布は持つ振りだけして、結果奢って貰っていた。
男が男に、しかも数個しか違わない男に奢って貰うとはプライドねーのかと散々陰口を叩かれていた。

なぜそんなに金が無いのか?
その日の給料は即給で卸すことも出来るが、手数料が勿体なくてケチっていたのだろう。

やめていく子にみんなでお餞別でプレゼントを買うのに500円づつ出すことになった時も、最初は「来週払う」と言ったかと思えば、翌週に徴収されそうになると、更に「来週払う」と言い、
約束が違うとキレられかけ慌てて払っていた。
たった500円が払えないのか。
男は毎週火曜に昼に売りに来る150円のシュークリームを買って食べるのを楽しみにしていた。

その日もシュークリームを買いに行こうとし、シュークリームを買う金はあるのか!?と嫌味を言われると、
「シュークリームを買って1000円札を崩して払います」と弁明していた。
だったら最初から払えばいいのに。

そもそも何故そんなに金が無いのか、一体何にそんなに金をかけているのか聞かれると、第一に使うのは交際費。
次は美容#__・__#と言ったのだ。

美容?脱毛とか?と突っ込まれていたが、臑毛も口周りもボーボーに無性髭が生えていた。

嘘を吐く人間は、何が嘘か自分でもわからなくなるのだろう。

他にも職場にはみんなが持ち寄るオヤツ箱があったが、奴が入れている所をみた人間は誰もいなかった。

人から貰うばかりで何とも思わないのか?と責め立てられた時、「僕時々入れていますよ」と言ったのだ。

絶対嘘だと全員思ったが、バレンタインにチョコを貰った時も、ホワイトデーにお返しはしなかった。

絶対返すわけがない。
そもそもホワイトデーという制度知らないんじゃねーの?と散々馬鹿にされ
案の定過ぎて本当に期待を裏切らない男だと。
賭けにもならなかったが、本人は今日ホワイトデーだけど?と言われ「今(良い物を返す為に)あたためでいます」と答えていた。

が、結局最後の最後まで返すことは無かった。
逃げ切れたとでも思っているのだろう。
そもそも貰った時も満足に礼すら言えない、糞過ぎて最早乞食への施しとしか思われていなかった男だ。

他にも仕事をしない。
重たい物を運んでいるのも見てるだけ。
言われたことが出来ない。
朝礼にすら参加しない。
次第に存在を忘れられる。

パワハラにあったと被害妄想丸出しで文句だけは一人前に言い、その人がいる部屋には行けない等と仕事放棄をし、実際には自分では何も行動せず周りに助けて貰う始末。

他にも字が汚過ぎて読めない。
声が小さい。何を言っているかわからない。
適当な相槌。人の話を聞いていない。

一本調子で同じことをなん度も言う等仕事の出来なさも常軌を逸していた。

嘘を吐く人間は脳障害で記憶を留めて置けないらしい。
もしくな知能が著しく低いのだろう。

最後にみんなで記念に写真を撮ろうという時には「自分は写らなくていい」と写りたがらなかった。
やはり犯罪者なのか?と「指名手配犯は写真撮られるの嫌がるっていうよね」と囃し立てられ、男の周辺に人が集まり強引に写された写真にはピースをして写っていた。

どこまでも図々しく嘘吐き男は、人から嫌われていた。
「早く辞めればいいのに」と言われていたが、貧乏で金がいるので辞めるわけがなかった。
最後は契約満了と能力の無い人間からクビを切られて終わったが……

結果この仕事が終わった後、半月後の早朝に近隣の街中で姿を見た。
赤信号なのに電動自転車で突っ込んで来て、運転していた自動車にブツかりそうになっていた。

やはり遠方に住んでいるなんて嘘なのだ。
見られてヤバいと言う顔で、急いで逃げていたが、服装は相変わらず例のモコモコにGUCCIのジャージーに安全靴だった。
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