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10番目の側妃。
リリスは14歳。まだ”月の障り”が来たばかりの少女だった。
しかし、彼女は祖国で狩りをしていたので、とても瑞々しくしなやかな肢体を持ち合わせていた。
彼女は今は森を駆けてきたので、汗を流したいと思っていた。
侍女を装った二人はヘイリーは食事の準備へ、セスは入浴の準備に取り掛かりに行った。
「リリス様、入浴の準備が整いました」
セスに声を掛けられ、リリスは立ち上がった。
服を脱ごうとすると、セスが手伝うように動く。
「セスは侍女ではないのでしょう?私は一人で入れるわ」
セスは目を見張った。
「とんでもございません。侍女ではないのではなく侍女も兼任しておりますので。
貴方様のお世話をさせていただきたいのです」
「そうなのですか?ヘイリーも?」
あまり表情の変わらなそうなセスが少し顔を歪めた。
「いずれは分かることだったので、今お伝えいたしますとヘイリーは男性です」
「は?」
「ヘイリーは男です、えっとこう下半身…」
「まってわかります、男女の差ぐらい」
「はい、申し訳ありません。ヘイリーはあの身なりですが、男性でございますので侍女ではありません。ここに入ってくるのに侍女の格好をしていました」
「では、侍女ではないのなら服を動きやすい格好にした方がいいのでは?」
「残念ながら、ここに配属されるには、侍女二人のみでした…」
リリスは理解した。侍女のみということは護衛がつかない。
それは、彼女の存在は蔑ろにされているということだろう。護衛をするほどでもないということだ。
「わかりました。ではあなた方の”御大”に感謝を。彼は護衛のためにあの格好をしてきてくれたのでしょう?」
「必ず伝えます。ヘイリーは見た目が女性のようなので変装しやすいだろうということで私と一緒に参りました。
私は逆に女性に見られることが少なくて…」
少し沈んだ雰囲気のセスがとてもかわいく見えてしまった。
「大丈夫、セスは可愛い方ですね」
少し、表情を緩めて笑顔になったリリスを見たセスは、”御大”にこの表情を見せたらだめだなと思った。
「有難うございます、精一杯お勤めさせていただきます」
「助かります」
「かしこまりました」
二人の侍女兼護衛と共に彼女はこの屋敷で過ごしていこうと思った。
いつまで生きているかわからなくても、今は祖国のためになることをしようと思った。
幸い皇帝の目には留まらない存在だ。
リリスは後宮の片隅でひっそりと生きようと静かに誓った。
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