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セスとヘイリーは端的に言えば優秀だった。
一緒に狩りもできるし、必要なものは全て揃えられていた。
「お姫さん!、そっちに行った!!」
「わかりました!」
ガサガサと草を分ける音がする。
ヘイリーが獲物をこちらに誘導したからだ。
焦ることはない、いつもどおり射るだけである。
リリスは自分の弓の弦をひく。
輿入れをするとき、故郷に置いてきた自分の道具が屋敷の中に存在したときは吃驚した。
それでも長年使って手入れしてきたものは自分の手にしっくり馴染んでいた。
自分の物はすべて処分させられたので、嬉しかった。
目の前を獲物が通る
そこに自分の渾身の矢を射る
ガッッッ!!
獲物に命中する。
「流石!!お姫さん!」
ヘイリーが細身の剣を携えたまま近づいてくる。
「これで今夜はご馳走!!」
ヘイリーの剣さばきは素人ではなかった。平民といえどもちゃんと訓練をうけたそれだった。
「ヘイリーこそ有難う。こちらに誘導してくれて」
「いんや、お姫さんのが確実に仕留められるって思ってさ。一角ウサギは素早いからなあ」
先ほど仕留めた獲物…一角ウサギはその名の通り、角が一つ生えたウサギで、角も皮も身も余すことなく使える生き物だ。
素早さに特化した生き物で、攻撃することが困難である。
「しっかし、お姫さんの命中率ぱねぇ」
一角ウサギの血を抜きながらヘイリーは言う。
抜いた矢の矢じりを回収し、リリスは少し口角を上げる。
「これでも祖国では早打ちが得意だったから」
彼女の国は森の中で生活が主だった。
王女であろうと、一度は弓を持つ。
狩人になることは、当たり前のことだった。
幼少期から狩りに関することや、森での生活に関しては叩き込まれた。
祖国と同じようにできることは異国の地に住むリリスにとっては僥倖だった。
「さぁ、帰りましょう。セスが待っている。ほかにも果物も手に入ったし…」
血抜きの終わった一角ウサギをヘイリーが担ぎ、リリスは道中捥いだ果物を担ぐ。
「あああ!お姫さん!!俺が持つよ!!」
「大丈夫。ヘイリーは一角ウサギを持っているのに果物まで持ってたら肩が抜けますよ」
「ちがっ!!おん…てああああああ」
果物を担いで颯爽と森を抜ける。
静かに生きようと思っていたリリスは、確かにこの異国の地で生きている。
いつまでかわからない。でもこの生活は案外気に入っていた。
当初考えていたよりは悲観的にならずに済むかも、そんなことを考えながら森を抜け屋敷に帰ってきた。
「お帰りなさいませ、リリス様」
「ただいま、セス」
長身の侍女もとい護衛はいつも以上に表情を硬くしていた。
あまり表情の変わることがない彼女であるが、それでも数か月もすれば少しは分かる。
「どうかしましたか?」
何かあったのだろうか?もしかしたら他の妃から嫌がらせでもあったのだろうか?いや、今までなかったことが不思議なくらいなのかもしれないが…
意を決したようにセスは口を開いた。
「皇帝様のお渡りが2日後とのことです…」
目の前が真っ暗になった気がした。
一緒に狩りもできるし、必要なものは全て揃えられていた。
「お姫さん!、そっちに行った!!」
「わかりました!」
ガサガサと草を分ける音がする。
ヘイリーが獲物をこちらに誘導したからだ。
焦ることはない、いつもどおり射るだけである。
リリスは自分の弓の弦をひく。
輿入れをするとき、故郷に置いてきた自分の道具が屋敷の中に存在したときは吃驚した。
それでも長年使って手入れしてきたものは自分の手にしっくり馴染んでいた。
自分の物はすべて処分させられたので、嬉しかった。
目の前を獲物が通る
そこに自分の渾身の矢を射る
ガッッッ!!
獲物に命中する。
「流石!!お姫さん!」
ヘイリーが細身の剣を携えたまま近づいてくる。
「これで今夜はご馳走!!」
ヘイリーの剣さばきは素人ではなかった。平民といえどもちゃんと訓練をうけたそれだった。
「ヘイリーこそ有難う。こちらに誘導してくれて」
「いんや、お姫さんのが確実に仕留められるって思ってさ。一角ウサギは素早いからなあ」
先ほど仕留めた獲物…一角ウサギはその名の通り、角が一つ生えたウサギで、角も皮も身も余すことなく使える生き物だ。
素早さに特化した生き物で、攻撃することが困難である。
「しっかし、お姫さんの命中率ぱねぇ」
一角ウサギの血を抜きながらヘイリーは言う。
抜いた矢の矢じりを回収し、リリスは少し口角を上げる。
「これでも祖国では早打ちが得意だったから」
彼女の国は森の中で生活が主だった。
王女であろうと、一度は弓を持つ。
狩人になることは、当たり前のことだった。
幼少期から狩りに関することや、森での生活に関しては叩き込まれた。
祖国と同じようにできることは異国の地に住むリリスにとっては僥倖だった。
「さぁ、帰りましょう。セスが待っている。ほかにも果物も手に入ったし…」
血抜きの終わった一角ウサギをヘイリーが担ぎ、リリスは道中捥いだ果物を担ぐ。
「あああ!お姫さん!!俺が持つよ!!」
「大丈夫。ヘイリーは一角ウサギを持っているのに果物まで持ってたら肩が抜けますよ」
「ちがっ!!おん…てああああああ」
果物を担いで颯爽と森を抜ける。
静かに生きようと思っていたリリスは、確かにこの異国の地で生きている。
いつまでかわからない。でもこの生活は案外気に入っていた。
当初考えていたよりは悲観的にならずに済むかも、そんなことを考えながら森を抜け屋敷に帰ってきた。
「お帰りなさいませ、リリス様」
「ただいま、セス」
長身の侍女もとい護衛はいつも以上に表情を硬くしていた。
あまり表情の変わることがない彼女であるが、それでも数か月もすれば少しは分かる。
「どうかしましたか?」
何かあったのだろうか?もしかしたら他の妃から嫌がらせでもあったのだろうか?いや、今までなかったことが不思議なくらいなのかもしれないが…
意を決したようにセスは口を開いた。
「皇帝様のお渡りが2日後とのことです…」
目の前が真っ暗になった気がした。
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