「理想の明日は、君とともに」――お伽話風に綴る、静かな恋と理想の明日

だって、これも愛なの。

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2-1 新婚

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 虹が消えた翌日、町はもういつもの穏やかさを取り戻していた。
 けれどリラの胸の奥には、あの色彩がまだ残っている。
 ──誰かと一緒に見た虹は、こんなにも心に残るのだろうか。

 数日後、扉のベルが鳴く。
 「……ただいま」
 冗談めかして笑う声に、リラは思わず微笑みを返した。
 「また、その言葉ですか」
 「だって、ここに戻ってくると、本当にそんな気持ちになるんだ」

 彼がいるだけで、空気が少し違って感じられる。
 日常に、ひとしずくの変化が混ざり合っていく。




 再び市場に足を運んだ日、リラはかごを抱えて野菜を選んでいた。
 陽射しを受けて色とりどりの果実が並ぶ光景は、いつもと変わらないはずなのに──今日は心が少し浮き立っていた。

 「リラ、これも要るんじゃないか?」
 不意に背後から声がして、振り返ればエリアスが片手に籠いっぱいの果物を抱えて立っていた。

 「そ、それは多すぎます」
 思わず声を上げると、露店の老婦人がくすりと笑う。
 「まあまあ、仲がよろしいこと。まるで新婚さんみたいじゃないかね」

 「ち、違います!」
 リラが慌てて否定するのをよそに、エリアスは肩を揺らして笑った。
 「新婚、か……悪くない響きだな」

 「エリアスさん!」
 リラの頬が熱を帯び、周囲の視線にますます赤くなる。

 けれど、町の人々はにこやかに見守るだけで、からかいも悪意もなかった。
 「お似合いだよ」「また一緒に来なさいな」と、口々に声をかけられる。

 リラは俯いたまま足早に歩き出した。
 その横で、エリアスがわざとらしく囁く。
 「君と一緒にいると、本当に“帰ってきた”って思える」

 リラは胸の奥が跳ねるのを抑えきれず、言葉を失った。
 市場のざわめきの中、ふたりの距離は自然と近づいていた。
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