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ーぽとり、しゅわん。ー
第5話「とくん、とくん。」
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舞踏会が終わり、宮殿は「しん」と静まり返っていた。
回廊を抜けると、夜風が「すうっ」と頬を撫でる。
リリアナは胸に手を当てた。
耳を澄ますと、自分の鼓動が「とくん、とくん」と響いている。
音楽も笑い声も消えた今、聞こえるのは心臓の音だけ。
「……眠れそうにありませんね」
隣に歩むアレクシスが、低く呟いた。
「わたくしもです」
リリアナは笑みを浮かべる。
沈黙が怖くなくて、鼓動がむしろ会話のように感じられる。
「人は、どうして心臓の音を“生きている証”と呼ぶのでしょう」
アレクシスの問いは、静寂に「ぽつり」と落ちる。
「とくん、とくん」
彼の胸に耳を寄せれば、同じ響きがあるのだろう。
「永遠を望むからなのか、儚さを抱きしめたいからなのか……。
愛は、永遠を約束するものなのか、それとも、いずれ終わることを分け合うものなのか」
リリアナは立ち止まった。
夜のランプが「ゆらり」と灯って、ふたりの影を寄せる。
「……終わることを知っているから、尊いのかもしれません」
自分でも驚くほど、言葉はすらりと零れた。
「命も愛も“とくん、とくん”と限られているから……その一瞬を抱きしめたくなるんです」
アレクシスは目を細め、彼女を見つめる。
長い沈黙のあとで、小さく笑った。
「リリアナ。あなたの言葉は、私の胸を鳴らします」
「とくん」と一際強く。
ふたりの鼓動が、同じ夜に重なっていた。
回廊を抜けると、夜風が「すうっ」と頬を撫でる。
リリアナは胸に手を当てた。
耳を澄ますと、自分の鼓動が「とくん、とくん」と響いている。
音楽も笑い声も消えた今、聞こえるのは心臓の音だけ。
「……眠れそうにありませんね」
隣に歩むアレクシスが、低く呟いた。
「わたくしもです」
リリアナは笑みを浮かべる。
沈黙が怖くなくて、鼓動がむしろ会話のように感じられる。
「人は、どうして心臓の音を“生きている証”と呼ぶのでしょう」
アレクシスの問いは、静寂に「ぽつり」と落ちる。
「とくん、とくん」
彼の胸に耳を寄せれば、同じ響きがあるのだろう。
「永遠を望むからなのか、儚さを抱きしめたいからなのか……。
愛は、永遠を約束するものなのか、それとも、いずれ終わることを分け合うものなのか」
リリアナは立ち止まった。
夜のランプが「ゆらり」と灯って、ふたりの影を寄せる。
「……終わることを知っているから、尊いのかもしれません」
自分でも驚くほど、言葉はすらりと零れた。
「命も愛も“とくん、とくん”と限られているから……その一瞬を抱きしめたくなるんです」
アレクシスは目を細め、彼女を見つめる。
長い沈黙のあとで、小さく笑った。
「リリアナ。あなたの言葉は、私の胸を鳴らします」
「とくん」と一際強く。
ふたりの鼓動が、同じ夜に重なっていた。
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