舞踏会はお洒落比べ ─ 高飛車令嬢と参謀の恋

だって、これも愛なの。

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第二部

番外編 お忍びデート

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王都の石畳を、並んで歩く二つの影。
ラウレンスは普段の軍服を脱ぎ、質素な外套を羽織っていた。
その隣で、イザベラは帽子のつばを深くかぶり、薔薇色のドレスを控えめに隠している。

「参謀殿、まさかお忍びで市井を歩くことになるなんて……」
「お前が“普通の恋人のように外を歩いてみたい”と言い出したからだ」
「まあ! そんな言い方、わたくしがわがままみたいですわ」
「……事実だろう」

そっけない声。
だが、ラウレンスの手はしっかりとイザベラの手を握っていた。

市場の店先をのぞきこみ、イザベラは楽しげに笑う。
「まぁ、このリボン、可愛いですこと!」
「似合いそうだな」
「……っ」

ラウレンスの何気ない一言に、イザベラの頬がばっと赤くなる。
扇子を取り出すも、隠しきれず視線を逸らした。

(参謀殿の前だと、どうしてこんなに乙女になってしまうのかしら……)

通りの片隅に小さな菓子屋を見つけると、ラウレンスが立ち止まった。
「甘いものは好きか」
「もちろんですわ! ……でも、参謀殿も?」
「君が喜ぶなら」

短く答えた彼の横顔に、イザベラの胸は跳ね上がる。

菓子を分け合いながら歩く二人を、誰もただの恋人としか思わない。
けれどイザベラは知っている。
自分の隣にいるのが、宮廷で最も冷静な参謀であることを。

「……なんだ」
甘い菓子をかじるラウレンスに、イザベラは笑いを堪えきれず囁いた。
「いえ、参謀殿がわたくしの“恋人らしく”見えるのが、なんだか新鮮で」
「……君は最初から私を振り回してばかりだ」
「ふふ、それでも付き合ってくださるのですもの。やっぱりあなたは、わたくしの一番ですわね」

ラウレンスはため息をつきながらも、指先で彼女の手を強く握り返した。
王都の喧騒の中でも、二人だけの世界は静かに輝いていた。
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